前回の記事で明らかに致しましたが、慢性頭痛全般についての発症経過についての概略をここで、もう一度記載しておきます。
慢性頭痛の発症の過程
私達の身の回りにはミトコンドリアの機能を悪化させる要因が多々存在します。
「ミトコンドリアの機能を悪化させるもの」には、以下の要因があります。
1.生活習慣の問題
睡眠不足
運動不足
食べ過ぎ・過食
早食い・ドカ喰い・・インスリン過分泌
薬剤による影響・・とくに市販の鎮痛薬
2.食事内容の問題
マグネシウム不足
必須脂肪酸の摂取のアンバランス
鉄不足
3.生活環境の問題
活性酸素 野菜不足・・抗酸化食品の摂取不足
有害物質
4.年齢的な問題
女性ホルモン(エストロゲン)の分泌低下
このため、「酸化ストレス・炎症体質」が形成されてきます。
「酸化ストレス・炎症体質」の形成過程
https://ameblo.jp/yoyamono/entry-12349999321.html
「酸化ストレス・炎症体質」が形成されてしまいますと、後々、日常的に感じる極く軽度の頭痛から片頭痛まで進展した段階で、過剰な活性酸素と遊離脂肪酸によって血小板凝集が引き起こされることによって、片頭痛発作を誘発してきます。
上記のような要因によって、ミトコンドリアの機能が低下すれば、同時にセロトニン神経系の機能まで低下することになり、この両者によって、私達は日常的に前屈みの姿勢を強いられていることから、「体の歪み(ストレートネック)」を形成しやすくなります。
俯き姿勢(猫背)は、呼吸時に酸素が十分に取り込めないことから、エネルギー産生は解糖系が優位となり、このためミトコンドリア系が働かなくなります。
「体の歪み(ストレートネック)」は、緊張型頭痛(日常的に感じる極く軽度の頭痛)および片頭痛の原因にもなってきます。
「体の歪み(ストレートネック)」は慢性頭痛の基本骨格
https://ameblo.jp/yoyamono/entry-12350238712.html
姿勢が悪いと、空気が薄くなる??
https://ameblo.jp/yoyamono/entry-12361245376.html
ここに、自然治癒力の低下(ホメオスターシスの乱れ)が加わって、頭痛が増悪してくることになります。
自然治癒力・ ホメオスターシスは自律神経系・内分泌系・免疫系の3つの働きが深く関わっています。「ホメオスターシス三角」を形成する3つのなかの、自律神経系の調節には、”セロトニン神経系”が関与し、内分泌系は”ホルモン”と”生理活性物質”が関与し、免疫系には”腸内環境”が重要な位置を占めています。
内分泌ホルモンに相当する”生理活性物質”では、特に必須脂肪酸のオメガ3とオメガ6で作られ、この摂取バランスがよくないと、局所ホルモンのエイコサノイド・プロスタグランジンのバランスを乱すことになります。必須脂肪酸は生体膜(細胞膜)を構成しており、オメガ3とオメガ6の摂取バランスがよくないと、ミトコンドリアの機能・セロトニン神経系の機能にも影響を及ぼし、結果的に、細胞機能のバランスを欠くことになります。
この3者のバランスがとれなくなると自然治癒力の低下を招くことになり、頭痛が出現しやすくなります。
これら「ホメオスターシス三角」を形成する3つそれぞれは、自律神経系では交感神経と副交感神経が、局所ホルモンのエイコサノイド・プロスタグランジンでは、必須脂肪酸のオメガ3とオメガ6の摂取バランスが、腸内環境では善玉菌と悪玉菌がお互いバランスをとりあっています。このように6つの要因によって構成され、極めて流動的なものであり、病理解剖学的な所見を呈することはありません。この点が重要な点です。
自然治癒力の低下を引き起こす要因
https://ameblo.jp/yoyamono/entry-12350071074.html
ここに脳過敏を引き起こす要因が追加されてくることになります。
”脳過敏”を引き起こす要因
1.ミトコンドリアの機能低下にマグネシウム不足
2.脳内セロトニンの低下
3.体の歪み(ストレートネック)の長期間の持続
脳過敏を引き起こす要因
https://ameblo.jp/yoyamono/entry-12347538785.html
この脳過敏が片頭痛としての特徴的な症状形成に関与するものです。
以上のように、すべての要因は私達の生活習慣のなかにあることを片時も忘れてはならない点です。このことが極めて重要なことで、生まれつきのものは何一つありません。
そして、緊張型頭痛と片頭痛の基本的な相違点は、ミトコンドリアの活性低下という遺伝素因の有無でしかありません。
