第4章 「ホメオスターシスの乱れ(自然治癒力の低下)」 | 頭痛 あれこれ

頭痛 あれこれ

 「慢性頭痛」は私達の日常生活を送る際の問題点に対する”危険信号”です。
 このなかで「片頭痛」は、どのようにして引き起こされるのでしょうか。
 慢性頭痛改善は、「姿勢」と「食生活」の改善がすべてであり、「健康と美容」のための第一歩です。

 「ホメオスターシス・恒常性(自然治癒力)」には自律神経、内分泌系、免疫系の3つの働きが深く関わっており、3つの相関関係は「ホメオスターシスの三角」と呼ばれます。
  ホメオスターシスはストレスなどに大きく影響されます。例えば自律神経を失調させるストレスは内分泌を乱し、免疫力も低下させてしまいます。
 この3つのバランスが乱れて、「ホメオスターシスの三角に歪み」を生じてくれば、”頭痛”を肇とするいろいろな”体の不調”が現れることになります。

 


1.自律神経系


 さまざまな環境の変化に対応して行くための自律神経という調整機能がホメオスターシスとしてあります。
 たとえば、自動車には必ずアクセルとブレーキとが備わっています。
 アクセルしかない車、ブレーキだけしかない車では運転し続けることはできません。同じようにアクセルとブレーキの働を受け持つのが自律神経です。
 アクセルにあたる交感神経とブレーキにあたる副交感神経です。
 自律神経は無意識のうちにホメオスターシスによって、夜眠っているときにも心臓が動き、呼吸が途絶えたりしないのも、自律神経が働いているためです。
 自律神経がホメオスターシスによりバランスよく働くことで、毎日の生活を健康で元気に送ることができるのです。
 このように、私達の体に必要なさまざまな代謝は私達の意思に関わらず、自律神経によりコントロールされています。
 自律神経には日中に活発に働く交感神経と、夜になって活発に働く副交感神経があります。また、交感神経は体の活動時や緊張している時に活発に働き、副交感神経は食事時やリラックスしている時に働くというように、互いに相反する働きがあります。
 そして、健康であるためにはこの自律神経が正常に機能していなければなりません。
 たとえば、睡眠中は副交感神経が優勢に働いているのですが、交感神経が優性であれば眠りは浅くなり(よく目が覚める)、体力回復機能も弱まってしまいます。
 このようなことから、良い睡眠を得るためには就寝前にキッチリと交感神経を抑制し、副交感神経を十分に高めておく必要があるのです。
 食べ物を食べれば副交感神経が活発化され、胃や腸が働き、栄養素の消化吸収が行われます。
 また、副交感神経は排尿や排便を促し、昼の間に消耗した体のメンテナンスを司ります。

 このように、副交感神経優位から交感神経への切り替えや、交感神経優位から副交感神経への切り替えには、切り替えに必要な時間を十分に取ることが必要となります。
 決して、熟睡中に突然起こされ、全力疾走するようなことを毎日やってはいけないのです。
 セロトニン神経は自律神経に対し、このシフトがうまくいくよう働きかけています。このように、セロトニン神経は、自律神経を調節する役割を担っています。


   自律神経の乱れは”自然治癒力の低下”に繋がります


 自然治癒力を正常に発揮するためには、何より自律神経が乱れない生活を送らなければなりません。
 しかし、私たち現代人は非常に自律神経が乱れやすい生活を送っています。 だからこそ、私たちは怪我や病気をしたときに回復が遅れてしまうのです。
 要するに自然治癒力をフル稼働させるためには、規則正しい生活を送らなければならないということになります。


「規則正しい生活」と「リズム」を意識した暮らしが重要


 夜勤などの仕事をしている人などは別として、基本的に人は日中に活動するときに交感神経が働きます。これは主に日中における活動にて出る緊張感などを調整してくれる作用があります。そして夜間、休息するときは副交感神経が優位になります。このようにして自律神経は1日の疲れを回復させ、気持ちをリラックスさせてくれるよう作用しています。
 しかし、自律神経が乱れた状態に陥ってしまうと不眠や疲労感などの不調が現れます。


