「得手に帆を上げて」  -3ページ目

「ローマ人の物語Iーローマは一日にして成らずー」by 塩野七生

このブログもしばらく未更新のままになっていたがKindleで「ローマ人の物語」を買った。
休んでいた間にも本は読んでいたのだが、この機会に書評を再開したいと思う。

有名なコピーとなった「知力ではギリシア人に劣り、体力ではケルトやゲルマン人に劣り、
技術力ではエトルリア人に劣り、経済力ではカルタゴ人に劣るローマ人だけが、なぜ巨大な世界帝国を
繁栄させることができたのか?」という問いを15巻に渡って記したのがローマ人の物語だ。

まず第1巻はローマ建国(紀元前753年)から第1次ポエニ戦役直前までの500年間の期間をカバーしている。
会社でも国でも大体同じだと思うが、黎明期は一歩進んで三歩戻るような感じで、
ローマも周囲の中の一国に過ぎなかった。でも著者も言っているように、「ローマが大をなす
要員のほとんどは、この500年の間に芽生え育まれたのである(No.139 序章)」

同時期にはアテネやスパルタなどの都市国家も登場する。民主主義の発祥の地はギリシャであり、
文明の高度さも比較にならなかった。しかし何故ギリシャは衰退し、ローマは1000年も隆盛を続けたのか?

この問いに答える為、著者は3人のギリシャ人の歴史家の説を紹介している。
1人目はディオニッソスでローマ人の宗教観に求めた。

「人間を律するよりも人間を守護する型の宗教であったローマの宗教には、狂信的傾向が全くなく、
 それゆえに他の民族とも、対立関係より内包関係に進み易かったからだろう。他の宗教を認めるということは、
 他の民族の存立を認めるということである(No.4034 ひとまずの結び)」

この宗教観に関して、次の下りが秀逸だったのでここに引く:

「人間の行動原則の正し手を、宗教に求めたユダヤ人。哲学に求めたギリシャ人。法律に求めたローマ人。
 この一事だけでも、これら三民族の特質が浮かび上がってくる(No.620 第1章ローマ誕生)」

余談だが、司馬遼太郎の本が何故永く読み続けられている理由の1つとして、歴史上の出来事や
人物を通じて、現代にも通じる人間関係の機微を描いたからだと思う。だからこそ経営者に受けた。
「関ケ原」で家康と三成の対立軸を「利」と「義」で描いた辺りはその好例だと思う。
即ち、人間は「利」で動くものだとの判断で、豊臣方の大名たちを切り崩した家康。
一方人間は「義」で動くものだと最後まで信じ、結果的には、諸大名の裏切りで敗れてしまった三成。

同じように「ローマ人の物語」がベストセラーになった背景として、ローマ史の魅力だけでなく、
歴史や登場人物に対する鋭い洞察が現代でも通用する普遍性を持っているからだと思う。
読んでいて唸る箇所が幾つもあった。

話を戻すがローマ隆盛の原因として2人目の歴史家ボリビウスによると政治システムの確立にあった。

「王政、貴族政、民主政という、それぞれが共同体の一部の利益を代表しがちな政体に固執せず、
 王政の利点は執政官制度によって、貴族政の利点は元老院制度によって、民主政の良いところは
 市民集会によって活用するという、ローマ共和制独自の政治システムに興隆の因がある
(No.4038 ひとまずの結び)」

3人目のブルタルコスによるとローマ隆盛の要因を「敗者でさえも自分たちと同化する彼らの
生き方をおいて他にない(No.4043 ひとまずの結び)」としている。

そしてこの3人の歴史観を参考に著者はローマ隆盛の真因を「開放性」に結論づけた。
2000年後の超大国アメリカの国民性が同じ「開放性」だということに歴史の普遍性があると思う。
宗教観を除いて、ローマとアメリカの特徴は驚くほど似通っている。

毎度で恐縮だが、日本人の国民性は「閉鎖性」だろうか。
う~む。


ローマは一日にして成らず──ローマ人の物語[電子版]I/新潮社

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父からの手紙

今日、父親から手紙をもらった。ちゃんとした手紙をもらったのは初めての経験だった。
結構プライベートな内容だし、ブログに載せるか迷ったが、書くことにした。
ここに書いたことを5年後、10年後の自分がどう思うだろうか?そんな事を考えながら書くことにする。

