この本の帯にあるように平成30年度税制改正の目玉が「事業承継税制」です。いつもヒントをいただいている、後藤孝典弁護士。新著がでました。
経営者が自分の経営している会社の株を自社株と言いますがこの取り扱いが経営者の頭を悩ませてきました。
- 会社はウマく回った。利益もたまり純資産が厚くなった。
- その結果、相続税評価も高くなる。オレが死ねば相続税が発生する。
- それを回避するために会社から役員退職金を払い、評価を下げておかないと…
- 後継者一人に株を集めると相続税が発生するからきょうだいで株を同じ割合で渡して…
などなど。そもそも、自社株はメルカリに出してもヤフオクに出しても売れません。その会社を経営する立場だからこそ、意味のある資産です。現金化できないのです。
これが預金なら、「相続した〇億円のうち△千万円相続税払ってあとは…」となりますが自社株分の相続税は別途キャッシュを用意しなければなりません。
上記3.の対策をしてしまい、自己資本比率を下げてしまうと、昨今の低成長時代、なかなか元通り純資産を積み上げるのは難しい。下手をすると銀行の信用を失う。
上記4.のように複数の相続人に株が渡ると将来のどこかで「買い戻し」が発生します。会社に負担がかかる話になります。会社分割や事業譲渡など、「オレはイヤだ」となれば株式買い取り請求権発動、となりますし、そうならなかったとしても株をもらった相続人ご自身の相続があったとき、ご遺族から「よく知らない会社の株をもらっても…買い取ってください」となるかもしれません。
それをなんとか緩和したい、というのが事業承継税制です。平成21年からはじまりましたが使い勝手が悪いこと、効果が限られることから利用件数はわずか。
その事業承継税制が大幅に緩和される見込みです。
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例えば、納税の「猶予」ではなく「免除」。
対象のとなる相続税額が53%から100%へ。
これなら自社株の相続税に関しては気にしないで事業承継に進めそうです。
税制改正は国からのメッセージ。
事業承継対策に本腰が入った、ということかもしれません。
気が付いたら1か月以上ブログ書いていませんでした…