事業承継に力を入れることにより、中小企業の力を温存しよう、という取り組みがされています。

 
ゼロから操業することも大事ですが、今、すでに活動している企業にそのまま頑張り続けてもらう、というのも非常に重要です。
 
今日ご紹介するのは、
 
「北のふるさと事業承継ファンド」です。
 
北海道、北洋銀行、北海道銀行、など道内の金融機関と北海道中小企業総合支援センターが出資者となっています。
 
仕組みは、親族外の後継者や他の企業がその会社の株式等を引き継ぐ場合、その引き継ぎ資金をファンドが立替え、スムースな承継を行う、というものです。
 
ファンドですので最終的には投下資金を回収して退出、ということが予定されていますがその運用は弾力的に行われるようです。
 
一案件の投資上限は3000万円。ファンドの規模は5億円となっています。
 
利用するためには「債務超過でない」「2期連続の赤字でない」などいくつか条件があります。
 
のサイトで詳細をご確認ください。

 並みはずれた知力体力を持った棋士が一対一で戦う、将棋。

 

 どのように戦略を組み立てるのか。どうやったら勝つのか。何が足りなくて負けるのか。

 

 経営の考え方に直結するポイントがいっぱいある競技だと思っています。

 

【基礎知識・棋士とは?】

 

 プロ4段になると一人前の棋士として扱われます。日本にいる棋士は164人(平成28年12月、日本将棋連盟HPより)。このうちタイトルホルダーはわずか7人。

 4段に昇格する人は年4-5人しかいません。

 

 プロ野球は12チーム。1軍登録は28名、支配下選手数をざっと各チーム60名とすると720人のプロ選手がいることになります。ドラフト指名を得られる選手は大体30名。

 

 棋士になるのがいかに狭き門で大変なことかわかります。

 

 1993年に最年長・50歳で名人になった米長邦雄氏は、「私(米長)の兄たち3人は頭が悪かったので東大どまりでしたが幸い私は頭が良かったので棋士になれました」とコメントしています。

 

【近代の将棋はどうなっているか】

 

 棋譜のデータベース化が進み、最初の40-50手は研究しつくされていると言って過言ではありません。そのあたりまでの手の進み具合を見ると、「〇年の○○戦第〇局」と同じ、というところまですぐわかるそうです。 

 

 問題はそのあとの終盤。ここでそれぞれの棋士の個性、読み、など総力戦になっていきます。

 

 羽生名人は、

 

 「近代将棋は、序盤は過去の棋譜と照らし合わせながら、いわば高速道路を車で全速で走らせるイメージ。ここで運転を誤るようでは勝てません。そのあとの終盤は車を乗り捨てて裸足で全力疾走する感じです」と述べています。

 

 棋士は人智を超えた世界で戦っているのです。

 

 羽生名人は、著書の「決断力」の中で、「対局中は人智の及ぶ限界のところにいるのを感じる。もう一歩踏み出せは狂気の世界に行ってしまうような感覚がある」と書いています。

 

決断力 (角川oneテーマ21)

決断力 (角川oneテーマ21)

 

【棋士が長考するとき】 

 

 羽生名人は「決断力」の中で「直感で決めた指し手は7割方正解」「長考した末に打つ手はあまりよくありません。結局、迷っている、ということですから」と書いています。

 

 対局中の棋士の脳波を測定すると、右脳が活発に動き過去の記憶データベースを総動員して直感を働かせ、「これは」という手を見つけると左脳が動き出し、手の検証を行うのがわかるそうです。

 

 経営も同様。経営者が決断を求められるとき、結局は「直感」で決める、と。

 

巨象も踊る

巨象も踊る

 

【根気、執念】

 

 谷川名人の「集中力」には、

「未知に踏み込む気力が勝負を分ける」

「自分はダメだと思った瞬間に吹き飛ばされているのがこの世界」

 

