「ベイジン」by 真山 仁
久しぶりの真山仁。企業買収を扱った「ハゲタカ」や地熱発電をテーマにした「マグマ」など
面白いトピックを題材にした小説を書いているが、今回のテーマは原子力発電。
しかも中国初の原子力発電所の建設を北京オリンピックまでに稼働させる、という壮大な
テーマで描いている。
3.11後の日本にとって大きなテーマである原子力発電と、中国ビジネスにおける
汚職などの生々しい描写など、これ以上ないくらいのタイムリーな内容だったので
期待して読んだ。しかし、読書後の感想としては、「期待はずれ」だったと言わざるを得ない。
まず、なんと言っても人物の描写・キャラクター付けが弱い。それこそ「ハゲタカ」の
鷲津みたいに感情移入してしまうほどの人物描写とそれらの人物の物語へ関わり方が
真山仁の魅力だったのだが、本作の主役である田嶋と郭の描写が甘く、そもそも二人の
絡み自体が少なかったので消化不良の感じ。また脇役も重要なのだが、北京オリンピック
公式映画監督の楊なども、物語への関わり方が弱く、登場させる必要性が果たしてあったのか?
もう1つ。タイトル通り中国の汚職と権力争いがサブテーマのはずで、太子党と共青団など
の権力争いが物語にも関係してくるのだが、読み終わってみると、意外にあっさりとしており、
ここをもっと掘り下げていけば、最近共産党総書記に昇格した習近平と胡錦濤との間の
権力争いに対する伏線になったので、もうちょっと面白く読めたかな、と思う。
と、ちょっと辛口になってしまったが、小説の題材やストーリーの構築などが僕の
テイストと合う作家なので、今後も真山仁の本は楽しみにしている。
ベイジン〈上〉 (幻冬舎文庫)/幻冬舎

¥680
Amazon.co.jp
ベイジン〈下〉 (幻冬舎文庫)/幻冬舎

¥680
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面白いトピックを題材にした小説を書いているが、今回のテーマは原子力発電。
しかも中国初の原子力発電所の建設を北京オリンピックまでに稼働させる、という壮大な
テーマで描いている。
3.11後の日本にとって大きなテーマである原子力発電と、中国ビジネスにおける
汚職などの生々しい描写など、これ以上ないくらいのタイムリーな内容だったので
期待して読んだ。しかし、読書後の感想としては、「期待はずれ」だったと言わざるを得ない。
まず、なんと言っても人物の描写・キャラクター付けが弱い。それこそ「ハゲタカ」の
鷲津みたいに感情移入してしまうほどの人物描写とそれらの人物の物語へ関わり方が
真山仁の魅力だったのだが、本作の主役である田嶋と郭の描写が甘く、そもそも二人の
絡み自体が少なかったので消化不良の感じ。また脇役も重要なのだが、北京オリンピック
公式映画監督の楊なども、物語への関わり方が弱く、登場させる必要性が果たしてあったのか?
もう1つ。タイトル通り中国の汚職と権力争いがサブテーマのはずで、太子党と共青団など
の権力争いが物語にも関係してくるのだが、読み終わってみると、意外にあっさりとしており、
ここをもっと掘り下げていけば、最近共産党総書記に昇格した習近平と胡錦濤との間の
権力争いに対する伏線になったので、もうちょっと面白く読めたかな、と思う。
と、ちょっと辛口になってしまったが、小説の題材やストーリーの構築などが僕の
テイストと合う作家なので、今後も真山仁の本は楽しみにしている。
ベイジン〈上〉 (幻冬舎文庫)/幻冬舎

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ベイジン〈下〉 (幻冬舎文庫)/幻冬舎

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「スマートグリッド「プランB」~電力大改革へのメッセージ」by 加藤敏春
前作の「スマートグリッド革命」にて今後の電力システムは供給サイドのコントロールから
需要サイドも参加して双方向から需給調整が行われる「エネルギーのインターネット化」を
提唱していたが、今作はその主張からの正常進化版いう感じ。
前作は「供給→供給+需要」という概念レベルの話が多かったが、今作は各種EMS、
デマンドレスポンス、V2G、各地域での実証実験など、実例が数多く取り入れられ、
スマートグリッドが概念から、実行段階に進化してきたことを伺うことができる。
特にデマンドレスポンスのところは、自動化DRに触れ、系統安定化にも活用を想定して
いるところなど、実務面でもかなり最先端のトレンドもカバーされており、
氏の洞察力の高さを伺い知ることができる。
前作は3.11前に上梓されたが、3.11を受け、温暖化対策と再生可能エネルギー導入の
ためのスマートグリッドから需要サイドも含めたシステムへと電力の基本構造そのものを
見直すためのスマートグリッドに導入目的が大きく変わった。そうしたマクロ観を
丁寧に説明しており、かつ上記のようにミクロでの企業レベルでの話にも触れられているので
ともすれば曖昧模糊とした「スマートグリッド本」と違い、読後の腹落ち感も大きい。
スマートグリッドの全体像、今後の流れ、などクリーンテックビジネスに関わる人間には
是非一読をお薦めしたい良書だと思う。
スマートグリッド「プランB」―電力大改革へのメッセージ/エヌティティ出版

¥1,995
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需要サイドも参加して双方向から需給調整が行われる「エネルギーのインターネット化」を
提唱していたが、今作はその主張からの正常進化版いう感じ。
前作は「供給→供給+需要」という概念レベルの話が多かったが、今作は各種EMS、
デマンドレスポンス、V2G、各地域での実証実験など、実例が数多く取り入れられ、
スマートグリッドが概念から、実行段階に進化してきたことを伺うことができる。
特にデマンドレスポンスのところは、自動化DRに触れ、系統安定化にも活用を想定して
いるところなど、実務面でもかなり最先端のトレンドもカバーされており、
氏の洞察力の高さを伺い知ることができる。
前作は3.11前に上梓されたが、3.11を受け、温暖化対策と再生可能エネルギー導入の
ためのスマートグリッドから需要サイドも含めたシステムへと電力の基本構造そのものを
見直すためのスマートグリッドに導入目的が大きく変わった。そうしたマクロ観を
丁寧に説明しており、かつ上記のようにミクロでの企業レベルでの話にも触れられているので
ともすれば曖昧模糊とした「スマートグリッド本」と違い、読後の腹落ち感も大きい。
スマートグリッドの全体像、今後の流れ、などクリーンテックビジネスに関わる人間には
是非一読をお薦めしたい良書だと思う。
スマートグリッド「プランB」―電力大改革へのメッセージ/エヌティティ出版

