マルセイユ・ティモン病院留学日記 -4ページ目

アイリッシュバー

今週は、同じ研究室のPhD研究者に誘われて、ビューポー近くのアイリッシュバーに行きました。フランス人というとワインってなイメージだと思うのですが、バーでビールを飲むのも一般的なようです。この時期でもなんと外のテラスで飲むことができます。彼はタバコを吸いながら、こうして、たわいもないことを話して、行きかうフランス人の女性を見る、これもフランスの文化だよ。って教えてくれました。彼は、どうだい、素敵な女性いたかい??、私は、どうでしょう?時間とともに人が増えてきて、最後にはビューポー近くの通りは人手埋め尽くされ歩けなくなるほどでした。それとは対照的に見上げた静かな空に月がくっきりと輝き、妙に印象的でした。

フランス語のレッスン

その国の言葉を話そうと努力することは、その国の方をそして文化をリスペクトすること、これは友人のホーマンにいわれたこと。もちろん私もそう思っております。
毎週フランス語の個人レッスンに通っています。今週は数字の数え方。特に定位脳手術をする上で、数字を覚えることは必須ですので、みっちり数字の勉強をしました。難しいのは、発音。そして、10進法と20進法が混在していること。あと小数点を覚えようとするとさらに小数点。どれも日本語や英語のように簡単ではありません(ただそう感じるだけかもしれませんが)
もちろんご存知の方もおおいでしょうが、
10 dix
20 vingt
30 trente
40 quarante
50 cinquante
60 soixante
70 soixante-dix 60+10
80 quatre-vingts 40×2
90 quatre-vingt-dix 40×2+10
100 cent

ファッション大国

毎朝(月曜日を除く)、健康のためカステラーンから、ティモーンへ歩いていっております。およそ20分の道のりですが、いろいろと気がつきます。前路上の犬のフンのはなしをしましたが、今晩はフランス人のファッションについて。
まあ、本当におしゃれだとおもいます。フランスといえばファッションを思い出す方もいるかと思います。パリはさておき、マルセイユは港街で、田舎町じゃないかっていう反論があるかとおもいますが、それでもおしゃれだといえます。おそらく不景気であり、そんなにみなさんがブランド物ばかり身につけているわけではありません。
何がファッションかって、着こなし方だと思います。あとちょっとしたワンアクセント例えば、帽子とか、この時期はマフラーなどの小物。着こなし方でいうと、たとえば、紺のパンツに明るい茶色のスニーカー、これもかっこいい。革のジャンパーと色あせた紺色のジーンズもかっこいい。マフラーの巻き方もみなさんいろいろと工夫されている。
聞くところによると1ヶ月の給料をすべてファッションに使ってしまう人もいるとか。こちらでは、きちんときこなさないと街をあるけません。そのくらい身だしなみに気をつけておられます。こういう点も非常に刺激をうけております。

ショーベル先生と

今週は、学会のためモニタリングもなし、カンファもありませんでした。私は、EEGLABとずっとにらみ合っていた一週間でした。金曜日上司であるショーベル先生とランチにいきました。本当によく働かれる先生で、一人で神経生理部門を切り盛りしてこられ、今はヨーロッパ一といわれるくらいのセンターを作り上げたお方です。彼の下には、ティモンのスタッフ、外国から留学に来ている研究員、INSERMといわれる研究所の研究員、そして医学部の基礎研究のスタッフなど多彩なメンバーが働いております。
その先生とお食事をとることなどめったにないのですが、今日お話しする時間がありました。もちろんこういうときもてんかん談義なのですが、非常に興味深いことを言っておられました。
「僕は、リューダースのコンセプトは信じていない。」
「どうしてですか?」
「まずsympatogenic zoneなんて不思議じゃないか?発作波が伝播してきて症状を出すか?細胞構築を考えてみてくれ、発作は皮質を横に伝播していく。神経症状とは縦のカラムだよ。まったく違うんだよ。」
「そうですか?」
「症状がでるということはその部位も発作のネットワークの一部であり、発作焦点なんだよ」
「ふーん」
という感じの討論をイタリア人のフランシス、イギリス人のアイリーンとうんうん、聞きながらなんと1時間半。ランチではなく、それは講義でありました。
たとえば、個人的に言いますと、リューダースのコンセプトはわかりやすく感覚的に受け入れやすいものだと前から思っておりました。一方、フランス学派の根本的に違いは、epileptogenic zoneといいますのは、その発作に関連する領域のことを言っております。ictal onset, symptomatogenic zoneなどすべて含まれます。アメリカ学派がepileptogenic zoneが切除し組織学的な異常を認められ、かつ発作コントロールが良好であるもとと定義している(あくまで私の理解ですが。。)のに対し、フランス学派は電気生理学的な発作源と定義されております。(詳細にいうと発作時の低振幅速波です)てんかんをやっている方であればこのニュアンスの違いは分かるのではないかと思います。いろいろなコンセプトの違いはありますが、それぞれの理屈があり、なかなか貴重な時間をすごすことができました。

