love storys  ~17歳、私と君と。~ -72ページ目

love storys  ~17歳、私と君と。~

どれだけ、時間が戻ればと思っただろう。

どれだけ、彼が愛おしいと思っただろう。

どれほど・・・

       私は君との未来を願っただろう。

結局ーー。


私は、その彼に話しかけることはできなかった。


自分の不甲斐なさに苦笑する。


私は彼の横を通り過ぎただけ。


名前も知らない人の。


きっと彼は私のことを視界に入れてすらいないだろう。


そう考えると少し哀しいがそれが当たり前だ。


彼と話したい。


その感情が泡のようにぶくぶくと膨らんでいく。


でも、会うことはできないわけで・・・・。


もう彼に会うことはない。


最大のチャンスだったのかもしれない。


まあ・・・。


人違いかもしれないし。


そんな自分の中で諦めるための理由を勝手に作る。


もしも。


もう一度会えたら今度は話しかけよう。


あの人に。


思い出せない名前。


だけど、一目惚れをしたあの人に。


いや・・・違う。


今だ。


もう一度会ったらなんて考えじゃだめだ。


私は足を止めた。


そして、彼がいなくなった方を向く。


「会いたい・・・」


話したい。


絶対無理だって、報われないって思っていた恋。


それが少しずつ現実味が出てきた時、そんなことを思う。


気付いたら私は走っていた。


彼はどこに行った?


考えろ・・・考えろ。


ここから近くの観光名所は・・・。


走りづらい革靴。


だけど、今はそんなことを気にする余裕はない。


ついた場所は名古屋城。


きっと・・・ここに。


私は、拝観料を払って中に入る。


何度も入ったことのある名古屋城。


はっきり言ってこの建物に興味はなかった。


歴史とか好きじゃないし。


彼の姿を探す。


いなかったら・・・。


いなかったら諦めよう。


そして、さっき話しかけなかった自分を呪えばいい。


辺りを見渡す。


観光客の中に彼はいる?


はぁ・・・はぁ・・・。


走っているうちに息があがってきた。


・・・情けない。


仮にも陸上部なのに。


もうすぐ一周するというところまで見えた。


いない・・・かな。


と思ったその時だった。


名古屋城を見上げる一人の男の子。


「あ・・・」


思わず声が出る。


また・・・会えた。


本当に奇跡。


いや、違う。


運命。そう呼んでもいいかな・・・?


息を整える。


彼は後ろにいる私に気づいていない。


ふぅ・・・。


大きく息を吸って・・・吐いて。


笑顔・・・笑顔・・・。


自然に・・・自然に・・・。


色々な暗示を自分にかけて。


一条の風が吹く。


彼の髪がふわりと浮いた。


行け・・・!!


「お城・・・好きなんですか?」


彼に話しかけた第一声。


それがこのセリフだった・・・。




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やば・・・。


夜中勉強してたらいつのまにか寝てました。


今日のテストやばいなぁ・・・。


頑張らねば・・・。

~side理菜~


「行ってきます」


私は家を出る。


今日はこの後部活があった。


陸上の練習だ。


外に出た瞬間にすぐ家の中に戻りたいという欲求が襲いかかる。


・・・今日サボろうかな。


なんて。


こんなことで休んだら、毎回行かなくなる気がする。


それは避けたい。


自分に甘い人間にはなりたくない。


私は、なるべく日陰を通りながら駅までの道のりを歩く。


暑い・・・暑い・・・。


日焼け止めは塗ってきた。


それでも焼けてしまいそうな暑さ。


今日の温度は何度だろうか?


体温越えてるんじゃないだろうか・・・。


汗が背中を伝わる。


長袖のワイシャツは失敗だろうか。


でも、半そでが嫌いだ。


そうすると、必然的にどんなに暑くても長袖になる。


半そでが嫌いな理由。


それは腕が見えるから。


あとは、長袖をまくってた方が何か好き。


そんな大きな理由はない。


まあ・・・あれだ。


冬でもスカートを短くしてる人たちみたいなもんだ。


・・・少し違うか?


大通りを歩いていると、1人の人に目が止まった。


顔はよく見えないが、きょろきょろ周りを見ている人。


きっと、観光客とかなんだろう。


ただ、何で一人?


もしかして、彼女と待ち合わせとか?


・・・もしそうだとしたら羨ましい限りだ。


私には今まで彼氏がいたことがないのだから。


でも、好きなった人はいる。


1人。


たった1人だけ。


その人には告白はできなかった。


遠くから見ていただけ。


学校も違った。


住んでるところも知らない。


陸上の大会で、たまたま見つけたんだ。


一目ぼれだった。


名前は・・・確か・・・あれ?


