事業承継の大きなネックは連帯保証でした。

 

 経営者の親族や会社の幹部に事業を譲ろうとしたとき、相手が連帯保証を入れられるかどうか。

 

 経営者には会社の内外で動く、おカネの音を聞いています。轟々とした音です。

 

 それに対して経営者ではない人にはそのような音は聞こえません。経営に携わらなければ、普段見るおカネの単位は「万円」。ごくまれに住居のリフォームや車の買い替え、冠婚葬祭などのときに「10万円単位」「100万円単位」のものが出てくるくらいでしょう。そんなごく普通の金銭感覚の人にいきなり「億円単位」の借入を背負えと言っても、「はいわかりました」とはなかなか言えません。

 

 家業を継ぐべきなのはオレだけど連帯保証はちょっと…という気持ちは理解できます。

 

 平成29年度中小機構アンケートによると、後継者未定の127万社の中小企業のうち、後継者候補がいるが連帯保証を理由に承継を拒否している、という会社が17万社もあります。(上記の表から概算)

 

 経営者保証ガイドラインが平成26年に施行され、連帯保証を外していく仕組みが作られましたが上記と同じアンケートでは、経営者保証なしの融資は全体13.3%にとどまり、残りは経営者保証あり、ということになります。

 

 また、事業承継に際し、連帯保証を外した割合も10.2%にとどまっています。

 

 令和元年年6月、閣議決定された「成長戦略実行計画」の中に、事業承継がらみの連帯保証は基本的に外す方針が盛り込まれました。(2019.11.6読売新聞報道)

 

 これを受けて、令和2年1月以降創設されたのが事業承継時特別保証制度です。

 

 3年以内に事業承継をする、事業承継計画を作成するか令和2年1月から令和7年3月まで事業承継を実施した法人で承継から3年を経過していない法人が対象です。

 

 ただし、

 

 「債務超過ではないこと」

 「借入金の返済条件を緩和していないこと」

 「利益に比べて借入金の金額が過大でないこと」…(借入金、社債残-現預金)÷(営業利益+減価償却費)、EBITDA有利子負債倍率が10倍以内

 「会社が経営者に過度な貸し付けをしていないこと」…法人と経営者の(会計上の)分離がなされていること

 

 が条件です。

 

 この条件が満たされれると事業承継時特別保証制度該当、となり2億8千万円を限度とする無保証の融資が受けられ既存のプロパー貸金(保証人付)の借換も可能、としています。

 

 経営者保証ガイドラインの事業承継特則も令和2年4月に制定されています。

 

 

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 業績悪化で苦労する社長さんをいつも見ています。おカネに苦労する社長さんたちよく見られれる共通点とは…

 

 整理が苦手、という点です。 

 

 事務所、自分の机に書類が散乱している社長さん。

 

 「〇〇の状況はどうなっていますか」など質問すると机の周囲をひっくり返し始めます。質問と答えより探し物の時間が長く…

 

 一見整理されているようで透明なビニール板を机に敷いて、「標語」「最近あった人の名刺」「PCのパスワード(!)」などを挟み込んでいる方も。

 

 ビニール板の例で言うと、その机で何か集中して仕事をしようとしても…

 

 当然、挟み込んだいろいろなものが目に入ってきます。

 

 「…今のオレの取り組み姿勢は『標語』と整合しているか」

 「この人に後で電話しなきゃ」

 「PCのパスは…そうそう、これね」

 

 という確認が頭の中で無意識に繰り返されることになります。集中しにくくなるのです

 

 PCの周りに付箋をいっぱい貼るのもこのパターンです。

 

 また顧問料をカバンの中をひっくり返してお札をかき集め、「これで…!」と出してこられる社長さんも見たことがあります。おカネがちゃんとサイフにしまわれていない状態では会社のおカネがちゃんとできるはずもありません。(そのような社長さんをお助けする、ということで私のような人間の出番があるのも事実です)

 

 机回りはその人の心の中の縮図。心が散らかっていれば机も散らかります。机が散らかっていれば心も散らかります。

 

 それは心の状態にも左右されます。やる気が弱くなってくると片づけようとする姿勢も弱くなりますから机まわりも散らかりがちに。周囲から見ていて社長のやる気と散らかり具合は相関関係があるかもしれません。

 

 散らかるといえば税務署などから届く書面を開封もせず積み上げてある方もいます。「見たくないわっ!そんなもん!」というお気持ちもわかりますが送った方とすると、わざわざ書面を送って反応がない、となるとそれは気持ちのいいものではありません。次回の面談や電話のときにプラスに働くとは思えません。(私がお客様の事務所にお伺いしたあと、ひたすら郵便物の山を崩しながら開封作業をする、という先もあります)

 

 「えっと、こないだ会った●●銀行の…名前、なんてっけ、その人がですね、えっと△△って言っていて…あ、□□だったかな」

 

 これでは求められたものを投げ返すことができません。相談に乗りたくても何をどうしたいのかがちゃんとしていないと…

 

 メモ帳、手帳、スマホのメモアプリ、…自分の使いやすいものを利用して忘れないように。

 

 旧知の税理士さんはスマホの音声メモ機能をよく使っておられます。あとで聞き返すだけで思い出しますから…

 

 私は主にスマホを使ってメモ帳などに文字で記録します。文字だとキーワードで検索するだけで該当のものがでてきますから減退しつつある記憶力を補うにはぴったり。私はスマホのことを「第二脳みそ」と呼びます。自分の脳(第一脳みそ)が覚えきらないものを記録し保持してくれるからです。ご自分が使っているメモ帳のありかがわかならい、というのは脳みそをなくす、というのと同じことです。

 

 モノがちらかったときの解決方法があります。

 

 私がよくやっている方法です。

 

