「時は待たない! 発達グレーの療育卒業物語(その1)」からの続きです。⇒
※ 発達障害のタイプは千差万別です。ゆうくんのケースは、ゆうくんにしか該当しません。「あ、ここは同じかも」という箇所だけ参考にしてもらえればと思います。ゆうくんの特性は(その1)を見てください。
発達障害にも色々なタイプがありますが、ゆうくんの特性の1つは、脳機能(報酬系)の障害に伴う「自己肯定感の低さ」です。ほめられても、ほめられたと感じないため、ほめない子育てと同じことが起こります。
具体的な言動としては、「こだわりが強い」「外部からの指示やルールに従えない」「周りに言動を合わせられない」「変化に対応できない」「切り替えができない」「他者を気遣えない」「できない自分を認められない」「挑戦から逃げる」といった傾向が現れます。
成長して自分で物事を理解できるようになると、この「外部からの指示やルールに従えない」特性が確立していきます。つまり、療育により外部からトレーニングを強いられていることを理解できるようになると、療育自体を拒絶するようになります。
じゃあ、どうしれば良いのか。
本人が理解できないうちにトレーニングするしかありません。
小学校に入学してから、なんて考えは完全に手遅れです。間に合うのなら、年少さんになる前、早ければ早いほど良いです。「あれ? うちの子、発話が遅いかな? こだわりが強すぎないかな?」と、ふと思った瞬間あれば、そこが療育について調べ始めるベストタイミングです。
親の仕事は、相談窓口を調べるところまで。後の診断は、医師や心理士の先生に任せましょう。地域によって違いますが、うちは簡易診断までなら行政サービスで対応してくれました。
特性に反したことをされると、本人は拒絶反応を示します。ただ、そのままでは社会生活に支障をきたします。特性は治らなくても、行動を変えることはできます。長い時間を費やして、地道に少しずつ何度も何度も繰り返すことで、「嫌だ」と感じること自体は治りませんが、「我慢に慣れる」ことは可能です。
具体的なトレーニング方法としては、我慢できたらほめます。あれ? ほめるのが効きづらいって(その1)で言っていましたよね? そうです、効きづらいんです。だから療育では、ほめてほめてほめまくります。ほめられても10円分しか喜びを感じないのなら、10倍ほめれば100円分相当の成功体験を得られるという原理です。
ほめまくる。本人の全てを全肯定する。これが親だと実践の難しい「療育」の本質ではないでしょうか? 療育では「絶対に」怒られることがありません。親も人間ですから、どうしても叱ったり怒ったりしちゃいますよね? そこはもう、第三者に任せちゃいましょう。
成長してしまうと、「親や療育の先生は、自分が『嫌だ』と感じることを強制してくる」「上っ面だけでほめるフリをして、自分をコントロールしようとしてきている」と理解できるようになります。こうなると、トレーニングは逆効果。本人にとっては、虐待と何も変わりません。
ゆうくんも小学3年生。療育の先生から「療育におけるABA(応用行動分析学)の働き掛けだと、本人がその目的や意図を見透かしてしまう年頃になったので、そろそろ難しいですね」と伝えられました。
はい、時間切れ。療育のタイムオーバーです。
そのため行政では就学前までのサポートは充実していますが、小学校入学後は自己負担額が増えるなど、徐々にサポートが薄くなっていきます。この制度設計は、科学的な根拠に基づいています。
「障害児」というパワーワードに、抵抗を感じることは当たり前です。我が子に「障害」があると認めたくない気持ちも分かります。それでも早めに手を打つことを、強く推奨します。
もしかしたら発達障害ではなく、単に発育がほんの少し遅れているだけかも知れません。でも、空振りしたっていいじゃないですか。このブログにたどり着いてくれたということは、何か心当たりがあって、検索エンジンなどで見つけてくれたのではありませんか? うちみたいに時間切れで後悔する前に、我が子のため一歩踏み出してくれることを願います。
療育に関する行政サービスはそれなりに充実しており、金銭面での支援もあります。しかし、助けを求めないと、助けてくれません。情報を求めないと、情報を提供してくれることもありません。お子様を救えるのは、貴方しかいないのです。
え? うちもう小学生なんだけど、時間切れなの?
このブログにたどり着いた方の中には、そんな方もいらっしゃるかと思います。という訳で、もう少しだけ続きます。
⇒「時は待たない! 発達グレーの療育卒業物語(その3)」に続きます。