なんだっけ・・・。


中学の時、高校の全国大会で見つけただけだからあまり思い出せない。


1年前。


顔だけは未だに覚えててる。


忘れることはない。


二年の月日がたてば顔が変わってるかもしれない。


今見れば、もしかしたら別人のようになってるかもしれない。


でも、それでも・・・。


また会えるかもって思って私は陸上部に入ったんだ。


何の手がかりもない人を。


ただ・・・。


1年前に高校生だから彼は陸上部を引退しているかもしれない。


あの時2年生だったら。


それでも、それしか共通点がないから・・・。


ばかみたい。


そんなことは分かってる。


一縷の望みにかけてみた。


青春の高校生活を捨てて。


全国大会の舞台までいくことができれば、また・・・。


そんなことを思いながら。


観光客の男の人は、まだ周辺を見ている。


その時、一瞬こっちを向いた。


そこで初めてちゃんと顔を確認した。


・・・みたことある顔。


いや、違う。


みたことある顔に似てる人だった。


一目ぼれした相手に瓜二つの顔だった。


ドクン。


当たり前のように心臓が高鳴った。


もしかしたら・・・。


そんなはずない。


心の中で頑張ってその確率を否定する。


だけど、期待がある。


してはいけない期待が。


期待はすればするほど、外れた時のショックが増える。


失望が増す。


だけど、信じたい。


・・・奇跡を。





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理菜編どうでしたか?


奇跡・・・皆さんは起きたことありますか?


