頭痛の構造 | 頭痛 あれこれ

頭痛 あれこれ

 「慢性頭痛」は私達の日常生活を送る際の問題点に対する”危険信号”です。
 このなかで「片頭痛」は、どのようにして引き起こされるのでしょうか。
 慢性頭痛改善は、「姿勢」と「食生活」の改善がすべてであり、「健康と美容」のための第一歩です。

 脳のなかに異常のない一次性頭痛(慢性頭痛)を構成する要因には、これまで述べてきましたように以下の要因があります。


   1.酸化ストレス・炎症を形成する要因
   2.ミトコンドリア・セロトニンの要因
   3.「体の歪み(ストレートネック)」の要因
   4.自然治癒力を低下させる要因
   5.脳過敏を引き起こす要因



 これらの要因が、次々と追加されることによって、私達が日常的に感じる極く軽度の頭痛が次第に増悪することによって、片頭痛へ、群発頭痛へと進展していきます。
 そして、日常的に感じる極く軽度の頭痛(緊張型頭痛)と片頭痛との基本的な相違点はミトコンドリアの働きの悪さを生まれつき持っているかどうかの差異でしかありません。
 ここで注意すべきことは、このような生まれつきミトコンドリアの働きの悪さが存在しなくても、ミトコンドリアの働きを悪くさせる生活習慣を継続させておれば、当然、片頭痛と同様の激しい頭痛を引き起こしてくることになります。


 これらについて、もう一度”おさらい”をしておくことにしましょう。


1.酸化ストレス・炎症を形成する要因


 私達の身の回りにはミトコンドリアの機能を悪化させる要因が多々存在します。


  1.生活習慣の問題

    睡眠不足
     運動不足
     食べ過ぎ・過食
    早食い・ドカ喰い・・インスリン過分泌
    薬剤による影響・・とくに市販の鎮痛薬

  2.食事内容の問題

    マグネシウム不足
     必須脂肪酸の摂取のアンバランス 
     鉄不足
         野菜不足・・抗酸化食品の摂取不足

  3.生活環境の問題

    活性酸素    
     有害物質

      4.年齢的な問題

     女性ホルモン(エストロゲン)の分泌低下



 これらの要因によって、酸化ストレス・炎症体質が形成されてきます。
 この「酸化ストレス・炎症体質」は、活性酸素の発生が除去しきれないほど発生してしまう状態のことで、これらが原因で細胞が傷つけられ、さまざまな病気(炎症)を引き起こしてしまう状態・体質のことを言います。
  いつも“腫れたり”、”痛みがでたり”、“熱がでたり”、”発赤したり”さらには、高血圧になったり、心臓や脳血管で血栓を起こしたり、コレステロール値が高くなったり、アレルギーになりやすかったり、風邪や癌などに罹りやすくなったり、頭痛を起こしやすくしたり、いろんな病気に罹りやすい”体質”のことです。
 このように、生活習慣病や慢性病や慢性頭痛と言われている病気の根底にあるのが「酸化ストレス・炎症体質」で、多くの場合「遺伝的体質」や「原因不明」という言葉で表現されているのが現状です。
 この「酸化ストレス炎症体質」を基盤として、“内臓脂肪”の要因が加わると糖尿病に、生まれつき“ミトコンドリア活性が弱い”と片頭痛に、これがなければ片頭痛以外の慢性頭痛に、“脳内セロトニンが低下する”とうつ病やパニック障害に、“発がん物質を摂れば、ガンになり、βアミロイドが蓄積すれば、アルツハイマー病になってきます。
 このようなことから、片頭痛に脳梗塞が合併したりする理由にもなっています。


2.ミトコンドリア・セロトニンの要因

 前回も述べましたようにミトコンドリアとセロトニン神経系は連動して働いています。
 私達が日中活動している際に、常時活動している神経系がセロトニン神経系です。このようにエネルギーを常時たくさん使うセロトニン神経系は、ミトコンドリアの働きが悪くなりますと、ミトコンドリアでエネルギー産生が十分に行われないために、同時にセロトニン神経系の働きまで悪くなってきます。
 このような状態にあるところに以下のような生活習慣が加わって、セロトニン神経系の機能は弱体化し、脳内セロトニンが低下してきます。
 
