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「また、桜の国で」by 須賀しのぶ

第2次大戦開戦前のポーランドに赴任した外交官とポーランドに住むユダヤ人、そして日本が戦前に助けた
ポーランド孤児などをポーランドを中心に物語が進んでいく。ナチスがポーランドに侵攻し、街を蹂躙していく。
そしてユダヤ人たちは隔離され、最初はゲットーに、そして最後にはアウシュビッツに送られていく様が生々しい。
ポーランドの悲しい歴史とそこに暮らす人々と想いを綴っていく。
哀しい物語だけど、人間の素晴らしさを感じさせてくれる。

「人が、人としての良心や信念に従ってしたことは、必ず相手の中に残って、倍になって戻ってくるんだと。
 彼らが日本に来た時、俺たちはただ子供たちを助けたいと願って手を差し伸べたはずだ。
 弱き者を助ける、それは人として当たり前のことだからだ。そして今マジェナたちは、日波友好の為に
 力を尽くしてくれている」(P69)

 

「二人は固い握手を交わした。イエジの手は厚く、硬いマメがある。子供たちを慈しみ守る一方で、
 銃を取り戦う手だ。彼らは知っている。戦わねば、何一つ守れないことを。取り戻すためには、
 命を懸けなければならないことを。ポーランド人の血に脈々と受け継がれたそれを、
 彼らは当然のこととして果たそうとする」(P362)

「国を愛する心は、上から植え付けられるものでは断じてない。まして、他国や他の民族への憎悪を
 糧に培われるものであってはならない。人が持つあらゆる善き感情と同じように、思いやることから始まるのだ。
 そして信頼と尊敬で、培われていくものなのだ」(P450)

「濫用されるときは必ず、言葉は正しい使い方をされていない」(P482)

歴史というものは人と、人の想いが積み重なって作られていくものだと思った。
僕は夏になると戦争の本を多く読む。それは80年近く前の悲惨な歴史に触れることで、
反戦への気持ちを新たにするためでもある。そうやって日本は戦後ずっと平和を守ってきた。
久し振りに傑作に出会った気がする。
 

 


 

「チーズはどこへ消えた?」by スペンサー・ジョンソン

僕が新人時代に読んだ本で、今から20年くらいになる。

本棚に埋もれて日焼けした本が20年の歳月を感じさせるが、内容は今の僕にドンピシャで当てはまるものだった。

 

ストーリーはチーズ(ビジネス的に言うと事業とか売上とかの比喩表現)を見つけたネズミと小人が、

チーズのある場所で安住していると、ある日突然チーズが消えていた。愕然とする小人と素早く動くネズミを

通して変化への対応、恐怖心、などの心の動きを描写したものだ。

 

このチーズに対する小人の感情表現が秀逸で「まもなくホーとヘムは、そのチーズを自分たちのものだと考える

ようになった」(P30)。この感情は自分を振り返っても同じような経験があり、本当はラッキーで頭を下げて

拝受すべきことを、当然で自分の権利のように勘違いするようなことがあった。そして失ったときにその大きさに気付く。

 

でも物事は常に変わるから、変化そのものを止めることは出来ない。大切なのは変わった後の対応だと思う。

そうは言っても実際に行動を起こすのは結構難しい。それは恐怖心があるからだ。

「もし恐怖がなかったら何をするだろう?恐怖が役に立つこともある。このままでいたらますます事態は

悪化するという恐怖にかられたら、いやでも行動を起こすだろう。だが一方、恐怖のあまり何もできなく

なることもある」(P42)

 

でも取り合えず小人のホーはチーズ探しに出ることにした。「今は望ましい状況ではないが、チーズがないままより

ずっと良いから」(P44)だ。道中は二歩進んでは一歩戻るように五里霧中で、だんだん不安と恐怖に苛まれていく。

そこでホーは恐怖が無ければすることにしてみようと思った。

 

「新しい方向に進めば新しいチーズが見つかる」(P48)

 

恐怖にとらわれていたが、新しい方向に舵を切る事で恐怖心から解放されたホーはこう書いている。

 