 そのため、生活のリズムの乱れは体内時計を狂わせて自律神経や自然治癒力における機能の妨げになるのです。


 狂った体内時計は、朝日を浴びることでリセットできることがわかっています。朝日を浴びると交感神経のスイッチがスムーズに入り、体温や血圧が上昇。 ストレスと闘うホルモンであるコルチゾールが分泌され、自然治癒力が高まります。
 ですから、睡眠時間を十分に確保しても昼夜を逆転させてしまうと、自律神経のバランスが乱れ、自然治癒力は低下してしまいます。


 自律神経を乱れさせないためにも、できるだけ自然のリズムに沿って早寝早起きし、朝はカーテンを開けて朝日を浴びるようにしましょう。
 これだけで自律神経のバランスが整い、気持ちよい一日を送ることができ、自然治癒力を発揮できる体を手に入れることができるようになります。

 
 ストレスは自律神経を乱す根本的な原因になっています。
 最初にも述べましたように、私達はストレスが重なりますと、頭痛を肇としていろいろな体調不良を訴えてきます。


 自律神経系の調節には、”セロトニン神経系”が関与しています。


  ”セロトニン神経系”の機能の低下に、生活習慣の不規則・ストレス・生理周期や、“小麦、乳・乳製品、肉食に偏った食事”をとり続け、“運動不足”が重なると「脳内セロトニンの低下」が引き起こされてくることになります。
 慢性的にストレスに晒されることによって、「脳内セロトニン不足」を来すことによって、痛みの制御ができなくなって、頭痛を感じやすくなります。
  経験的に自律神経は「慢性頭痛」と大きく関与していると知られています。
 こうしたことから、特に慢性頭痛を改善させるためには、どのようにして「自律神経を整える」かが鍵を握っており、重要な課題とされます。
 自律神経を調整する働きは、セロトニン神経系の役割です。このため、セロトニン神経を活性化させるために、「セロトニン生活」が必要になります。
 さらに「脳内セロトニンを増やす」工夫が必要とされます。


「セロトニン神経系」はどうして衰えてしまうのでしょうか?


 「セロトニン神経」には、歩行、呼吸、咀嚼などの基本的なリズム運動によって活性化されるという特性があります。毎日の生活の中で、こうしたリズム運動を自然に繰り返していれば、セロトニン神経は正常レベルに保たれます。 従って、こうした運動を極端に抑えた生活を継続することは、セロトニン神経の減弱を招きます。

 例えば以下のような生活習慣には要注意です。

   
   日光を浴びることが少ない
  朝は出かける直前まで寝ている
  昼夜逆転生活になっている
  固いものをあまり食べない
  階段を使わずエレベーターやエスカレーターを使う
  30分以上続けて歩くことができない
  運動不足である
  デスクワークが多い
  朝食をとらない
  ごはんやパンなどの炭水化物をあまり食べない
  魚より肉をよく食べる
  ダイエットのため食事制限をしている

 
 また、加齢による身体機能の衰えも運動不足に繋がります。セロトニン神経の活性には太陽の光も影響しますから、インドア指向の最近の子供たちの生活、とくに連日、息をつめてゲームをやり続けるという習慣などは、セロトニン神経が減弱しやすくなるのです。
 そして、以下のような要因によって、脳内セロトニンは低下してきます。


   ストレスによる影響・・最も重要なものです
   疲れなどで、体に「乳酸」が溜まったとき
   基礎代謝が低いこと

   生活のリズムが乱れ自律神経が乱れること
   生理周期との関連
   食事はバランスが大事で、偏食が原因になります
   運動不足

 


2.生理活性物質


 内分泌ホルモンに相当するものに”生理活性物質”があります。
 私たちのカラダの中では、食べ物を分解したり、エネルギーを作り出したり、侵入してきた敵から身体を守ったりなど、絶えず、さまざまな生命活動が行われています。それらをうまく調節するために欠かせないのが生理活性物質です。
 生理活性物質が正常に働くことによって、細胞や臓器など、体内の各器官が一定のバランスを保ちながら、健康な体を作り上げているのです。生理活性物質が不足すると、それらの正常な機能は乱れ、さまざまな器官に疾患が現れます。生理活性物質は、私たちの体がきちんと働くために欠かせない物質なのです。
 生理活性物質とは、わずかな量で生き物の生理や行動に何らかの特有な作用を示し、身体の働きを調節する役割をもった物質のことです。例えばビタミンやミネラル、核酸、酵素などがそうです。また、アミノ酸から作り出されるホルモン、神経伝達物質、サイトカインなども生理活性物質のうちの1つです。
 生理活性物質は、体内でタンパク質やアミノ酸などから合成されます。また、ある種のビタミンやミネラルのように体内で合成できないものは、食物から摂取する必要があります。さらに、自然界に広く生息する微生物が、ヒトにとって有益な生理活性物質を作り出すことも知られています。アオカビの作り出す抗生物質ペニシリンなどはその代表的な例です。


