今回のLink MEは、先週の円ドルレート[209]~[212]に基づき、前月末と週末並びに当該月末の日次データを用いて2025年11月の円ドルレートの変動と原因について検討し、月次月末値の変化を日経新聞電子版マーケット欄為替・金融記事に基づき解説します。
グラフには2025年10月31日(金)から11月28日(金)までの前月末と週末並びに当該月末の日次データが青の折れ線で記載されています。縦軸の円ドルレートの数値が北(南)方向へ行くほど小さ(大き)くなるように、言い換えると円高・ドル安(円安・ドル高)になるように、描かれています。2025年10月31日(金)の円ドルレートは1ドル=154.30円、11月28日(金)156.30円なので、月末値の変化で見ると、2025年11月1ヶ月間の円ドルレートの変動は2.00円の円安・ドル高であったことが、グラフから読み取れます。
2025年11月7日(金)・28日(金)が前月末比並びに前週末比各0.92、0.43円の円高・ドル安となった一方、14日(金)・21日(金)は前週末比各1.29、2.06円の円安・ドル高となったことがグラフから読み取れます。その結果、2025年10月末終値154. 30円と比べると、11月最終取引日11月28日(金)は2.00円の円安・ドル高となりました。
途中の行き過ぎた円安・ドル高や円高・ドル安に戻ったものを除外し、2025年10月31日(金)154.30円からスタートして11月28日(金)156.30円に2.00円の円安・ドル高を推し進めた週末日・月末日を取り出した、薄茶色の傾向線もグラフに描かれています。2025年10月31日(金)154.30円から11月28日(金)156.30円までの変動範囲の中で、2025年10月31日(金)154.30円より円安・ドル高となる週末取引日を日付順に探すと11月14日(金)154.67円のみが該当することをグラフより読み取れます。したがって、2025年10月31日(金)154.30円、11月14日(金)154.67円と2025年11月取引最終日である11月28日(金)156.30円を結ぶグラフが傾向線となります。
202 5年10月第5週最終取引日10月31日(金)154.30円から、いわば一直線で2025年11月28日(金)156.30円に2.00円の円安・ドル高となったと想定したのが、傾向線です。
2025年11月の円ドルレートは第1週0.92円の円高・ドル安でスタート、しかし翌第2週は1.29円の揺り戻しの大幅な円安・ドル高へ反転、翌第3週も引き続き2.06円の大幅な円安・ドル高が持続、11月最終第4週は0.43円の円高・ドル安へ回帰、2025年11月最終取引日11月28日(金)156.30円は2025年10月最終取引日10月31日(金)154.30円と比べると、2.00円下回る大幅な円安・ドル高で終わる、第1・4週の累計1.35円の円高・ドル安は第2・3週の累計3.35円の円安・ドル高を下回る円高・ドル安と円安・ドル高が交互する循環的変動となりました。このような傾向線の背後にある2.00円の円安・ドル高の原因を、日経新聞電子版マーケット欄為替・金融記事に基づき検討すると、以下のようになります。
第1は、米長期金利の変化を通じた日米金利差拡大に基づく円安・ドル高です。米長期金利上昇につながった要因としては、米連邦議会上院で可決したつなぎ予算案がもたらす政府機関の再稼働による政府閉鎖の解除が米景気鈍化の回避につながるとの見方、が挙げられます。
第2は、日本の金融政策スタンス変更に基づく円安・ドル高です。日本の金融緩和スタンスの要因として、高市政権の金融緩和志向、が挙げられます。
第3は、日米株価の上昇に基づく円安・ドル高です。日経平均株価の上昇をもたらした要因としては、連邦議会上院でのつなぎ予算案合意による政府機関の一部閉鎖解除への期待感を通じた投資家心理の改善、が挙げられます。
第4は、その他の要因に基づく円安・ドル高で、高市政権の積極財政志向による財政規律のゆるみ・2025年度補正予算の歳出が前年度を上回る政府総合経済対策の規模に対する財政悪化リスク観測、が挙げられます。