「人が恐れている事態は、実際には想像するほど悪くはないのだ。自分の心の中に作り上げている恐怖の方が

現実よりずっとひどいのだ」(P57)

 

今の自分も似たような状況で、毎月入ってくる小金に安心していたような気がする。

そんな小金が入ってこなくななったとき、かなり動揺した。

でもよく考えてみるとこれは新しい方向に進むチャンスかもしれないと今は思っている。

これは恐らく20年後の自分にとっても価値のあるメッセージだと思う。

 

 

 

 

「ビジネスマンの父より息子への30通の手紙」by キングスレイ・ウォード

本書はタイトルの通り、起業して成功したビジネスマンの父親が息子に手紙を通じて送ったアドバイスを本にしたものだ。

本が書かれたのが1985年と相当前なので、内容も陳腐化していると思いきや、原理原則に重きを置かれた深い洞察が

随所にある。実際に最近流行った「Grit」や「Hard things」などのテーマはそれぞれ「やりぬく力」だったり「逆境でも諦めない
粘り強さ」だったりするが、本書でも既に網羅されており、結局僕らは同じところをぐるぐる回っているんだな、という印象を強く持った。「ノルウェーの森」の永沢さんは「出版後30年経った本は読まない。時の洗礼を受けていない本を読むのは
時間の無駄」みたいなことを言っていたが、最新の本や知識をアップデートすることが無駄だとは思わないが、時の洗礼を経たものは普遍的な要素が多いので、読む価値は高いとは感じる。その意味でも本書は出版から30年以上経った今でも読まれ続けている名著だと思う。

 

以下、特に印象に残った下りを引く。

 

「成功している人は終始、勝利への一本道を歩いているように見える。その道を歩き続けるために、敗北の為に
 必要とされる粘り強さは傍目には見えない。打ち負かされ、失敗し、落胆し、そして欲求不満に悩まされないで、
 相次ぐ成功を収めた人を私は知らない。このような苦しい時期を乗り越えられるかどうかが、勝者と敗者を分ける(p36)」

 

「誠実な人格の持ち主であるということは、道徳性の高い生活態度が身についている。実業界では、そのような特質を
 備えることが長期的な成功をもたらす生命力になる。短期的には、顧客に約束した内容の手抜きをして、儲けを膨らま
 せる事も難しくない。しかし長期的には、そのような手口は業界で大失敗することの礎口になる。勝利者たちはそれを
 疫病のように避ける(p57)」

 

「(経験の重要性に関して) 最初に入手可能な事実を集めることを怠ってはいけない。この作業段階では、つい無精して、

 自分の決定や行動の基礎になる基本データを手に入れるために、十分な努力をしない人が多い。その次は、入手可能な

 情報を得る前に、データの分析を始めようとし、仕事にとりかかろうとする傾向が問題である。この時こそ自分を抑えて、

 セカンドギアに切替えてスピードを上げる前に、まずローギアで十分に力を蓄えなければならない。

 ~中略~

 第一段階の情報収集が終わったら、いよいよ第二段階である。入手した芳香剤に基づいて行動を起こす段階で、
 多少面白くなる。経験がものをいうのもここで、君も業界で人並みに失敗を経験するうちに、80%の人たちはデータ不足
 と言うよりは、データの間違った解釈によって、意思決定の間違いを犯すことを知るだろう。経験は君に、まず関係のある
 データをすべて集めること、つぎにそれを正しく分析する事を教える。前半の作業には自制心が必要で、後半の作業には
 長年の経験が必要である。どうすればデータの解釈に熟達できるだろうか?なんでも慣れるためには回数を重ねるしか
 ない。しかし勘であっさり片付けることよりも、入念に思慮深く分析する方が早く、高度に熟達する、ということである。