 生理活性物質には、以下の大きな3つの働きがあります。


   ①炎症を悪くする、
   ②その炎症を調整する、
   ③それらの働きを抑制する


 たとえば、血管を広げる生理活性物質があれば、それを収縮させる逆の作用を持つもの、さらにそれぞれの作用を抑制するものが存在します。
 この3つがバランスよく保たれていれば何も心配ありませんが、バランスが狂ってしまうと、「自然治癒力」が低下してくる、ということになってしまいます。


 生理活性物質”のひとつのエイコサノイド は、必須脂肪酸のオメガ3とオメガ6で作られ、この摂取バランスがよくないと、局所ホルモンのエイコサノイド・プロスタグランジンのバランスを乱すことになります。
 必須脂肪酸は生体膜(細胞膜)を構成しており、オメガ3とオメガ6の摂取バランスがよくないと、ミトコンドリアの機能・セロトニン神経系の機能にも影響を及ぼし、結果的に、細胞機能のバランスを欠くことになります。


 組織が損傷を受けた時、細胞膜にあるリン脂質はアラキドン酸に変わり、シクロオキシゲナーゼ(COX)の作用によってプロスタグランジンが生成されます。このプロスタグランジンの作用によって引き起こされる「痛み、熱、腫れ」などの症状が引き起こされる現象を炎症と言います。


 一方、組織損傷時に血漿から遊離したブラジキニンは、知覚神経を興奮させることにより、痛みを発生させます。
 プロスタグランジンは、ブラジキニンと比較して直接的な発痛作用は弱いのですが、ブラジキニンによる発痛を増強させます。
 このように疼痛は両者の関わりから起こります。


 発痛物質には、ブラジキニン、セロトニン、ヒスタミン、アセチルコリンなどがありますが、その中で最強とされるのはブラジキニンです。
 セロトニンは皮膚や筋肉に分布する痛覚受容器に作用して痛みを起こします。
 セロトニン濃度が低いと、物理的刺激や他の発痛物質(たとえばブラジキニン)の発痛作用を増強します。
 セロトニンの濃度を急に低下させるものはすべて頭痛を起こし、その際、絶対的な濃度よりも、減少のスピードが重要となってきます。
 プロスタグランジンの合成量を左右しているのは細胞膜にある脂肪酸(リン脂質)からのアラキドン酸の遊離の程度によります。
 細胞に物理的な刺激が加わった場合や炎症などはアラキドン酸が遊離するきっかけとなるため、いったんプロスタグランジンが産生され、炎症が起きると、アラキドン酸の遊離が促進され更にプロスタグランジンが産生されるという悪循環が生じることになります。
 これは雪球を坂の上からころがした時にたとえる事が出来ます。はじめは小さな雪球でもころがっていくうちにだんだん大きくなっていきます。おそらく、小さなうちには簡単に止めることが出来るのでしょうが、大きくなり勢いのついた状態では止めようとしても逆に押し潰されてしまうかもしれません。


 炎症の初期にプロスタグランジンの産生をしっかりブロックすることは、痛みを悪化させないための重要なポイントです。
 プロスタグランジンの原料になるのは食物の中に含まれる脂肪です。