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「日本を決定した百年」by 吉田茂
吉田茂による明治から戦後復興までの日本の近代化の軌跡をたどった歴史書です。
元々本書は英国エンサイクロペディア・ブリタニカの百科事典の付録として出している
補追年鑑の巻頭論文として執筆されたものらしいです。ちなみに吉田茂が著者となってますが、
実際には政治学者の高坂正堯が代筆したようです。もっとも代筆者がいたとしても、
最終承認をしたのは吉田茂自身であろうし、そうした意味でも昭和という時代を作った
当事者による貴重なPrimary Accountと言えると思います。
本書を通じて垣間見える吉田茂の歴史観、それは「日本の復興・発展は日本の過去の遺産、
というか社会インフラ上に立って初めて可能だった」、という点であり、また「教育に対する
高い意識がその復興・発展を側面支援した」、という点です。
これは連合国進駐軍による占領下政策により、日本は根本から作り変えられた、
という(よくアメリカ人が思っている)歴史観に一石を投じるもので、それらの具体的な
例を明治建国まで遡って、振り返っています。
まず明治維新は外圧による産物ではなく、実は徳川幕府の遺産によって支えられたという
見方を示してます。例えば統治を行う階級として武士階級が経験を積んだことは、
官僚制と組織能力を持った人間を作り出していたし、寺小屋は国民に最低限の教育の
普及を担保していたなど。つまり「社会資本」が既に存在していたからこそ、明治維新は
単なる一過性の革命ではなく、その後の新しい国の在り方に繋がっていったと吉田茂は
言ってます。
アメリカの占領政策の有効性を最大限に認めつつも、吉田茂はこうも言ってます。
「日本人がアメリカの理想主義的な改革を消化するだけの能力を持っていた事だろう。
そしてその意味ではまず失敗に終わった大正の試みが戦後のこの大きな改革の地盤を
作ったものとして忘れてはならない。天皇主権から人民主権への変化を含む
根本的な政治制度の改革に、日本人が当惑せず、これを歓迎したことは明治時代に
始まり、大正時代に高まった議会政治の経験なしには恐らく考えられたい事であった
ように思われる。
~中略~
結局戦後の改革で日本に根付いたものは、日本側に何らかの基礎があったものであり、
それがなく、かつ、日本の実情に沿わなかったものは独立回復後に変更されたように
思われる。」
結びにこれからの世界における日本の役割・責任についても述べてます。
面白いのは中国に対する洞察で、「最も困難なもの」と表現してます。曰く、
「中国は古来妙な国で、東洋で一番優秀な民族でありながら、昔から世界の大勢に
順応することが出来なくて、孤立もしくは独りよがりの中華主義を発揮して、
結局は孤立する、という道を辿ってきた。自分の国は一番偉い、と思っている
自惚れの強い国と付き合っていく事が難しい事は言うまでも無い」
この辺りの下りはまるで現在を見通しているかのようで、非常に興味深く読めました。
全体として過去の過ちは認めつつ、そしてアメリカの公平さに感謝をしつつ、
復興の主因は過去の日本の歴史の中にあった事、そして日本人の教育に対する
高い意識がその復興を支えてきたことを、バランスよく述べている良書だと思います。
今日は選挙日だったので、日本の歴史を振り返りつつ、新しい日本のために
何ができるのか?そういう事を考える上でも、この本を読んで良かったです。
日本を決定した百年―附・思出す侭 (中公文庫)/中央公論新社

¥780
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元々本書は英国エンサイクロペディア・ブリタニカの百科事典の付録として出している
補追年鑑の巻頭論文として執筆されたものらしいです。ちなみに吉田茂が著者となってますが、
実際には政治学者の高坂正堯が代筆したようです。もっとも代筆者がいたとしても、
最終承認をしたのは吉田茂自身であろうし、そうした意味でも昭和という時代を作った
当事者による貴重なPrimary Accountと言えると思います。
本書を通じて垣間見える吉田茂の歴史観、それは「日本の復興・発展は日本の過去の遺産、
というか社会インフラ上に立って初めて可能だった」、という点であり、また「教育に対する
高い意識がその復興・発展を側面支援した」、という点です。
これは連合国進駐軍による占領下政策により、日本は根本から作り変えられた、
という(よくアメリカ人が思っている)歴史観に一石を投じるもので、それらの具体的な
例を明治建国まで遡って、振り返っています。
まず明治維新は外圧による産物ではなく、実は徳川幕府の遺産によって支えられたという
見方を示してます。例えば統治を行う階級として武士階級が経験を積んだことは、
官僚制と組織能力を持った人間を作り出していたし、寺小屋は国民に最低限の教育の
普及を担保していたなど。つまり「社会資本」が既に存在していたからこそ、明治維新は
単なる一過性の革命ではなく、その後の新しい国の在り方に繋がっていったと吉田茂は
言ってます。
アメリカの占領政策の有効性を最大限に認めつつも、吉田茂はこうも言ってます。
「日本人がアメリカの理想主義的な改革を消化するだけの能力を持っていた事だろう。
そしてその意味ではまず失敗に終わった大正の試みが戦後のこの大きな改革の地盤を
作ったものとして忘れてはならない。天皇主権から人民主権への変化を含む
根本的な政治制度の改革に、日本人が当惑せず、これを歓迎したことは明治時代に
始まり、大正時代に高まった議会政治の経験なしには恐らく考えられたい事であった
ように思われる。
~中略~
結局戦後の改革で日本に根付いたものは、日本側に何らかの基礎があったものであり、
それがなく、かつ、日本の実情に沿わなかったものは独立回復後に変更されたように
思われる。」
結びにこれからの世界における日本の役割・責任についても述べてます。
面白いのは中国に対する洞察で、「最も困難なもの」と表現してます。曰く、
「中国は古来妙な国で、東洋で一番優秀な民族でありながら、昔から世界の大勢に
順応することが出来なくて、孤立もしくは独りよがりの中華主義を発揮して、
結局は孤立する、という道を辿ってきた。自分の国は一番偉い、と思っている
自惚れの強い国と付き合っていく事が難しい事は言うまでも無い」
この辺りの下りはまるで現在を見通しているかのようで、非常に興味深く読めました。
全体として過去の過ちは認めつつ、そしてアメリカの公平さに感謝をしつつ、
復興の主因は過去の日本の歴史の中にあった事、そして日本人の教育に対する
高い意識がその復興を支えてきたことを、バランスよく述べている良書だと思います。
今日は選挙日だったので、日本の歴史を振り返りつつ、新しい日本のために
何ができるのか?そういう事を考える上でも、この本を読んで良かったです。
日本を決定した百年―附・思出す侭 (中公文庫)/中央公論新社