 (p76-77)」

 この下りは今も通用する普遍的なことと、若干陳腐化したことが混在すると思う。今の自分にとってハッとしたのは

 最初のデータ収集の大切さ。確かに10年前コンサルにいたときは文字通りデパートの紙袋いっぱいに詰め込まれた

 データを集めて分析したりしていたが、30代後半くらいからこの作業を端折るようになってきた。

 理由もご指摘の通り、面倒くさいから。初心に戻り、手を動かし、1つ1つの事を工夫しながら進めていく事の重要さを

 再認識させてくれた。一方で分析の前に全てのデータを集めろ、という下りは現代のグローバル化した、

 速度が上がった現代のビジネスでは実践が難しいと思う。孫正義は「7割は9割に勝る」と言っている。

 これは時間かけて9割まで精度を上げるより、7割まで持って行った段階で実行に移した方が、つまりスピードで

 勝った方が勝負に勝てる、ということだ。

 

「(お金の使い方について)賢い人は金持ちになれるが、人は金持ちになると愚かになる(あるいは妻が愚かになる)ことが多い。

 ~中略~

 最初の10万ドルに達するまでの道程は非常に長い事を忘れないように。普通、そこから200万ドルに達するより、
 ずっと長く、険しい道である。1ドルしか手持ちがないときに1ドルを借りるのは難しいが、100万ドルあれば100万ドルは
 比較的用意に借りられる。(p116)」

 

こういう本が1円で手に入るのだから、読まない手はない。

やはりAmazonは偉大だと思う。

 

 

 

 

 

「映画:100歳の少年と12通の手紙」

フランスの劇作家エリック=エマニュエル・シュミットのベストセラー小説『神さまとお話しした12通の手紙』をシュミットが自ら脚色、監督して映画化した作品、らしい。しかしそんなこと当然知るはずもなく、Amazonプライムで見た。

 

とんでもない傑作だった。本当に最高の映画!

あらすじは自分の死期をひょんなことから知ってしまった白血病を患った男の子(オスカー)だ。

自分が死ぬことを隠そうとする両親を拒絶するが、唯一心を開けるおばさんが毒舌のローズで、この二人のストーリーだ。

大晦日までの12日間、1日を10年と考えて過ごし、毎日神様に手紙を書くようにオスカーに諭し、

物語は進んで行くのだが、コメディータッチの演出や、随所に出てくるエスプリの効いた人生のヒント、など

映画の楽しさが満載だ。普段、平べったいアメリカ映画に慣れていると、含蓄が深く、とても新鮮だ。

オスカー役の子供も可愛い。フランス語がとてつもなく可愛い。初恋のキスのシーンは抱きしめたくなるくらい可愛い。

 

大晦日にオスカーは死んでしまい、この辺りの描写は1リットルの涙と10枚のハンカチが必要だが、

映画はとても心温まる印象で終わる。なんか、哀しい事もあるけどそれでも人生万歳、みたいな気持ちになった。

 

大傑作だった。万人にお勧めできる映画だ。

こんな映画がタダで見れるとは、Amazonプライム。。。

 

https://www.amazon.co.jp/100%E6%AD%B3%E3%81%AE%E5%B0%91%E5%B9%B4%E3%81%A812%E9%80%9A%E3%81%AE%E6%89%8B%E7%B4%99%EF%BC%88%E5%AD%97%E5%B9%95%E7%89%88%EF%BC%89-%E3%83%9F%E3%82%B7%E3%82%A7%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%83%A9%E3%83%AD%E3%83%83%E3%82%AF/dp/B00RC4TD64/ref=sr_1_1?s=instant-video&ie=UTF8&qid=1530955596&sr=1-1&keywords=100%E6%AD%B3%E3%81%AE%E5%B0%91%E5%B9%B4%E3%81%A812%E9%80%9A%E3%81%AE%E6%89%8B%E7%B4%99

 

 

「映画:100歳の少年と12通の手紙」

フランスの劇作家エリック=エマニュエル・シュミットのベストセラー小説『神さまとお話しした12通の手紙』をシュミットが自ら脚色、監督して映画化した作品、らしい。しかしそんなこと当然知るはずもなく、Amazonプライムで見た。

 

とんでもない傑作だった。本当に最高の映画!