事の起こりは今年の正月に帰省中の自分に父親から、将来は家に帰り、親の面倒を見るように言われた。
まるでドラマの1シーンのような感じで、妙なデジャブを感じつつ、でもまさかその日が来るとは思わなかった。
恐らく皆も経験するシチュエーションなんだろうけど、自分の身に起こると流石にショックだった。
僕は一人っ子なので、いつかは引き取ることになるんだろうと漠然と思っていたが、
心の準備が出来ていないというか、本当に正直に告白すると、どちらが一人になった時点で、と思っていた。
そんな状況だったので、よく覚えてないが何か色々喚いて、急いで実家から帰ってきたのだった。

それから1か月後、父親から手紙が来た。

「この前、40代になったら親の面倒を見ろ、と言ったのは取り消す。
 今の時代はそんな時代ではないと判りました。父の田舎の同窓会関係で同級生と話したら、
 我々の育った時代は、高度成長の前の時代で、勤め始めて10年後には高度成長期に入った。
 働き口はいくらでもあり、給料もどんどん昇給する時代で、あんなことは今や昔話になった。
 
 今はデフレ、不況が長引いて、アベノミクスは大企業中心で掛け声だけで、一般国民には
 低賃金、社会保険の切り下げ、消費税の増税と暮らしにくい経済状況です。
 その中で皆自分の生活を守る為に懸命に努力している。君の苦労も判る気がしてきた。
 父と母の事は年金で何とかなるから、君はマイペースで頑張ってくれ。その中、よくなることも
 あるだろう。もし、困ることがあったら親に相談してくれ。出来る限りの援助はするよ。
 お互い元気で頑張ろう。時々、帰ってきて、母さんの手料理でも食べてくれ。では又。」


照れ屋で、極端に口下手な父親から、こんな手紙をもらうとは思わなかった。
この年になってまさか「父と子の物語」があるとは思わなかった。

正直、読み終わって複雑な気持ちになっている。恐らく寂しさを隠して手紙を書いているんだと思う。
本当は戻ってきてほしいのだと思う。ただ、自分の気持ちを正直に書くと、やはり今は難しい。
今の中途半端な自分では、実家に戻ると「負け」という気持ちが自分の中で残ってしまう、と思っている。

5年後、10年後の自分がこのエントリーを見て、どういう気持ちになるんだろうか?
後悔するのだろうか?親不孝を嘆くのだろうか?
仮にもしそうだとしても、今は未だ自分の気持ちを優先させたいという気持ちが勝っている。





 

「ビートルズの真実」by 里中哲彦、遠山修司

実を言うと、中学でビートルズに出会ってから、イカレてしまい、以降ずっと熱狂的な
ビートルズのファンで居続けている。アルバム全部持っているのは当たり前で、最近はずっと
コンタクトにしているが、今でも家ではJohn Lennonの丸メガネです(もう25年近く変えてない)。

そんなビートルズ大好き人間の僕にとっては何とも楽しいビートルの薀蓄本だった。
ハンブルク時代から、解散に至るまで様々なフェーズで、面白エピソードが満載である。
話題も音楽面での薀蓄から、ビートルズの女性関係まで幅広くカバーしているので飽きない。
この手の薀蓄本は興味にない人には全く刺さらないが、マニアにとってはこの上なく楽しい。
550ページのボリュームながら、仕事帰りの電車の中で、疲れた心と体を癒してくれた。

ビジネス関連の本は仕事柄どうしても読む必要があるのだが、やはりリラックスとか気分転換に
なるオタク本も楽しい。いや、こっちの方が断然楽しい。

ビートルズの真実 (中公文庫)/中央公論新社

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「Hard Things」by ベン・ホロウィッツ

ベンチャー界隈で話題になった本で、僕も読んでみた。
著者は現在はシリコンバレーの著名VCのGPをしているが、それ以前はネットスケープ創業に
参画後、自らオプスウェアという会社を興し、16億ドルで売却したという経歴を持つ。
サラリーマン中心の日本のVCと違い、経験豊富なシリコンバレーのVCでも特に実業経験の
豊富なVCとして有名で、本書は「経験してきた者」だけが持ち得る貴重な知見に満ちている。

