頭痛 あれこれ -6ページ目

頭痛 あれこれ

 「慢性頭痛」は私達の日常生活を送る際の問題点に対する”危険信号”です。
 このなかで「片頭痛」は、どのようにして引き起こされるのでしょうか。
 慢性頭痛改善は、「姿勢」と「食生活」の改善がすべてであり、「健康と美容」のための第一歩です。

 まず、最初に、マグネシウムと認知症に関連した、これまでの研究業績をお示し致します。

 
認知症予防の方法 脳内のマグネシウムイオンとの関連性 記憶力の改善


  東京都の研究機関が、脳に記憶を長い間留める仕組みを解明し、アメリカの科学誌に、研究の成果を発表しました。アルツハイマー病などの治療に役立つ可能性があります。


  都の医学総合研究所によりますと、これまで、神経細胞に情報を伝える学習スイッチと考えられてきたマグネシウムイオンが、記憶を長い間留める役割を果たしていたことがわかりました。
  実験でも、マグネシウムイオンをもたないハエは、記憶が長くとどまりませんでした。 この研究の担当者は、アルツハイマー病の患者は、脳内のマグネシウムイオンが減るので、濃度を増やすなどすれば、記憶力の改善が望まれると説明しています。


■記憶     デイヴィッド ネイヤー
 
 MITの研究員が、マグネシウムの新しい役割についてレポートをしました。
  それは、中年以降の記憶機能を維持するはたらきです。
  この研究チームは、マグネシウムが学習と記憶に必要な脳レセプターを統制することを発見したのです。
  レポートでは、「シナプスの柔軟性を保つには、脳脊髄液内のマグネシウムが適正値であることが必須であることが、今回の実験で証明されました。
  成人アメリカ人の大多数がマグネシウムを充分に摂取していないと思われているが、このようなミネラル欠乏が悪影響を与え、しまいには記憶力の低下にも繋がりうることが予測できるでしょう。」


  柔軟性は、脳の学習と記憶には欠かせません。高齢者や病気の方の脳には柔軟性がないことは周知の事実です。例えば、海馬(短期の記憶が記録される部分)のシナプスの柔軟性が低下すると、物忘れの原因にもなります。加齢とともに物忘れが激しくなることを、多くの人が実感しています。


  研究員は、マグネシウムがシナプスの機能を高めるという点に特に興味をおぼえました。 研究員の1人によると、マグネシウムの濃度を高めると、「柔軟性が今までにないくらい伸びた」そうです。
  ということは、マグネシウム欠乏が記憶力および学習能力に支障をきたすけれど、推奨摂取量以上、あるいは推奨量だけでも摂取していれば認識機能は改善できるのではないでしょうか?


  マグネシウムは、他の様々なメカニズムも動員して、記憶の健康維持を支援します。  マグネシウムは、細胞と記憶をコントロールする脳細胞内の多くの酵素の活動が正しく行われるために必要とされます。
  また、神経伝達物質を放出させるのにもマグネシウムが使われます。また、マグネシウムが、実験的に傷つけた脳の認識機能が回復するスピードを速める手助けをすることにも気づきました。
  これらのことより、しばしば老化と関連してくる記憶力の低下を予防・回避する重要策が、マグネシウム値を常に最適に保つことであると言えるのではないでしょうか。


記憶力と集中力に大きな影響


  マグネシウムはナッツやシーズ、緑黄色野菜に豊富に含まれています。マグネシウムは、骨の形成や循環器系の健康、神経伝達や情緒の安定にとって大切なミネラルですが、近年、私達の記憶力と集中力に大きな影響をもっていることにも注目が集まっています。


  マグネシウムは、他のミネラルに比べると体内吸収率は高い方なのですが、脳の細胞へは、そのままの形では、ほとんど吸収されないことも判っています。マグネシウムが脳に最も吸収されやすいのは、L-トレオン酸マグネシウムの形になった時だという報告があります。


  ミネラルは、体内で吸収される時、イオン化します。そして、タンパク質(お肉・魚・豆)が消化されてできるアミノ酸やペプチドと結合して、AAC(アミノ酸キレート)ミネラルとなります。このAACミネラルの形になると腸内で吸収されるのです。


  L-トレオン酸というのは、ビタミンCの代謝物質です。そのため、マグネシウムを豊富に含む、ナッツや緑黄色野菜を食べる際に、お肉やお魚やお豆類といっしょに食べることと併せて、ビタミンCが豊富な柑橘類といっしょに食べることで、体内におけるL-トレオン酸マグネシウムの合成を促すことができるのではないかと思われます。


  もちろん、L-トレオン酸マグネシウムはサプリメントとして購入することが可能ですが、ここ2年ほど前に脳との関係が発見された物質ですから、効能は明確であっても、限界容量など(過剰摂取による副作用等)については科学的に不明な点も多いですから、なるだけ食事から摂る工夫をすることをお勧めします。


認知症とALS・・・CaとMgの関係


  昔から日本の紀伊半島南西部からグアム島にかけての地域には、ALS・パーキンソン病・アルツハイマー型認知症の3つの神経難病が多発していることで知られます。


  そこで東大の白木博士は紀伊半島~グアム島の地質・水・農作物などぼ分析調査を行いました。
  するとカルシウムとマグネシウムの含有量が極めて少なく、逆にアルミニウムが大変多いということが分かりました。


アルツハイマー病患者の脳には多量に蓄積していることが知られている


 ただし一般的にはアルミニウムは神経にとって有害なので、脳の血液脳関門という体内のバリアを通過しません。
  ところが白木博士はある条件下ではアルミニウムなどの有害物質が血液脳関門を通過して脳内に入ることを確認しました。
  その条件がまさにカルシウムとマグネシウムの不足です
 白木博士はサルにアルミニウムを与えるという実験をしました。


  アルミニウムを単独で投与した場合は神経細胞の中には侵入しませんでしたが、体内のカルシウムとマグネシウムを欠乏状態にした場合はアルミニウムが簡単に通過したのです。
  1番の原因はカルシウム・マグネシウムを中心としたミネラル不足であったということです。
  カルシウムやマグネシウムの欠乏によってなぜ脳細胞の中にアルミニウムが侵入するのかについては、次のように推測されています。
  カルシウム摂取量がたりないと、血液中のカルシウム濃度が低下します、カルシウムは血液中に一定量なければいけないので副甲状腺ホルモンが分泌されて骨からカルシウム分を溶かして出して来てこれを補います。
  ところが骨から溶かし出されたカルシウムはヒドロキシアパタイトという化合物になっていて、私達が食べ物から摂取するカルシウムとは性質が違っています。
  実際紀伊半島やグアム島で神経難病を起こした人の脳にはこのヒドロキシアパタイトが大量に沈着していたということです。
  白木博士の見解はヒドロキシアパタイトがアルミニウムなどの有害物質と結合して脳の神経細胞に入り込み脳細胞を変性させ、破壊するのではないかというものです。
  しかも、カルシウム不足で骨からカルシウムを溶かす時に分泌される副甲状腺ホルモンには細胞膜の透過性を高めて細胞内にカルシウムが入りやすくする(というより押し込む)作用があると言われていて、体がカルシウム不足のときは一層脳の神経細胞にアルミニウムが侵入しやすくなると考えられます。
  これが脊髄の神経細胞で起こるとALSになり、中脳の黒質で起こるとパーキンソン病・また大脳に入って前頭葉などが侵されれば、アルツハイマー病ということになると言われています。
  アルミニウムを遠ざける事(アルミ製の鍋・やかんなど)も大切ですが、それ以上にカルシウムやマグネシウムの多い食べ物を積極的に摂ることのほうが重要です。


マグネシウム低下が精神機能に影響


  生体内のマグネシウムは精神的ストレスにより量的に低下することから, 中枢神経機能においても重要な役割を担っていることが知られています。マグネシウムの低下がうつ病や月経前不快気分障害に関与していることや, 大うつ症状の代表的な症状である自殺企図が現れている患者の脳脊髄液においてマグネシウムが低下しているなど, マグネシウムと情動障害の関連について様々な報告があります。また, 双極性のうつ病患者にマグネシウム(アスパラギン酸マグネシウム塩酸塩として) を投与すると情動面において有効性が認められたという報告があります。マグネシウムは日常の食生活により体内に必要な量を十分に維持できるといわれています。しかし, 過剰なアルコール摂取や利尿薬の長期投与などによりマグネシウム不足が生じること, さらに, 精神的ストレスにより生体内のマグネシウムが量的に低下することが知られています。ストレス社会といわれる現代は, マグネシウムの低下を起こしやすい環境にあります。また, 基礎的研究においても, マグネシウムの低下がうつ様症状や不安症状などの精神障害の成因に関わっている可能性が考えられています。低マグネシウム含有食で飼育したマウスにおいて不安様, うつ様症状を発現することや, マグネシウムを投与が, 抗不安, 抗うつ作用を認めたことが行動薬理学的試験により示されました。したがって, マグネシウムの低下が精神障害の成因に関わっている可能性が考えられます。


生活習慣病との関連・・マグネシウム


■メタボリックシンドロームと糖尿病     デイヴィッド ネイヤー


 かなりの数のアメリカ人が糖尿病やメタボリックシンドロームに冒されています。
  これらの病気は、血糖代謝異常がひどく、心臓血管疾患のリスクが一気に増加するとされています。
  事実、全人口(訳注;アメリカ国内)の7%が糖尿病、20%以上がメタボリックシンドロームであるとみられています。研究では、マグネシウムがこれらの症状から守る重要なはたらきをすると思わせる有力な情報が得られています。
  メタボリックシンドロームは、インスリン耐性が特徴で、筋肉、肝臓または脂肪組織がインスリンの信号に正常に反応することができず、細胞にブドウ糖を送れなくなるのです。 その結果、血中のブドウ糖とトリグリセリド値は上がり、善玉コレステロールのHDLが下がり、血圧は上がります。
  健康体の成人1000人以上を5年間調査した疫学研究では、マグネシウムの摂取量が多いほどインスリン感受性が高まるという関連性を発見しました。