雨は降り続ける。


2人は傘を手に持ち、さしながら道を歩いていく。


「裕哉さんはこの後どうする予定なんですか?」


「僕ですか?そうですね・・・お腹すいたのでお昼でも食べようかなと思っています。雨宿りも兼ねて」


そう言って僕は空を見上げた。


空は相変わらず雲で覆われている。


さっきは太陽を恨めしそうに見ていたけど、これはこれで嫌なものだ。


「お昼ですか。私、なにもまだ食べてないんですよね」


・・・。


回りくどい言い方。


「じゃあ。一緒にどうですか?」


僕がそう聞くと、彼女は目を輝かせて


「いいんですか!?」


「いいですよ、どこがいいですかね?」


「私に聞くんですか・・・」


「地元の方なら、知ってるんじゃないかなって・・・」


「ん~・・・そうですね。ひつまぶしとかでしょうか?」


「いいですね。どこにありますか?」


「案内しますよ」


彼女は、大通りから裏道に入っていく。


「そういえば、裕哉さんはいくつなんですか?」


「なにがですか?」


「歳ですよ。私は聞かれてけど、聞くの忘れてたので・・・」


「僕は17です」


「高2?高3?」


「高3」


「・・・受験生じゃないですか!!」


彼女は目を大きく見開いた。


「そう・・・ですけど」


「勉強はいいんですか?」


「推薦なので」


「頭いいんですね~」


ふいっと彼女は横を向く。


「いや・・・よくないですけど・・・」


「謙虚なんですね」


「そんなことないです」


細い道を通ると、傘が壁に当たる。


ガン・・・ガン・・・。


買ったばかりの傘に傷がついていく。


「あ、つきました」


裏道を抜けて大通りに出たところで見つけた、大きな店。


「ここのひつまぶしおいしんですよ」


「へぇ・・・楽しみです」


************


「どうでしたか?」


食べ終わった僕に彼女が聞いてきた。


「美味しかったです」


「それはよかったです」


僕は窓から外を見る。


傘を差している人はいない。


雨を降らしていた雲も、今はなく、薄い雲に変わっていた。


「雨もやんだし・・・外に出ますか?」


「そうですね」


彼女は頷いた。


僕は、伝票を持って会計へと向かう。


「ご一緒でよろしいですか?」


店員さんのよくあるセリフ。


「あ、いえーーー」


彼女が違う、そう言おうとしたのを僕が制する。


「一緒でいいです」


「ちょっと・・・裕哉さん?」


「一万円崩したいんですよ」


僕は財布から一万円札を取り出す。


「~・・・でも」


「いいから」


僕は、おつりをもらって、店から外に出た。


「ごちそうさまです。そんなつもりはなかったんですけど・・・」


「別にいいじゃないですか」


「よくないですよ~・・・」


しゅん、と彼女は下を向く。


「じゃあ、今日一日、名古屋を案内してくれませんか?それでチャラってことで」


ダメ元で頼んでみる。


その中で・・・少しだけ期待しながら。


すると彼女はパッと顔を輝かせて


「わかりました!名所をご案内させていただきます!」


あっさりと承諾してくれる彼女。


「あ、いいんですか」


「ダメって言うと思いました?」


「はい」


「なんでですか?」


「この後さすがに予定があるのかなって思いまして・・・」


彼女は表情を曇らした。


「ありますよ」


「え・・・じゃあ、そっち優先してもらって・・・」


「いいんですよ。それよりも私は・・・」


彼女は僕の方に近づいてくる。


そして、手を掴んで。


「こっちを優先させたいんです」


今日一日で彼女の笑顔を何度見ただろう。


まだ、会ってそんなに経ってないのに、数えきれないほど。


彼女は何で、こんなに僕に笑顔を見せてくれるのだろうか。


そして、なんで彼女はこんなにも僕に親身に接してくれるのだろうか・・・・?




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まだ・・・全く分からない状態ですか・・・。


これから、理菜についても分かってくると思います。


ていうか、明日ですね。


明日から理菜sideなので。


あとこの話は、完全にこの二人を中心に回って行きます。


後半に前作でいう大介ぐらいの人は出てきますが、


それまではこの二人だけ。


他の人のsideは登場しません。


ただ・・・登場人物は多いです。


そんな分からないことだらけの女の子と、一緒に歩いている僕。


「小林さんは、どこに住んでいる方なんですか?」


どこに向かっているのかはわからない。


ただ、人通りが多い道を歩いている。


カップルもいれば、親子連れもいる。


多種多様な人たち。


「東京です。あと、裕哉でいいですよ」


その言葉を聞いて、彼女は少し顔を赤らめて俯く。


その表情の可愛らしさに僕の顔も赤くなる。


だけど、それは一瞬。


彼女は表情を戻す。


「東京か~・・・いいですね。何か憧れます」


「なににですか?」


「都会が」


「都会・・・か。別に名古屋と大して変わらないと思いますよ」


「違うんですよ。都会っていう雰囲気を味わってみたいんですよ」


「分かんないなぁ・・・」


「それは、裕哉さんが東京に住んでるからそう思うだけですよ」


「そっか・・・」


空はさっきまでの天気とは一変して、曇り空だった。


どこへ行ったんだ・・・太陽は。


「そういえば・・・高橋さんは歳いくつなんですか?」


「歳ですか?15歳です。あと、理菜にしてください」


「年下ですね。あと高橋さんは嫌なんですか?」


「そっちだって、名前で呼んでくださいって言ったから、同じの方がいいじゃないですか」


「そうですか?」


「そうです」


ムキになっている彼女。


そんな彼女が、なんか可愛らしくて


「そっか」


歩きながら、自然と彼女の頭を撫でていた。


彼女はその場で固まる。


抵抗するわけでもない。


でも、嬉しがっているわけでもなさそうだ。


「ごめん」


僕はそれに気づいて、慌てて彼女の頭の上にあった手をどける。


「・・・何で謝るんですか?」


「なんでって・・・」


僕は答えに困る。


2人とも、無言になる。


少し気不味い。


けど、この沈黙は自然によって、かき消される。


・・・簡単に。


ザァァァ・・・。


スコールのような雨が降り注ぐ。


きっと通り雨だろう。


「・・・やば、傘なんて持ってきてないし」


という彼女の手に傘はないが。


彼女はあまり焦るそぶりを見せず、カバンを開ける。


その間にも、2人の体は少しずつ濡れていく。


「あった」


彼女が取りだしたのは折り畳み傘。


・・・どうやら、僕のことを考えているわけではないらしい。


僕は周りにコンビニがあるかを見る。


たくさんある。


とりあえず、傘買ってくるか。


と、思ったその時、僕の頭の上に傘がさされた。


「この傘、使ってください」


そういった彼女の体は濡れている。


「なにやってんだよ」


僕は彼女の腕を引っ張って自分の方へと寄せる。


「えっ・・・」


2人の体が触れる。


「自分が濡れてどうするんですか・・・」


僕はため息をつきながら彼女に言った。


「だって・・・折り畳み傘に二人で入るのは厳しいかなって思って・・・」


「だったら、自分が濡れない方法を考えてください・・・」


「でも、せっかくの旅が風邪をひいて終わるって虚しいじゃないですか」


彼女が動かした手が僕の手に触れた。


体温が伝わる。


それだけで、赤面する僕は小心者?


体が服を通じて触れ合っているだけで心臓がドキドキする僕は小心者だろうか?


それとも普通?