基本的にこういう本はビジネススクールでやったケーススタディーと似ていて、
ここで書かれている知見はその場に遭遇した時に引き出しに出てくるのだと思う、
その意味では1回だけでなく、今後何回か読むべきだし、その度に新しい発見がありそうだが、
取りあえず、自分の備忘録として初見で印象に残ったラインを幾つか引く。

「P67: デッドラインを過ぎることは設定しないよりは良い行動だ」

「P84: 正しい製品を見極めるのはイノベーターの仕事であり、顧客のすることではない。
    顧客にわかるのは自分が現行製品の経験に基づいて欲しいと思っている機能だけだ」

「P95: スタートアップの経営者は確率を考えてはいけない。答えが見つかる確率を考えては
    いけない。とにかく見つけるしかない。~中略~(成功するCEOで)際立った共通項が
    あるとすれば、良い手がないときに集中して最善の手を打つ能力だ」

「P173:スタートアップの場合、自分が仕掛けない限り何も起こらない。会社の立ち上げ時期
    には、1日に8から10のプロジェクトを処理できなければ、会社は止まってしまう」

「P288:英雄と臆病者の違いは何か?実は人間には何も差はないのだ。差はその為すことにある。
    両者ともに感じることは同じだ。どちらも死んだり傷ついたりするのは怖い。
    臆病者は直面すべきことを直面しない。英雄は自信をしっかり制御し、恐怖を
    跳ね除けてしなければならないことをする。しかし英雄も臆病者も感じる恐怖は
    同じなのだ」

実はこの本は採用や人事制度についてかなりのページを割いて議論している。
これらの分野は一般的に「答えがない分野」で、こうしたベンチャー本にもそれほど
多くのフォーカスをされてこなかった。本書が特筆すべき点は、こうした今までカバレッジが
薄かった分野にスポットライトを当てた事だと思うが、残念ながら今の僕には彼の知見を
消化しきれてない。これは未だに人を雇ったことがないからだ。
僕はまだこの本の知見をフルに吸収できない。
僕が初めて人を雇い、組織を作り始めたとき、もう一度、この本を開いてみたいと思う。




HARD THINGS/日経BP社

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フランス滞在記

3月半ばから4月末まで1か月半くらい仕事でフランスに滞在してました。
個人的なパリの散策記としてブログに書きます。

パリの街並み

僕が行ったことのある外国の都市はアメリカは30余州、カナダ、イギリス、中国(北京、上海、東莞、香港)、
台湾、といったところだけど、その中ではパリはダントツに美しかった。もう比較にならない。
多分、比べるならイギリスとなんだろうけど、確かにイギリスも古く美しい建物は数多く残っている。
ただ町全体を見渡してみると、所々にマクドナルドやコンビニなどが点在し、街並みとしての
統一感がチグハグな印象があった。どちらかというと建物が昔のまま残っている感じ。

一方、パリは街並みそのものが中世のころからそのまま残されている感じで、数キロ四方に
わたってずっと中世の街並みが続いている。下の写真のような感じ。街を歩いているだけで最高に楽しい。
フランス人の文化保存に対する頑なさはよく揶揄の対象になるけど、これだけ美しい街並みを守り抜いている
フランス人に正直、尊敬の念を抱いた。京都人に見せてやりたい。


美しい中世の街並みがずっと続くパリの街並み。


こういう小路は本当に18世紀にタイムスリップした感じになるほど、雰囲気があった。


ノートルダム寺院。寺院の壁を覆う、彫刻の美しさは言葉にできない。
恐らく日本の中世ヨーロッパのイメージはフランスをベースにしているなと思った。


オルセー美術館

印象派のコレクションで世界的に有名な美術館。
実は僕の父親が絵画が好きだったこともあって、印象派の画家の画集が家にあって、
子供のころにずっと画集を見ていた。そんなこともあってオルセー美術館は是非行ってみたい美術館だった。

オルセー美術館の5階には印象派の特設コーナーが設けられており、モネなどの印象派の黎明期の
絵からルノワール、セザンヌなどの印象派の全盛期に至るまで時系列に数百を超える印象派の絵が
展示されており、もうお腹いっぱい。印象派が好きなら絶対に行くべき。決して後悔しない。