 と書かれています。タイトルをとってもすぐ指し手は研究され追いつかれます。第一線で戦う力を維持するには新たな指し手を研究する、気力を維持することが大事なのです。

 

集中力 (角川oneテーマ21)

集中力 (角川oneテーマ21)

 

 

【そしてメンタル】

 

 「吹き飛ばされる」と谷川名人が言っていますが、大物の先輩棋士と指すときは本当に台風並みの風を感じるそうです。

 

 ちょっとした相手のしぐさ、で動揺し負けていく…谷川名人が中原名人と対局したとき、どうみても勝った、という情勢で中原名人がめがねを拭いたそうです。「そんな余裕はないはずなのに」「どうして…」と迷ううちに逆転で負けた、と。

 

 メンタルの強さ、自分を信じる力の強さが勝負(経営)を分ける。実力がありながら年齢制限までに四段昇格ができなかった今泉さん。特例の四段昇格のチャンスを得ながらそれもメンタルの弱さ、勝負弱さから敗退。しかし、最後の最後、再度めぐってきた特例の昇格チャンスをものにします。

 

 愛する伴侶を得たこと、直前に介護職を経験し自分とともに喜びを分かち合ってくれる仲間を作れたことが今泉四段の大きな力を引き出しました。

 

介護士からプロ棋士へ 大器じゃないけど、晩成しました

介護士からプロ棋士へ 大器じゃないけど、晩成しました

 

 こんな本も。森内名人の本です。

覆す力 (小学館新書)

覆す力 (小学館新書)

 

「勝負をひっくり返す妙手はないが勝負をひっくり返すミスや悪手はある」

 「ミスは一回までなら取り返しがつくが二回やると取り戻せない」

 「負けてもいい。負けるときは次につながる負け方をするべき」

  羽生世代といわれる森内名人。羽生名人の強さ、棋風についても触れられていて、「これといった印象的な手はないのだがいつのまにか自由自在に局面をあやつられ、最後に負けてしまう」「羽生名人がミスをしても、実は何か意図があるんじゃないかと深読みしてこちらが自滅してしまう」と。

 

 棋士の本を読んで感じるのは強くなるプロセスとは人間性が出来上がってくるプロセス、ということです。目先のことに一喜一憂せず、自らを信じ、全力を尽くす…

 

 そのまま経営者のメンタルにあてはまることです。

 

(2020.7.18追記)

 昨日、藤井7段が棋聖位を奪取、初タイトル獲得を果たしました。

 AI将棋が人間に勝つようになり、さらに将棋のスタイルが変わったと言われます。定跡にとらわれないAIのうち手を棋士の側が研究することで打ち手の幅が広がった、とされます。

 

 

 少数株主の株式買取請求権についてお聞きになったことはあるでしょうか。

 

 中小企業の場合、オーナー社長が株式を100%持っている、というケースも多く見られます。

 

 その一方、ある程度の規模に成長し、過去の利益の蓄積がされている、純資産の部に過去の繰越利益剰余金がたまっている状態の会社ですと、

 

 最初はオーナー社長が100%株を持っていた。

 オーナー社長が死に、子供三人に株を均等に分ける形で相続を終えた。

 子供三人のうち長男が社長、次男、三男は専務として社業を継いだ。

 長男が死に…

 

 

 ということが繰り返されると株式はどんどん細分化され株主の数が増えていきます。

 

 この状態が非常に危険なのです。

 

 実は10年前からこのリスクについてブログ記事やセミナーなどで解説していました。

 

 2010年11月13日記事、事業承継セミナー完走!