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自分が死ぬことを隠そうとする両親を拒絶するが、唯一心を開けるおばさんが毒舌のローズで、この二人のストーリーだ。

大晦日までの12日間、1日を10年と考えて過ごし、毎日神様に手紙を書くようにオスカーに諭し、

物語は進んで行くのだが、コメディータッチの演出や、随所に出てくるエスプリの効いた人生のヒント、など

映画の楽しさが満載だ。普段、平べったいアメリカ映画に慣れていると、含蓄が深く、とても新鮮だ。

オスカー役の子供も可愛い。フランス語がとてつもなく可愛い。初恋のキスのシーンは抱きしめたくなるくらい可愛い。

 

大晦日にオスカーは死んでしまい、この辺りの描写は1リットルの涙と10枚のハンカチが必要だが、

映画はとても心温まる印象で終わる。なんか、哀しい事もあるけどそれでも人生万歳、みたいな気持ちになった。

 

大傑作だった。万人にお勧めできる映画だ。

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「エネルギー産業の2050年 Utility3.0へのゲームチェンジ」by 岡本浩

2017年の電力業界でかなり話題になった本で、著者の一人は東電の副社長の岡本さん。
スマートグリッド関連のセミナーだと良く講演をされる方で、日本のスマートグリッドのロードマップ策定に
強い影響力を持っている人だ。別の著者には東電の企画畑の人もいるようで、そんな東電の主流派が
こんな本を出すようになったとは隔世の感がある。ちょうど通信自由化の前後で、NTTのCTOが自由化の旗振りを
するような本を書くようなものだ。

本書の主張点は将来のスマートグリッドは「5つのD」によってドラスティックに変化していく、という点。すなわち:

①Depopulation(人口減少):人口減により電力需要が減っていく
②Decarbonization(脱酸素化):CO2削減への世界的な合意 ※トランプ除く
③Decentralization(分散化):再エネ、蓄電池の導入加速
④Deregulation(自由化):需要&供給による自由な価格設定
⑤Digitalization(デジタル化):電力がAIやIOTと連動してサービス化する

 

これらの「5つのD」によりUtility3.0の世界では消費者は電気を買うのではなく、様々な機器が提供する体験・成果を
買うようになり、そうした体験・成果を提供する事業者が、電力販売会社の顧客になるとしてます。つまり消費者は
電力料金を支払うことはなくなり、事業者が提供するサービスの対価に電力料金が含まれる形になると。

業界のキーパーソンが今後の業界動向を明確に提言する本書はやはり「スゴ本」だと感じました。
 

 

「クラウド・ナイン」by 服部真澄

確か90年代だったか、「龍の契り」のスケール感とストーリーテリングの巧みさに腰が抜けそうなほど衝撃を受けたが、
ここ最近は随分ご無沙汰だった服部真澄。久しぶりに「クラウド・ナイン」を手に取ってみた。やはり面白い!

 

今回は2部構成で1部が人工血液の物語、2部が気象兵器。

服部真澄の本は常に題材が時代の最先端で、着眼点が良く、しかもグローバルだ。

例えば「鷲の驕り」や「ディールメーカー」では特許や著作権といった知財戦略、「エル・ドラド」では遺伝子組み換えと種子と

いった具合に、ビジネスの旬を良くとらえた題材設定が魅力だ。

しかも物語の最中に幾つもの伏線や謎を仕掛けていくそのストーリーテリングは秀逸で、いわゆる徹夜本だ。

今回も湯河原への日帰り温泉の道中に読破してしまった。

 

しかし人気が出ない。もっと世に知られてよい作家だ。

「クラウド・ナイン」のレビュー数がゼロって、あんまりだ。。。

池井戸潤がベストセラーになるのであれば、服部真澄はミリオンセラーになっていいと思う。

セグメント的には黒木亮が近いのだろうか。黒木亮がコアなファン層を確立しているのに比べ、

服部真澄は相当マイナーな作家に埋もれている。どう考えても黒木亮の題材の方がニッチだと思うが。。
 

強いて言うならエンディングが冒頭から中盤に比べてあっさりしている為、読後感が弱くなってしまう感はある。

ただエンディングはどんな本でも難しく、物語の伏線を貼るよりも、回収する方がずっと難しい。

ダン・ブラウンの「天国と地獄」や高野和明の「13階段」といった傑作でもやはりエンディングが今一つ盛り上がらなかった記憶がある。

次作にはエンディングのブラッシュアップを期待しつつ、今後も応援していきたい作家だ。もうキャリアも長いけど。

 