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「クラウドの衝撃」by 城田真琴
「ビッグデータの衝撃」に続き、城田真琴さんの「クラウドの衝撃」を読みました。
時系列的にはちょうど逆で「クラウドの衝撃」が2009年、「ビッグデータの衝撃」が
2012年です。
ドッグイヤーのIT業界で3年前の書籍という事で最新の情報という訳にはいかないが、
クラウドの重要ポイントがちゃんと整理されているので、僕のように初心者の入門書
としての位置づけで見れば、非常に良書だと思います。
本書で基本的な論点を抑えてWebとか新しい本で知識をUpdateしていくイメージでしょうか。
著者の本を読んでいて常に感じる事は、単に扱っているテーマの記述だけでなく、
それが業界にどんなインパクトがあるのか、また将来に向けた課題は何か、
などのポイントを明快に語ってくれることです。
実際に本書でも企業がクラウドを活用する際の検討フレームワーク、
クラウドがIT業界や既存ベンダーに及ぼすインパクト、今後の課題などを図解を交えて
語ってくれるので頭に入り易くなっています。そう、この著者の良い点は図解が秀逸なこと。
IT関連の書籍はどうしても専門用語が多くなり、文章だけだと理解が難しいのですが、
図解をふんだんに使う事により、概念的な理解が進み、全体として「分かり易い感」が
Upされる印象です。
結論として、クラウド関係の入門書として幅広くお薦めできる本だと思います。
クラウドの衝撃――IT史上最大の創造的破壊が始まった/東洋経済新報社

¥1,575
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時系列的にはちょうど逆で「クラウドの衝撃」が2009年、「ビッグデータの衝撃」が
2012年です。
ドッグイヤーのIT業界で3年前の書籍という事で最新の情報という訳にはいかないが、
クラウドの重要ポイントがちゃんと整理されているので、僕のように初心者の入門書
としての位置づけで見れば、非常に良書だと思います。
本書で基本的な論点を抑えてWebとか新しい本で知識をUpdateしていくイメージでしょうか。
著者の本を読んでいて常に感じる事は、単に扱っているテーマの記述だけでなく、
それが業界にどんなインパクトがあるのか、また将来に向けた課題は何か、
などのポイントを明快に語ってくれることです。
実際に本書でも企業がクラウドを活用する際の検討フレームワーク、
クラウドがIT業界や既存ベンダーに及ぼすインパクト、今後の課題などを図解を交えて
語ってくれるので頭に入り易くなっています。そう、この著者の良い点は図解が秀逸なこと。
IT関連の書籍はどうしても専門用語が多くなり、文章だけだと理解が難しいのですが、
図解をふんだんに使う事により、概念的な理解が進み、全体として「分かり易い感」が
Upされる印象です。
結論として、クラウド関係の入門書として幅広くお薦めできる本だと思います。
クラウドの衝撃――IT史上最大の創造的破壊が始まった/東洋経済新報社

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東京国立博物館が面白かった
週末の余りのべた凪っぷりに絶望したので、気分転換を兼ね上野公園に行ってきました。
時には文化的な刺激も面白いかも、という事で東京国立博物館に入館。
http://www.tnm.jp/
本館の「日本美術の流れ」という通常展示を見たのですが、
縄文時代から始まり、平安、鎌倉、江戸時代など時代別に日本の美術の
変遷が分かり易く陳列され、また生活調度品、能面などテーマ別の展示なども
随所にみられ、期待以上に面白かったです。これで600円は安い。
ちなみに「日本美術の流れ」はこんな感じのテーマに分かれて展示品が並べられてます。
日本美術のあけぼの―縄文・弥生・古墳
仏教の興隆―飛鳥・奈良
仏教の美術―平安~室町
宮廷の美術―平安~室町
禅と水墨画―鎌倉~室町
武士の装い―平安~江戸
屏風と襖絵―安土桃山~江戸
暮らしの調度
書画の展開―安土桃山~江戸
能と歌舞伎 上杉家伝来能面・能装束
浮世絵と衣装―江戸(浮世絵、衣装)
前回のエントリーに書いた事と重複するのですが、日本美術の流れを見て、
日本の歴史を通して中国&朝鮮半島からの影響が色濃く感じられることを痛感しました。
お互いに文化的な交流が昔からあった訳で、ここまで同じ文化的な基盤を共有している
国は中国、韓国の他にないと思います。
写真を何点か撮ったので載せときます。