EEGLAB

アメリカでも以前自分でトライしていましたが、難しくてできなかったことがEEGLABです。脳波の解析ソフトなのです。これは、インターネット上のフリーウエアでダウンロードすれば自由に使えます。ただしMATLABという数理解析ソフトが必要です。これがあるといろいろなことができます。誘発脳波の加算、周波数解析、ICA、、、、など。どうしてもこれだけは覚えたいので、今週は必死にMATLABを使いながらやっていました。私の同僚の彼がみっちり指導してくれました。彼は若干28歳なのですが、プログラム、そして神経生理などよく知っているので、本当に助かります。
さてさて、解析するとやっと自分でできました。ただただミミズのような脳波波形がきれいなグラデーションの脳波となりました。これは非常に視覚的に訴えてくるもので、かつ同時に3つの因子を同時に表現できるので本当に有用だと思います。まあ、終わったと、試験を終えたような虚脱感に教われましたが。

ベルグラード滞在記(2)

街は、寒々しい感じがしたものの、こちらの人々はとても温かい方ばかりでした。到着した日は、早速アレキサンダーの友人の脳外科医の先生たちと食事に行きました。くしくも着いた日は、オーストラリアオープンにてベルグラード出身のジョコビッチが優勝した日。ジョコビッチが経営するというレストランにいき、その祝福を一緒に祝いました。
こちらの方は、国がこういう状況であってもとても前向きですし、よく勉強しています。セルビアの複雑な歴史を一生懸命説明してくれました。自分もここまで日本の歴史を英語で説明できるか?とても不安です
翌日は、市内観光。複雑は民族のユーゴスラビア時代に国を一時的にまとめていたチトの博物館。これも見所いっぱいでした。そのあといまだ戦車などがおいてある城壁に行きました。その晩は、セルビアの伝統料理を食べれるレストラン。本当にセルビア料理は素朴でおいしいです。とくにサルマと呼ばれるひき肉とご飯をキャベツでまいたもの(ロールキャベツみたいですがもっとおいしい)はとてもおいしかったです。バルカン半島は肥沃な土地であり、そのため、野菜、肉の質がとてもよいといっていました。それは本当だと思います。あとは欧米のように人工的な調味料を使わないので、味は素朴ですが、食材が良質なら本当に美味しく感じることができます。

ベルグラード滞在記(1)

先週末、友人のいるセルビアの首都ベルグラードに行って参りました。マルセイユからパリ経由でおよそ5時間。パリからは眼下にスイスのレマン湖、そしてアルプス山脈を眺めながらあっという間でした。
ベルグラードに到着。アレキサンダーの友人のウラディーミルが空港まで迎えにきてくれました。ダウンタウンまでいく途中、何かが違う。車も回りの建物もすべてが古い、、、そしてコミュニスト(社会主義)を思い出すような団地のようなつくり。。。明らかにフランスとは違うヨーロッパです。
ダウンタウンには、今もなお1999年のコソボ紛争にてnatoによって攻撃された建物を見ることができます。しかもそれが町の中心に、友人の家から歩いていける距離にあるのは驚きです。(元セルビア軍の中枢だった建物のようです)
マルセイユ・ティモン病院留学日記
町は全体的にロシアを思い出すような、感じです。すなわち建物があまり特徴がなく均一化されているようです。資本主義を導入してからだいぶ市民の生活はかわったそうです。問題は、闇の部分がまだまだ多いところ。たとえば、政治家の汚職など日常茶飯事、政治家のみならず昇進にもコネが必要であったり、平等ではないようです。さらには、ユーロを導入していなく、実際の物の価値がわからない。現地貨幣が非常に不安定だそうです。
まあ、ロシアもそうですが、社会主義から民主主義にうまく移行できればいいのですが、その場合陰にいろいろな取引があり、なかなか一筋なわではいかないようです。まともに生きていれば報われる、という世界ではなく、かなり闇に包まれた国です。
それは、さておき、通常の人はとても優しい。特に日本人を含め観光客などいませんので、非常に珍しく見られます。私も一生懸命調べたセルビア語で必死に話しかけてみました。
つづく

