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雨上がりの川沿いの道。いつものコースを夜走っていて、ふと思い出したこと。
とにかくおカネがなかった学生時代、先輩におごってもらって以来病みつきになってしまった、店名にさんずいが付くラーメン屋。店内にずらりと並んだメニュー短冊の、何を食べても旨かった。バイト代が出た夜は、そこに行くのが自分へのご褒美だった。
店のすぐそばに流れる川は、大雨ともなると凄い勢いで水かさを増し、テレビのレポーターが溢れそうな様子を中継に来てたっけ。店が閉まっちゃうんじゃないかと本気で心配したものだ。
最後にその店に行ったのはちょうど今頃の季節、蒸し暑い夜だった。
カウンターの向かいの客と話し込んでいた、当時三十代後半くらいの店主が、入ってきた二十歳のわたしの顔を一瞥してこう言った。
「最近××さんの顔を見てないんだよね〜、どうでもいい客は来るんだけどさあ」
その瞬間、わたしの片思い?は終わったのだった。
なけなしのカネをはたいて、通っていたつもりだったのになあ。
密かにここの「常連さん」だと、自分では思ってたんだけどなあ。
そんなことより「どうでもいい客」なんていないと思うんだけどなあ!
そのときのラーメンの味は、全く覚えていない。
それから数年後、その店の入っていた古いビルが取り壊されてマンションが建った。店名にさんずいが入ったラーメン屋はそのまま閉店したようだ。それももう二十年以上も前の話、面影が残っているのはすぐそばを流れる川だけだ。その川も、大量の雨水を貯められる巨大な地下調節池が完成してからは、すっかり氾濫することもなくなった。
いまならわかる。あの店主にとって「どうでもいい客」とは、カネを持たない若者のことだったのだと。時を経て、通っている激辛ラーメン店のある店長は、コロナ禍で2年ほども店に来なかったわたしに「〇〇(本名)さん、久しぶりですね!」と名前を呼んで接してくれた。嬉しかった。でもその店長より遥かに歳を食った客のわたしは、いわゆる大人になっちまったってことなんだろうな。
…なぜか頭の片隅にずっと残っていた、店名にさんずいが付く昔通ってたラーメン屋のこと。
きっとこのブログに取り上げるためだったんだろうな、書いたらなんかすっきりした。
さすがにもう、水に流してもいいかな。
そういえば、さんずいの店内で流れていた曲に、ユッコこと岡田有希子さんを聴くことはなかった。まあこれは、あの頃どこでもそうだったと思いますが。
最近激辛な店内にユッコさんの「Summer Beach」が流れて、涙が出るほど嬉しかったのです。
photo by yukikostarlight