 別の有力な研究では、健康な若い成人のマグネシウムの摂取、およびメタボリックシンドロームの進行と体内マグネシウム量との関係を調査しました。
  この研究では、18歳~30歳のアメリカ人約5,000人を15年間にわたり調査し続けました。結果に影響を与えると思われる他の要因などを考慮・調整した結果、マグネシウムの摂取量が上位25%だった人達のメタボリックシンドローム発症リスクは、31%少なくなっていました。
  他にも、マグネシウムの摂取量が多い人ほど血糖値は低く、胴周りは細く、善玉コレステロール(高比重リポタンパク:HDL)は多いといった関連性が認められました。
  マグネシウムをたくさん摂取すればするほど、メタボリックシンドロームの予防効果が高まるのではないかと、この研究論文は結論づけています。


  ノースウェスタン大学の調査研究によると、マグネシウムは善玉コレステロール値を増やし、トリグリセリドを下げて、都合よくブドウ糖の恒常性、インスリンの活動と分泌を刺激することで、メタボリックシンドロームの要因数種にはたらきかけることができるそうです。マグネシウムの摂取増量は、高血圧の予防にも関連しています。
  高血圧もメタボリックシンドロームの要因のひとつです。


  ハーバード大学の調査員のレポートによると、ホウレン草、アーモンド、全粒パンなどをふんだんに使った、マグネシウムが豊富な食事は、タイプ2糖尿病の進行をかなり食い止めることができるそうです。
  研究員は、女性85,000人、男性42,000人をそれぞれ18年間と12年間追跡したところ、追跡期間中に5,400人がタイプ2糖尿病を発症しました。体重オーバー、高齢、少ない運動量、喫煙などといった糖尿病のリスクファクターが多数みられる人でさえ、マグネシウムの摂取量が最高だった人達はタイプ2糖尿病の発症が34%も低かったのです。
  マグネシウム欠乏には、慢性糖尿病合併症(網膜症、腎症、神経障害、足潰瘍など)との関連性があります。
  このことは、現在糖尿病を患っている方は慢性合併症を避けるためにも自身のマグネシウム状態に注意を払っておく必要があることを物語ります。

 
マグネシウムと生活習慣病・・日本人の食生活はマグネシウム不足


  日本人の生活では、食生活の“半欧米化”によって、マグネシウムの摂取不足が慢性化しています。マグネシウムの不足は、2型糖尿病やメタボリックシンドロームなど生活習慣病の発症と密接な関係があります。東京慈恵会医科大学教授の横田邦信先生は、マグネシウムと生活習慣病の密接な関係について以下のように述べています。


――なぜ糖尿病は戦後、激増したのでしょう?


  2型糖尿病の有病率は戦後激増し、現在もその傾向は衰えていません。なぜでしょう?
  それは、穀物(特にマグネシウムが豊富な大麦・雑穀など)の摂取量が激減した時点と、糖尿病が増え始めた時点が一致することが注目されます。糖尿病の発症要因は脂肪摂取量の増加と運動不足による肥満が定説となっています。
  多くの生活習慣病の病態の根底に、インスリン抵抗性(インスリンの効きが悪い状態)という共通因子があります。何らかの原因で生じたインスリン抵抗性に対して、日本人はもともと農耕民族でインスリン分泌能が欧米人に比べて弱く、インスリン分泌の代償不全を起こし、容易に糖尿病を発症すると考えられます。


――日本人は慢性的なマグネシウムの摂取不足をきたしているとお聞きしましたが、長期にわたるマグネシウムの不足が、2型糖尿病などの生活習慣病のリスクを上昇させているのでしょうか?


  インスリン抵抗性の共通因子の成因のひとつに、腹部肥満とは独立してマグネシウムの慢性的な摂取不足が大きく関わっていることが近年明らかにになっています。また、マグネシウム摂取不足は糖尿病発症とも深く関連していると考えられます。
  マグネシウム摂取量が少ない群からの糖尿病発症が有意に多いという報告や、マグネシウム摂取量が多いと糖尿病発症リスクが10~20%減るという報告があります。さらに、マグネシウム摂取量が多いと炎症性マーカ濃度(IL-6、高感度CRP)が低いことが報告され、動脈硬化との関連でも注目されています。


  原因としては、腹部肥満に基づくインスリン抵抗性の他に、慢性的なマグネシウム摂取不足によるインスリン抵抗性がありますが、特に、戦後、マグネシウムの慢性的摂取不足に陥っていることが大きく関わっているとみられます。これが日本人はあまり太っていなくても糖尿病になりやすいことを説明できる“マグネシウム仮説”なのです。


  マグネシウムは神経、筋肉の伝達にも関与しており、不足すると“こむら返り”が起きやすくなります。こむら返りは痛みを伴う筋肉の痙攣のことで、運動時に起こるほか、糖尿病や肥満の患者さんでみられます。血行障害や十分な栄養を補給できなていないことが原因である場合には、マグネシウムを補充すると有効なことが知られています。


 糖尿病の人は、アルツハイマー型認知症になりやすいことは前から言われていました。
  糖尿病や低血糖症で、血糖がうまくコントロールできない状態(インスリン過分泌)が続くと、記憶力の低下が始まり、アルツハイマー病の特徴でもある脳の海馬の萎縮が始まると謂われています。


  マグネシウムは糖尿病などの生活習慣病を予防することが知られ、マグネシウムは日常生活を送る上で不足しやすいことから、日常的にマグネシウムの摂取量が不足すると脂肪細胞から分泌されるアディポネクチンの分泌量が低下します。アディポネクチンの不足は、メタボリックシンドローム(内臓脂肪型肥満)を招きます。
  このようにして、ミトコンドリアの機能低下による「酸化ストレス・炎症体質」を基盤として、糖尿病を発症してきます。
  アルツハイマー型認知症は脳の糖尿病であるという研究報告が次々に出されています。 

 最近では、アルツハイマー型認知症は、3型糖尿病と呼ぶこともあるほどです。
  このように両者の発症の基盤は共通しています。
  このため、認知症は、今や生活習慣病ではないかと言われるまでになってきました。


マグネシウムは糖尿病などの生活習慣病を予防する

 
 マグネシウムは、体内の善玉コレステロールであるHDLコレステロールを増加させます。
  日常的にマグネシウムの摂取量が不足すると脂肪細胞から分泌されるアディポネクチンの分泌量が低下します。
  アディポネクチンの不足は、メタボリックシンドローム(内臓脂肪型肥満)を招きます。
  また、インスリンの機能が低下し、糖質と脂質の代謝が悪くなるため血糖値が上昇することで2型糖尿病や動脈硬化や虚血性心疾患などの生活習慣病の発症リスクを上昇させることが研究により解明されています。


インスリンの作用を応援する必須主要ミネラル「マグネシウムMg」


  マグネシウムMgは、体中のインスリンの作用を応援する役割を持っています。
  つまりインスリンの感受性を正常に保つように働きます。
  ここで、糖の代謝について少し説明します。
  人が食物を摂取すると腸からエネルギー源であるブドウ糖が吸収され、ブドウ糖は血液中に入ります。インスリンが細胞に働きかけてブドウ糖が細胞に取り込まれると、血液中のブドウ糖濃度が低くなります。
  マグネシウムMgは、細胞がブドウ糖を取り込む際の酵素チロシンキナーゼの働きをよくします。インスリンが細胞に働きかけ、ブドウ糖が細胞に入りやすくなります。その結果、血糖値が下がります。


  また、細胞は常にカリウムやカルシウム、ナトリウムを出し入れしていますが、マグネシウムMgは、出し入れするポンプの働きをなめらかにする作用があります。このポンプが活発になるとエネルギーが消費されるので、ブドウ糖の消費にもつながります。


  マグネシウムMgは細胞レベルの運動を活発にしてくれるのです。


  マグネシウムMgは血管の働きにも作用しています。
  マグネシウムMgが不足すると血管が収縮してしまい、血圧が上がるのです。マグネシウムMg不足は交感神経の緊張状態を作るので、神経という面からも高血圧につながってしまいます。
  また血液成分の柔軟性にも影響します。サラサラな血液の大切さは皆さん知っているとおりです。
  糖尿病予備群の人にもマグネシウムMgは効果があります。
  むしろ予備群とされる人のほうがマグネシウムMgのメリットが出やすい傾向があります。今から積極的に摂ってもらいたいものです。


  このように海馬を傷害する根源であるストレスにはマグネシウムが関与しており、これが糖尿病、高血圧発症にも関連しており、認知症を予防するためには、マグネシウムは忘れてはなりません。

 
マグネシウムとは


 マグネシウム は, ヒトの体の中で4番目に多い陽イオンであり, 健康な成人では約21~28 gのマグネシウムが全身に分布しています。このうち, 約半量が骨組織に, 残りは筋肉その他の細胞に多く含まれ, 血液中には約1%程度存在しています。生体内において300種以上の酵素の補酵素として働いており, リボソームの構造維持やタンパク合成, その他エネルギー代謝に関する生体機能に必須な元素です。このように科学的に重要性が確立していることから保健機能食品(栄養機能食品)の対象成分となっています。ホウレンソウなどの緑色野菜はマグネシウムの供給源で,これはクロロフィル(葉緑素)の中心にマグネシウムが含まれているからです。ナッツや種、ホールグレーン(全粒穀物)も,マグネシウムを豊富に含んでいます。マグネシウムは多くの食品に含まれていますが,一日の必要量を1つの食品だけで摂ることは困難なため,ここでもバランスのとれた食生活を心がけることが必要です。


  マグネシウムが必要な理由ですが、


 1.細胞の代謝に不可欠のミネラルであるため、不足すると、疲労感・気怠さを感じる(汗と一緒に排出されるので、熱中症の時や長風呂・サウナの後で、休憩したり水分をいくら補給してもダルさが取れないのは、マグネシウムを中心としたミネラル不足のためです。 詳しく言うと、ナトリウム・カリウムなどの電解質の発汗による不足も関係してきます)。 実はマグネシウムの多くは(骨の他は)細胞内に多量に蓄積され、血液中の量は少ないため、マグネシウム不足が血液検査などから解りにくく、また細胞壁(膜)からの取り込みの効率が重要になります。
  最近では日本でも出回っていますが、欧米を中心に Epsom Salt(エプソム塩:硫酸マグネシウム)が入浴剤やボディースプレーとして愛用されているのは このためです。


 2.特に脳はマグネシウムの消費量が多いので、不足すると疲れやボーっと感じるだけでなく、頭痛を感じる場合もある(これが習慣化、慢性化している方も結構いるようです)。 そうでなくとも、マグネシウム不足が原因で、そうでない同世代の人たちに比べ、記憶力・認知力が かなり低下している人たちがどの国も溢れかえっているようです。マグネシウムの摂取により、疲れ・頭痛も取れ、頭もクリアになって来ます。