時には文化的な刺激も面白いかも、という事で東京国立博物館に入館。
http://www.tnm.jp/
本館の「日本美術の流れ」という通常展示を見たのですが、
縄文時代から始まり、平安、鎌倉、江戸時代など時代別に日本の美術の
変遷が分かり易く陳列され、また生活調度品、能面などテーマ別の展示なども
随所にみられ、期待以上に面白かったです。これで600円は安い。
ちなみに「日本美術の流れ」はこんな感じのテーマに分かれて展示品が並べられてます。
日本美術のあけぼの―縄文・弥生・古墳
仏教の興隆―飛鳥・奈良
仏教の美術―平安~室町
宮廷の美術―平安~室町
禅と水墨画―鎌倉~室町
武士の装い―平安~江戸
屏風と襖絵―安土桃山~江戸
暮らしの調度
書画の展開―安土桃山~江戸
能と歌舞伎 上杉家伝来能面・能装束
浮世絵と衣装―江戸(浮世絵、衣装)
前回のエントリーに書いた事と重複するのですが、日本美術の流れを見て、
日本の歴史を通して中国&朝鮮半島からの影響が色濃く感じられることを痛感しました。
お互いに文化的な交流が昔からあった訳で、ここまで同じ文化的な基盤を共有している
国は中国、韓国の他にないと思います。
写真を何点か撮ったので載せときます。




EUのノーベル平和賞受賞とアジアの現在地
今年のノーベル平和賞にEUが選出されたとのニュースを聞いた。
理由は「EUとその前身は60年以上にわたり、欧州の平和と和解、民主主義に貢献してきた」
だそうで、僕は個人的には至極もっともと考えている。
ニュースなどでは、単一通貨ユーロをめぐり危機の震源地ギリシャの離脱、
果てはEUの「空中分解」などタイミングを巡って色々否定的な意見が目立つが、
そんな近視眼的な発想でEUの功績を評価して良いのか甚だ疑問だ。
僕はEUの受賞を受け、「欧州の偉大性」を再確認した。
そして同時に昨今の国境紛争で揉めているアジアの「精神の後進性」を強く再認識した。
EUの直接の結成は石炭&鉄鋼資源の共同管理だったかもしれないが、
その背景にアメリカ、アジアの台頭に対する「汎欧州連合」という狙いがあったのも事実。
但し、それは言葉でいう程簡単ではなかったと思う。実際に欧州と言う地域は何百年にも
渡って戦争を繰り返してきたわけで、20世紀にはヒトラーという狂人を生んだ。
要は血で血を洗う抗争を繰り返してきた過去の遺恨を振り払い、連帯と言う道を選択する
ことは並大抵の努力で出来る事では無いと思う。また一般生活のレベルでも
言語の違いなどがあり、これは決してマイナーではない。現に90年代後半に米国に
留学してた時、東欧からの留学生が断言していた「言語の違いは根本的だから、EUの
先行きは厳しいと思う」と。
でも欧州は「欧州人」という共通のアイデンティティーを模索し、その過程で
共通教科書の制定による歴史観の統一、パスポートの廃止による人的交流の奨励、
そして通貨統合まで、大変な努力をしてきたと思う。
ソ連崩壊後、世界の火薬庫になり得た旧共産圏の国々までEUに組み入れ、
欧州の連携を深めていった過程で間違いなく「平和と和解、民主主義に貢献してきた」と思う。
翻ってアジアはどうか?無人島の領有を巡ってデモを繰り返し、商店を襲い、
更には企業の海外戦略の見直しにまで発展する醜態をさらしてしまった。
そしていつも、いつも歴史問題が政治問題化する。。。
EUの主軸を担う独仏は第二次大戦中ヒトラーを巡り憎しみ合った過去を持つ。
肉親を殺された人たちもまだ存命だと思う。そうした過去の哀しい歴史を乗り越え、
連帯と言う道を選んで、「地域の平和と和解、民主主義に貢献してきた」という厚みを
考えると現在のユーロの危機なんぞ、ものの数ではないと思う。
そして欧州に比べて、アジアの精神性は優に50年は遅れていると思う。
欧州だけではない。アメリカもそう。
二度にわたる留学を通じて痛感した事は「ヨーロッパ系アメリカ人としての
共通アイデンティティー」とそれに対して「日本人」「中国人」「韓国人」
といった個別アイデンティティーの違いだ。
余談だが実は黒人もアジア人に似ており、これは大学時代の黒人のルームメイトから
聞いた話だが黒人の中にも「奴隷の子孫」「カリブ海出身」「アフリカからの移民」
という3つのセグメントが存在するらしい。
アメリカも多分80年代くらいまで、英国系(所謂WASP)が幅を利かせていたらしい。
しかし今ではモルモン教徒が大統領選に出るくらいまで、意識が進歩している。
彼らも欧州同様、自分たちの個別アイデンティティーを緩める事でパワーを増していった。
僕は人種差別には真っ向から反対するし、言葉使いに細心の注意が必要だが、
「グローバル化に対応していくこと」。それはお隣同士の小さな違いの理解と意識の共有から
スタートするべきではないだろうか。EUのノーベル平和賞受賞を聞いて、そんな事を考えた。
理由は「EUとその前身は60年以上にわたり、欧州の平和と和解、民主主義に貢献してきた」
だそうで、僕は個人的には至極もっともと考えている。
ニュースなどでは、単一通貨ユーロをめぐり危機の震源地ギリシャの離脱、
果てはEUの「空中分解」などタイミングを巡って色々否定的な意見が目立つが、
そんな近視眼的な発想でEUの功績を評価して良いのか甚だ疑問だ。
僕はEUの受賞を受け、「欧州の偉大性」を再確認した。
そして同時に昨今の国境紛争で揉めているアジアの「精神の後進性」を強く再認識した。
EUの直接の結成は石炭&鉄鋼資源の共同管理だったかもしれないが、
その背景にアメリカ、アジアの台頭に対する「汎欧州連合」という狙いがあったのも事実。
但し、それは言葉でいう程簡単ではなかったと思う。実際に欧州と言う地域は何百年にも
渡って戦争を繰り返してきたわけで、20世紀にはヒトラーという狂人を生んだ。
要は血で血を洗う抗争を繰り返してきた過去の遺恨を振り払い、連帯と言う道を選択する
ことは並大抵の努力で出来る事では無いと思う。また一般生活のレベルでも
言語の違いなどがあり、これは決してマイナーではない。現に90年代後半に米国に
留学してた時、東欧からの留学生が断言していた「言語の違いは根本的だから、EUの
先行きは厳しいと思う」と。
でも欧州は「欧州人」という共通のアイデンティティーを模索し、その過程で
共通教科書の制定による歴史観の統一、パスポートの廃止による人的交流の奨励、
そして通貨統合まで、大変な努力をしてきたと思う。
ソ連崩壊後、世界の火薬庫になり得た旧共産圏の国々までEUに組み入れ、
欧州の連携を深めていった過程で間違いなく「平和と和解、民主主義に貢献してきた」と思う。
翻ってアジアはどうか?無人島の領有を巡ってデモを繰り返し、商店を襲い、
更には企業の海外戦略の見直しにまで発展する醜態をさらしてしまった。
そしていつも、いつも歴史問題が政治問題化する。。。
EUの主軸を担う独仏は第二次大戦中ヒトラーを巡り憎しみ合った過去を持つ。
肉親を殺された人たちもまだ存命だと思う。そうした過去の哀しい歴史を乗り越え、
連帯と言う道を選んで、「地域の平和と和解、民主主義に貢献してきた」という厚みを
考えると現在のユーロの危機なんぞ、ものの数ではないと思う。
そして欧州に比べて、アジアの精神性は優に50年は遅れていると思う。
欧州だけではない。アメリカもそう。
二度にわたる留学を通じて痛感した事は「ヨーロッパ系アメリカ人としての
共通アイデンティティー」とそれに対して「日本人」「中国人」「韓国人」
といった個別アイデンティティーの違いだ。
余談だが実は黒人もアジア人に似ており、これは大学時代の黒人のルームメイトから
聞いた話だが黒人の中にも「奴隷の子孫」「カリブ海出身」「アフリカからの移民」
という3つのセグメントが存在するらしい。
アメリカも多分80年代くらいまで、英国系(所謂WASP)が幅を利かせていたらしい。
しかし今ではモルモン教徒が大統領選に出るくらいまで、意識が進歩している。
彼らも欧州同様、自分たちの個別アイデンティティーを緩める事でパワーを増していった。
僕は人種差別には真っ向から反対するし、言葉使いに細心の注意が必要だが、
「グローバル化に対応していくこと」。それはお隣同士の小さな違いの理解と意識の共有から
スタートするべきではないだろうか。EUのノーベル平和賞受賞を聞いて、そんな事を考えた。
「代表的日本人」by 内村鑑三
クリスチャンである内村鑑三が,西洋人に対して日本の偉人を紹介しようとした書物であり,
(原文は英語)西郷隆盛,上杉鷹山,二宮尊徳,中江藤樹,日蓮上人の5名の人物に
キリスト教の観念から見た解釈が与えられています。
この本をセレクトしたのは現在のクライアントが米国企業であるということ、
彼らと伍していくために、昔の日本人の大和魂みたいなものを再確認したかった、
ということがあります。要は英語が喋れると安易に向こうの考え方、文化に同化されがちに
なるのですが、それは真の国際性にはならないと考え始めてます。
「太平洋の架橋」になるためには両国に土台がちゃんと根付いてないといけないので、
どっちかだけだと片手落ちになり、架橋がちゃんとかからないのではと。
5人の登場人物に共通する偉大性、というか本書のテーマと言うべき点は「経済と道徳を
分けない」という事だと思います。つまり「富は常に徳の結果であり、両者は木と実との
相互の関係と同じであると見る」というところです。。もう1つは「民の幸福は治者の
幸福である」という「利他の精神」だと思います。いずれも非常に性善説的な考え方であり、
内村鑑三はそうした人たちを代表的日本人として西洋に紹介している点は現代の
僕らから見ても結構示唆が多いと感じました。
というのも外国人、特に西洋人と伍していて最近強く感じるのは彼らの流儀が
性悪説であるなら、こちらも性悪説で合わせるべきだという考えに傾きつつあったからです。
これは恐らく僕だけの考えではなく、ちょっとでも海外駐在がある人であれば、
かなりの確率で同意してくれると思います。例えば最近、韓非子を薦める声が多いのも、
性悪説への備えとしてだと。
ただ昔の日本人がこうした徳を尊び、努力したお蔭で日本は国際社会で高い尊敬を
得られるようになった事は紛れもない事実だと思います。安易に時流に流されず、
日本人のアイデンティティーを常に問い続けていくこと、それが「太平洋の架け橋」の
橋頭堡になるとおもっているし、本書は架け橋の日本側の土台の再固めをしてくれた、
と思ってます。
代表的日本人 (岩波文庫)/岩波書店