  日光を浴びることが少ない
  朝は出かける直前まで寝ている
  昼夜逆転生活になっている
  固いものをあまり食べない
  階段を使わずエレベーターやエスカレーターを使う
  30分以上続けて歩くことができない
  運動不足である
  デスクワークが多い
  朝食をとらない
  ごはんやパンなどの炭水化物をあまり食べない
  魚より肉をよく食べる
  ダイエットのため食事制限をしている



 女性は健常男性より 約 52%「脳内セロトニン」を産生する能力が低く、またセロトニンの前駆物質であるトリプトファンが欠乏すると、女性では「脳内セロトニン」合成が男性の 4 倍減少すると言われています。
 このため、女性では、潜在的に「脳内セロトニンの低下」した状況に置かれています。
 そして、生理周期によって、女性ホルモンのエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)は、その分泌量は大きく変わります。
 特にエストロゲン(卵胞ホルモン)が減ると、それに伴って神経伝達物質であるセロトニンも急激に減ります。
 つまり排卵日や生理の初日前後にはエストロゲンが減少するためにセロトニンも減少→頭の中の血管が拡張して片頭痛が起こりやすくなります。
 このように、生理周期に関連して、脳内セロトニンが低下してきます。
 そして、ストレスによって、脳内セロトニンは低下してきます。
 このようなことから、女性では、初潮の始まる時期に片頭痛が発症してきます。
 男性の場合は社会人になってストレスが大きくなってくることによって、20歳前後に片頭痛が発症することが多いのです。
 また、受験を控えて、睡眠時間を減らしてまで勉学に励むことによって、ミトコンドリアの働きを悪化させ、セロトニン低下がもたらされ、片頭痛を引き起こしてきます。


3.「体の歪み(ストレートネック)」の要因

 上記のような要因によって、ミトコンドリアの機能が低下すれば、同時にセロトニン神経系の機能まで低下することになり、この両者によって、私達は日常的に前屈みの姿勢を強いられていることから、「体の歪み(ストレートネック)」を形成しやすくなります。
 現代社会はITの時代です。事務職ではパソコンが必須のアイテムとなっています。さらにスマホの全盛の時代です。女性では、炊事・洗濯・掃除すべて俯き姿勢をとる生活を強いられています。こうした諸々の生活環境に置かれていることから、「体の歪み(ストレートネック)」が日常茶飯事にみられるようになっています。
 慢性頭痛と「体の歪み(ストレートネック)」の関与は以下をご覧下さい。


      「体の歪み(ストレートネック)」は慢性頭痛の基本骨格
         
https://ameblo.jp/yoyamono/entry-12350238712.html

   姿勢が悪いと、空気が薄くなる??
         
https://ameblo.jp/yoyamono/entry-12361245376.html


 
4.自然治癒力を低下させる要因

 自然治癒力を構成する3つの柱として、自律神経系、内分泌系、免疫系があります。
 自律神経系には、セロトニン神経系が、内分泌系として、生理活性物質が、免疫系には、腸内環境が関与しています。
 セロトニン神経系はミトコンドリアと連動し、自律神経を調節しています。
 生理活性物質のエイコサノイド は、必須脂肪酸のオメガ3とオメガ6で作られ、必須脂肪酸は生体膜(細胞膜)を構成しており、ミトコンドリアの機能を左右します。
 腸内には、ミトコンドリアが最も多く存在し、腸内環境の悪化はダイレクトにミトコンドリアの働きを悪化させることになります。

 このなかで、生理活性物質は、油の摂り方が最も問題になります。現在では、テレビでは日常茶飯事にオメガ3、オメガ6について放映され、ここで敢えて言うまでもないことです。