 3.脳がきちんと働いているように見える時でも、マグネシウム不足によって、イライラ・怒りの他、落ち込み、鬱など、感情のコントロールが出来なくなります。これは、脳の神経細胞(ニューロン)同士の電気信号の漏れをマグネシウムが防いでいるのですが、マグネシウムは神経細胞にあるストレスホルモンの受容体を普段は覆ってストレス信号の量を調節しているのですが、マグネシウムが不足すると、この覆いが外れてストレス信号が脳内を駆け巡るような漏電状態になり、脳の彼方此方に不必要に伝達されて、ヒステリーなど、感情の暴走が止まらなくなるわけです。これがマグネシウム不足による現代人の最も深刻な問題(8割が該当)で、その原因は人類の農耕開始時から現代へ至る食生活の大幅な変化です。この数年、欧米を中心に狩猟採取時代の食材を取り入れたパレオ食事法 (Paleo diet) が流行っていますが、炭水化物をタンパク質・脂質に置き換えるだけでなく、こういったミネラル不足を補う事も大きな目的なのです。


  また、この際に(あるいは感情をコントロール出来ている人でも)脳内の抗ストレスホルモンであるコルチゾールが多量に分泌されます。このコルチゾール、脳内の炎症を起こし、放っておくと神経細胞を次々に死滅させていくのですが、その最たるものが、短期記憶(ワーキングメモリー)を司る海馬です。このため、マグネシウム不足に限らず、ストレスを受けやすい状態を放置しておくと、海馬がだんだん萎縮し、短期記憶力が低下し(もの忘れが増え)、海馬が使い物にならなくなります。海馬は記憶に白黒のラベリングをする事により、ストレスをコントロールする器官なので、放っておくと、更に感情に翻弄されやすく、他人の言動に対して敏感・ネガティブになります。これが慢性的ストレス・疲労感の大きな要因の1つです。


  ただ、最近になって、海馬はマインドフルネスなどのトレーニングで(高齢になっても)数か月単位で回復が見られる事が解っています。とりあえずはマグネシウム不足とコルチゾールの過剰に注意しましょう。


4.筋肉の弛緩・修復に多量に利用されるため、不足すると、こむら返りのほか、筋肉痛の原因になります。


5.糖の代謝を助けるため、不足すると血糖値が下がりにくくなり、糖尿病など、生活習慣病のリスクが高まります。また、マグネシウムは血圧を下げる効果があるので、高血圧に多大な効果があります。


6.骨を作るのにはカルシウムだけでなく、マグネシウムも多量に必要。一般にカルシウムとマグネシウムは1:2の重量比の割合での摂取が推奨されていますが、最近はマグネシウム不足の蔓延もあり、アメリカなどでは1:1でのサプリからの摂取を勧めている方も居ます)。


7.副交感神経を優位にしてリラックスさせるため、特に睡眠全般の質の改善(寝付き・寝入りが悪い、睡眠が浅い、早朝に目覚めてしまうなど)に効果があります。就寝前に亜鉛なと摂取すると更に効果があります。


8.また、このリラックス効果や睡眠改善効果、心身の疲労感削減効果により、鬱への改善効果があります。摂取をきちんと続けていると、数日で気分・ムードが大分良くなってきます。


9.特に年を取ってくると、ミネラルの代謝が悪くなるため、(カルシウムとは違い、同時摂取で)他の多くのミネラルの吸収・あるいは代謝を助けるマグネシウムの摂取が アンチ・エイジングに重要となります。


10. テストステロンの増加

 
 男性更年期、LOH症候群を患わっている方、予防したい方、心配な方には朗報です。私も もっと早くマグネシウムの摂取量を増やしていれば、特に30代の頃からそうしていれば、と 強く感じます。


11.便秘の改善


  マグネシウム摂取で便通が良くなる事は有名です。ただ、十数年前に「にがりダイエット」なるものが日本で流行り、そのうち にがりの入った飲料 を 短期間にかなり量を飲むという、行き過ぎた過剰摂取を行った方 数名が心臓発作を起こすなどして お亡くなりになりました。にがり は豆乳を固めて豆腐にするのに使われる物ですから、安全な食品と勘違いしたのでしょう。こういった事件もあり、近年の日本ではマグネシウムのサプリの宣伝販売が あまり盛んではないのでしょう。


マグネシウムの摂取量


  日本で推奨されているマグネシウムの摂取量は、成人男性が一日あたり360mg、成人女性が一日あたり270mgです。マグネシウムは発汗・尿などとして体外に排出されやすく、特にアルコールと共に排出されやすいため、運動・長湯などで汗をかく方やお酒を飲まれる方は多めに摂取しても大丈夫です。ただし、先述の「にがりの過剰摂取」による心肺停止などの死亡事件もありますから、極端に摂取量を増やすのは止めて下さい。


  また、このサイトではマグネシウムを豊富に含む食品を紹介しました。海藻や大豆食品を思い浮かべがちですが、海藻のなかでも、あおさ は少量でま多量のマグネシウムが摂取できるので、お薦めです。
  ナッツも大量にマグネシウムを含みます。私は先月から(低炭水化物食の一環として)、朝食・昼食は ご飯のお米・パン・パスタ麺類を生アーモンド、生マカディミアナッツに置き換えているのですが、今月に入ってから認知力・記憶力のほか、肌も若返ってきたと感じて居たのですが、マグネシウム不足が解消されて来て、効能が現れはじめた訳です。
  ただし、生アーモンドには肝斑や老眼の原因となる老化物質AGEを除去する働きがあるので、肌どころか老眼も最近治ったのは、アーモンドのAGE除去効果があります。


マグネシウム摂取のタイミング


 カルシウムとマグネシウムの比が2:1であれば、これらのミネラルが互いに吸収を高め合うそうです。ただし、かんきつ類など、ビタミンCとの同時摂取でもマグネシウム、カルシウムともに吸収力がアップしますし、就寝直前に(亜鉛と一緒に)マグネシウムを飲むため、(亜鉛と吸収の競合をする)カルシウムとの同時摂取はしていません。
  また、炭酸飲料と一緒に摂取すべきではありません。炭酸飲料中に含まれるリン酸と反応し、体外に排出されるのがその理由です。


  また、高脂肪食や動物性たんぱく質を食べた後2~3時間にマグネシウムを摂取しても吸収が悪いですから、最近流行りの低炭水化物食(ケトン食、MEG食とも相性が悪いという事です。そうすると、夕食時の脂肪摂取を少なめにして、就寝前に飲むのがベストです。 ビタミンDやアルコールを摂取し過ぎても、マグネシウムは体外に排出されます。また、少量のビタミンB6(一日50mg以内)と同時摂取すると、細胞内へのマグネシウムの吸収が促進されます。


貧血にマグネシウムも大切な訳


  貧血を予防することで、海馬体を常に良い状態にしておくことが出来ます。貧血には、レバーやプルーン、小松菜等の鉄分と、合わせてビタミンCを摂取し、加えてビタミンB12、葉酸も体に取り込み、酸素と栄養を豊富に運ぶ赤血球を作ることが重要です。

 更に大切なのは、造血をする器官である骨髄に、常に必要十分なマグネシウムがあることです。マグネシウムが骨髄で新しく作られた血液を、血管へ送り出します。

 マグネシウムが不足すると、そもそもの血液循環が十分とは言えなくなる為、虚血になるのです。マグネシウムは大豆類、海藻類、貝類に多く含まれます。和食を好む人なら比較的日常的に食べることが出来ますが、ファストフードやパン食が中心の方は、サプリメント等を活用してでも、体にきちんと摂取したい成分です。

 

1.インスリン過剰分泌をさせないためには

 

 最近では、アルツハイマー病は脳の糖尿病であるという研究報告が次々に出され、アルツハイマー病は、3型糖尿病と呼ぶこともあるほどです。糖尿病の人は、アルツハイマー病になりやすいことは前から言われていました。
  糖尿病や低血糖症で、血糖がうまくコントロールできない状態が続くと、記憶力の低下が始まり、アルツハイマー病の特徴でもある脳の海馬の萎縮が始まるといわれています。


  「酸化ストレス・炎症体質」は、生活習慣病や認知症の根底にあるもので、食事法によっても形成を阻止することができるということです。そしてこの食事法は、認知症への進展阻止だけでなく、生理痛、糖尿病、肥満、花粉症・アレルギー性鼻炎などのアレルギー性疾患、高血圧・癌などさまざまな生活習慣病の体質改善や健康・美容を維持するための最も共通した基本となる食事のとり方だということができます。

 
  そこで、誰にでもできる“正しい食事のとり方”をご紹介しましょう。
 その“鍵”となるのが「インスリン」です。「インスリン」は「糖質」や「タンパク質」をとった際に分泌されます。「脂質」はインスリン分泌を促しません。
  タンパク質の刺激によるインシュリンの分泌は、糖質の時のように“一度にドッと”という分泌の仕方ではなく、消化が終わるまでダラダラと長く続きますので、無駄な分泌は少なく、食事量に見合ったインスリンが分泌されます。
  なお、インスリンは血糖値が高くなった時に血糖を下げる唯一のホルモンですので、血糖を必要以上に上げすぎないことが改善のポイントとなります。
  そこで、“一度にドッと”分泌し過ぎないためには、次のように食事を心掛けることです。
  

 ⅰ、単品に近い食事のときは血糖上昇の緩やか食品を選ぶこと、複数の食品の食事では血糖が上がりにくい組み合わせにする(インスリンを過剰に分泌させない)
  ⅱ、食品の消化・吸収の速度が早くなりすぎないように食事をとる(滞胃時間、食べる順番、咀嚼(そしゃく)時間などで調整する)
 ⅲ、血糖を上げない甘味料(難消化性糖質、オリゴ糖など)などを使用する


インスリンの過剰分泌を抑える食事法とは?
 