 朝仕事をスタートする。でもなんとなくテンションが上がらず、頭が仕事に向いていかない…

 

 そんなときは散らかった机周りの整理を始めます。書類をスキャンし、タグ付けしたあと、もとの紙はシュレッダーへ。シュレッダーが紙を刻む音が「あ、ちょっとかたづいた」「あ、またかづいた」という気持ちを喚起します。それを繰り返すと脳に「片付いてきた」「整理されてきた」という情報を視覚、聴覚から同時に送り込むことができます。書類が積み重なっていた状態の机がすっきりした状態になっていきます。少し体を動かすことも脳にそのような信号を送る効果があると思います。

 

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 そしてそのあとは…すっと仕事に集中できるようになっています。

 

 これは私の使っている方法ですがこのように「モノの整理」を「ココロの整理」に結び付ける、ご自分独自の方法があれば…地味ですが経営にものすごく役立つツールになると思います。

 

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2018.05.31

2020.07.21 改

 白い恋人パーク、久しぶりに訪問しました。

 

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 さて、中小企業をとりまくリスクはいろいろあります。すぐ頭に浮かぶのは資金繰りなどおカネ関連のものですが、ほかにもあります。

 

 この記事ではパワハラについて書きます。


 先日起きた、日大アメフト部の問題も「絶対権力をもつヘッドコーチの選手に対するパワハラ」という見方もできます。パワハラとは、

 

 「優位な地位にいることを利用して嫌がらせをすること」ですのでどこでも起きる可能性があるのです。

   パワハラはなぜ起きるか。経営者側は、「オレがこんなに頑張っているのにオマエたちは…」という目線で社員さんを見がちです。そして指導の名のもとに個人攻撃や揺さぶり(過大な目標を課したり、逆に目標を取り上げてしまったり)に走りがち、という側面は否定できません。

 大人数がいる職場なら転勤や配置換えで解決する場合もありますが中小企業ではそのような逃げ場がないケースも多々あります。

 そして…パワハラを甘く見ている経営者が多いのです。


 パワハラは大企業のものではありません。かつて大企業ものとされていたものが、どんどん中小企業へかぶさってきています。個人情報保護、製造者責任、未払残業代請求、コンプライアンスなど…

 パワハラがなぜ怖いか、順々に見ていきます。


 [1]  パワハラとは

 

 厚生労働省のHPでは例として以下の6種を上げています。


  ①   身体的な攻撃:暴行・傷害 殴る、蹴る、胸ぐらを掴む等

  ②   精神的な攻撃:脅迫・名誉毀損・侮辱・暴言 言葉による暴力、内容によっては、名誉棄損罪、侮辱罪に

  ③   人間関係からの切り離し:隔離・仲間はずし・無視 プロジェクトから外される等

  ④   過大な要求:業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことを強制する 明らかに仕事量やノルマが多く、それが精神的、肉体的に負担になるようであれば労災と認められます

  ⑤   過小な要求:仕事を与えない等 「会社を辞めたらどうだ?」

  ⑥   個の侵害:私的なことに過度に立ち入ること 過度にプライベートな部分に関わってきて、上司だから断れない等

 上記6項目に該当する事実があり、社長や上司に「そんなつもりはなかった」としても、実際に社員がうつ病など心身に被害が現れた場合には問題になる可能性がでてきます。

 例えば上記の事実があり、精神疾患になり労災認定されるパターンです。労災認定されるとお上が「原因は働き方」と認定したようなものですからそのあとその職員さんから民事訴訟で会社を訴えられる可能性がでてきます。

 私のコンサル先でも社長さんが「休日や夜中もかまわず電話やLINEを入れてくる、反応しないと出るまで繰り返す」という例を見たことがあります。

[2]  何がコワいか

 

 社員さんが追い詰められていたと知りながら放置した、となれば代表者が有効な対策を打たなかった、と解釈され、会社と代表者に賠償責任が生じることもあります。

 実際に、直属の上司からパワハラを受け自殺したケースではパワハラと自殺に因果関係あり、と認められ5000万円以上の賠償命令が「会社」と「代表者に」下されたケースもあります。

 また、パワハラで訴訟、となれば新聞報道されるかもしれません。この人出不足のおり、パワハラが横行するような会社に誰が就職するdしょうか。

  社長自身がパワハラをしたのではないとしても、社員がパワハラで会社を訴えた、となれば普通、「ほかにも苦しめられた社員がいるのでは」という類推が働きます。実際に複数、身に覚えのある社員がいれば、「じゃ俺も訴える」となるでしょう。

 そしてさらにコワいのは、やっている方に自覚がないケースがあることです。「これパワハラだよな」と解ってやったのなら、それなりに話合いもでき解決に向かうことも可能でしょう。しかし、やっている側に自覚がなかったとしたら?

 良い例が女子レスリングの栄監督の解任だと思います。あれだけかばってくれた学長からあっさりと監督解任されました。理由は「いままでどうやって世間を渡ってきたのか」「まったく自覚がない」。となれば本人がそのあと行動を改めるのは非常に難しいでしょう。

 

 今回は世間に告発されたので表ざたになりましたがもしそうでなければ、レスリングという閉鎖的な社会でパワハラは繰り返されていたことでしょう。栄監督の謝罪会見では「コミュニケーション不足」を理由にしており、あくまで「自分は悪くない」というトーンでした。自分以外のところに原因を求めているのですから、学長を含めこれを見た周囲は 「またやるだろう」と考えたことと思います。 

[3]パワハラを出さない企業風土を

 

 作るのは骨かもしれないがこれしかありません。パワハラがもとで会社がゆらいだりつぶれたりするよりははるかにましです。

 中小企業では社長≒カイシャ。社長がパワハラを知り、自らを振り返らなければ解決はありません。

 

 

 

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