ルノワールのピアノによる少女たち。画集で小さい頃に見た絵の本物を真近に見れて感動。

ルーブル美術館

オルセー美術館の印象派中心のツボを押さえたコレクションに対し、こちらは芸術のデパートという感じ。ちなみにドゥノン翼にはモナリザ、ミロのビーナス、サモトラケのニケなど世界に冠たる展示品が集中している。特に2Fのグランド・ギャラリーは圧巻。ダビンチコードの舞台にも
なった全長数百メートルの大回廊にルネッサンスから中世ヨーロッパにかけての数百点の絵画が
展示されている。モナリザ、岩窟の聖母、ナポレオンとジョセフィーヌの戴冠式、民衆を率いる自由の女神などあまりに有名な絵画が展示されているので、ボッティチェリとか見向きもされない。。。

更に寂しいのがリシュリュー翼。ほぼ人がいない。が、ここにはハンムラビ法典など屈指の美術品がある。個人的にはマルリーの中庭とルーベンスのマリー・ド・メディシスの生涯が印象に残った。

ルーブルには確かにエジプトやオリエンタルの美術品も展示されているが、やはりギリシャから
始まりルネッサンス、中世ヨーロッパなど西洋文明が中心のコレクションだと思う。
パリが西洋文化の中心地なら、ルーブルはその歴史の象徴という感じ。ザ・西洋という感じで、
たっぷり堪能できた。


お約束のモナリザ。混んでてよく見えなかった。


こちらもお約束のミロのビーナス。


パリっ子

アメリカで暮らしていると、とかくフランスの悪口をよく聞く。やれスノブだ、愛想がないだ、意地悪だ、など。
ただ1か月半暮らしてみた実際の印象は全く違った。確かに英語は通じづらい。ただ、非常にフレンドリーで
親切でな人たちだという印象を強く持った。特にはにかむような女の子の笑顔はアメリカ人にも
見習ってほしいくらい可愛い。

おしゃれで、洗練されて、足がカモシカのように細くきれいで、カフェでエスプレッソ飲んでいる
姿が実に小粋な、そんな感じが僕が受けたフランス人の印象だ。
是非、また戻りたい。夏に!

「大地の子①~④」by 山崎豊子

中国残留孤児をテーマに扱った山崎豊子の作。ドラマにもなったので割と有名な小説だと思う。
著者はこの作品を書くために、1984年から胡耀邦総書記に3回面会し、取材許可を取り、
当時外国人に開放されていない農村地区をまわり300人以上の残留孤児から取材したらしい。
残留孤児の悲しい運命を見事に描いており、特に主人公の妹、あつ子の最後は恥ずかしながら
号泣してしまった。

ただ個人的にはこの本に最も印象に残ったのは中国残留孤児の悲しい運命ではない。
むしろ彼らが感じるアイデンティティーの相克が近い将来、日本にとっても重要な示唆になるだろうと感じた。

僕は日本人として生まれ、日本人として育った。だから自身のアイデンティティーについては
何の疑問もない。ただ僕が国際結婚をしたら、子供たちはどう思うのだろうか?
もっと社会に向ければ、今後も変わることなく続く、グローバリゼーションの中で
移民や永住者、未来の日本人たちのアイデンティティーはどう変わっていくのだろうか。
本書の最後で主人公の陸一心の心の動きが非常に印象に残った。

「一心(主人公)は外事規律を犯してまで日本の家を父を訪ねたとことを思った。
 仏壇の前に坐った時、いままで味わったことのない心の安らぎを覚えた。それは自分の出自から
 完全に解放され、何の緊張感も伴わない神経の安らぎであった。そうした中で、亡き母、
 祖母、妹たちの位牌に線香をあげ、手を合わせた時の深い悲しみと思慕、特に母の白い
 割烹着の写真を見た時の慟哭は、生涯忘れぬものであった。

 さりとて范家屯の両親と北京の妻子の事を思うと、容易に決しかねた。たとえきちんと面倒を
 見続けるとはいえ、范家屯の父に切り出せるだろうか。もし日本に帰ることを告げれば、
 父は慟哭し、病の床に伏してしまうのではあるまいか。自らの命を賭けて一心の冤罪を
 そそぎ、救ってくれた恩愛の父、一方、妻も子もなく一人で湯を沸かす日本の父。