 脂肪は蛋白質、糖質と並んで重要な栄養素ですが肥満をはじめとして動脈硬化や乳癌の発生に密接に関与していることが知られており、あまり良いイメージはないようです。
 このように、脂質というとダイエットの大敵のイメージがありますが、実際には体内で体の構造成分となったり、ホルモンの原材料として重要な役割を担っています。普段食べているバター、サラダ油、豚や牛の脂肪、魚の油などの油脂(中性脂肪)の栄養学的な性質を決めているのは脂肪酸といわれる物質です。
 脂肪酸には大きく分けて飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸があります。
 その中でも必須脂肪酸は動物の体内ではほとんど合成がされず、食事から摂る必要がある栄養素です。必須脂肪酸が欠乏したネズミでは皮膚からの水の漏出、成長の停止、生殖機能低下などが起きることが知られています。
 動物性脂肪には飽和脂肪酸が多く含まれ、たくさん食べるとコレステロール値を上げ、動脈硬化や心臓病の原因になることが知られています。不飽和脂肪酸は植物油や魚に多く含まれ、コレステロール値を下げるので良い言われています。ところが植物油信仰も過信しすぎると落とし穴があります。
 植物性脂肪は不飽和脂肪酸を多く含むと述べましたが大きく分けて3つの系統に分類されます。

 
一価不飽和脂肪酸

 
 オレイン酸に代表されます。オリーブ油に多く含まれ、動脈硬化を促進するLDL を下げ、動脈硬化を予防するHDL を上昇させる作用を持っています。

 
オメガ6系統多価不飽和脂肪酸

 
 リノール酸に代表されます。サフラワー油、紅花油、ひまわり油に多く含まれLDL もHDLも共に減らしてしまう作用があります。体内でアラキドン酸となり生理痛の原因物質であるプロスタグランジンの原料となります。またアレルギーや喘息発作に関与するロイコトリエンの原料ともなると言われており、過剰摂取には注意が必要です。

 
オメガ3系統多価不飽和脂肪酸

 
 α-リノレン酸→魚の脂肪に多く含まれエイコサペンタエン酸(EPA)やドコサヘキサエン酸(DHA)に代謝されます。EPAやDHAの動脈硬化、心筋梗塞予防効果はしばしばマスコミでも耳にしますが、これらのオメガ3系列の必須脂肪酸はオメガ6系列の脂肪酸が細胞に取り込まれるのを阻害したり、プロスタグランジン合成酵素の働きを邪魔することが知られています。
 オメガ3系多価不飽和脂肪酸であるα-リノレン酸、エイコサペンタエン酸はリノール酸、アラキドン酸がプロスタグランジン、ロイコトリエンなどのエイコサノイドに変換することを競合的に阻害することが知られています。EPA 由来エイコサノイドは生理活性が弱いので、プロスタグランジンの産生過剰による症状を抑制すると考えられます。

 
 プロスタグランジンがたくさん出来ないように工夫することは痛みの治療にとって重要です。そのためにプロスタグランジンの合成を阻害する鎮痛剤やピルなども使用するのですが、食生活を工夫することによってプロスタグランジンの過剰な産生をコントロールすることも有効と考えられます。
 具体的には魚を積極的に食事に取り入れる、衣の厚い揚げ物は減らすなどを工夫を続ける事が良いと思います。


 以上のように、細胞に物理的な刺激が加わった場合や炎症などはアラキドン酸が遊離するきっかけとなるため、いったんプロスタグランジンが産生され、炎症が起きると、アラキドン酸の遊離が促進され更にプロスタグランジンが産生されるという悪循環が生じることになります。
 炎症の初期にプロスタグランジンの産生をしっかりブロックすることは、痛みを悪化させないための重要なポイントです。
 プロスタグランジンの原料になるのは食物の中に含まれる脂肪です。
 このため、脂肪分の多い食事を摂り過ぎますと、頭痛・痛みそのものが出現しやすくなります。このように”生理活性物質”であるプロスタグランジンが関与して痛みが引き起こされます。

 


3)腸内環境


  実は、便秘が頭痛の原因となることがあるというのを知っていますか。
 便秘が続くと、頭が痛くなったり、お腹が苦しくなったり痛くなったりするだけではなく、肌荒れでニキビや吹出物、口臭がするなど、いろいろな体調不調が起こってきます。
 それは、便が腸内に留まることで腐敗し、有毒なガスを出すことによるものです。便秘している腸内からは、インドール、スカトール、アンモニア、アミンなどといった猛毒物質が発生しており、これらが腸から吸収され血液と一緒にあなたの身体中を巡ります。有毒なガスや腐敗した便は適度な時間に排出されませんと、再吸収といって、有毒なガスや毒素が腸の壁から血液中に取り込まれ、毒素が体に回ってしまうことで、さまざまな不調が起きてきます。
 その症状のひとつに頭痛も挙げられ、便秘が解消すると頭痛が治る人は便秘が原因だったということになります。
 便秘が続くと、体がだるくなるという人も多いのではないでしょうか。
 血液に有毒な物質が混ざって全身を巡ることで、筋肉にも毒素や疲労物質が貯まりやすくなり、体のだるい感じや肩こり、腰痛などを起こすのです。


