空が高い、札幌です。梅雨前線が北海道にかかっています、とわずか1週間前に言っていたように思いますがもう秋の気配。

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 昨日(2020.8.18)のこのブログで住宅ローンのリスケジュールについて書きました。

 

 今日は、その変形、ともいうべき、「リバースモーゲージ」についてです。

 

【リバースモーゲージとは】

 住宅ローンなど不動産担保の借入について、利息のみ支払っていき、最後に物件を売却して残債を返す、という方法です。

 

 手法自体は10年以上前からありました。

 

 最後が「売って回収」なので対象物件に地域的な条件があったり使いやすいものではありませんでした。

 

【住宅金融支援機構のシルバー返済特例】

 昨日の記事で書いた機構のリスケジュール要件に該当し、

 

 「20年以上遅れなく返済してきていること」

 「債務者が70歳以上であること」

 「今後もその住居に住み続けること」

 

 などの条件にあてはまれば機構の住宅ローンであればシルバー特約(前述のリバースモーゲージ)が適用になる可能性があります。

 

 

 

 通常なら70歳すぎだとローンの最終期日まで数年を残すところだと思います。利息のみの支払とすることで大幅な負担軽減が見込まれます。

 

 

 

 (図表は住宅金融支援機構HPから引用)

 

 ただし、返せるのに返さない、浪費により首がまわらなくなった、などの場合は適用されません。

 

 万が一、物件売却しても残債が残った場合には相続人に対する請求は行わない方針です。

 

【いいことづくめのように思えるが…】

 相続人など利害関係者全員の同意が必要になります。(事前の説明と合意がないとてっきり相続できると思っていた親の家が機構に持っていかれる、と映ります)

 

 また、住宅金融支援機構と福祉医療機構との合わせ貸しの場合、福祉医療機構がこの制度に対応していないため実態的にこのしくみはつかえません。

 

 逆に、売った価格が大幅に残債を上回ったときには…?など実際の運用には疑問点が残りますが先進的な試みであることに間違いはありません。

 

 この制度は主管庁である国土交通省の主導でもうけられました。国土交通省は空き家対策として設置した「移住・住みかえ支援機構」の利用が低調だった反省もあり、この仕組みを作ったようです。

 

 2020.8.19

 

12年ぶりの新著、2020年8月末発売予定です。

 

 事例のご紹介、会社を潰しにくい社長とは、コロナ禍の中これからの中小企業経営とは、という構成で書いています。

第一章 塾の迎えは俺が行くよ
第二章 オマエはわかっていない
第三章 カイシャがつぶれてもかまいません
第四章 正常化への道のり
第五章 あんな社長、こんな社長
第六章 社長、持ってますね
コラム 銀行は決算書しか見ることができない
第七章 会社を潰す社長
第八章 中小企業にとってのM&A
第九章 カネが足りない
第十章 激変する中小企業の経営環境

 

 

 

 

 

 

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 夏のような秋のような空。

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 さて、事業性の借入についてリスケジュール可能なこと、その場合の留意点などを書きました。

 

 個人の借入の代表格である、住宅ローンについてもリスケジュールは可能です。

 

 ただし、留意しなくてはならない点がいくつかあります。

 

【まずは基本的な条件の確認】

 住宅金融支援機構の基本的な条件変更の取扱基準を引用します。

 

 

 返済がキツイな、と感じておられる方はまず上記の条件にあてはまるかどうかチェックしてみてください。該当するようなら「無理して返済している」可能性があります。(この項2020.8.19追記)

 

【住宅ローンは期間が長い】

 償還期間が30年から35年にわたるものが少なくありません。その結果、支払開始直後はほとんど利息の支払という形になり元金がなかなか減っていきません。住宅ローンのほとんどが返済負担を平準化するために元利均等返済になっているためです。

 

 例えば支払開始直後、返済額10万円だとすると、「利息9万円、元金1万円」(※状況A)位な感じになります。その支払いが進んでくるとだんだん利息の金額が減り、元金が増えてきます。「利息4万円、元金6万円」(※状況B)というように。

 

 そのような住宅ローンをリスケしようとするとこんな問題が起きてきます。

 

【減らせるのは元金だけ/リスケの効果をよく確認しよう】

 リスケをして返済を減らせるのは元金部分だけになります。上のBだと、「利息4万円、元金6万円」の返済をしている場合、「利息4万円、元金0円」までは減らせますがそれ以上は減りません。