 一心にとって、まさに二人とも父以外の何物でもなかった。日本へ帰って、日本人として
 生きるべきか、このまま中国に留まって中国人として生き抜くべきか。一心は戸惑い、思い乱れた。」

今回フランスに滞在し、グローバリゼーションがもはや引き返せない段階まで進んでいることを痛感した。そうした世の中では自身のアイデンティティーが揺らぎ、常に自分が何者なのかを
問いかけさせられる。大地の子を読んで、残留孤児のアイデンティティーの相克を感じて、
この本は過去ではなく、むしろ未来の日本への示唆に見ていると感じた。

 

大地の子〈1〉 (文春文庫)/文藝春秋

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大地の子〈2〉 (文春文庫)/文藝春秋

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「ロボット革命~なぜグーグルとアマゾンが投資するのか~ by 本田幸夫」

今月から仕事でロボット絡みのコンサル業務に入ったので、ロボットの勉強のために読んでみた。
総論としてはあまり参考にならない本だった。少なくともお薦めは出来ない。

本の副題は何故Googleが投資するのか?だが、著者によると

「Googleがロボットカーの開発に乗り出した動機は2つ考えられます。
 一つは資金が潤沢にあるため、税金を取られるくらいなら投資をする方が得だという損得勘定です。
 2つ目はバーチャルな世界であるIT技術が実世界の人間に関係するときのIFとして、
 ロボットは投資する価値のある選択肢の1つだという判断があると思います。」

1つの理由には正直目が点になった。2つ目は方向性は正しいと思うが、これ以上の掘り下げが
全くなされておらず、こちらも目が点になった。

また日本でロボット産業が伸びていく条件として、政府調達を増やすこと、とCTOとCEOの
棲み分けを明確にし、特に経験豊かなPMがCEOになることの2つを挙げている。
正しい主張だが、この程度の議論で800円の価値は無いと思う。またまた目が点になった。

と、全体的にかなり辛めのコメントになったが、1つだけ面白い考察があった。
それは日米のロボットの注力分野の比較で、日本のロボット開発はその根底に「作業」の
概念があり、したがって開発の主眼が「多様で複雑な作業」にあるのに対し、米国の場合、
その根底に「AI」があるため、開発の主眼が「認識技術」や「データ処理技術」に置かれている、とのこと。

この考察を読んでPCでWintelでぶっちぎられた90年代のデジャブ感が蘇ってきた。

ロボット革命 なぜグーグルとアマゾンが投資するのか(祥伝社新書)/祥伝社

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「火車 by 宮部みゆき」

ベストセラー小説の1つに数えられることの多い「火車」。
実は宮部みゆきの本は未だ読んだことがなかったが、宮部みゆきの入門として代表作を読んでみた。

600ページ近くになる大著だが、一気読みだった。
僕が小説を読むときに見るポイントとして次の3つがある。

・プロットがキチンと練られているか?
・取材をちゃんとして事実の裏付けをしているか?
・登場人物たち役割と感情表現の描写

関根彰子とその戸籍を乗っ取った新城喬子。カード破産という社会問題になった不幸な経験を
共有する2人の物語が中心になっているが、この辺りのプロットが幾重にも綿密に練られていている。
個人的には新城喬子がどうやって関根彰子を見つけ出していったかのプロセスが面白かった。
特に最終盤で新城喬子の第1ターゲットが実は関根彰子ではなかったのは?という辺りは秀逸。
唯一残念だったのは新城喬子の物語に結末を与えなかったこと。著者としては恐らく意図的に
そうしたのだろうが(読者の想像にゆだねるという)、個人的には新城喬子も十分に地獄を
見たのだから、救済を与えてほしかった気がする。

取材の緻密さに関しても、カード破産に関する法律を部分をちゃんと調べており、関根彰子の
破産管理弁護人の溝口弁護士の口を借りて、著者のカード破産に関する主張をしている。
この考え方が本書の重要なテーマになっている。

最後に登場人物たち役割と感情表現の描写だが、ここが秀逸だった。なかなかお目に掛かれないレベルで。特に「寂しさ」とか「孤独」とかがこの物語の重要なサブテーマになっているのだが、
この辺りの感情表現の巧みさは舌を巻く下りがいくつもあった。単純に読んでいて楽しい。

