【感想】東京足立少年少女合唱団 第55回定期演奏会@西新井文化ホール | とかげ日記

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東京足立少年少女合唱団 創立55周年記念 第55回定期演奏会(令和6年5月12日(日曜日))@西新井文化ホール


●心、洗われる(心、現われる)


知人に誘われて合唱イベントを聴きに行ったので、感想を書く。

先立って書いておきたいのは、僕は合唱について何か書くのは、ずぶの素人だということである。(毛さえ1本も生えていない。なんならいつものロック評論も毛が3本生えた程度だ。)だから、僕の理解不足により、人を傷つける解釈や受け取り方をしてしまう可能性もある。そのときは、コメント欄で忌憚なきご意見をお聞かせください。


今日観に行った演奏会、素晴らしかった! クラシックや合唱を始めとした音楽は、やはり現場で聴くのは違う。CD/YouTube/サブスク音源よりも、やはり生で聴いた方がダイナミクス(≒強弱)を感じられる。(ちなみに、ロックミュージックでいうと、ライブハウスで身体にずしんと響く重低音が好きだ。)

場内アナウンスの声も洗練されていた(下記5部でナレーターもされていたと思う)。ウグイス嬢のように、清らかに磨き上げた綺麗な一本線の美声だった。

全5部構成。1部と2部は少年少女合唱団が演奏。1部からして息がそろっていて素晴らしい(その後もずっと)。2部のジブリ名曲選を聴き、やはりジブリの曲は懐かしさが琴線を揺らすと思った。日本人(ジブリファンの外国人も?)のDNAに刻まれた名曲たちだ。


3部は大人たちも加わり、この合唱団の立ち上げにも関わった薬師神武夫さん作曲の作品を歌う。往年の名作である詩の良さと、その詩から音楽を作り上げる薬師神さんのイマジネーションの力に感服した。(個人的に作曲者のどなたかに中原中也の詩の作曲をしてほしい…。僕の青春なので。)

4部はふたたび少年少女合唱団が舞台に出てきて、「思い出の歌」と題して懐メロを歌う。「イエスタデイ・ワンス・モア」、良かったなぁ! 日本語の訳詞で歌っていたけど、心に沁みる言葉と歌でした。「見上げてごらん夜の星を」にもしみじみした。名曲は世界の文化遺産。こうやって歌い継がれるべきだと思う。

5部は『女声合唱のための組曲「旅」』。指揮者は前述した薬師神武夫さん。他の団員から車椅子で運ばれて登場。柔らかく小さな手の動きだが、合唱する団員たちへの統率力が並外れていた。指揮者も表現者。あえかだけど美しい表現に円熟した凄みを感じた。

全5部を通して、どの曲の演奏も「表現」になっていると感じた。ただ、器械的に縦の線と横の線で音楽を作るのではなく、斜めにも円にも立方体にも心の絵筆で訴えかけるように音楽が響いていた。

音楽と心の距離が近い。これは、世界をまるごと信頼している子どもたちと、汚れた世界を知っても美しいものへの理想を失わない大人たちの作る音楽だ。演者も観客も心が洗われるし、合唱団の心が現われた「表現」としての演奏からは、個人的にもっと柔らかく凛として生きようという前向きなメッセージをいただいた。

ソプラノを颯爽と追いかけるアルト、アルトにコーラスで重なって音楽の翼を広げるソプラノ。合唱団のそれぞれが大きく身体を揺らしたり、小さくリズムを刻んだり、緩やかな個人差が歌の生地に練り込まれている。どの時の歌も絵になる。大満足の演奏会でした。

今年は無料で予約なしでも観られました。来年以降も素晴らしい演奏をされると思いますので、この記事を読んで気になった方はぜひ彼ら/彼女らの演奏を聴きに訪れてみてください。

🐼オマケ🐼

合唱がテーマのマンガといえば、Xのフォロワーの方に教えていただいて、積ん読中の「はしっこアンサンブル」(by 木尾士目)。『進撃の巨人』の二周目が読み終わったので、読み始めました! こういうピュアな少年が主人公のマンガ、良きですね〜。自分も合唱サークルで練習しているので、今後の展開が楽しみ!

🐼オマケその2🐼
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