「便秘」は腸内環境が悪くなっている重要なサインです


 最近、便秘をする人が非常に増えています。特に女性は悩みが深く、子供も増加傾向にあります。このままでは腸の健康がどんどん損なわれてしまう危険があります。
 では、なぜ便秘になるのでしょうか?便秘には多くの原因がありますが、まず見直すべきは、食事の内容であり、特に動物性たんぱく質の取りすぎと食物繊維不足です。大腸の長さの違いにもあるように、私たち日本人は、草食向きに出来ている長い腸のため、ただでさえ便が貯まりがちなことに加え、急速に変化した食生活がさらに追い討ちを掛けています。


便秘の理由ワースト3


 食生活に問題あり ・・・お肉や加工食品ばかり、過剰なダイエット
 睡眠不足・運動不足 ・・不規則な生活、運動もしない怠惰な習慣
 精神的なストレス ・・・仕事場、学校、子育てなど家庭での悩み


 また、大腸がんが、特に日本の女性に増えていることが大きな問題です。特に肉や加工食品ばかり摂り続けると腸や体内が酸化してきます。老化を早める原因である酸化は食べ物が大きく関わってくるのです。大腸に送られた食物のカスは蠕動運動によって結腸、直腸に運ばれます。それが直腸に達した際にその刺激が脊髄を通して大脳に伝わり、便意が催される仕組みなっています。  慢性的な便秘の場合、便意を我慢することを繰り返したために直腸から脳に伝わる刺激が弱くなったりします。また、睡眠不足、運動不足や精神的なストレスなどの原因も多く見られ、便秘薬への過度な依存も良くありません。


腸内細菌の働きで活性酸素を撃退!


 ミトコンドリアが最も多く存在するのが「腸」です。つまり、腸内環境を整えておくと、「ミトコンドリア・エンジン」も効率よく働きます。
   腸内細菌は活性酸素の悪さを抑える力を持っています。腸内細菌が増えると、体内の活性酸素の作用を減らせることが分かっています。
 「活性酸素」とは、体内の異物を排除しようとする免疫反応の一つです。
 「活性酸素」を除去するには、腸内細菌を増やすことが何よりも大事です。
  腸内細菌は体をサビつかせる「活性酸素」を除去してくれる働きの源を持ちます。腸内細菌が元気であればあるほど、免疫力も高めてくれるので、病気にかかりづらい体になるのです。
 また、ミトコンドリアは37度あたりでよく働くため、体(特に腸)を冷やさないことも肝心です。体を温めていればミトコンドリアはきちんと働き、消化や免疫機能の活性化など、体の機能が正常に動くのです。

 
腸内環境の悪化原因


 腸内環境はいろいろな原因で変化しますが、なかでも食生活は大きな影響を及ぼします。欧米型の食事に偏り、肉や脂肪・砂糖などを大量に摂取すると、間違いなく腸内環境は悪化します。食物繊維が不足した「不健全な食事」では、腸内細菌のよい働きを引き出すことはできません。高タンパク・高脂肪・低食物繊維の欧米型食事は、腸内環境にとって最大の敵と言えます。
 また「ストレス」や「過労」も腸内環境に深刻な影響を与えます。「運動不足」も問題です。さらには「抗生物質」などの化学薬剤も、腸内細菌に決定的なダメージを与えます。抗生物質は病原菌をやっつけるだけでなく、よい腸内細菌まで殺し、腸内フローラを悪化させます。家畜に投与された抗生物質が肉を摂ることで体内に取り入れられ、有益菌を弱らせるようなこともあります。