 腸内環境はいろいろな原因で変化しますが、なかでも食生活は大きな影響を及ぼします。 欧米型の食事に偏り、肉や脂肪・砂糖などを大量に摂取すると、間違いなく腸内環境は悪化します。食物繊維が不足した「不健全な食事」では、腸内細菌のよい働きを引き出すことはできません。高タンパク・高脂肪・低食物繊維の欧米型食事は、腸内環境にとって最大の敵と言えます。
 また「ストレス」や「過労」も腸内環境に深刻な影響を与えます。「運動不足」も問題です。さらには「抗生物質」などの化学薬剤も、腸内細菌に決定的なダメージを与えます。 抗生物質は病原菌をやっつけるだけでなく、よい腸内細菌まで殺し、腸内フローラを悪化させます。家畜に投与された抗生物質が肉を摂ることで体内に取り入れられ、有益菌を弱らせるようなこともあります。
 便秘は腸内環境の悪化のサインです。腸内環境の悪化はモロにミトコンドリアの機能を悪化させることになりますので注意が必要です。

  自然治癒力の低下を引き起こす要因
     
https://ameblo.jp/yoyamono/entry-12350071074.html


 前回も述べましたが、片頭痛は、約3割が自然に治癒し、約4割が症状は変わらず、残りの3割が慢性化して増悪してきます。
 自然治癒した3割は、自然治癒力、すなわち”恒常性を維持するための「環境に対する適応力」により治癒したものです。
 ”セロトニン神経系””生理活性物質””腸内環境”の問題点が持続して存在すれば、「ホメオスターシスの三角形」の”歪み”が継続され、4割の方々が、症状が変わらない状態(発作がいつまでも繰り返される)が持続することになります。
 すなわち、脳内セロトニンの低下を引き起こす生活習慣があったり、必須脂肪酸のオメガ3とオメガ6の摂取バランスの悪い食生活があったり、腸内環境を悪化させる要因が持続するような生活習慣が継続していることを意味しています。
 「ホメオスターシスの三角形」の”歪み”が継続された状態に、さらに「ミトコンドリアの弱体化」、「脳内セロトニンの枯渇」、生理活性物質の問題(必須脂肪酸のオメガ3とオメガ6の摂取バランスの悪い食生活の常習化)によって「ホメオスターシスの三角形」のバランスが崩壊することによって、さらに「体の歪み(ストレートネック)」等々の慢性化の要因が加わることによって、自然治癒力が失われた状況に至って、2~3割の方々が慢性化に至ってきます。これが慢性片頭痛の本態です。
 このことは前回述べたことです。
 片頭痛発作時にトリプタン製剤がなかった時代でも、ひたすら我慢に我慢していれば、3日前後で自然に治まり、また元通りに回復してきます。これは自然治癒力によって回復したものです。
 片頭痛発作時にトリプタン製剤を服用することは、トリプタン製剤で痛みを軽減させているだけのことであり、これで片頭痛を治している訳ではありません。専門家はこのようにして健康寿命を短縮させるべきであるとされますが、このようなことを片頭痛発作の都度行っておれば、自然治癒力を低下させることに繋がり、逆に、慢性片頭痛を引き起こさせ、頭痛地獄に陥ることになり、健康寿命どころの騒ぎでなく、まさに地獄を垣間見ることになってしまいます。
 このように至らないためには、常々、自然治癒力を高めておく必要があります。


5.脳過敏を引き起こす要因

 
             ”脳過敏”を引き起こす要因
 
          1.ミトコンドリアの機能低下にマグネシウム不足
         2.脳内セロトニンの低下
         3.体の歪み(ストレートネック)の長期間の持続



 この詳しいことは文字数の関係から以下をご覧下さい。

      脳過敏を引き起こす要因
    
https://ameblo.jp/yoyamono/entry-12347538785.html



 専門家は、この脳過敏を片頭痛での生まれつき備わったものとして、改善不能のものとされます。しかし、このような脳過敏の症状は、片頭痛だけに限らず、緊張型頭痛でも軽度ながら認められることはよく経験されることです。
 また、専門家が金科玉条のものとされる「国際頭痛分類 第3版β版」でも緊張型頭痛での脳過敏症状は厳然として記載されており、片頭痛に特異的なものではありません。
 さらに、卑近な例では、小橋雄太さんのブログ「イミグラン錠・副作用なしで片頭痛を治しちゃえ」のなかで閃輝暗点について詳細に記載されています。