   糖質は消化されると、ブドウ糖や果糖、ガラクトース(乳糖の一成分)といった最小の単位まで分解され、体内へ吸収されます。ブドウ糖はインスリンの分泌を強く促し、血糖値もすぐにあがりますが、果糖やガラクトースはインスリンの分泌を強く促すことはありません。
  また、果糖やガラクトースは吸収後に直接エネルギーとして活用されたり、一旦中性脂肪に変換されたりしたあと、必要に応じてブドウ糖として血液中に放出されるため、食後すぐに血糖値が上がるということはありません。
 食品にはさまざまな種類や量の糖質が含まれていますが、食品によって消化や吸収の速度も異なってきます。
 糖質の中でも消化されやすく、消化したあとにブドウ糖を多く生成するものは血糖の上昇は大きく、消化速度が遅いものや消化したあとに果糖やガラクトースを多く生成するものは血糖をすぐに上げることはありません。
 そこで、実際の食事においてどの食品がどの程度血糖値を上げるかを知るために「グリセミック指数(GI)」が用いられることがあります。GIはブドウ糖や食パンをとった際の血糖上昇値を基準(100)として、それぞれの食品の数値を相対的にあらわしたものです。GI値の大きいものほど消化吸収が早く、また血糖の上昇も大きくなります。
  また、調理法によってもGI値は大きく変わります。たとえば同じ白米でも、焼き飯にするとカロリーは高くなりますが、消化吸収に時間がかかるため血糖の上がり方は緩やかになり、お茶漬けにするとカロリーは低くなりますが、消化吸収が早いので血糖の上昇は急激になります。
 ですから、同じカロリーになるように計算された食事Aと食事Bを食べても血糖の上がり方はまったく異なってきます。つまり、血糖値は摂取したカロリーで決まるのではなく、さまざまな栄養素の組み合わせや調理の仕方などで決まるということです。
  認知症を予防するためには、インスリンの過剰分泌を抑制して〝錆び体質〟から脱却する必要があります。そのためにGI値を活用して理想の食事を導き出せばよいのですが、それは簡単なことではありません。食事の組み合わせは無数にあり、またGI値も調理法や体調(絶食、運動、休養などにより異なる体内グリコーゲンの蓄積状況など)によって変動しますので、あくまで目安にしかならないと覚えておいてください。
  また、タンパク質や脂質も消化吸収後すぐにブドウ糖に変換されることはなく、いったんアミノ酸や中性脂肪などに変換されたあと、必要に応じてブドウ糖として血液中に放出されることになります。
  ただし、タンパク質は血糖値を食後すぐに上げる要因ではありませんが、インスリンの分泌は強く促します。タンパク質のとり過ぎも「酸化ストレス・炎症体質」を悪化させる要因にもなりますので、充分に注意してください。


  健康であるための(食後の血糖値を上げすぎないための)、正しい食事方法とは?


  「インスリンの過剰分泌を防ぐ→〝酸化ストレス・炎症体質〟からの脱却→認知症への進展阻止」という図式を実現するために、正しい食事のとり方を伝授します。
さて、インスリンを過剰に分泌させないにはどうしたらよいか? ごくシンプルに考えるなら、食べ物がゆっくりと消化吸収されればいいのです。つまり――


  ◎咀嚼に時間をかける
  ◎滞胃時間をかける(胃から十二指腸までの移動時間)
   ◎消化吸収に時間をかける


 これができれば、血糖値が急激に上がることは理論上なくなります。しかも、ちょっとした工夫でそれが可能なのです。ではご説明しましょう!


滞胃時間を適正にする!


 順番は逆になるのですが、先にこちらの説明をします。
 食後の血糖の上昇を左右するのは、じつは食べ物が小腸で消化吸収されやすいかどうか以上に、胃から十二指腸に送り込まれるまでの滞留時間(滞胃時間)にポイントがあります。たとえば、栄養素では糖質(炭水化物)よりもタンパク質のほうが2倍長く時間がかかります。一緒にとればその分、血糖の上昇が緩やかになります。
 また、脂質に注目すると、一般の油脂に含まれる脂肪酸は分子が大きくなるほど胃の働きを抑制して滞胃時間を延ばします。分子の大きい肉類の脂のほうが、分子の小さい魚の油よりも胃の働きを抑制する効果が大きいのです。このように、油脂には血糖を上げやすい(GI値が高い)食品と一緒にとると、血糖上昇を緩やかにする働きがあります(「お茶漬け」よりも「焼き飯」がその例)。
 それは酢酸や乳酸のような分子の小さな脂肪酸でも同じです。酢の物や乳酸飲料、乳酸食品などを食べると滞胃時間が延びることになります。
 さらに、調理法によっても変わります。たとえば卵の滞胃時間は、半熟卵では約1.5時間、生卵では約2.5時間、ゆで卵では約3時間となります。ジャガイモの場合には、焼きジャガイモにするとブドウ糖を飲んでいるのと同じくらいの速度で消化吸収されてしまいます。したがって、焼きジャガイモを食べるときにはサワークリームやバターなど、胃の働きを抑える働きのあるものを一緒に食べたり、ステーキなどのタンパク質・脂質の豊富な食品と一緒に食べたりすることで、適正な滞胃時間に調整することができます。
 さらにジャガイモに関していうと、ゆでる、フレンチフライにするといった調理法によってもGI値を下げることができます。


咀嚼(そしゃく)に時間をかける!


 咀嚼(そしゃく)には食物を細かく砕くとともに、食物を選別(魚の骨など食べられない物を除く)し、飲み込みやすくするだけでなく、次の効果が期待できます。


 ・消化液の分泌をよくする
 ・食欲の中枢神経を刺激し、食べ過ぎを抑制する
 ・あごの発達や歯を丈夫にする
 ・大脳を刺激し認知症を予防する
 ・集中力を高めストレスを緩和させる
 ・目のまわりの血行をよくし視力低下を予防する
 ・虫歯や肥満の予防をする


 このようなことから、食べ物は大いに噛んでいただくことをお勧めします。
  ところで、むかしから、消化吸収には「よく噛んで食べること」が推奨されていますが、じつはやたらと噛めばよいというものでもないのです。
  ほとんどの食べ物は空腸(小腸の前半)で消化吸収が終わります。ここまでの時点での消化速度を見ると、食物繊維を多く含むもの、糖質を多く含むタンパク質(豆類など)、アミロースの多い穀類(インディカ米など)、難消化性糖質など、もともと構造的に消化しにくいものほど消化吸収がゆっくりで、つまり咀嚼の程度にはほとんど関係なく、食べ物によって最初からある程度決まっています。
  咀嚼(そしゃく)の程度ではなく、食べ物自体の消化吸収のしやすさで決まってしまうということなのです。
  ただし、アレルギー皮膚炎やアトピー性疾患などのようにアレルゲンとして未消化物がとなる可能性が高い場合には、空腸と内容物との接触時間をできる限り短くするためにもよく噛む方が極(ごく)わずかかもしれませんが好ましいのかもしれません。
 いずれにしろ、咀嚼(そしゃく)に時間をかけるということは、消化吸収までの時間を長くすることになりますので、食後の血糖値の急激な上昇を抑えるためにも悪いことではありません。
  また、咀嚼(そしゃく)に時間をかけるようにするためには、調理の際に根菜類、肉類などは具材を大きめに切ることや、具材を軟らかく調理し過ぎないこと、丼ものにしないことなどの工夫をすると良いでしょう。
  利き手と逆の手で食べると早食いを避けることもできます。
  結局、食後の血糖の上昇を抑えるには、咀嚼(そしゃく)に十分に時間をかけ(早食いをせず)、糖質(炭水化物)だけの偏った食事にならないように、タンパク質、油脂(あぶら)分を考慮した調理・摂り合わせをし、滞胃時間が短くなり過ぎないようにすることが大切ということになります。
  大切なのは、食べても直ぐに空腹にならず、胃もたれもなく、次の食事の時間の30分程度前にお腹がやや空(す)くように、糖質、タンパク質、脂質、食物繊維などを適正に組み合わせることが血糖の上昇を抑える最良の食事法ということができます。
  脂質を多くすると滞胃時間を長くすることができ、食後の血糖の上昇を抑制することは出来るのですが、反面、滞胃時間が長くなりすぎると胃もたれなどを起こし、胃疾患や逆流性食道炎などの可能性を高めることになります。

 
食物繊維を摂る!


  食物繊維には消化吸収を遅らせる作用があります。特に玄米や全粒小麦などの食物繊維の多い穀類、タンパク質と食物繊維を多く含む豆類は消化吸収を遅らせます。
 たとえば、食物繊維を多く含む玄米(含有量約3%)は、食物繊維をわずかしか含まない精白米(含有量約0.5%)よりも消化吸収速度は遅く、食後の血糖上昇は緩やかになります。
  食物繊維にはいろいろな種類がありますが、その種類によって生理的な作用も異なっています。特に水に溶ける食物繊維と水に溶けない食物繊維ではその作用が著しく異なります。
 
   水に溶けない食物繊維として、セルロース(大豆、ゴボウ、小麦ふすま、穀類などに含まれる)、ヘミセルロース(小麦ふすま、大豆、穀類、野菜類など)、リグニン(小麦ふすま、穀類、完熟野菜類など)などがあります。
  水に溶ける食物繊維としては、ペクチン(リンゴやみかんなどの果物、芋類、キャベツや大根などの野菜類など)、ヘミセルロース(コンブやワカメなどの海藻類など)、ガム質(大豆やカラス麦などの麦類など)などがあります。
  水に溶ける食物繊維は一般的に膨潤性が高く吸着作用があり、水に溶けると粘りけが強くなりドロドロになるなどの特徴があります。
  一般に食物繊維の多い食品は噛み応えがあるため、咀嚼(そしゃく)に時間がかかり咀嚼(そしゃく)力が向上するとともに食事時間が長くなります。
  食物繊維は胃に入ると唾液や胃液を吸収して膨潤し容積を増し、小腸においてもさらに
  水分を吸収して膨潤し、小腸内容物の容量を増やすとともに、ドロドロの状態にします。
  内容物の容積が増すと、その中に含まれている糖質は希釈されますので、消化・吸収は緩やかとなり、血糖の上昇も緩やかとなります。
  一方、水に溶けない食物繊維は有害な物質と結合したり、有害な物質を吸着する作用がありますので、カドミウムやPCB、ダイオキシン類などの環境汚染物質やタール色素、食品添加物などの有害物質の体内への吸収を防ぐことができます。
  水に溶けない食物繊維は有害な二次胆汁酸や酸化コレステロールなども吸着し排泄することができますので有害物質の排泄に適しています。
  しかし、摂りすぎは同時に有用なミネラルや油溶性のビタミン類なども排泄することは覚えておかなくてはいけません。
  食物繊維は体内の消化酵素では消化されないため、小腸を通過し大腸に到達します。
  大腸では食物繊維の一部は腸内細菌によって発酵分解を受け(水に溶けない食物繊維は発酵を受けにくく、水に溶ける食物繊維であっても海藻類はほとんど発酵されません)、酢酸やプロピオン酸、酪酸などの短鎖脂肪酸のほか、炭酸ガス、水素ガス、メタンガスなどに代謝されます。
  生成された酢酸やプロピオン酸、酪酸などの短鎖脂肪酸の一部は腸内細菌自体の増殖にも利用されます。
  一般的に、小麦ふすまなど水に溶けない食物繊維は便の量を増す効果(便秘解消効果)はありますが、血清コレステロール濃度を顕著に低下させるほどの効果は認められていません。逆に、グアーガムやペクチンなどの水に溶ける食物繊維は血清コレステロール濃度を効果的に低下させることはできますが、顕著な便秘改善効果は認められないことが多いようです。


食べる順番を考える!