バインディング問題

今日は、午前中ずっと脳波を読んでいまして、午後に研究所の友人から電話がありました。ちょっと面白いデータを見せてあげるからと。早速行ってみると、彼の仕事がようやくニューロイメージという一流論文に掲載されることになったそうで、その研究を説明してくれるとのこと。いつも理工学系の彼らとの話しは、いつも興味深く、エキサイトするのですが、途中で理解できなくなってきます。今日は脳のバインディング問題について教えてもらいました。カニザという有名な提示タスクがあるようで、(下の図参照)
マルセイユ・ティモン病院留学日記

この絵の中心に見えている浮かび上がる透明な三角、これを使っての脳のバインディング課題についての研究でした。かなり突っ込んだ数学的な研究で、ここでは割愛しますが、このいわゆる視覚の錯覚、面白いです。ひとつの絵ですが、見方を変えたりすると違って見えてきますね。この感覚的の制御は視床でおこなっているとか。そういえば私はクラッシックが好きですが、オーケストラを聴いているときたとえば集中すればバイオリンの旋律のみ取り出すことができます。これもまた同じくバインディング問題によるとか。
まあ、夜遅くまでいろいろと説明していただきましたが、難解な数式などを示されてくるととにかく蕁麻疹が出てきそうです。

てんかん患者に思う

今日は、10歳の女の子の電極留置がありました。この方、過去2回も手術を受けている、それでも発作が止まらず今回三回目にして始めて電極留置となりました。過去2回はいずれも他院にて手術を受けております。あきらかに典型的な側頭葉てんかんの要素があるのですが、脳波所見、PETの所見などをみると他部位も疑わなければならない患者さんだったのですが前回側頭葉を中心に切除をされております。いつも思うのですが、後からその患者を見た人は何とでもいえます。これが悪かっただとか、これを見逃していただとか。最後に見た人が勝ち的な。。でもそういうことを抜いて、てんかん外科は術前の解釈、仮説は非常に大切だなと思います。これをスキップしてしまうと、大切なことを見落としてしまいます。このような解釈するデータの多さがてんかん外科を難しくしているのかもしれません。いつか各データを点数化し、パターン化するという論文を読みましたが、それにプラス経験、これも意外と大事だと思います。
フレームの取り付け最中に泣いている患者さんを見ながらふとこんなことを感じました。

エクサンプロバンス

マルセイユからローカル電車で40分、エクサンプロバンスまでいってきました。やはり一週間へとへとになると、週末くらいゆっくりとって思います。しかも昨日はMEG研究員のブルノーに誘われて深夜までフレンチのディナーをしていたのですが、今日も青空のマルセイユ。もったいないと早速いってまいりました。
エクサンプロバンスは観光地として有名、町並みもきれいですし、紀元前1世紀から栄えていた歴史ある街のようです。街のいたるところに噴水があります。おそらくアルプスからの伏流水なのでしょう。その噴水も一つ一つ形が違い、あるものは苔に覆われた岩から水が出ているもの、あるものはライオンの口から、などどれも特徴がある噴水でした。実は画家セザンヌの故郷としても有名です。私は絵画を見るのは好きなほうですが、セザンヌがこの町並みを見て歩いていたことを思うとなんだか感慨深く思えます。帰りに車窓から見えた南仏のオレンジ屋根の家々が夕日に照らされ、さらに深い赤橙となり、印象的でした