結局ーー。
私は、その彼に話しかけることはできなかった。
自分の不甲斐なさに苦笑する。
私は彼の横を通り過ぎただけ。
名前も知らない人の。
きっと彼は私のことを視界に入れてすらいないだろう。
そう考えると少し哀しいがそれが当たり前だ。
彼と話したい。
その感情が泡のようにぶくぶくと膨らんでいく。
でも、会うことはできないわけで・・・・。
もう彼に会うことはない。
最大のチャンスだったのかもしれない。
まあ・・・。
人違いかもしれないし。
そんな自分の中で諦めるための理由を勝手に作る。
もしも。
もう一度会えたら今度は話しかけよう。
あの人に。
思い出せない名前。
だけど、一目惚れをしたあの人に。
いや・・・違う。
今だ。
もう一度会ったらなんて考えじゃだめだ。
私は足を止めた。
そして、彼がいなくなった方を向く。
「会いたい・・・」
話したい。
絶対無理だって、報われないって思っていた恋。
それが少しずつ現実味が出てきた時、そんなことを思う。
気付いたら私は走っていた。
彼はどこに行った?
考えろ・・・考えろ。
ここから近くの観光名所は・・・。
走りづらい革靴。
だけど、今はそんなことを気にする余裕はない。
ついた場所は名古屋城。
きっと・・・ここに。
私は、拝観料を払って中に入る。
何度も入ったことのある名古屋城。
はっきり言ってこの建物に興味はなかった。
歴史とか好きじゃないし。
彼の姿を探す。
いなかったら・・・。
いなかったら諦めよう。
そして、さっき話しかけなかった自分を呪えばいい。
辺りを見渡す。
観光客の中に彼はいる?
はぁ・・・はぁ・・・。
走っているうちに息があがってきた。
・・・情けない。
仮にも陸上部なのに。
もうすぐ一周するというところまで見えた。
いない・・・かな。
と思ったその時だった。
名古屋城を見上げる一人の男の子。
「あ・・・」
思わず声が出る。
また・・・会えた。
本当に奇跡。
いや、違う。
運命。そう呼んでもいいかな・・・?
息を整える。
彼は後ろにいる私に気づいていない。
ふぅ・・・。
大きく息を吸って・・・吐いて。
笑顔・・・笑顔・・・。
自然に・・・自然に・・・。
色々な暗示を自分にかけて。
一条の風が吹く。
彼の髪がふわりと浮いた。
行け・・・!!
「お城・・・好きなんですか?」
彼に話しかけた第一声。
それがこのセリフだった・・・。
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励みになるので。
やば・・・。
夜中勉強してたらいつのまにか寝てました。
今日のテストやばいなぁ・・・。
頑張らねば・・・。