片頭痛では生まれつきミトコンドリアの働きが悪いため、これまで述べてきたようなミトコンドリアの機能を悪化させる要因の影響をモロにうけることになり、緊張型頭痛と比べて、頭痛の程度も極めて激しくなってくるため、緊張型頭痛では日常生活には殆ど支障を来すことはありませんが、片頭痛では日常生活に支障を来す程の激烈なものとなるということです。
しかし、このように緊張型頭痛と片頭痛の相違は、頭痛の程度だけであり、本質的には差がないということです。
ところが、こうした素因がなくても、ミトコンドリアの機能を悪化させる生活習慣を継続すれば、片頭痛と同様な頭痛を引き起こしても不思議ではありません。
病気の90%は活性酸素が関与
人が罹る病気の90%は活性酸素が関与していることが明らかになっています。残りの10%は感染症です。
ミトコンドリアがエネルギーを産生する際に必然的に生み出されるのが活性酸素です。そして私達の身の回りの生活環境は活性酸素で満ち溢れています。
ミトコンドリアDNAは活性酸素によって傷つきやすい特徴があります。
このようにして傷つけられたミトコンドリアDNAの数が一定数を超えくるとエネルギー産生能力が低下し、「後天性ミトコンドリア病」が発生してくることになります。
このように、一般的には「後天性ミトコンドリア病」は、ミトコンドリアDNAのみに異常を来して発症してくることになります。
ミトコンドリアの活性低下という遺伝素因は、このミトコンドリアDNAによって母系家族から先祖代々受け継がれてきます。 このミトコンドリアDNAは水や食生活、放射能汚染や環境汚染、有害物質の蔓延などや酸素不足などを原因として、働きが悪化することによって、後天的にミトコンドリア病を発症してくることになります。
このように、感染症以外の、ほとんどの現代病である生活習慣病(動脈硬化、うつ病、ガン、認知症を含めて)は、活性酸素が原因と考えられています。
「後天性ミトコンドリア病」とは、馴染みのない病名ですが、これは”ミトコンドリアの機能が低下する病気”です。
こういったことから、慢性頭痛も「後天性ミトコンドリア病」と考えなくてはなりません。片頭痛では生まれつき、ミトコンドリアの活性低下が存在し、これが生まれてから、さらにこれまで述べてきましたような要因によって、さらにミトコンドリアの機能が低下することによって発症してきます。
実際に、これまで、Welch KMA, Ramadan NM、下村登規夫、小谷和彦、村上文代先生らによって、日本にトリプタン製剤が導入される以前の段階から”片頭痛は、ミトコンドリアのエネルギー代謝異常あるいはマグネシウム低下によって引き起こされる脳の代謝機能異常疾患”であると報告されていました。
卑近な例では、MBT療法により、9割の片頭痛患者さんが治癒していた事実を忘れてはなりません。それが、ガイドライン作成とともに抹殺されてしまったことは、何を意味しているのでしょうか?
以上のように、頭痛の専門家達が考えるように、「国際頭痛分類 第3版β版」を絶対的な基準とは考えないことが根本的に異なります。
専門家が申されるように、「国際頭痛分類 第3版β版」といった製薬メーカーが作成したような基準であれば、製薬業界の利潤が優先され、私達・慢性頭痛で苦しむ方々のカラダのことなどは考えることはありません。私達・片頭痛患者は製薬業界の儲けのための手段に過ぎないことを忘れてはならないということです。このため、慢性片頭痛の患者が如何に増加しようとも、専門家はまったく無視され、どうでもよいといった態度を示されます。このことは前回も述べたことです。
日本の研究者は、頭痛領域だけに限らず、殆どの領域が欧米の研究者の考え方を最優先するのが特徴であることを私達は忘れてはなりません。
私達が、まずすべきことは、慢性頭痛がどのように発症してくるのかを知ることです。
この大雑把な経過を把握、認識しておく必要があります。そうでなければ、断片的な知識だけで対処すれば、中途半端に終始し、結果的に片頭痛が治らないことになります。
このような知識を基にして、日常的に感じる極く軽度の頭痛の段階から適切に対処し、片頭痛にまで進展させないことが、私達にできる唯一の方法です。
ですから、皆さんの子供さんが頭痛を訴えた段階から適切に対処し、慢性片頭痛にまで進展させない配慮が求められています。
これまで、以下のような治療指針を公開してきました。
ただ、最近ではスマホが主流となり、誰もご覧になられないようですが・・
残念な限りです。
専門家が考えていること欠落していること
https://ameblo.jp/yoyamono/entry-12365182029.html
治療指針 ラインアップ
https://ameblo.jp/yoyamono/entry-12357813131.html?frm=theme