 

「ロープライス エブリデイ」by サム・ウォルトン

本書はウォールマート創業者のサム・ウォルトンの自伝だ。

1992年の刊行と些か古い本だが「ザ・プロフィット~利益はどのようにして生まれるのか」でチャオが
最高の起業家本として推薦してみたので読んでみた。
 

割と本の構成と言うか、著者のサム・ウォルトンだけでなく奥さんや当時の幹部など色々な人の

補足インタビューなどがちょくちょく入ってきて、読みづらい本だったというのが正直な感想。

 

ただ最後の方に「私を支えた10の法則」というのがあり、素晴らしい内容なので是非引きたい。

恐らく本書の価値はここに凝縮している。

 

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法則1:

自分の事業にのめり込みなさい。その事業の可能性を他の誰よりも信じなさい。

私は仕事にそそぐ情熱だけで、私の個人的な欠点を一つ一つ全て克服してきたように思う。

 

法則2:

全ての社員と利益を分け合いなさい。そして彼らをパートナーとして扱いなさい。

そうすれば彼らはあなたをパートナーとして扱い、彼らに何を期待するにしても、それ以上の事を

貴方と一緒にやってくれるだろう。社員たちに会社と利害関係を持つようにさせなさい。

その為には株式を割引価格で提供し、それを退職後に備えて蓄えさせなさい。

それが私たちが行った中で最高の事だと言える唯一のものである。

 

法則3:

パートナーがやる気を出すようにしなさい。金銭や所有権だけでは十分でない。

絶えず、毎日パートナーにやる気を出させ挑戦させる方法を考えなさい。

 

法則4:

社員に出来るだけ全ての事を知らせなさい。彼らは多くの事を知れば知るほど、より良く理解し、

より良く理解するほど、もっと関心を持つようになる。もし社員に知らせないならば、彼らは本島に

パートナーとして見做されていないと思うだろう。

情報は力であり、同僚に権限を与えることによって得られる利益は、競争相手に情報を与える

危険を補って余りあるものである。

 

法則5

事業の為に社員が行う全ての事を高く評価しなさい。心からの勝算は何物にも代えることができないものだ。

それには全く金が掛からない。

 

法則6:

成功を喜び、失敗の中にユーモアを見出しなさい。あまり真剣に考えてはいけない。

リラックスしなさい。そうすれば周りもリラックスするだろう。

 

法則7:

会社にいる全ての人の話を聞きなさい。そして彼らに話をさせる方法を見つけなさい。

現場にいる人々、実際に客と話をする人だけがそこで起こっていることを本当に知っているのだ。

 

法則8:

客の期待に応えなさい。そうすれば彼らは買うために何度でも戻ってくるだろう。

彼らが望んでいるものを~しかも少しだけ多く~与えなさい。

 

法則9:

構想相手よりもうまく経費をコントロールしなさい。

競争における優位は常にここに見いだされる。25年もの間、売り上げに対する経費が最も少ない事に

関しては我々はこの業界にトップに立っていた。

 

法則10:

全ての法則を破りなさい。人とは違う道を行きなさい。昔からの知恵を無視しなさい。

私が長い事、どんな事より多く聞かされてきたのは「人口が5万人以下の町では長くディスカウントストアを

経営することが出来ない」というものだったのだから

(p346)
----------------------

 

 

「ザ・ゴール」by エリヤフ・ゴールドラット

「ザ・ゴール」もはや古典になっている本で、過去にも社会人なり立ての頃に初めて読んだ。
その後ビジネススクールのOperationsのクラスでも読んだので、今回3回目となる。
 

ゴールの世界、つまり「TOC(全体最適化)ワールド」では生産性の指標を次の3つで表す(P97):

 

①スループット

 ・販売を通じてお金を作り出す割合

②在庫

 ・販売するものを購入する為に投資したお金

③業務費用

 ・在庫をスループットに変える為に費やすお金

 

