舞台「ゴドーを待ちながら」を観てきました。
ストーリーは、
第1幕ではウラディミールとエストラゴンという2人の浮浪者が、ゴドーという人物を待ち続けている。2人はゴドーに会ったことはなく、たわいもないゲームをしたり、滑稽で実りのない会話を交わし続ける。そこにポッツォと従者・ラッキーがやってくる。ラッキーは首にロープを付けられており、市場に売りに行く途中だとポッツォは言う。ラッキーはポッツォの命ずるまま踊ったりするが、「考えろ!」と命令されて突然、哲学的な演説を始める。ポッツォとラッキーが去った後、使者の少年がやってきて、今日は来ないが明日は来る、というゴドーの伝言を告げる。
第2幕においてもウラディミールとエストラゴンがゴドーを待っている。1幕と同様に、ポッツォとラッキーが来るが、ポッツォは盲目になっており、ラッキーは何もしゃべらない。2人が去った後に使者の少年がやってくる。ウラディミールとエストラゴンは自殺を試みるが失敗し、幕になる。
というお話です。
この「ゴドーを待ちながら」は、2年半くらい前に、柄本兄弟が舞台で一度演じて、今回は再演でした。前回も、とても面白く見せて頂いたのですが、今回は、同じ内容なのに、違うように観えて、とても楽しめました。
このお話って、本当に面白いんです。ただ、二人の男が”ゴドー”という人?を待っているだけのお話なのですが、このゴドーが、人間なのか神なのか、お金持ちなのか貧乏なのか、二人の友達なのか知らない人なのか、果ては、本当にそんな人が居るのか、全く分からないんです。その上、子供が”ゴドーさんは今日は来れない。明日来ます。”という伝言を伝えに来るのですが、その子供の言う”ゴドー”が、二人の待っているゴドーなのかも分からない。何もかも、全く確信が無いんです。
それでも、二人はずーっと待っている。いつまでも、何日でも。そして、二人が待つ時間の感覚もおかしいんです。舞台の上では昨日だと言っているけど、木には葉が生えてきていたり、通りすがりのポッツォは、目が見えなくなっていたりと、観ているこちらには、どう考えても、季節が変わるほどの時間が経ったとしか思えない展開なんです。
こんな不思議な内容なのに、それでも、ウラディミールとエストラゴンは、ゴドーを待っているんです。いつまでも、どんなになっても。彼らだけは、全く変わらず、そこに居るんです。それが、何とも面白いんです。この不思議な感覚は、観た人にしか解らないよなぁ。
前回の二人のこの舞台も、とても面白く観たのですが、今回は、二人が成長したからなのか、舞台をとても楽しくやっているように見えました。前回は、初めての二人の舞台だったからなのかしら。ちょっと緊張しているような、硬さみたいなのが感じられたのですが、今回は、余裕というか、柔らかさが二人に見えて、その役を自分のモノにして、楽しんで演じているように見えて、本当に楽しめました。
余裕がある舞台って、観ているこちらも、なんか、気持ち良く一体になれるんですよね。いつまでも観ていたくなるという感じなんです。
この”ゴドー”の舞台、また2年後くらいにやって欲しいな。お二人の成長が見れて、本当に楽しめると思いました。それにしても、この二人、少しの間で、随分と成長したような気がします。偉そうな事を言って申し訳ないけど、本当に魅力的になったような気がしました。
私は、この舞台、超!お薦めなのですが、もう終わってしまうかな。もし、また再演されることがあったら、ぜひ、観てみるべき舞台だと思いますよ。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
追伸ですが、1月18日~1月22日に、下北沢・駅前劇場で、この”ゴドーを待ちながら”のゴドーがやってくるという不思議な続編の舞台をやるそうです。私は観に行く予定ですが、もし、気になったら、行ってみてはいかがでしょうか。劇団東京乾電池の舞台です。
東京乾電池 http://www.tokyo-kandenchi.com/
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