       頭痛の前のキラキラは閃輝暗点
         
https://ameblo.jp/henzutsunaosu/entry-10591057208.html


 小橋さんは、体の歪みからこの閃輝暗点が生ずると考え、整体師さんの指導を忠実に守り体の歪みを是正させることによって、片頭痛を治すと同時に閃輝暗点が消失したと述べています。
 私も小橋さんの考えに従って、閃輝暗点を持つ患者さんに対して、「体の歪み(ストレートネック)」を改善させることによって閃輝暗点が消失してくることを確認しています。


 ところが、専門家は偶々、治っただけであり、まやかしとされます。
 さらに、「体の歪み(ストレートネック)」の重要性すら認めようとはされません。
 その理由は、「国際頭痛分類 第2版」には記載されていないということだけのことです。
 このように専門家は、自分の手を汚してまで、エビデンスの確立までされません。
 このため、私は学会発表は無駄と考えて、平成25年に文芸社から「片頭痛治療の考え方・進め方」を出版することによって、「体の歪み(ストレートネック)」の重要性を一般の方々に訴えて参りました。ここでのデータでは、専門家に言わせれば、80歳代の患者さんがなく、有意差検定に問題があると指摘された始末で、この点から有意差検定を出すことを断念いたしました。いずれにしても、この調査期間中には80歳代で頭痛を訴えて受診された方がいなかったことは事実ですが、このようなクレームはチンピラの難癖にも等しいものと思っております。
 このように専門家は、出る釘はすべて叩き、信じるのは「国際頭痛分類 第3版β版」だけしかありません。これが、頭痛専門家の実態です。
 参考までに、皆さんが必ずアクセスされる頭痛の老舗とされる「頭痛大学」では、このような「体の歪み(ストレートネック)」に関する記載はまったく存在しません。
 これが日本の頭痛学会を代表とする考え方と理解しなくてはなりません。


 このように「頭痛の構造」を構成する要因について簡単に述べましたが、脳のなかに異常のない慢性頭痛の要因は、以上述べましたように、すべて日常生活習慣のなかにあることが理解されたはずです。
 ということは、慢性頭痛とは生活習慣病そのものということです。当然、片頭痛も慢性頭痛のなかのひとつです。ですから、片頭痛も生活習慣病そのものということです。
 専門家のいうように、片頭痛を引き起こす誘因としての生活習慣ではなしに、慢性頭痛そのものがどのような生活習慣の問題点から引き起こされているのかから考えなくてはなりません。そうすれば、片頭痛発症間もない時期から適切に対処すれば、片頭痛は1年半前後で消失してしまうし、男性の場合は、日常的に感じる極く軽度の頭痛の段階から、市販の鎮痛薬でお茶を濁すことなく、根本的に対処していくべきと考えます。

 最も大切なことは、私達が経験する日常的に感じる極く軽度の頭痛の段階から鎮痛薬に頼ることなく適切に対処することです。

 専門家は、こうした日常的に感じる極く軽度の頭痛を緊張型頭痛と考え、片頭痛とは無縁のものと考え、相手にされることはありません。このため私達は、テレビのコマーシャルに従って市販の鎮痛薬に頼るしかありません。ここでは「体の歪み(ストレートネック)」の関与を想定しないため当然のことです。そして市販の鎮痛薬の乱用を放置することによって、片頭痛を醸成・熟成させることになります。多くの中年女性の片頭痛はこのようなパターンを呈しています。このようにして、市販の鎮痛薬・トリプタン製薬メーカーの市場が拡大することになり、メーカーにとっては頭痛の専門家様々となり、お互いが共存共栄することができるようになっています。これが頭痛医療の構図です。


 しかし、先述の考え方が徹底すれば、慢性片頭痛といった頭痛地獄に至ることはなくなるはずです。また、片頭痛初期の段階では市販の鎮痛薬で十分対処可能な段階ですので、トリプタン製剤の出る幕は皆無となることに至ります。


 このようになれば、トリプタン製薬メーカーは完全に干上がることになります。
 ですから、こうした方々は、こうした考え方は絶対に容認することはありません。死活「問題ですから・・
 このように説明すれば、皆さんもよく理解できたのではないでしょうか。