  全く同じ食事をとっても、食品の食べる順番によって食後の血糖が上昇程度は異なることをご存知でしょうか?
  食べたものは胃などの消化器官内で一部は混合されますが、胃から先では原則的に「先に入ったものは先に出て行く」ため、先に食べた順に、十二指腸、小腸へと進みます。
  そのため、糖質(炭水化物)だけを先に食べると、食後の血糖は上がりやすくなりますし、逆に食物繊維の多い食品や脂質の多い食品などを先に食べると、食後の血糖上昇は緩やかになります。
  ご飯の前に酢の物を食べる、パン食には牛乳やヨーグルトを一緒にとる、でレッシングのかかった野菜サラダなどを先に食べるといったことも、食後の急激な血糖上昇を抑えるのにはよい方法です。
 「カロリーが同じであれば、食べてしまえば同じこと」にはなりませんので、日頃より消化吸収速度を考えた食べ方(順序)に気を配ることも血糖の上昇を緩やかにするためには大切です。
  食べる順番の違いが、中性脂肪の溜まりやすさや基礎代謝にも影響を与えることにもなります(ダイエット効果に影響する)。
  勿論、食事中は些細(ささい)なことは気にせず、楽しく、美味しくいただくことが第一優先であり、大原則ではあるのですが。


・難消化性糖質、オリゴ糖などの甘味料を使用する!


  砂糖や麦芽糖(水あめの成分)、ブドウ糖などの甘味料は血糖値を上げやすく、インスリン分泌を強く促します。
  果糖はインスリン分泌の刺激は小さいものの、中性脂肪になりやすく、内臓脂肪として蓄積されやすいという特徴があります。
  私のお勧めは、オリゴ糖や糖アルコールなどの難消化性糖質です。甘味充分にあり、胃や腸の消化酵素によってブドウ糖などへ消化されることがなく、インスリン分泌を促進しないからです。
  また、これらの難消化性糖質が大腸に到達し腸内細菌により発酵されるときに生成する酢酸などの短鎖脂肪酸がインスリン分泌を刺激することもありません。
  そのため、オリゴ糖や糖アルコールなどの難消化性糖質を摂取しても血糖が上がることや血中インスリン濃度が上がることはありません。
  ところで、血糖を上げない甘味料といえばサッカリンやパルスイートなどの合成甘味料もあります。これらの甘味料は安全性などに疑問が残されていることや、天然に存在しない化学物質であることから、私はお勧めしていません。
  難消化性糖質であるフラクトオリゴ糖は、健常者がとっても血糖値ならびに血中インスリン濃度に全く影響を与えることはありません。
  難吸収性のキシリトールやソルビトールも同様な傾向を示します。また、吸収はされても体内で代謝されずにそのまま尿中に排泄されるエリスリトールも同様です。
  難消化性糖質は小腸で消化・吸収されることなく大腸に達し、腸内細菌(善玉菌)のエサとなります。
  善玉菌であるビフィズス菌などの勢力が優勢になると、病原菌の増殖が抑制され、さまざまな感染症の発症が抑えられる可能性が高まります。また、難消化性糖質が醗酵・分解されるときには、酢酸やプロピオン酸、酪酸などの短鎖脂肪酸が生成されますから、酸に弱い腐敗菌や病原菌などの悪玉菌が抑制されることになります。
  また、これらの短鎖脂肪酸は、全身のエネルギーとしての利用や、腸壁細胞の新陳代謝を促進し、大腸の蠕動(ぜんどう)運動(ミミズが這うように腸の収縮が連続する運動)を促進し、便秘の改善にも寄与します。
  また、悪玉菌が減少すれば、インドールやスカトール、フェノール、アンモニア、硫化物など腐敗物質の生成が少なくなり、肝臓での毒性物質代謝負荷が軽減されることや発癌・老化促進物質などの内因性有害物質の生成が抑制されることになります。
  同時に、糞便や腸ガスの悪臭も改善されます。
  また、フラクトオリゴ糖をとることより血液中の中性脂肪が低下し、血清コレステロール濃度が低下するという報告もあります(プロピオン酸の作用)。
  難消化性糖質を摂取すると、腸管内pHが低下しカルシウムや鉄などの金属イオン吸収が促進されるという報告もあります。
  オリゴ糖や糖アルコールなどの難消化性糖質は砂糖のような甘味料としての強い刺激はありませんが、甘味料としての役割は十分に備えていますので、砂糖との併用を含め日常的に用いることが好ましいでしょう。ただし、急に摂取量を増やしたり、摂りすぎるとお腹が緩(ゆる)くなったり、ガスが多くなることがあります(健康上に悪いことではありませんが)。

 
2.デトックスに配慮する


 私達は知らず知らずに、有害物質を摂取しています。このため日頃からこれを排泄させるためにデトックスを心がけることが大切になってきます。
  デトックスを怠れば、ミトコンドリアの機能を低下させ、酸化ストレス・炎症体質を形成することになってきます。


デトックスを行うには


1.水を十分に補給しましよう

 
 デトックスするうえで欠かせないのが水です。腸内の水分不足は便秘が起こる原因とも言われています。「それなら水を飲めば解決できる」と安易に考えてはいけません。大腸に届く水は、飲んだ量のわずか10分の1ほどです。便秘解消のためには、“1日1.5~2リットル”を目標にしましょう。特に、マグネシウムやミネラルを豊富に含むミネラルウォーターがオススメです。
  冷たい水が苦手な方はぬるま湯でもOKです。
 また、やたらと水をガブ飲みしても、体が冷えて逆にむくみなどのトラブルが起こることになります。ポイントは、回数を多く、少量ずつ飲むことです。一度に水分を摂取するより、数回にわけることで、常に腸にも水分がある状態になります。体の冷えが気になる方は、冷たい水ではなく、ぬるま湯や常温の状態で摂るようにしましょう。

 
2.食物繊維を十分に摂取しましょう

 
 食物繊維には2つの種類があります。海藻類などの腸の善玉菌を増やす『水溶性』と、さつまいもや大豆製品などに代表される『不溶性』。どちらもそれぞれ、違った効果を持っています。
  さつまいもはヘルシーなおやつとしてもピッタリです!

 
≪水溶性食物繊維の効果≫


 ・血糖値の上昇を防ぐ。
 ・コレステロールの上昇を抑え、生活習慣病を予防する。
 ・海藻類に含まれる『アルギン酸ナトリウム』には整腸作用もあり。

 
≪不溶性食物繊維の効果≫


   ・腸の運動を促進し、便秘を解消させる。
  ・大腸を刺激し、スムーズな排便を促す。

 

3.デトックスからみた食事

 
デトックス効果が高い食べ物

 
 排泄をスムーズに行うこと、デトックスを助けてくれる食べ物のことについて述べます。

 

 先程の食物繊維ですが、食物繊維には不溶性と水溶性の2種類がありますが、特に水溶性の食物繊維はネバネバのゲル状になって体内の毒素を吸着して排出する効果が高いです。不溶性食物繊維は大きく膨張して腸の働きを活発にして排便をスムーズにしてくれます。
 「水溶性が毒素を吸着する」「不溶性が便をスムーズに排泄する」、この二つの特徴がデトックスに役立つのです。


■ 腸内で毒素を吸着して排出する食材 としては

 
  ごぼう、オクラ、レンコン、こんにゃく、トマト、海藻、玄米 などがあります。

 
キレート効果

 
 また、包み込むだけでなく、外に出したい毒素と化学的に結合して、体外への排出を促してくれる、「キレート作用」がある食品もあります。
  包み込むだけだと、また元に戻ってしまうこともありますが、キレート結合された有害ミネラルは体内で再吸収されることなく尿や便などから排出され、効果的なデトックスができます。
  たとえば、魚介類や緑黄色野菜に含まれる亜鉛やセレンは 水銀 や ヒ素 に対してのデトックスを促進しくれることでよく知られますが、ビタミンA、C、E、や含硫アミノ酸(にんにくやたまねぎに含まれるイオウを含んだアミノ酸)などもデトックス効果が高いと言われます。

 
■ 血液中の毒素をキレートする食材

 
 にんにく、アスパラガス、ブロッコリー、ねぎ、ほうれんそう、大豆、りんご などがあります。

 
■ 肝臓での解毒機能を強くしてくれる食品

 

 たまねぎ、キャベツ、ブロッコリー、にんにく、ダイコン、わさび など
  


  以上のような基本的なことを忘れてはなりません。

 

 

 食事療法のポイントは以下のように要約されます。


1.認知症予防の食事のポイント!


