「柄本家のゴドー」を観てきました。
ドキュメンタリー映画なので、内容は、
俳優の柄本佑と柄本時生の兄弟が、父の柄本明を演出に迎えて挑んだ舞台の稽古場に密着したドキュメンタリー。ともに映画、テレビと幅広く活躍する佑と時生の柄本兄弟は「ET×2」という演劇ユニットを組んでおり、2014年にはサミュエル・ベケットによる不条理劇「ゴドーを待ちながら」を上演。そして17年、今度は父である名優・柄本明を演出に迎え、再び「ゴドーを待ちながら」の公演に挑んだ。
というお話です。
この映画「柄本家のゴドー」は、「ゴドーを待ちながら」というサミュエル・ベケットによる戯曲を柄本兄弟が演じるということで、父親の柄本明さんが演出をするというドキュメンタリー映画です。
私、この柄本兄弟のゴドーは、2014年の舞台も、2017年の舞台も観たんです。なので、どうしても、このドキュメンタリー映画が観たくて、待っていました。まず、演劇の感想の方は、
2014年の「ゴドーを待ちながら」
https://ameblo.jp/yukigame/entry-11907706689.html
2017年の「ゴドーを待ちながら」
https://ameblo.jp/yukigame/entry-12236666894.html
です。
やはり、2017年の舞台は、前とは違い、柄本佑さん、柄本時生さんの成長が目覚ましく、本当にゴドーを待っているエストラゴンとウラジミールになっているんです。舞台だから、自然ではないハズなのに、自然に見えるんです。それが、本当に上手いんですよ。
そんな一段も二段も上手くなっていたお二人の演技が、お父さんの指導の下にあったのだという事が、本当に良くわかりました。舞台の演出、指導をしている姿を見ていたら、ゴドーの舞台を思い出しましたもん。
出来れば、幕が上がった舞台の様子も少し入れて欲しかったな。練習のドキュメンタリーだけよりも、どうなったのかという結果が観たかったです。私は、舞台で観ているけど、映画を観る方全てが、舞台を観ている訳ではないので、そこら辺は、ちょっとドキュメンタリー監督の方に考えて欲しかったと思いました。
この舞台には、ポッツォとラッキーが出てくるのですが、実は、この2017年では、ポッツォのベンガルさんが休演されて、他の方が演じられたんですよね。面白かったけど、ちょっと寂しかったな。で、このゴドーをやった後、直ぐに、東京乾電池で「やってきたゴドー」という演劇を駅前劇場で公演して、そちらも観に行ったんです。それも面白かったなぁ。このゴドーを待っているだけのお話が、どんどん広がっていくんです。
映画の話に戻って、柄本明さんが、演劇を始めた頃、この戯曲を読んでも全然意味が解らなかったけど、何年かして、読み返したら、同じなんだけど、何故か、泣けたんだよねぇとおっしゃっていて、ただ、誰かを待ちながら時間を潰しているだけの二人の話なんだけど、その何もしない時間が大切なんだよねって。凄く解るなぁと思いました。この事に感動出来るのだという事を、このドキュメンタリーで教えてくれているような気がしました。
二人の息子を指導する父親という構図なのですが、舞台に立つと、もう、3人とも役者なんです。親子という枠を超えて、満足出来る、納得のいく演技を求めていく姿は、何とも、凄い姿だなと思いました。だって、何処までも追及して行くんですもん。ここまでやっていたら、そりゃ、観る方は満足出来る舞台になっていますよ。私、観た時、凄い満足しましたもん。今でも、このゴドーの舞台、忘れていません。本当に良かったですから。柄本兄弟のゴドーを観てから、ゴドーにハマってしまい、他のゴドーも観てみたいと思って、その文字に反応するようにチラシを漁るようになっちゃいましたもん。
私、考えたんだけど、人間って誰もがゴドーで、幸せになれることを待って、時間を潰すために仕事をしたり、食事をしたり、眠ったりという行動をしているのかもしれません。きっと来るはずだと思って、いつまでも待ち続けるのが人間なのかも。色々、幸せになれるようにもがくけど、結局、心の持ちようだから、待つことしか出来ない。だって、幸せだぁ~と感じた次の時点から、また次の幸せを待つでしょ。人間の人生描いているのかもなぁと、感動してしまいました。うーん、良かった。
私は、この映画、超!お薦めしたいと思います。芝居を作り上げる過程を追っているドキュメンタリーで、何がどうという事はないのですが、この「ゴドーを待ちながら」というお話の解釈を彼らがしていく姿は、観る人間に、人間の人生哲学を教えてくれているように見えました。ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
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