¥630
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(原文は英語)西郷隆盛,上杉鷹山,二宮尊徳,中江藤樹,日蓮上人の5名の人物に
キリスト教の観念から見た解釈が与えられています。
この本をセレクトしたのは現在のクライアントが米国企業であるということ、
彼らと伍していくために、昔の日本人の大和魂みたいなものを再確認したかった、
ということがあります。要は英語が喋れると安易に向こうの考え方、文化に同化されがちに
なるのですが、それは真の国際性にはならないと考え始めてます。
「太平洋の架橋」になるためには両国に土台がちゃんと根付いてないといけないので、
どっちかだけだと片手落ちになり、架橋がちゃんとかからないのではと。
5人の登場人物に共通する偉大性、というか本書のテーマと言うべき点は「経済と道徳を
分けない」という事だと思います。つまり「富は常に徳の結果であり、両者は木と実との
相互の関係と同じであると見る」というところです。。もう1つは「民の幸福は治者の
幸福である」という「利他の精神」だと思います。いずれも非常に性善説的な考え方であり、
内村鑑三はそうした人たちを代表的日本人として西洋に紹介している点は現代の
僕らから見ても結構示唆が多いと感じました。
というのも外国人、特に西洋人と伍していて最近強く感じるのは彼らの流儀が
性悪説であるなら、こちらも性悪説で合わせるべきだという考えに傾きつつあったからです。
これは恐らく僕だけの考えではなく、ちょっとでも海外駐在がある人であれば、
かなりの確率で同意してくれると思います。例えば最近、韓非子を薦める声が多いのも、
性悪説への備えとしてだと。
ただ昔の日本人がこうした徳を尊び、努力したお蔭で日本は国際社会で高い尊敬を
得られるようになった事は紛れもない事実だと思います。安易に時流に流されず、
日本人のアイデンティティーを常に問い続けていくこと、それが「太平洋の架け橋」の
橋頭堡になるとおもっているし、本書は架け橋の日本側の土台の再固めをしてくれた、
と思ってます。
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「一勝九敗」 by 柳井正
ユニクロの柳井さんの本です。
実家の稼業に入り、社長を継ぐところから始まり、ユニクロ一号店から
拡大期、上場を経てフリースのヒット、国際展開までと一通りのユニクロの
歴史を振り返り、その時感じた事などを振り返ったり、自身の経営哲学を
披露してます。
実業家が書いた本はその瞬間瞬間を振り返っての実業家の「生の声」であるため、
迫力がダイレクトに伝わってきます。柳井さんの生の声がユニクロの1つ1つのイベントを
振り返り伝えてくる「生の声」はすごく示唆が一杯あります。
その中で印象に残ったものが2つ。
①「失敗するのであれば、なるべく早く失敗する方が良いと思う。
早く気付いて失敗したという事の一つ一つを自分で実感する。
そこが一番大事。その次に、失敗しないようにするにはどうやっていくかを考える。
そこで「工夫」というものが生まれる。」
Dell創業者のMichael Dellも全く同じことを言ってます。
彼は新事業は「完成」を目指すべきではなく、「実験」を心掛けるべきだと言ってます。
その実験の失敗から学んでいけ、と言ってます。
②「計画したら必ず実行するということ。実行するから次が見えてくるのではないか。
経営者本人が実行しない限り、商売も経営も無い。頭の良い人にと言われる人に限って
計画や勉強ばかりに熱心で、結局実行しない。商売や経営で本当に成功しようと
思えば、失敗しても実行する。また、めげずに実行する。これ以外にない。」
僕は元々行動重視の人間だったと思うのですが、本を読んだり、ビジネススクール
行ったりすればするほど、頭で考えることを重視しがちで、行動を起こすことに
躊躇することを最近ずっと意識してました。計画倒れで実行に至らない事も多いです。
実行しても一回の失敗で諦めることも多くなりました。
そうした自分自身へのフラストレーションもあったものですから、柳井さんの言葉は
ストレートに僕の腹に落ちました。
よくこういう創業者自身が書いた本は「自慢ばっかり」とかいう批評が多いと思うのですが、
僕は全くそういう批評の意図が分かりません。経営のイベントを振り返り、その経験則から
自分の考えを伝えようとしているのが、なんで自慢なのでしょうか?
僕はこうした「生の声」を今後も聞き耳を立てていきたいと思ってます。
一勝九敗/新潮社