  マグネシウムの重要性


2.食事を和食中心(魚・野菜)に切り変える


  魚を頻繁に食べる人は認知症になりにくい
  野菜の抗酸化作用が、認知症を予防し、もの忘れを防ぐ
  ごま成分の抗酸化作用が認知症予防になる
  卵に含まれるコリンでアルツハイマー病予防
   抗酸化物質の含まれる食べ物
   L-カルニチンは認知症予防に大切です
     葉酸


3.植物油(食用油)の摂り方

 
  オメガー3系脂肪酸を多く含む植物油
  オリーブオイル
  えごま油
  亜麻仁油(あまにゆ)
  ココナッツオイル


4.カレー 週に2 ~ 3 食以上


5.その他


  ナッツ
  シナモン
  チョコレート


6.認知症を予防する飲み物


  コーヒー1日3~5杯
  1日2杯以上の緑茶
   1日1杯の赤ワイン
  ザクロジュース

 

  その要点について述べておきます。
 
 
   1.マグネシウム不足に注意


 マグネシウムは糖尿病などの生活習慣病を予防することが知られています。
 日本人は慢性的なマグネシウム不足です。マグネシウムが不足すると糖尿病や高血圧などの生活習慣病を引き起こしやすくなり、ひいては認知症になりやすくなります。
 アルツハイマー型認知症は、海馬の萎縮が原因となり、この萎縮の最大の原因はストレスです。ストレスによってマグネシウムは消費されます。マグネシウムは、私達が日常生活を送る上で、容易に不足する生活環境に置かれていることを忘れてはなりません。このため、常にマグネシウムの補給を念頭におく必要があります。
 マグネシウムが不足すると、こむら返りが起こりやすくなります。
 成人の1日のマグネシウムの推奨量は、270~370mg。
 マグネシウムを多く含む食品は、以下のようなものがあります。
  
  
   玄米によるご飯  100g 48mg
   白米によるご飯  100g  40mg
   米、麦こうじ味噌 100g  80mg
   豆こうじ味噌   100g 130mg
   アーモンド    30g 87mg
   カシューナッツ  30g 72mg
   国産大豆        30g 66mg
   落花生          30g 60mg
   干しひじき   10g 54mg
   納豆1パック   100g 100mg
   かき       70g 50mg
   ほうれん草    70g 50mg
   いんげん豆   30g 45mg
   かつお     100g 40mg
   あおのり    3g 40mg
   あずき     30g 36mg
   とうもろこし  1本120g 35mg
   枝豆      50g 35mg
   バナナ     100g 34mg

 

2.抗酸化食品(野菜・果物)の摂取不足


 私達の身の回りのは活性酸素が満ち溢れています。このような活性酸素の毒消しをするのが、フリーラジカルスカベンジャーです。
 私達の体には活性酸素を取り除く手段として、抗酸化物質が備わっています。このなかで、スーパー・オキサイド・ディスムターゼ SODの産出能力は25歳から下降しはじめ、40歳を過ぎて急速に低下することがわかってきました。
 コエンザイムQも同様に40歳を境に減少してきます。
 この生体に備わった抗酸化物質を補う目的で抗酸化食品を意識して摂取しなくてはなりません。抗酸化食品は活性酸素を除去します。こうしたことから、抗酸化物質の摂取不足はミトコンドリアの働きを悪化させることになります。


  抗酸化食品には、以下のようなものがあります。


  アントシアニン(ブルーベリー・カシス)、ケルセチン(そば)、ルチン(そば)、カテキン(お茶)、イソフラボン(大豆)、カルコン(明日葉)、クロロゲン酸(コーヒー豆)、ロズマリン酸(シソ)、ゴマリグナン(ゴマ)、クルクミン(ウコン)、タンニン(お茶)、スルフォラファン(ブロッコリー)、βカロチン(緑黄色野菜)、リコピン(トマト)、カプサイシン(唐辛子)、アスタキサンチン(鮭・イクラ)、ルテイン(ケール・ほうれん草)、フコイダン(海藻)、βグルカン(キノコ)、ペクチン(リンゴ)、テアフラビン(紅茶)


■ 体内の活性酸素を除去する食品をまとめてみますと・・

 
  ビタミンA:ニンジン、ほうれん草、卵黄、牛乳、バター
 ビタミンC: ブロッコリー、小松菜、ピーマン、トマト、イチゴ、緑茶、        ジャガイモ
 ビタミンE:大豆、落花生、しじみ、うなぎ
 βーカロテン : ニンジン、小松菜、ほうれん草、かぼちゃ、ニラなど
 ポリフェノール : 赤ワインなど
 リコピン : トマトなど
 スルフォラファン : ブロッコリー、キャベツ、カリフラワーなど
 メラノイジン : みそ、しょうゆなど


 抗酸化物質のほとんどは、日ごろから食べている野菜や果物に含まれています。
 つまり、日ごろから、好き嫌いなく、バランス良く積極的に野菜や果物を食べていれば不足することはないと考えられます。
 しかし、一人暮らしの方や外食が多い方などは野菜不足になりがちです。
 また、高カロリー・高脂肪な肉食中心の欧米型の食事は、体が酸化しやすいため、活性酸素の攻撃を受けやすいと考えられます。
 少しずつ食生活を変え、上手に抗酸化作用があるサプリメントを取り入れて、活性酸素を抑えましょう。

 

3.必須脂肪酸の摂取のアンバランス・・オメガ3とオメガ6に注意


脂質の役割


 脂質(脂肪)とは、糖質、たんぱく質とともに食品の3大栄養素のひとつであり、水に溶けず、脂肪酸をもち、生体で利用されるもののことを言います。
 人の生体内にある脂質は、おもに、中性脂肪、リン脂質、脂肪酸、コレステロールの4種類。
 中性脂肪はおもにエネルギーの貯蔵、リン脂質は細胞膜の主要な構成成分としての役割があります。脂肪酸とコレステロールに関しては、このあと詳しく述べることにします。
 糖質はほとんどがエネルギー源として働きますが、脂質には、エネルギーの貯蔵のほかにも多くの機能があります。たとえば、エネルギー源になるほか、生体膜の構成成分・ホルモンや胆汁酸・ビタミンなどの原料ともなります。また、血管の保護や、免疫や炎症を調節する機能、細胞同士の情報を伝達する機能もあるのです。
 このように、脂質は生体内でとても重要な多くの役目を果たしており、いい脂質を摂取することは、健康にとってきわめて重要になります。「脂質は太る」というイメージがあるためか、摂取を極端に制限する人がいますが、無理なダイエットなどは慎むべきです。
 基本の食事のなかで、脂質はバランスよくとることが大切になってきます。


  人間の体の中で“脳”は最も重要な器官の1つですが、その構成成分の60%は脂肪が占めています。そして、このうち一番量が多いのが「オメガ3」です。無数の神経細胞から成り立っている脳は、神経刺激を伝達したり、外からの刺激を受け取ったり、いつも活発な活動をしていますが、その動きに鋭敏に反応し、素早く対応しているのが「オメガ3」なのです。脳では「オメガ3」が最も大切な脂肪酸なのです。


  細胞内小器官(ミトコンドリア)の膜構造には食べた脂肪酸がそのまま使われますので、どのような種類の脂肪酸を含む脂質を食べたかにより、膜構造の状態が大きく異なり、ミトコンドリアの働きが左右されます。このため摂り方に問題があれば、ミトコンドリアの機能が悪くなります。


  体内に吸収された脂肪酸は、酵素を触媒として次のように変換していきます。


 体内での脂肪酸の変換には「飽和脂肪酸系列」「リノール酸系列」「アルファ・リノレン酸系列」の3つがあります。そして重要なことは、これら3つの系列の脂肪酸は「体内で相互変換しない」ということです。つまり、どれだけ大量の飽和脂肪酸を摂っても、ガンマ・リノレン酸に変わることはありません。またリノール酸が、EPAやDHAに変わることもありません。


  このように「体の脂肪酸バランス」は、食べ物として摂った脂肪酸によって決まってしまいます。すべての細胞の脂肪酸の状態が、摂取した脂肪酸によってストレートに決定してしまうのです。
  このため、からだにいい油と悪い油を見分けることが重要です。


からだにいい油と悪い油の見分け方


  からだにとっていい油と悪い油を見分けるには、脂質のなかのおもな成分である脂肪酸の分類を理解する必要があります。


  脂肪酸は炭素同士が長くつながった構造をもち、この炭素同士の結合に二重結合がない脂肪酸を「飽和脂肪酸」、二重結合がある脂肪酸を「不飽和脂肪酸」と言います。
  飽和脂肪酸は常温では固体で、動物性食品(バター、ラードなど)に多く含まれています。
  不飽和脂肪酸は二重結合の数(価数)により性質が大きく変わり、数が多いほど油はやわらかくなるいっぽうで、酸化しやすくなります。常温で液体であり、植物性食品(植物油)に多く含まれ、価数によりオメガω-9系、オメガω-6系、オメガω-3系に分けられます。一価不飽和脂肪酸はオメガω-9系であり、オリーブ油やなたね油に多く含まれます。多価不飽和脂肪酸は二価のオメガω-6系と、三価のオメガω-3系に分けられます。ほとんどの植物油はオメガω-6系に分類されます。オメガω-3系の油はえごま油、あまに油、青魚に多く含まれます。
 不飽和脂肪酸に関して重要なことは、オメガωー6系とオメガω-3系のバランスです。ほとんどの植物油などのオメガω-6系はからだの炎症、アレルギー反応などを促進し、えごま油やあまに油などのオメガω‐3系は抑制します。現代の日本人は、圧倒的にオメガω-6系を摂りすぎていてオメガωー3系は足りない状態です。
 オメガωー6系は、「まごわやさしい」の食材をとっていれば十分なので油としての摂取は控え、オメガωー3系を積極的にとる必要があります。オリーブ油などのオメガω-9系は、炎症などには関係していませんが、脂質自体が生体に必要ですので、加熱して少量とるくらいがいいでしょう。
 もっともとってはいけないのは、マーガリンやマヨネーズなどに入っている、自然界にないトランス脂肪酸です。トランス脂肪酸は自然界には存在せず、植物油に人工的に水素添加してつくられた油です。次に、バターや乳製品など、動物性である飽和脂肪酸になります。
  いずれにせよ、どんな油でもつくられる過程が重要です。オーガニックで遺伝子組み換えでない国産の原料を使った油や、低温・圧搾法でつくられた本物の油が理想です。


必須脂肪酸について


 ほかの脂肪酸から合成できないため、食事などから摂取する必要のある脂肪酸を「必須脂肪酸」と言います。
  必須脂肪酸には、オメガω-6系とオメガω-3系があります。
  オメガω-6系の脂肪酸の代表はリノール酸とアラキドン酸です。オメガω-3系の代表はα-リノレン酸、DHA(ドコサヘキサエン酸)、EPA(エイコサペンタエン酸)です。ωー6系とωー3系の脂肪酸は互いに抑制し合い、身体内ではまったく逆の反応を誘導するため、このふたつの比率がとても重要です。
  オメガωー6系は、炎症やアレルギー性疾患を誘導したり、血管が詰まりやすい状態にしたりします。逆にオメガωー3系は炎症やアレルギー性疾患をしずめ、血管が詰まりにくい状態にします。
  簡潔に言い換えますと、オメガ-6系脂肪酸のとりすぎが炎症体質を悪化し、オメガ-3系脂肪酸をとると炎症体質は改善されるということになります。
  これらのことから、摂取する「オメガ- 6 系油とオメガ- 3 系油の比」をもって「酸化ストレス・炎症体質」にならないための油脂の摂取量の目安量を知ることができます。
  いわゆる、オメガ-6系/オメガ- 3 系の比が大きな値を示すほど「酸化ストレス・炎症体質」は悪い状態に向かい、逆に小さな値であるほど「酸化ストレス・炎症体質」は良好な状態に向かうということなのです。
 がんなどの生活習慣病・認知症のベースには「酸化ストレス・炎症体質」があり、オメガω-6系とオメガω-3系脂肪酸の比率が関係しています。オメガω-6系は、炎症やアレルギー性疾患、血栓(心筋梗塞や脳梗塞)、がんなどを引きおこしやすくするので悪い印象を受けますが、オメガω-6系が働かないと感染に対して炎症を起こして治る力が働きませんし、少しの傷で出血が止まらなくなります。