 

 

 代替わりがどんどん続き、株式が相続によりどんどん散っていくと、3代目以降になると、株は持っているが一度も出社したこともなく、その会社がどんな会社かよくわからない、という株主が出てきます。

 

 その株主やそのまた子供の株主がおカネに困ったとき、会社に株式買取を請求することができるのです。

 

 その前に「株式の譲渡制限」という言葉を押さえておきましょう。

 

 中小企業の株式に譲渡制限をつけ、会社の知らないうちに第三者に株式が譲渡されないようにしておくことが普通です。株主が複数いる場合に第三者がそっと株を買い集め、突然その権利行使をしたりしないように、という目的です。

 

 6か月間株式を保有していれば、

 

 役員などに対し責任を追及する訴訟を提起することができます。

 

 株式の3%を持っていれば、

 

 会計帳簿の閲覧の請求もできます。

 

 会社の業務執行に関し、不正行為や法令、定款に反する行為があると疑われる場合、裁判所に申し出て会社の業務や財産状況を調査させるため検査役を選任することができます。

 

 役員の職務執行に不正行為があったにもかかわらずその解任議案が株主総会で否決されたとき、改めて解任請求できます。

 

 会社に対して嫌がらせをする目的でこれらの株主の権利を行使されたのではたまりません。業務が停滞します。

 

 株式に譲渡制限をかける副次的なメリットとしては、

 

 「取締役会設置をしなくてもよい」

 「役員の任期を最大10年にできる」

 「株券不発行を選択できる」

 

 などもあります。

 

 さて、この譲渡制限がある状態で、少数株主Aが未知の人物に株式を譲渡したい、承認して欲しい、と言って来たらどうしますか?

 

 当然、「譲渡は認められない」という判断を下すと思います。その場合、その少数株主Aは譲渡承認請求と同時に、「もし承認されない場合は株式の買取をして欲しい」という請求をするのが普通です。

 

 そうなると会社が買うか(自社株買い)、誰かを指定して(例えば代表取締役を指名して代表取締役個人が買うか)ということになります。

 

 買取価格の算定はいくつか計算方法がありますが内部留保が厚い会社の株は評価額が上がりがちです。株数にもよりますが数千万円、億円単位になることも珍しくありません。

 

 …そしてその価格で会社や会社が指定した個人が買わなければならない、ということになります。

 

 会社や社長にとって思わぬキャッシュアウトです。このコロナ禍の中でそれが起きたら?災害で被害を受けた中でその権利を行使されたら?

 

 このリスクを回避するためには、

 

 「株主を無意味に増やさない

 「常に株主との関係を良好に保つ

 「株主への利益還元=配当をしていく」=持っていた方が良い、と考えさせる

 「関係がうすく、会社経営に関係のない株主の株はあらかじめ自社株買いしておく

 

 という手立てが必要になります。

 

 最近、中小企業の譲渡制限株式の売買を仲介して株を現金化する、というサービスが出てきましたがこの仕組みを使ったものです。

 

 金融商品取引法の免許がない状態で株の売買の仲介ができるのか、という疑問がわきますがそのような業者も現れてきているのです。

 

 金融庁は、

  • 未公開株の買取行為には、金融商品取引業(証券会社)の登録が必要ですが、日本証券業協会に所属する会員会社等は、グリーンシート銘柄以外の未公開株式については、原則として勧誘を行っていません。
  • 未公開株への投資の勧誘で、以下に掲げる項目に1つでも該当するものがある場合には、詐欺的な商法の可能性が高いので、一切の関わりを持たないことをお勧めします。

 とし、その例として、「未公開株の買取業者・助言業者等を名乗る業者から、買取等の勧誘を受けている。」としています。ご注意ください。

 

 相続が発生した際、株式を散らさずに済む相続税法上の特例も出ています。

 

 2018年3月7日、15-2 事業承継税制、大幅緩和へ

 

 

 

 少数株主の買取請求権にご注意を。会社にとって大きなリスクです。

 

 

youtube番組でコロナ対策を説明しています。昨日公開の新着動画です。

コロナ関連以外にも「リスケをしたら」「期限の利益喪失」「保証協会付融資が延滞したら」「不渡りが2回出たら」など中小企業経営のキモについてご説明しています。動画140本以上。

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