¥1,029
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実家の稼業に入り、社長を継ぐところから始まり、ユニクロ一号店から
拡大期、上場を経てフリースのヒット、国際展開までと一通りのユニクロの
歴史を振り返り、その時感じた事などを振り返ったり、自身の経営哲学を
披露してます。
実業家が書いた本はその瞬間瞬間を振り返っての実業家の「生の声」であるため、
迫力がダイレクトに伝わってきます。柳井さんの生の声がユニクロの1つ1つのイベントを
振り返り伝えてくる「生の声」はすごく示唆が一杯あります。
その中で印象に残ったものが2つ。
①「失敗するのであれば、なるべく早く失敗する方が良いと思う。
早く気付いて失敗したという事の一つ一つを自分で実感する。
そこが一番大事。その次に、失敗しないようにするにはどうやっていくかを考える。
そこで「工夫」というものが生まれる。」
Dell創業者のMichael Dellも全く同じことを言ってます。
彼は新事業は「完成」を目指すべきではなく、「実験」を心掛けるべきだと言ってます。
その実験の失敗から学んでいけ、と言ってます。
②「計画したら必ず実行するということ。実行するから次が見えてくるのではないか。
経営者本人が実行しない限り、商売も経営も無い。頭の良い人にと言われる人に限って
計画や勉強ばかりに熱心で、結局実行しない。商売や経営で本当に成功しようと
思えば、失敗しても実行する。また、めげずに実行する。これ以外にない。」
僕は元々行動重視の人間だったと思うのですが、本を読んだり、ビジネススクール
行ったりすればするほど、頭で考えることを重視しがちで、行動を起こすことに
躊躇することを最近ずっと意識してました。計画倒れで実行に至らない事も多いです。
実行しても一回の失敗で諦めることも多くなりました。
そうした自分自身へのフラストレーションもあったものですから、柳井さんの言葉は
ストレートに僕の腹に落ちました。
よくこういう創業者自身が書いた本は「自慢ばっかり」とかいう批評が多いと思うのですが、
僕は全くそういう批評の意図が分かりません。経営のイベントを振り返り、その経験則から
自分の考えを伝えようとしているのが、なんで自慢なのでしょうか?
僕はこうした「生の声」を今後も聞き耳を立てていきたいと思ってます。
一勝九敗/新潮社

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「フラット化する世界・下」by トーマス・フリードマン
下巻を読み終わったので、簡単にレビューを書きます。
結論から言うと、「上巻ほど面白くない」と。
下巻のメッセージを要約すると以下の事かと:
1. ベルリンの壁が崩壊した11・9により、創造的なイマジネーションが世界に広がった。
一方でWTCに飛行機が突っ込んだ9・11には、破壊的なイマジネーションで覆われた。
この2つはフラット化した世界の相克である。
2.「 国民が希望を抱く国(つまりフラット化した世界に住む国々)にはミドルクラスがいる」
ここでいうミドルクラスは収入ではなく、心の持ちようによって決まる。
BRICsなどの国の人々は未だ貧しくとも希望を持っている。一方でアフリカなどの
人々は希望を抱いていない(つまりフラット化した世界から取り残されている)。
3. フラット化した社会では個人の活躍の余地が大きくなる。必然的にフラット化した
社会に加わるためには個人が強くなる必要となる。その為には抜本的に教育を
見直す必要が出てくるだろう。
個人的には下巻を読んで、特に2と3に関して、日本の先行きに結構不安を感じました。
国際的にも低下する一方の学力&なのにゆとり教育、幸せな中流家庭の崩壊、
大手企業の就職人気が突出して高いのも希望を抱けなくなった昨今の社会の
温度感なのでは、と思いました。
1つ1つのメッセージは納得感があるし、正しい指摘だと感じるのですが。。。
これは個人の好き嫌いもあるのでしょうが、僕は上巻ほど入っていけなかった、
というのが正直なところです。
フラット化する世界 [増補改訂版] (下)/日本経済新聞出版社