  どちらがいいというよりも、あくまでバランスが重要であり、理想的なオメガω-6系とオメガω-3系の摂取割合は3一1とされています。現代の日本人は、圧倒的にオメガω-6系が過剰で、オメガωー3系が極端に少なくなっています(20~40:1)。揚げものや炒めもの、洋食中心の食生活が多い人は注意しましょう。
  オメガω‐3系を積極的にとり、オメガω-6系を控える必要があります。ただし、えごま油やあまに油などのオメガωー3系の油は非常に酸化しやすく、加熱料理には向きません。あえものやドレッシングなどで、積極的にとるよう心がけましょう。


トランス脂肪酸について


 トランス脂肪酸は、液体である植物性の油に人工的に水素添加を行うことにより固体化させた脂肪酸です。自然界にもごくわずかに存在しますが、人工的につくられたきわめて不自然なものです。あらゆる脂肪酸のなかでもっとも害があるとされています。
  普通の脂肪酸と構造が異なり、おもに細胞膜の性質を変化させ、全身の細胞の機能を阻害します。動脈硬化、がん、アレルギー性疾患、クローン病、認知症などとの関係が強く指摘されています。
 マーガリンやショートニングに入っているのが有名で、いつまでもパンをやわらかいままにしたり、クッキーをサクサクにしてくれたりする便利な成分です。そのほか、フライトポテト、スナック菓子、コーヒーフレッシュなど、非常に多くの加工品に使われており、知らず知らずのうちに多くの人々が摂取してしまっています。


  欧米のほとんどの国では、表示義務が課され、使用制限などの規制もあります。日本でも一時規制がかかる動きが見られましたが、なぜか途中で頓挫したままになっており、現在は表示の義務すらありません。どうしても使いたい場合には、トランス脂肪酸フリーのものを使いましょう。


コレステロールについて


 「コレステロールはからだに悪い」というイメージが定着しています。しかし、コレステロールは生体内でとても重要な役割を果たしており、なくてはならないものです。
 コレステロールは細胞膜、ホルモン、ビタミンD、胆汁酸の原料となります。また、血管や脳の神経細胞を守る働きもしています。コレステロールの20%は食べもの由来で、80%は体内で合成されています。コレステロールから、非常に多くのホルモンが副腎で合成されます。肝臓から胆汁酸として排出されますが、95%は小腸で再吸収されます。胆汁酸は、脂肪や脂溶性ビタミンの消化・吸収に欠かせません。
  もうひとつ重要なことは、コレステロールには善玉と悪玉があるという理解は正しくない、ということです。
  一般的に、HDL=善玉コレステロール、LDL=悪玉コレステロールと言われがちですが、じつはそれは誤りなのです。
  コレステロールは水に溶けない脂質の一種ですので、血液内を移動するときは、たんぱく質と結合した「リポたんぱく」という形で運ばれます。このリポたんぱくにはいくつかの種類があり、そのうちのHDLは全身から余ったコレステロールを肝臓へ運び、LDLは肝臓から全身ヘコレステロールを運ぶ役割をします。HDLコレステロール、LDLコレステロールとは、それぞれHDL、LDLに含まれているコレステロールという意味になります。コレステロール自体は1種類しかなく、善玉も悪玉もないのです。
 ですから、コレステロールはHDL、LDLと分けて考えるよりも、総コレステロール値で考えるのがよいでしょう。


  最近、日本人ではコレステロールの値がある程度高い(総コレステロール値259mg/dlまで)ほうが、死亡率が低下することがわかってきました。
  私は、動脈硬化にはコレステロールよりも、活性酸素や糖、カルシウムのとり方のほうが、影響を与えていると考えています。


植物油(食用油)の摂り方
  

 皆さんの中には、「植物油は健康によい」と思っている方も多いのではないでしょうか? もしあなたが「植物油は健康によい」と信じているのであれば、「植物油のとり過ぎが、じつは健康を害する最大の原因である」と認識を変えてほしいのです。


  植物油の中にも「よい植物油」と「悪い植物油」があるので一概にはいえないのですが、悪い油のとり過ぎが、認知症発症の引き金となる「活性酸素」と「遊離脂肪酸」を発生させることにつがなっていることは確かです。よいものと悪いものを見極める目を持つことが大切です。私がお勧めする植物油は、昔ながらの製法「低温圧搾」で造られたシソ油(エゴマ油)や亜麻仁油などのオメガー3系脂肪酸を多く含む植物油と、エクストラバージンオリーブ油、低温圧搾で作られたゴマ油やナタネ油などの植物油です。これら以外の市販されているサラダ油など多くの植物油は、いずれも「悪い油」といってもよく、多くとってはいけないものばかりです。また、マーガリンやショートニングなどの脂もダメです。
  こうした「悪い油」を原材料とするマヨネーズやドレッシング、植物性ヨーグルト、ケーキ、ビスケット、クッキー、チョコレート……なども、できるだけ避けたい食品といえます。加工食品の成分表を見ればわかるのですが、植物油が加えられていない加工食品はまれにしかありません。これらの植物油のほとんどは悪い油です。注意してください。


オリーブオイルをアルツハイマー病予防のために使ってください


 エキストラヴァージン(EXV)オリーブオイルは健康に良い植物油です。血圧を下げ、コレステロール値を安定させ、血液をサラサラにしてくれます。これは「オレイン酸」という脂肪酸の働きです。
 オレイン酸とは植物油に多く含まれている脂肪酸。悪玉コレステロールを減らしてくれます。動脈硬化、高血圧、糖尿病などの予防につながります。
  悪玉(LDL)コレステロールとは肝臓で作られたコレステロール(脂質)を体の隅々まで運ぶ役割があります。けして悪い働きをするわけではありません。ですが、この悪玉コレステロールは増えすぎると血管を詰まらせます。その結果動脈硬化の原因となってしまいます。
  オレイン酸が様々な生活習慣病の予防になります。そのいろんな病気が脳血管性認知症につながってしまうので健康維持は重要なことです。
  抗酸化物質である「ビタミンE」、「オレウロペイン」というポリフェノール類も含まれています。これらの抗酸化物質は、老化の原因にもなる活性酸素を抑えてくれる働きがあります。
 オレウロペインとはオリーブの葉に含まれるポリフェノールの一種です。血糖値をさげたり、抗菌作用などがあります。コラーゲンの吸収を助ける働きもあります。

 
 そしてEXVオリーブオイルには、他にも認知症予防のために役立つ物質が入っています。それが「オレオカンタール」です。
  オレオカンタールとはEXVオリーブオイルから抽出される天然有機化合物です。抗酸化作用、そして抗炎症作用があります。
  この化合物が、アルツハイマー病の原因になるアミノロイドβタンパクのオリゴマー化を防いで、脳細胞の破壊を妨げてくれるのです。
  EXVオリーブオイル特有のオレオカンタールが老人斑の形成を阻止し、アルツハイマー病の予防策になります。そして脳内で起きる炎症による脳細胞破壊にも抗炎症作用で対抗できます。


エキストラヴァージン(EXV)オリーブオイルの認知症予防効果

 
  オレイン酸によるコレステロール値の正常化
   活性酸素を抑える抗酸化作用あり

 
 オレオカンタールがアルツハイマー病の原因を取り除いてくれる健康に良い植物油です。EXVオリーブオイルの活用法はいろいろあります。野菜サラダにかければ、抗酸化物質いっぱいのヘルシー食になります。野菜、果物ジュースに数滴入れて飲むのも良いです。
  何に使うかはご自由です。ごはんにかけたり、豆腐にかけたりなど、何にでも使用できます。ご家族の方のお好みの利用法でよろしいと思います。

 
 利用法は非常に簡単です。ただ、保存の仕方にだけご注意してください。日光、そして蛍光灯など、光にさらされることで劣化しやすくなります。高温になるところの近くもよくありません。
 せっかくの風味を失ってしまいます。EXVオリーブオイルは健康のために、認知症予防のために、とても有効です。是非お試しください。


  以上のように、オリーブオイルは・・
 

 オリーブオイルに含まれるオレイン酸が認知症の人の脳内に蓄積される物質「アミロイドβ」の量を減らすと言われています。
 オリーブオイルは新鮮なサラダにかければ、抗酸化物質も含まれた健康食になります。炒め物や揚げ物を作る際には、ぜひオリーブオイルを使ってみてください。ただ、脂質は私たちの体にとって非常に大事なものですが、摂りすぎはあまりよくありません。調理で使う油の場合、1日おおよそ大さじ2杯程度にしておきましょう。

 
その他の食用オイルで認知症予防


  認知症予防には、40代~50代からの食生活習慣の見直しが推奨されています。ここでは認知症予防に良いとされる食用オイルをご紹介いたします。それぞれ味や認知症予防以外に期待される効果も違うので、あなたにあった食用オイルを試してみるのもいいかもしれません。


1.えごま油で認知症予防


  最近話題のえごま油。テレビでも認知症予防に紹介されることも多く、認知症予防の食用オイルといえばえごま油を連想する方も多いかと思います。
 どうしてえごま油が認知症に良いとされるのか、それは豊富に含まれるαリノレン酸です。α-リノレン酸は脳の栄養素。体内で脳の栄養素であるEPAあるいはDHAに変化し、脳に多くの血液を送り血流が良くなるため、脳の神経細胞が活発に動くようになるのです。