普通であると願いたい。


「僕は、それで貸してくれた当人が風邪ひく方がよっぽど嫌ですよ」


「優しいんですね」


「理菜さんが・・・ですよね?」


「裕哉さんが・・・です」


上目遣い。


まあ、体の距離を考えると当たり前なのだが。


でも、濡れたセミロングの髪。


制服。


言葉の言い方。


すべてが・・・。


・・・何考えてるんだか。


「とりあえず・・・傘買いません?」


「買うんですか?」


少し残念そうな彼女。


「2人とも濡れますよ?」


「・・・ですね」


彼女の心理がわからない。


人の心は読めないと誰かが言っていた。


でも、ある程度は分かるもの。


表情。仕草。


態度。言葉のトーン。


それらのもので。


でも、僕には彼女の心理は全く分からなかった。


「来年から心理学部なんだけどな・・・」


ぼそっとそう独り言を呟く。


その声は、誰の耳にも入ることなく、空気を伝わり消えていく・・・。





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あ~・・・。


日曜日ですね。


皆さん何かしてますか?


僕は・・・どうしよう?


勉強しないとなぁ・・・。


ブラブラ歩いていてもしょうがないので、目的地を決めることにした。


地図を見る。


現在地を確認して、観光客が行きそうなスポットを探す。


ここから近いのは・・・名古屋城だった。


僕は地図にしたがって道を歩いている。


それにしても・・・。


僕はきょろきょろあたりを見渡す。


東京よりも都会なんじゃないの?


そんなことを思うくらいの栄え具合。


名古屋城に着く。


観光客はたくさんいた。


今日は平日のはずなのに・・・。


まあ、もう夏休みに入っている人も多数いるということだろう。


名古屋城。


その最上部には金のシャチホコがいた。


二体、対になるような形で。


城に詳しくない僕にはなんでそうなっているのかはわからない。


というより、まず僕は城が好きではない。


じゃあ、何で見に来たのか。


・・・特に意味はない。


「お城・・・好きなんですか?」


後ろから誰かが声をかけてきた。


・・・女の子の声だ。


「いや・・・別に・・・」


僕は後ろを振り返る。


そこにいたのは、さっきの女の子だった。


「え・・・」


思わず、驚きが声に現れる。


「初めまして」


にこやかに彼女は笑う。


だけど、こっちは笑えない。


なんでこの人が話しかけてきたのか。


なんでここにいるのか。


色々な疑問が頭の中を駆け巡る。


そして、たどり着いた結論は・・・。


皆無。


全く分からなかった。


「えっと・・・初めまして」


ぎこちない返事しか返せない。


「今疑問に思ってますか?」


「何がですか?」


「私が話しかけてきたこと」


「え・・・あ、はい」


「名古屋では、普通ですよ。こうやってナンパじみた行為をするのは」


「そうなんですか!?」


そんなバカな。


地方が違うからといってそんなことがあるのか・・・?


「冗談ですよ」


手を口元に当ててくすっと笑う彼女。


なにがなんだかわからない。


「初対面の人に冗談を言うのはスタンダードですか?」


「どうでしょう?」


「・・・はぁ」


よくわからない女の子だった。


最初のイメージとはずいぶん違う。


もっと大人しくて清楚な感じ。


そんなイメージを持っていたんだけど。


ずいぶん気さくな人・・・かな。


まあ、まだ長時間一緒にいたわけじゃないから正確に相手のことを知れたわけじゃないけど。


ただ・・・。


興味は沸いた。


さっきのすれ違った時だけの時よりよっぽど。


「それより、何で僕に話しかけてきたんですか?」


彼女は少し何かを考えた後、


「秘密です」


人差し指を立てて口元に当てた。


「・・・秘密ですか。制服ってことは今日は学校ですか?」


「学校はもう終わってます。部活ですよ」


「部活ですか。何の部活ですか?」


気がついたら、質問を繰り返している自分がいた。


初対面の人と。


最近の人たちは人見知りの人が多いらしい。


そして、草食系が。


だから、知りあう人たちが限られる。


学校や、バイト先とか。


強制的に話さなければいけない空間。


そういうのがなければ、友達にはなれない。


見つけられない。


話せない。


だからこういうパターンは珍しい。


何の共通点もないふたりがこうして話しているのだから。


「当ててみてください」


そう言って、彼女はその場でくるりと回転してみせた。


革靴なのに、軸足がぶれない。


ってことは・・・。


「ダンス・・・とか?」


「違います」


「正解は?」


彼女は楽しい人だ。


だけど・・・


「ん~・・・秘密です」


分からないことだらけだ・・・。




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