ス「う~~~!!!!
神さまの~!!!!」
一同「お悩み相談室~!!!!」
あ「今日のお悩みはこちら☆」
(菅原道真公ことミッチ―)「ふむふむ…」
(塩推神こと塩ジイ)「ふむふむ…」
(因幡の白兎さんこと因幡)「ふむふむ…」
…。
……。
………。
…………。
一同「重いな」
あ「いや、本当に。
ただ実は、
この質問今までも結構多かったんです。
中々取り上げるタイミングが無くて…」
ス「…まぁ誰もが一度は必ず、
疑問に思うことやからな」
あ「…ということで、
どなたにお答え頂きましょうか…」
ス「せやな…。
まぁ今ならええやろ」
あ「?」
…。
……。
………。
…………。
ス「『始まりの神』、イザナギ~!!!!」
マジか…マジか…」
イザナギ「お邪魔…致します…」
ス「まぁ昨年に、
すでに俺たちの間の確執は終わっている。
ってことで、親父頼むで」
イザナギ「…フッ…。
お前にそう言われると、
照れくさくもあるな…」
あ「………。
(…何だか緊張…)」
道&塩&因幡「ってことで、ワシらはドロンッ」
そ、それでは、イザナギさん、
よ、よろしくお願い致します…」
イザナギ「死について…。
突然の別れについて、ですね…。
これを私が答えるのも、
中々酷な部分もありますが…。
まだ私自身が消化し切れていない話でも、
ありますので…」
あ「そ、そうですよね…。
すいません…」
ス「まぁええがな、親父。
神も人間も同じ。
悩みを抱えながら、
それでもそれを乗り越え成長していくために、
生きていくという表れでもあるんやから。
そんな親父が答えることに、
意義があると、俺は思う」
イザナギ「…まぁ…、
…俺で良ければの話になるがな…」
あ「もし…差し支えなければ…、
お願い致します…」
イザナギ「…わかりました…。
まず生と死というものに関しては、
知っての通り、
神でもコントロール出来ることではありません。
それは古事記にも描かれている、
様々な物語からも読み取れることです」
あ「…こ、こんな無神経なことを言って、
本当にすいません…。
イザナギさんと、イザナミさんの物語も、
そう…でした…もんね…」
イザナギ「………」
あ「…す、すいません…」
イザナギ「…いえ…。
そのことに触れずして、
この質問にお答えは出来ないでしょう…。
仰る通りのことですから…」
ス「………」
イザナギ「仰る通り、
我々『伝説』と言われている神ですら、
愛する者の死を予見することは出来なかったのです。
そして我々の他にも、
『海神の祟り』によって、
荒れ狂う海にその身を投げて、
愛するヤマトタケルを救った、
オトタチバナヒメ然り。
それは神ですら、
事前に察知することは出来ないのです」
あ「それならば…。
その…愛する人や大切な人の…、
突然の死というものを…。
僕らはどう受け止めればいいのでしょうか…」
イザナギ「…死を思い、今を生きる…、
ということでしょうね…」
あ「…死を思い、今を生きる…」
イザナギ「…言葉を換えるならば…、
『いつ失ってもいい』という覚悟のもとに、
目の前の人を愛し、
思いやりを与え、
後悔の無い時間を、
共に過ごすということです」
あ「仰ることはよく分かるのですが…。
今この平和な時代だと、
それを腑に落とすのは、
中々難しいかもしれません…」
イザナギ「そんなことはありません。
今この平和な時代であろうとも、
交通事故で突然、
愛する人を失うこともあるのです。
もちろん病気も然り、
いつ何時、
何が起きるか分からないというのは、
神の時代も、
いつの時代も変わらないことです。
だからこそ荒川さんのもとに、
今日のような質問が絶えることがないのでしょう」
あ「…確かに…、
そうなんですが…」
イザナギ「人の命は、いつ終わるかわかりません。
だからこそ、
いつどうなっても構わないという覚悟を
極力持てるように、
『今を生きる』のです。
なぜ別れが辛いのか?
なぜ苦しいのか?
そこには『後悔』があるからなのです。
『なぜもっと、こうしてあげられなかったのだろう…』、
『もっとしてあげられることが、あったはずなのに…』。
そういった取り返しのつかない思いを、
無くしていくように、
日々、目の前の大切な方を大切に、
生きていくことこそが、
『死を思い、今を生きる』ということなのです」
あ「………」
…イザナギさんはそう言うと、
天を見上げるように顔を上げて、
どこに向けたか分からないように、
呟いた。
イザナギ「…心の準備が、
出来ていなかったが故に…。
それが出来なかった…、
未熟な私だったからこそ…、
もう同じ思いを…誰にもさせたくないのです…」
ス「…親父…ありがとうな…。
まぁ、そういうことや…。
俺からも何も言うことは無い…。
いつまでも、
『大切な人を大切に』…な。
いつどうなったとしても、
後悔の無いように…。
極力笑って送り出してあげられるように…。
まぁそれも実際に、
大切な人を突然失った方からしたら、
気休め程度の言葉にもならんけど、
せめて…、な」
…。
……。
………。
…………。
『死』。
それは誰にも必ず訪れる、
平等な命の終わり。
今当たり前のように動いてくれている、
この心臓の鼓動が鳴り終わる時、
僕も、
僕の大切な人も、
その人生が終わりを告げる。
その時、
何を思うか?
伝説の神の終わることのない、
後悔と嘆きを胸に、
大切な人を大切に、
後悔の無い、
『今』を生きる。
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