  α-リノレン酸はコーン油やオリーブオイルなどにも含まれていますが、含有量は約60%とえごま油がとりわけ多いため、認知症予防として話題になりました。


  では、EPAやDHAを魚などでそのまま摂取すればよいのではないか?と思うかもしれません。しかし、推奨される1日の摂取量2gはサバだと半尾ですが、えごま油では大さじ1杯と少量で済むのです。


[お勧めの摂取方法]


 えごま油は熱に弱いため、高い熱を加えない料理が理想です。また、脳の神経細胞同士のつながりを強める卵や大豆類など、タンパク質と一緒に摂るとより効果的です。


[風味の特徴]


 少し生臭いので、気になる人は味の濃いものと一緒に食べるのがお勧めです。


[1日の摂取量の目安]


  約小さじ1杯


[認知症予防以外に期待される効果]


  うつ病改善、血管の若返り、ダイエット、美肌、歯の健康、視力回復


 2.亜麻仁油(あまにゆ)で認知症予防


 えごま油と同じようにテレビでも取り上げられ話題となった亜麻仁油もα-リノレン酸を約25%と豊富に含むため、認知症予防に良いとされています。
 もともとは塗料やインクの原料として用いられていましたが、豊富な栄養素により現在は食用油として注目されています。


[お勧めの摂取方法]


  亜麻仁油も熱に弱いため、高い熱を加えない料理が理想です。えごま油同様に脳の神経細胞同士のつながりを強める卵や大豆類など、タンパク質と一緒に摂るとより効果的です。


[風味の特徴]


  えごま油より少し生臭いので、こちらも気になる人は味の濃いものと一緒に食べるのがお勧めです。


[1日の摂取量の目安]


  約小さじ1杯


[認知症予防以外に期待される効果]


  花粉症などアレルギー症状の緩和、生活習慣病の予防・改善、血流の改善、美肌、便秘の解消、ダイエット、更年期障害の改善、不妊、リウマチ、気管支炎、肝炎、腎炎などの炎症を抑える、免疫力を高める、癌の予防、鬱病、統合失調症、自律神経失調症、など精神疾患の予防・改善、慢性疲労の予防・改善、片頭痛の予防・改善


3.ココナッツオイルで認知症予防


 ココナッツオイルには中鎖脂肪酸が多く含まれます。この中鎖脂肪酸が認知症予防に良いとされるのです。
 脳のエネルギー源はブドウ糖ですが、これが不足したとき肝臓で作られるケトン体がブドウ糖の代わりに使われます。そのケトン体を効率的に作るのが中鎖脂肪酸なのです。


  一般的な油に含まれる長鎖脂肪酸でもケトン体は作られますが、血中ケトン体量の変化を比べると、同量の中鎖脂肪酸を摂取したときのほうが、約10倍も多くのケトン体が作り出されていることがわかりました。


  また、アルツハイマーに罹患している脳は、エネルギー源となるブドウ糖の利用が進まず、エネルギー不足の状態となり認知機能が低下します。ケトン体はブドウ糖に代わり脳のエネルギーとして利用されます。

 
  アメリカの研究では、若年性アルツハイマーの患者にココナッツオイルを食べさせたところ、4時間後には会話能力などの認知障害の改善がみられており、この効用が認知機能低下の予防にも効果があることを実証する研究が今も進められています。

 
 [お勧めの摂取方法]


  ココナッツの風味を活かした蜂蜜トーストやアイスへかけるなど、デザート系がお勧めです。


[風味の特徴]


  ココナッツの香りと風味がします。熱を加えるとココナッツ風味は少し落ちます。


[1日の摂取量の目安]


  約小さじ3.5杯


 ※一気に多く摂ってしまうとお腹をこわすことがあるので、最初は小さじ1杯くらいから、少しずつ量を増やしてください。


[認知症予防以外に期待される効果]


  ダイエット、便秘の解消、コレステロール値の低下、糖尿病の予防・改善、心臓血管疾患リスクの低下、免疫力の向上、美肌、美白

 
4.L-カルニチンは認知症予防に大切です


 L-カルニチンとは、特殊なアミノ酸の一種で体内の脂肪を燃焼し、エネルギーに変えるための必要不可欠な栄養素のことです。
 体についた脂肪は、そのままでは燃えません。まず、燃えやすい遊離脂肪酸に変化し、血液の中に流れ出します。そして、各細胞内のミトコンドリアへと流れていきます。ミトコンドリアは、エネルギーを生み出す場所です。遊離脂肪酸を燃料としてエネルギーを生み出すのです。こうして、脂肪は燃焼します。ところが、遊離脂肪酸は”L-カルニチン”がないと、ミトコンドリアの中に入ることができません。つまり、L-カルニチンがミトコンドリアの鍵を開けることで、はじめて遊離脂肪酸はミトコンドリアに入ることができるというわけです。
  L-カルニチンは遊離脂肪酸をミトコンドリアに運ぶ役割を果たしています。つまり、L-カルニチンが不足していては、体についた脂肪を燃やしてなくすことはできないのです。

 
  L-カルニチンには、もう一つ重要な働きがあります。それは、健康な脳機能を維持することです。L-カルニチンが不足すると、脳のアセチル-カルニチンが不足します。アセチル-カルニチンが不足すると、脳の細胞が壊れやすくなり、認知症になりやすくなります。このことは、数多くの臨床研究から明らかにされています。L-カルニチンは、認知症防止にも役立つというわけです。
  L-カルニチンは、ミトコンドリアの中で脂肪を燃焼して肥満を防止し、脳の中でアセチル化して認知症を防止してくれる、私達には欠かせない物質なのです。

 

L-カルニチンのパワーはCoQ10なしでは発揮されません!


 肥満を解消したいからと、いくらL-カルニチンを摂っても、それだけでは効果はあまり期待できません。その優れた体脂肪の燃焼効果を発揮させるためには、CoQ10が欠かせないのです。
 L-カルニチンだけがたくさんあっても、CoQ10が不足していては、脂肪はうまく燃焼されません。逆に、CoQ10だけがたくさんあっても、L-カルニチンが不足していては、脂肪はうまく燃焼されません。つまり、この二つの相乗効果で、認知症改善・肥満が解消できるというわけなのです。
  L-カルニチンはCoQ10と一緒にしっかり摂ってこそ意味があるのです。


  2002年山梨大学のyasuiらのグループの論文によると、L-カルニチンは体の中でアセチルL-カルニチン(ALC)に変化します。
 このアセチルL-カルニチン(ALC)は脳に多く含まれており、脳内のアセチルL-カルニチン(ALC)が不足すると脳細胞は壊れやすくなります。人間の脳細胞は生まれたから日々減っていく一方で、1日に何万という細胞が壊れています。
  アセチルL-カルニチン(ALC)が不足すると、この細胞が壊れるスピードが速まり、認知症になりやすくなります。
  ですから、L-カルニチンを摂取すれば、アセチルL-カルニチン(ALC)が体内で合成され、認知症予防になります。

 

 これらの実験や論文からも分かるように積極的なL-カルニチンの摂取が必要です。特に50歳を超えた人は1日に100mgを摂るべきであろうと言われています。
ではどのようにL-カルニチンは摂れるでしょうか?
  L-カルニチンは動物性の赤みの肉、特に羊の肉に多く含まれているようです。
  L-カルニチンを多く含むのは何といっても羊肉です。しかし、あの匂いが苦手という人は牛肉などでも十分にL-カルニチンを摂取することができます。.

 

4.カレー 週に2 ~ 3 食以上


カレーが認知症予防に繋がる?

 

「インド人は認知症患者が少ない」と言われているのは、ご存じでしょうか? インド人はカレーを中心とした食生活を送っており、豆類や野菜類を多く摂取しています。なお、インド発祥と言われるカレーは、スパイスが効いた煮込み料理を指します。カレーには、ターメリックと呼ばれる黄色く着色できるスパイスが含まれていることが特徴。このターメリックのなかに、認知症予防に繋がるクルクミンが含まれています。


クルクミンに認知症予防の効果があると言われている


そもそも、アルツハイマー型認知症は、「アミロイドβ」と呼ばれるたんぱく質が脳に蓄積することで神経細胞の破壊を引き起こします。アミロイドβの蓄積から認知症が発症するまでには、一般的には20~30年ほどかかると言われています。 クルクミンには抗炎症作用や抗酸化作用があり、ポリフェノールの一種としても知られています。ターメリックに含まれるクルクミンは、アミロイドβが脳に蓄積するのを阻む成分です。つまり、カレーを定期的に摂取することで、認知症の引き金にもなるアミロイドβを掃除してくれるとイメージすると良いでしょう。


認知症予防にカレーが効果的な論文


・富山医科薬科大学和漢薬研究所薬効解析センターの東田千尋氏は「カレースパイス成分のクルクミンがアルツハイマー痴呆を予防する」という論文を2002年に発表

・カリフォルニア大学ロサンゼルス校のミラン・フィアラ博士の研究チームが、全米科学アカデミー会報で「カレーに含まる成分が、脳の働きを阻害しアルツハイマー病を特徴付けるタンパク質を吸収する免疫細胞を、活性化する可能性がある」と発表


5.その他


  ナッツ
  シナモン
  チョコレート


 明治は愛知学院大学、愛知県蒲郡市との「チョコレート摂取による健康効果に関する実証研究」で、カカオポリフェノールを多く含むチョコを継続摂取した場合、脳由来神経栄養因子のBDNF値が上昇することを確かめた。BDNFは記憶効果を高めたり、アルツハイマー型認知症との関連性が報告されており、研究に携わった愛知学院大の大澤俊彦教授は「チョコの摂取で認知症を予防したり、進行を遅らせられる可能性が高い」という。明治は共同研究成果を、高齢者向けの認知症予防食品やチョコのPRに活用する。

  3者の共同研究は蒲郡市のヘルスケア計画の中で2014年3月にスタートし、45―69歳の中高年男女347人にカカオ分72%の高ポリフェノールチョコを1日25グラム、4週間続けて摂取してもらい、効果を調べた。すでに高血圧の人の血圧低下や動脈硬化予防効果を確認済みで、今回、新たにBDNF値の上昇と酸化ストレス指標の低下を確かめた。

  明治は今回の研究で特定保健用食品(トクホ)や健康機能性食品に直ちに活用はしないものの、チョコのイメージアップや消費拡大につながるとみている。


日刊工業新聞2015年05月22日 素材・ヘルスケア・環境面


6.認知症を予防する飲み物

 

   コーヒー1日3~5杯
  1日2杯以上の緑茶
   1日1杯の赤ワイン
  ザクロジュース