 こうした食事やライフスタイルの間違いが、腸内細菌のバランスを崩し、人体にマイナスの働きを引き出すことになってしまいます。人間と共存・共生している細菌のトータル的な働きを、よい方向に向けられるかどうかは、人間サイドの姿勢によって決まるのです。
 特に食事のよし悪しは、腸の健康にとって決定的ともいえる重要性をもっています。高タンパク・高脂肪の肉や牛乳などを減らし、野菜料理に漬物や納豆などの発酵食品を加えた伝統的な日本食にすれば、“腸内フローラ”の崩れたバランスは回復し、健康を取り戻すことができるようになります。「食物繊維」の豊富な食事によって、腸内細菌をよい状態に維持することができるのです。 欧米型の食事をやめて、野菜や発酵食品を中心とした伝統的な日本食にすることが、腸内細菌をよい状態に保つ強力な方法となります。腸の健康のためには、真っ先に「食事改善」に取り組まなければなりません。


 このように、「ホメオスターシス三角」を形成する3つのなかの要因の1つでも問題があれば、”日常的に感じる極く軽度の頭痛”を引き起こしてくることになります。
  これらが、すべて”日常的に感じる極く軽度の頭痛”を引き起こす要因になってきます。また、これらの要因が重なり合って引き起こされてきます。


 すなわち、「ホメオスターシスの乱れ(自然治癒力の低下)」によって慢性頭痛という「症状」が出現し、さらに様々な生活習慣の問題点が加わることによって、難治性の頭痛「慢性緊張型頭痛」・「慢性片頭痛」という「病気」にまで進展していきます。


 ということは、この段階の慢性頭痛・”日常的に感じる極く軽度の頭痛”は”未病”の段階にあるものです。ですから市販の鎮痛薬でお茶を濁しておれば、当然のこととして頭痛は増悪してきます。

 

 

市販の鎮痛薬の弊害

 
 私達は、このような日常的に感じる極く軽度の頭痛に対して、多くの方々は安易に「市販の鎮痛薬」を服用しています。
 

  このような日常的に感じる極く軽度の頭痛に対して、市販の鎮痛薬を服用を繰り返せばどのようになるのでしょうか。


 こうした市販の鎮痛薬すべては、人体にとっては害(有害なもの)になるのです。これらを解毒する際に、活性酸素が発生し、このためにミトコンドリアの働きを悪くさせることによって、頭痛を増強させます。すなわち、市販の鎮痛薬が原因となって「後天性ミトコンドリア病」を作ってくることになります。
 また、これら薬剤はいずれも”化学的ストレス”となって、脳内セロトニンを低下させ、”痛みの閾値”を下げるため痛みを感じやすくさせるために、さらに、頭痛を引き起こしてくることになります。


 このようにミトコンドリアと脳内セロトニンの2つのが関与して、市販の鎮痛薬によって、「薬物乱用頭痛」を引き起こし、かえって頭痛を酷くさせる原因になってきますので注意が必要です。
 こういったことから、頭痛治療は、”薬剤乱用頭痛との戦い”といっても過言ではありません。このような”頭痛薬によって頭痛が引き起こされてくる”というジレンマがあることを知っておく必要があります。


 このため、「日常的に感じる極く軽度の頭痛」に対して、日常的にテレビで宣伝される通りに、市販の鎮痛薬を服用し、これまで述べてきましたような慢性頭痛の要因を念頭に置くことなく、お茶を濁しておれば、必然的に、頭痛は着実に増悪の”みちすじ”を辿ることになります。
 ここに、ご家族に片頭痛持ちの方がいらっしゃれば、確実に「片頭痛」へと移行していくことになってしまいます。


 第1章で述べたように、ミトコンドリアの機能を低下させる諸々の要因を取り除かない生活を送ることによって、「酸化ストレス・炎症体質」が形成されてきます。
 ミトコンドリアの機能が低下すれば、ミトコンドリアが「ホメオスターシスを制御」していることから、「自然治癒力」が低下することになります。
 このようにして、「ホメオスターシスの歪み」・「自然治癒力」が低下が引き起こされてきます。


 前回述べましたように、ミトコンドリアは、「ホメオスターシス三角」を構成する3つのなかの、自律神経系の調節には、”セロトニン神経系”、内分泌系は”ホルモン”の役割の”生理活性物質”、免疫系の”腸内環境”の3つすべてに関与しており、「ホメオスターシスの三角」(自然治癒力)と密接に関与しています。


