皆さんは、既にご存じとは思いますが・・ | 頭痛 あれこれ

頭痛 あれこれ

 「慢性頭痛」は私達の日常生活を送る際の問題点に対する”危険信号”です。
 このなかで「片頭痛」は、どのようにして引き起こされるのでしょうか。
 慢性頭痛改善は、「姿勢」と「食生活」の改善がすべてであり、「健康と美容」のための第一歩です。

 これまで、当ブログで再三再四に渡って記載してきたことですので、既に皆さんご存じとは思いますが、今後、注意を喚起する意味で重複して述べることにします。


 平成25年の日経メデイカルの543巻「片頭痛の新攻略法」のなかで、富永病院の竹島多賀夫先生は、片頭痛は3割が自然治癒し、4割が幾度も幾度も片頭痛発作を繰り返し、完治することはなく、残り3割が悪化してくると述べておられます。
 この成績は、片頭痛治療の世界にトリプタン製剤が導入された段階のものです。
 トリプタン製剤は1980年代はじめに、片頭痛の治療領域に開発され、1990年に実際に販売されて間もなくの1990年代の半ばには、既に、頻回の服用によりトリプタンによる薬剤乱用頭痛に陥りやすく、その状態は頭痛の程度が一層強いこと、そして従来の予防薬では効果が得られないことがわかり大問題となっていました。
 このように片頭痛が増悪してくることが指摘されていました。
 このように、日本にトリプタン製剤が導入される以前から、欧米では明らかにされていました。
 昨年出版された”「片頭痛」からの卒業”で明確に示されていますように、慢性片頭痛の患者さんは3人に1人と言われる程増加してきており、さらに60歳を過ぎても、同様に発作を繰り返される方々が多数診られるようになってきました。


 このような事実がありながら、日本の頭痛の専門家達は、トリプタン製剤が片頭痛の”特効薬”であるとされ、このことは昨年出版された”「片頭痛」からの卒業”で明確に示されています。
 この片頭痛の慢性化については、以前、https://ameblo.jp/yoyamono/entry-11945191734.htmlでものべましたように、一般開業医が片頭痛患者さんに的確にトリプタン製剤を処方しないことが原因であると信じられないようなことを述べておられ、以前は、怒り心頭に達したため記事にしました。
 このため、最近では、HMSJを日本の頭痛教育システムとして毎年、学会が開催し、専門医を量産させようとしています。それは、頭痛専門医であれば確実に片頭痛患者さんにトリプタン製剤を処方するからです。
 また、子供の片頭痛に対してもトリプタン製剤の適応を拡大しようと躍起になっています。
 さらに、片頭痛発作時には毎回、トリプタン製剤で発作を抑制すべきであるとされ、さもなくば、後々脳過敏症候群を招来し、めまい・耳鳴り・頭痛増悪・性格異常を引き起こすとされます。


 このように、片頭痛の慢性化の原因は片頭痛発作時に毎回、トリプタン製剤を服用しないために起きるものであるとされ、これ以外の原因はあたかもないものとされるためなのか一切、検討されることはありません。


 片頭痛診療の重鎮とされる名古屋の寺本純先生は、このような薬剤乱用頭痛の治療の難しさをこれまで訴えてこられ、特に”トリプタン製剤による薬剤乱用頭痛”を改善させる難しさを強調され、”従来の予防薬”では全く効かないとされ、最近ではボトックス治療による方法を提唱されます。そして、先生は、トリプタン製剤による薬剤乱用頭痛からの脱却にはボトックス療法しか現状ではないとされます。そして、その有効率は、1年以内で80%であり、残りの20%は脱却できないとされています。
 このように、一旦、トリプタン製剤による薬剤乱用頭痛に陥れば、運が悪ければ、一生、頭痛で苦しむことを余儀なくされてしまうことを意味します。まさに、頭痛地獄の絵図そのものということです。
 参考までに、寺本先生の提唱される「ボトックス治療」は現在、保険適応はなく、トリプタン製剤による薬剤乱用頭痛から脱却する唯一の方法でありながら、簡単に・身近な医療機関では受けることは出来ないのが現在の日本の状況です。
 ですから、一旦、トリプタンによる薬剤乱用頭痛に至れば、治すことは至難の業です。
 このように、寺本純先生は、こうした慢性片頭痛に対する治療はボトックス療法しかないとされながら、保険適応にしないことを憤っておられ、さらに、トリプタン製剤一辺倒の治療では、ダメであり、このことを患者さんに説明しておく必要性を指摘されておられます。


 このように、一端、慢性片頭痛に至れば、一生、頭痛とお付き合いせざるを得なくなる運命にあることを認識しておく必要があります。


 こうした事実を認識した上で、頭痛の専門家とは全く別の基準で慢性頭痛全般を考えていくことが必要です。専門家は「国際頭痛分類 第3版β版」を絶対的な基準とされますが、こうした製薬メーカーの作成した基準では自ずと限界があり、真相解明に至ることはなく、人間本来に備わった私達の体の仕組みに基づいて、理論を構築する必要があり、これらは従来の論文でも明確にされてきたことであり、さらに現在ではネット上での常識にもなっています。

 ですから、片頭痛領域での研究でノーベル賞を取ろうなどと考えるようでは時代遅れも甚だしいものと考えるべきです。
 このことは、これまで当ブログで詳細に述べてきたことです。これまでの記事をご覧頂ければと思っております。


 最近、匿名の電話で、当院を受診された頭痛患者さんがうつ病になったと苦情を頂きました。
 しかし、私は必ず、頭痛患者さんには慢性頭痛がどのように発症してくるのかを分かりやすく時間をかけて説明しており、診察終了時には分からなかったことの有無を常々確認していますので、うつ病になった方は、私の説明したように実行されなかっただけのことです。
 電話をかけて来られた方は、トリプタン製剤の服用をさせなかったためにうつ病にでもなったとでも申されたかったのでしょうか。まさしく、脳過敏症候群の信奉者としか言いようがないようです。
 こうしたトリプタン信奉者が存在する限りは、慢性片頭痛への進展は阻止できないと考えるべきです。


 参考記事


   トリプタン製剤による「薬剤乱用頭痛」がなぜ増加したのでしょうか
     
https://ameblo.jp/yoyamono/entry-12264045857.html