全体として、本当に面白くベストセラーになるべくしてなった本だと思う。
個人的には服部真澄の「GMO」に匹敵するくらい一気読みできた本だった。
ただ1つネガティブなコメントを付けるとしたら、やはりちょっと「暗い」。
この暗さが読む人によっては好き嫌いに若干影響してくると思う。



火車 (新潮文庫)/新潮社

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「ツイッター創業物語 by ニック・ビルトン」

すでに一回りどころか、二回りくらい周回遅れになった感があるが、とりあえず読んでみた。
文句なしに面白かった。「Google ネット覇者の真実」が位置づけとしては似通っていると思うが、
あちらがどちらかと言うと、小綺麗に仕立て上げた創業物語であるのに対し、「ツイッター創業物語」は、
「エゴ」や「孤独」などの語句が頻繁に登場するように、かなりエグイ内容で、創業者たちが
その発展の過程でどうやって分裂していったかがかなりビビットな感情表現をもって描かれている。

ただ本書はそうしたスキャンダラスな部分だけでなく、ツイッターの発展の過程を丁寧に描いている。
例えばオプラのショー、アル・ゴアとの会食、イラン革命、フェイスブックからの買収提案など、
ベンチャーに携わる人間にとっては、ベンチャーの成長の軌跡を疑似体験できるような
仕立てになっており、色々と参考になる。こういうのがいつか引き出しになってくるんだと思う。




ツイッター創業物語 金と権力、友情、そして裏切り/日本経済新聞出版社

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「夢をかなえるゾウ2 by 水野敬也」

以前、読んだ夢を「かなえるゾウ」の続編が出てたので、読んでみた。
先に結論から言うと、良い本だけど、前著ほど良くはない。
若干ネタ切れ感が出ているのと、主題である「お金」のところの深堀り感が今一つ。

その上で幾つか良かった下りを引く:

「人間にとって一番怖いのは、将来が見えない事じゃなくて、将来が見えてしまうこと(p15)」

「最終的に成功する人間ちゅうのはな「自分には才能がない」ちゅう不安を持っている人間なんや。
 そういう人らが、人の意見に耳を傾けて、試行錯誤していく事で最初のころには想像もでけへん
 かったような成長を遂げるんや。(p90)」

「他人に与えることは大事です。でも、ただ与え続けるだけの人は貧乏神に好かれてしまうのです。
 お金持ちになるためには、他人に与えるだけでなく、他人から受け取らなければいけません。(p248)」

「「いい人」というのは、他人を喜ばせるのではなく、他人から嫌われたくないという気持ちから
 自分の欲求を押さえつけてしまう人です。でも、そういう人が何かを手に入れることはありません。
 なぜなら、自分の欲求を抑え続けることで、どんどん「やる気」を失ってしまうからです。(p249)」

「人がに何かに憧れるとき、その世界はまるで夢の国のように見えるもんや。その仕事の中にある
 つらい事や苦しいことは目を向けずに、ええとこばっか見てまうからな。
 ダンデミス君はこう言うてるは。「ひとの幸せを羨んではいけない。なぜならあなたは彼の
 密かな悲しみを知らないのだから。人が何かに憧れる理由はな、その事を知らんからやねん。(P264)」 

ちなみにこのエントリーを閉じる前に、前著のエントリーの振り返りを少し。
以前のエントリーはこちら→ http://ameblo.jp/yt25/entry-11873831273.html

このエントリーの終わりに「メガソーラーを作る」と宣言をした。今から丁度半年前のことだ。
今のところの進捗は、某市の発電事業者の公募にパートナー企業と提出した。結果は残念だったが、
実務に詳しいパートナー企業さんだったので太陽光発電に関して色々勉強させて頂いた。
その後も色々と案件を共同で仕込もうという話になったのだが、例の九電ショックで今はペンディングの状況。ただ一度足を踏み込んだので、今後も色々な案件に巡り合えると思っている。
太陽光以外でも、小水力発電、バイオマス発電、波力発電など色々な発電事業を物色している。
この中で必ず一つは実行に移したい。それが「かなえるゾウ」の一番大事なメッセージだと思う。

夢をかなえるゾウ2 文庫版 ~ガネーシャと貧乏神~/飛鳥新社

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