 このように、ミトコンドリアの働きを悪く」させる要因を是正・改善しませんと「酸化ストレス・炎症体質」を基盤として、ここに「ホメオスターシスの歪み(自然治癒力の低下)」が引き起こされることによって、この段階から、片頭痛の遺伝素因があれば、片頭痛発作が”出没する”ことになります。
 なければ、慢性頭痛である緊張型頭痛を繰り返すことになります。


  そして、「片頭痛発作を繰り返して起こす」ということは、「自然治癒力が低下している」という危険信号であり、日頃から「自然治癒力を高める」工夫が必要になってきます。
 「片頭痛」とは、このような「症状・危険信号」に過ぎないものです。
 すなわち「治癒反応」を示す症状なのです。
 自然治癒力を回復させようとしている「治癒反応」を「片頭痛発作」という形で、私達に知らせている警告信号なのです。


 「治癒反応」である「頭痛(片頭痛)」を一般の鎮痛薬やトリプタン製剤で「ホメオスターシス(自然治癒力)」を一方的に抑え込むことによって、「治癒反応」が停止・固定され、その結果 慢性頭痛・片頭痛は慢性化し、悪化してきます。


 このような工夫をすることもなく、片頭痛発作時にトリプタン製剤だけを服用して、頭痛を鎮めておれば、自然治癒力を奪うことになり、益々、片頭痛そのものは悪化の”みちすじ”を辿り、この状態に、脳過敏を来す要因が次々に追加されることによって、片頭痛の程度も増悪・増強してくることになります。
  これが、片頭痛が慢性化する最大の原因になっています。


 さらに、ここにホメオスターシスの三角を構成する3つの要素、「自律神経を整えること」、「生理活性物質のバランスをとること」、「腸内環境を整えること」すべてに問題が生じてくれば、「ホメオスターシスの三角」が崩壊し、自然治癒力は破綻してしまうことになり、ここで初めて「病気」としての慢性頭痛(慢性緊張型頭痛・慢性片頭痛)に至り、慢性化することになります。このように進展してきます。


 現実に、片頭痛全体の3割の方々は片頭痛を慢性化させ、苦渋を強いられています。この点は、極めて重要なことで、忘れてはならないことです。

 
 このように、日常的に感じる極く軽度の頭痛・緊張型頭痛、片頭痛では、未だ自然治癒力の低下状態(ホメオスターシス三角の歪み)の段階・すなわち”未病”の段階にあり、単なる「症状」でしかなく、「病気」に至る途中の段階にあり、ここに諸々の生活習慣の問題が加わることによって、初めて「病気」としての「慢性緊張型頭痛」・「慢性片頭痛」へと進展していくものです。


 そして、緊張型頭痛と片頭痛の基本的な差異は、ミトコンドリアの活性低下という”遺伝素因”の有無でしかありません。


 片頭痛の患者さんでは、緊張型頭痛の場合と異なって、遺伝素因としてミトコンドリアの活性低下が存在しますので、ミトコンドリアの働きを悪くし、セロトニン神経を弱らせる要因の影響を、とくに受けやすいことになります。
 このため、片頭痛では、緊張型頭痛に比べて、比較にならない程、頭痛の程度が極端に酷くなってきます。
 ところが緊張型頭痛の場合でも、片頭痛のように遺伝素因としてミトコンドリアの活性低下が存在しなくても、生活習慣の問題によってミトコンドリアの働きが極端に悪くなり、さらに「脳内セロトニンが枯渇」してくれば、片頭痛と同様の難治性の頭痛(慢性緊張型頭痛)を引き起こしてくることになります。
 多くの”純粋の”緊張型頭痛では、ここまでには至らないことが多く、大半は、姿勢の悪さ(「体の歪み(ストレートネック)」)か「脳内セロトニンの低下」のいずれかが関与して発症します。自然治癒力のお陰で終着駅である難治性の頭痛(慢性緊張型頭痛)にまで至ることは頻度的には少ないものです。