¥2,100
Amazon.co.jp
結論から言うと、「上巻ほど面白くない」と。
下巻のメッセージを要約すると以下の事かと:
1. ベルリンの壁が崩壊した11・9により、創造的なイマジネーションが世界に広がった。
一方でWTCに飛行機が突っ込んだ9・11には、破壊的なイマジネーションで覆われた。
この2つはフラット化した世界の相克である。
2.「 国民が希望を抱く国(つまりフラット化した世界に住む国々)にはミドルクラスがいる」
ここでいうミドルクラスは収入ではなく、心の持ちようによって決まる。
BRICsなどの国の人々は未だ貧しくとも希望を持っている。一方でアフリカなどの
人々は希望を抱いていない(つまりフラット化した世界から取り残されている)。
3. フラット化した社会では個人の活躍の余地が大きくなる。必然的にフラット化した
社会に加わるためには個人が強くなる必要となる。その為には抜本的に教育を
見直す必要が出てくるだろう。
個人的には下巻を読んで、特に2と3に関して、日本の先行きに結構不安を感じました。
国際的にも低下する一方の学力&なのにゆとり教育、幸せな中流家庭の崩壊、
大手企業の就職人気が突出して高いのも希望を抱けなくなった昨今の社会の
温度感なのでは、と思いました。
1つ1つのメッセージは納得感があるし、正しい指摘だと感じるのですが。。。
これは個人の好き嫌いもあるのでしょうが、僕は上巻ほど入っていけなかった、
というのが正直なところです。
フラット化する世界 [増補改訂版] (下)/日本経済新聞出版社

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「フラット化する世界・上」by トーマス・フリードマン
「フラット化する世界」を読んでます。
なにせボリューム満点の本なので、ざくっと要約します。
・2000年前後から世界は全く新しい時代に突入した。
それはグローバリゼーション3.0とも呼べるもので特徴としては以下の2つ:
1) 個人が大きく力を持つようになった
2) 非西欧の人々も加わり、世界規模での競争になった
つまり世界は「フラット化」した。
・グローバリゼーション3.0の例として幾つかのケースが紹介されている。
1) 会計士の仕事は定型的な業務(所得税申告書など)はインドにアウトソースされ、
アメリカの会計士は主にクライアント対応などより人的な対応にシフトした
2) コールセンター業務もグローバルにアウトソースされている
・このグローバリゼーション3.0の影響は今までの大きな歴史の変化点(例.活字印刷の実用化、
近代的主権国家の発生、産業革命など)と本質的に違い、速度と範囲が桁外れである。
で、この変化に呑み込まれたり、置き去りにされないように変化を吸収する必要があり、
その枠組みを提案するのが本書の狙いだそうです。
そのために、まず今日のフラット化をもたらした10の力について詳しく紹介してます。
①「ベルリンの壁の崩壊、と創造性の新時代」
冷戦時代には2つの経済圏に分かれてしか物事を考えることが出来なかった。
しかしベルリンの壁の崩壊により、初めて世界全体を1つに、グローバルに
物事を考えることが可能になった。
②「インターネットの普及、と接続の新時代」
ネットスケープによるインターネット閲覧を可能にし、世界の別の場所のより多くの
人間と連絡しあい、交流する人間の数が格段に増えた。
③「共同作業を可能にした新しいソフトウェア」
共同作業のためのプラットフォームが突然使えるようになり、世界のどこからでも
プラグ&プレイが出来、競争に参加し、接続できるようになった。
"このフラットな世界のプラットフォームの創世記と、そこから誕生した6つの新しい
形の共同作業は、後世に人類史上最も重要な転換点と見做されるものと確信している"
以下、6つの新しい形の共同作業
④「アップローディング:コミュニティーの力を利用する」
個人が営利企業や旧来のヒエラルキーから受け身にダウンロードするのではなく、
自分たちの製品をアップロードして、それもしばしば無料で広めるというこの新たに
見出された力は、想像力、イノベーション、政治勢力の結集、情報の収集と流布の流れ
を根本的に作り替えた。
⑤「アウトソーシング:Y2Kとインドの目覚め」
Y2Kが迫りくる中でアメリカとインドのデート(アメリカのIT技術者だけでは対応しきれない
問題をインドのマンパワー・安い賃金によって解決する)が始まり、この関係が大きな
フラット化の要因となった。
⑥「オフショアリング:中国のWTO加盟」
アウトソーシングとは、社内業務の一部を切り取って他社に委託し、その結果を、
社内の全体的な業務に組み込む。一方、オフショアリングは、工場の作業全体を
そっくりそのまま、外国に移転する。
⑦「サプライチェーン:ウォルマートはなぜ強いのか」
仕入先向けに販売・在庫データベースをオープンにしたことが、ウォルマートの
躍進の原動力である。しかし良い事ばかりではない。非常な効率の追求は非常な
時代をもたらしたともいえる。具体例としてウォルマート従業員への安井給与体系、
薄い福利厚生など。
⑧「インソーシング:UPSの新しいビジネス」
UPSは顧客企業に入り込み、製造・梱包・集配プロセスなどをエンジニアが分析して、
設計もしくは再設計し、グローバルなサプライチェーン全体を管理する。必要であれば
財務面でも援助し、未収金の管理や代金引換私も行う。
フラットな世界にとって非常に重要なサプライチェーン。しかし全ての企業が
ウォルマートのようなサプライチェーン網を築く経済力があるわけではない。
そこで生まれたのがUPSのようなインソーシングと言う形態のビジネスである。
⑨「インフォーミング:知りたいことはグーグルに聞け」
あらゆる言語における世界の知識を容易に入手できるようになった。
情報と言うのは旧来、組織の階層により制限されていたが、検索エンジンの登場に
より情報の民主化が行われた。
⑩「ステロイド:新テクノロジーが更に加速する」
他のフラット化要素をターボチャージャーよろしく加速するテクノロジーを
「ステロイド」と呼ぶ。6つあるステロイドは以下の通り
1)コンピュータ
2)インスタント・メッセージとファイル共有テクノロジー
3)IP電話の普及
4)テレビ会議
5)CG(コンピュータ・グラフィックス)
6)ワイヤレステクノロジー
*これが一番重要なステロイド
この10の力の章は長いが、非常に面白く一気に読めました。
全体としての本書の印象は初版が2005年だけに目新しい概念の提案という感じではないですが
しかし今の世界で起こっている現象を正確に理解するための基本事項がちゃんと
整理されている、謂わばグローバリゼーションの教科書的な位置づけの本だと思います。
なので、ビジネスマンだったら是非ちゃんと読んでおきたい本の1つと言えるのでは。
フラット化する世界 [増補改訂版] (上)/日本経済新聞出版社