 

 返済開始間もないAの状況だと、「利息9万円、元金0円」までしか減りません。ほとんど返済負担を減らすことができないのです。

 

 金融機関は、「元金は待てます。しかし利息まで入ってこないとなると不良債権扱いになってしまうので」という考え方だからです。

 

【返済を遅らせた元金はどこへ行く?】

 もちろん、消えてなくなるわけではありませんからいつかは返すことになります。

 

 そこで次のチェックポイントは満期を遅らせることができるかどうか、です。

 

 各金融機関とも、ローン完済時の年齢に上限を設けています。現状80歳から82歳くらいの金融機関が多いようです。

 

 ローンを組んだのが遅めで47歳のときに35年ローンを組んだとしましょう。この時点で完済時の年齢は82歳。これ以上期限を先延ばしにすることはできません。

 

 その中で元金返済を遅らせるのですから、リスケ期間が終わると同時に、遅らせた金額を上乗せした返済が始まるのです。

 

 計算としては、

 

 ➀元金6万円を12か月リスケ、合計72万円がうしろだおしに

 ②残りのローン期間が10年なら、72万円÷10年÷12か月=0.6万円となりますので、残りのローン期間は、約定返済の月10万円の元利返済に加えて元金6千円を上乗せして期限まで払う、というイメージになります。(実際の元利計算はもうちょっと複雑になりますが概略すると)

 

 完済期限直前にリスケをするとリスケする元金が大き目になり、そのあと返済を増やせる期間が短くなります。かつ借り手の年齢が上がっていく、ということになりますのでリスケする=解決になるかどうか見極めが必要です。

 

【住宅ローンのリスケは法人借入とセットで行われることもある】

 個人事業主の方や中小企業の経営者が事業で借りたもののリスケをした場合、相手方のC銀行から、

 

 「ところで社長、D銀行から住宅ローンを借りておられますよね。ウチの借入のリスケをしながら住宅ローンを普通通り返済するのはバランスが取れないので(=我々が納得できないので)住宅ローンもリスケしてもらえますか」

 

 という流れで住宅ローンのリスケを要請されるケースがあります。

 

 もっとも、ここまで書いたような注意点について確認をし、リスケをしても返済負担があまり減らないなどの場合は再度事業性借入をしている銀行と話し合いをすることになります。

 

【住宅ローン返済でもっともしてはいけないこと】

 

 延滞があるとリスケもできません。リスケを申し込むにも「いったん延滞を解消してから」(正常な状態にもどしてから)と言われます。

 

 住宅ローンの延滞は6回(半年)を超えるとそのまま代位弁済(住宅ローンを保証する会社へ債権が移ること。例 北洋銀行の住宅ローンにはグループ会社であるノースパシフィック社の保証がついており、焦げ付くと代位弁済することにより債権が北洋銀行本体から保証会社にうつることになります)になり、そうなるとリスケも何もできず、任意売却か競売で住宅を売り、住宅ローンの残債を返すことになります。

 

 かといって、ほかに借入をしてまで住宅ローンを返すのも傷口を広げるだけです。消費者ローンからおカネを借りて住宅ローンを返す、というようなやり方です。住宅ローンは完済までの期間が長いのです。金利が15-18%に達するカードローンで住宅ローンを返しても長続きしないことは明白です。

 

 状況が悪化してくれば、住宅ローンの後順位でカード会社が抵当権をつけるなど状況が複雑化するだけになります。

 

 住宅ローンについてリスケをしてでも返済を続行すべきか、売って債務を圧縮すべきか、早めの見極めが必要になります。ご自分で判断がつかないときには、専門家に相談されることを強くお勧めします。

 

 2020.8.18

 

 

 12年ぶりの新著、2020年8月末発売予定です。

 

 事例のご紹介、会社を潰しにくい社長とは、コロナ禍の中これからの中小企業経営とは、という構成で書いています。

第一章 塾の迎えは俺が行くよ
第二章 オマエはわかっていない
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第四章 正常化への道のり
第五章 あんな社長、こんな社長
第六章 社長、持ってますね
コラム 銀行は決算書しか見ることができない
第七章 会社を潰す社長
第八章 中小企業にとってのM&A
第九章 カネが足りない
第十章 激変する中小企業の経営環境

 

 

 

 

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