そして大切なことはスループット改善を最優先とすること。これがTOCの核心になる。

そしてスループットを改善するためにボトルネックに手当を行うことで全体フローを改善することになる。

 

「一番ゆっくり歩く人のペースによって列全体のスループットが決まる。しかし、それがいつもハービーとは

 限らない。つまりスループットを妨げる最大の要因は列の中で移動するのだ。ある特定の時間において、

 誰が一番遅いかによるのだ(P180)」

 

そして具体的な措置方法として次のステップを提唱している(P464):

 

Step1: ボトルネックを見つける

Step2: ボトルネックをどう活用するか決める

Step3: 他のすべてをStep2の決定に従わせる(すべてを制約条件のペースに合わせる)

Step4:  ボトルネックの能力を高める

Step5:  Step4でボトルネックが解消したらStep1に戻る

 

読み進めていくに従い、このやり方は工場の製造工程だけでなく、ソフトウェア開発にも当てはまるのでは、

と思い始めた。ソフトウェアの開発ではタスクを各人に割り当てていくが、ボトルネックの人が

開発のペース、完成度を決めるので、上記Step1~5までのプロセスを経て措置していく、

というのは腹落ちする考え方だと思った。

 

最新刊も良いが、こうした古典に振り返っていくと普遍的なこと、基本に立ち戻ることが出来る。

「ザ・ゴール」やはり名著だった。

 

 

『ファスト&スロー(下)』by ダニエル カーネマン

上巻に続き、下巻のレビュー。

下巻で印象に残ったのは「経験豊富な専門家が主張する直感はどんなときなら信じてよいか?」という問いだ。

将棋の羽生善治の「直感の7割は正しい」というセリフは有名だし、似たような話で孫正義の「成功率70%は90%より優れている」といセリフもある。本書にはこの「エキスパートの勘」を科学的に説明する箇所がある。

 

”状況が手がかりを与える。この手がかりをもとに、専門家は記憶に蓄積されていた情報を呼び出す。
そして情報が答を与えてくれるのだ。直感とは、認識以上でもなければ以下でもない」 
この力強い指摘によって、魔法のように見える直感も、日々のありふれた経験に成り下がる。(No.265)”

 

"判断が本物の専門知識やスキルに裏付けられているのはどんな場合で、妥当性の錯覚を露呈している
のはどんな場合だろうか。答は、スキル習得の二つの基本条件から導き出すことができる。
①十分に予見可能な規則性を備えた環境であること。 

②長期間にわたる訓練を通じてそうした規則性を学ぶ機会があること。
この二つの条件をどちらも満たせるなら、直感はスキルとして習得できる可能性が高い。チェスは、規則性のある環境の代表例と言える。ブリッジやポーカーも明確な統計的規則性を備えており、こちらもスキルとして習得可能だ。医師、運動選手、消防士が置かれる環境は、複雑ではあるが、基本的には秩序がある。(No.342)”

 

将棋というものを考えると、①に関しては駒の動き方が決まっており、つまり明確なルールがあり、

②に関してもエキスパートの直感的なスキルの習得は、基本的には、質の高いフィードバックをすぐに得られるかどうか、そして練習し実践する機会が十分にあるかどうかにかかっているそうで、棋士たちは勉強会などを

通じて日々研究に勤しんでいる。つまり羽生善治は将棋のルールの中で、日々研究を繰り返すことで、

パターンを「認識」している、と言える。そしてその認識は記憶され、その場面に至ったとき、記憶から取り出される、というわけだ。従って「直感の7割は正しい」というものは科学的に見てもその判断が信頼できると証明された、名言だと言える。

 

最後に本書は「幸せな人生とは?」という問いにも科学的に回答を出している。

一言で言うと「エンディングがすべてを決める」というもので、著者が実験したところによると、

 

”「しあわせの総量」は全人生にわたって実感されたしあわせの合計ではなく、人生における代表的な時間の

しあわせとして認識されている(No.3870)”

 

従ってしあわせのピークは一番最後に来た方が(記憶に鮮明な方が)良いという事になる。

「終わり良ければ総て良し」ということわざも科学的に根拠があるとは。。。

 

 

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