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なにせボリューム満点の本なので、ざくっと要約します。
・2000年前後から世界は全く新しい時代に突入した。
それはグローバリゼーション3.0とも呼べるもので特徴としては以下の2つ:
1) 個人が大きく力を持つようになった
2) 非西欧の人々も加わり、世界規模での競争になった
つまり世界は「フラット化」した。
・グローバリゼーション3.0の例として幾つかのケースが紹介されている。
1) 会計士の仕事は定型的な業務(所得税申告書など)はインドにアウトソースされ、
アメリカの会計士は主にクライアント対応などより人的な対応にシフトした
2) コールセンター業務もグローバルにアウトソースされている
・このグローバリゼーション3.0の影響は今までの大きな歴史の変化点(例.活字印刷の実用化、
近代的主権国家の発生、産業革命など)と本質的に違い、速度と範囲が桁外れである。
で、この変化に呑み込まれたり、置き去りにされないように変化を吸収する必要があり、
その枠組みを提案するのが本書の狙いだそうです。
そのために、まず今日のフラット化をもたらした10の力について詳しく紹介してます。
①「ベルリンの壁の崩壊、と創造性の新時代」
冷戦時代には2つの経済圏に分かれてしか物事を考えることが出来なかった。
しかしベルリンの壁の崩壊により、初めて世界全体を1つに、グローバルに
物事を考えることが可能になった。
②「インターネットの普及、と接続の新時代」
ネットスケープによるインターネット閲覧を可能にし、世界の別の場所のより多くの
人間と連絡しあい、交流する人間の数が格段に増えた。
③「共同作業を可能にした新しいソフトウェア」
共同作業のためのプラットフォームが突然使えるようになり、世界のどこからでも
プラグ&プレイが出来、競争に参加し、接続できるようになった。
"このフラットな世界のプラットフォームの創世記と、そこから誕生した6つの新しい
形の共同作業は、後世に人類史上最も重要な転換点と見做されるものと確信している"
以下、6つの新しい形の共同作業
④「アップローディング:コミュニティーの力を利用する」
個人が営利企業や旧来のヒエラルキーから受け身にダウンロードするのではなく、
自分たちの製品をアップロードして、それもしばしば無料で広めるというこの新たに
見出された力は、想像力、イノベーション、政治勢力の結集、情報の収集と流布の流れ
を根本的に作り替えた。
⑤「アウトソーシング:Y2Kとインドの目覚め」
Y2Kが迫りくる中でアメリカとインドのデート(アメリカのIT技術者だけでは対応しきれない
問題をインドのマンパワー・安い賃金によって解決する)が始まり、この関係が大きな
フラット化の要因となった。
⑥「オフショアリング:中国のWTO加盟」
アウトソーシングとは、社内業務の一部を切り取って他社に委託し、その結果を、
社内の全体的な業務に組み込む。一方、オフショアリングは、工場の作業全体を
そっくりそのまま、外国に移転する。
⑦「サプライチェーン:ウォルマートはなぜ強いのか」
仕入先向けに販売・在庫データベースをオープンにしたことが、ウォルマートの
躍進の原動力である。しかし良い事ばかりではない。非常な効率の追求は非常な
時代をもたらしたともいえる。具体例としてウォルマート従業員への安井給与体系、
薄い福利厚生など。
⑧「インソーシング:UPSの新しいビジネス」
UPSは顧客企業に入り込み、製造・梱包・集配プロセスなどをエンジニアが分析して、
設計もしくは再設計し、グローバルなサプライチェーン全体を管理する。必要であれば
財務面でも援助し、未収金の管理や代金引換私も行う。
フラットな世界にとって非常に重要なサプライチェーン。しかし全ての企業が
ウォルマートのようなサプライチェーン網を築く経済力があるわけではない。
そこで生まれたのがUPSのようなインソーシングと言う形態のビジネスである。
⑨「インフォーミング:知りたいことはグーグルに聞け」
あらゆる言語における世界の知識を容易に入手できるようになった。
情報と言うのは旧来、組織の階層により制限されていたが、検索エンジンの登場に
より情報の民主化が行われた。
⑩「ステロイド:新テクノロジーが更に加速する」
他のフラット化要素をターボチャージャーよろしく加速するテクノロジーを
「ステロイド」と呼ぶ。6つあるステロイドは以下の通り
1)コンピュータ
2)インスタント・メッセージとファイル共有テクノロジー
3)IP電話の普及
4)テレビ会議
5)CG(コンピュータ・グラフィックス)
6)ワイヤレステクノロジー
*これが一番重要なステロイド
この10の力の章は長いが、非常に面白く一気に読めました。
全体としての本書の印象は初版が2005年だけに目新しい概念の提案という感じではないですが
しかし今の世界で起こっている現象を正確に理解するための基本事項がちゃんと
整理されている、謂わばグローバリゼーションの教科書的な位置づけの本だと思います。
なので、ビジネスマンだったら是非ちゃんと読んでおきたい本の1つと言えるのでは。
フラット化する世界 [増補改訂版] (上)/日本経済新聞出版社

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