  日本にトリプタン製剤が導入された段階から、「片頭痛は”病気”です。”病気”ですから、医療機関を受診して、片頭痛を治療して、治しましょう」と言って片頭痛患者さんに医療機関への受診を勧め、生活の質QOLを高めて、健康寿命を長くさせましようと、しきりにマスコミを通じて、片頭痛患者さんを病院に誘導して、トリプタン製剤が処方されてきました。 
 さらに患者団体まで巻き込んで「なお、トリプタン製剤の恩恵に浴していない片頭痛患者さんが多くいる」と言って啓蒙活動を進めてきました。


 このようにして、片頭痛の場合医療機関を受診して、トリプタン製剤を服用して、”治療”すべきとされますが、本来、このような薬剤を服用しなくても、我慢に我慢して3日間耐え抜けば、自然に治まってくることはどなたもご存じのはずです。
 これはホメオスターシス(自然治癒力)のお陰で元の状態に戻るのです。


 本来、片頭痛が原因不明とされていた時代に、片頭痛患者さんの”生活の質QOLを向上させる”ために、トリプタン製剤の服用が勧められていたに過ぎないものです。


 それがいつしか、片頭痛発作時に毎回トリプタン製剤を服用しておれば、”片頭痛が治ってしまう”とか、片頭痛の”適切な治療”とはトリプタン製剤を服用すること、といった”ノーテンキ”なことを申される方々がいらっしゃることを忘れてはなりません。


 片頭痛は”機能性頭痛”とされており、発作が治まれば元の健康状態に戻ってきます。

 このような観点からすれば、「自然治癒力(ホメオスターシス)」という観点から考えていかなくてはなりません。


それでは、片頭痛は、どのように考えるべきでしょうか


 富永病院・頭痛センターの竹島多賀夫先生は、片頭痛は、約3割が自然に治癒し、約4割が症状は変わらず、残りの3割が慢性化して増悪してくるとされます。


 自然治癒した3割は、ホメオスターシス、すなわち”恒常性を維持するための「環境に対する適応力」により治癒したものです。


 ”セロトニン神経系””生理活性物質””腸内環境”の問題点が持続して存在すれば、「ホメオスターシスの三角形」の”歪み”が継続され、4割の方々が、症状が変わらない状態(発作がいつまでも繰り返される)が持続することになります。
 具体的には例えば、脳内セロトニンの低下を引き起こす生活習慣があったり、必須脂肪酸のオメガ3とオメガ6の摂取バランスの悪い食生活があったり、腸内環境を悪化させる要因が持続するような生活習慣が継続していることを意味しています。


 「ミトコンドリアの問題」、「脳内セロトニンの低下」、さらに「体の歪み(ストレートネック)」等々の脳過敏・慢性化の要因が加わることによって、片頭痛が増悪してきた段階において、「ホメオスターシスの三角形」を構成する要因が全てに問題が起きてしまえばこの”ホメオスターシスの三角が崩壊”することになってしまいます。
 この状態に至れば、2~3割の方々が慢性化に至ってきます。
 このようにして、難治性の慢性頭痛である慢性片頭痛が起きてきます。


片頭痛の発作の「持続時間」に関して


 片頭痛の発作の持続時間は4~72時間とされています。
 これは、ホメオスターシスという生体の恒常性維持機構によるもので、この発作中にホメオスターシスの維持機能が働き、これによってホメオスターシスの三角の歪みが修復されて発作が終結します。このため、”ホメオスターシスの三角の歪みの程度”によって、発作の持続時間が決定されることになります。

 ということは発作時間が長ければ、”ホメオスターシスの三角の歪みの程度”が酷いことを意味していますので、自然治癒力を低下させている要因の点検を行うと同時に改善・是正に努め、発作時間の短縮を図る必要があります。

 

 


 このように慢性頭痛発症には、自然治癒力という、もう1つの柱が存在しています。


 これら自然治癒力を構成する3つの柱があり、自律神経系には、交感神経・副交感神経系・セロトニン神経系が、生理活性物質には ①炎症を悪くする、②その炎症を調整する、③それらの働きを抑制するものの3つで制御され、腸内環境は、善玉菌・悪玉菌・日和見菌の3つでバランスをとっています。
 このように3つの柱となるものは、それぞれ3つによって制御されています。   このことを忘れてはなりません。

 専門家の考えるように、病理学的所見のみで判断できない側面で、自然治癒力は制御されているということです。
 このように流動的なものであるということです。
  ということは、そんなに単純なものではないということです。