今回のLink MEは特別編として経済コラム「先週の円ドルレート」を掲載します。日末値変化で見た20244月第2週最終取引日412()から4月第3週最終取引日419()の円ドルレート変動の原因を、東京外国為替市場の日次データを用い、日経新聞電子版マーケット欄為替・金融記事に基づき解説します。

 

 日次とは、1ごとのデータであることをそれぞれ意味しています。東京外国為替市場日次データは、午後5時の取引終了時点での円ドルレート終値となります。円ドルレート終値は、1ドル=123.35円~123.45のようにで表示されます。幅ではなく1つの数字で表示する場合は、1ドル= 123.35円と小さい数値円高・ドル安の数値が使用されます。

 

 グラフには2024412()419()までの日次データ青の折れ線で記載されています。縦軸の円ドルレートの数値()方向へ行くほど小さ(大き)くなるように、言い換えると円高・ドル安(円安・ドル高)になるように、描かれています。2024412()の円ドルレートは1ドル=153.24419()154.47なので、2024412()419()1週間の円ドルレートの変動1.23円安・ドルであったことが、グラフから読み取れます。

 

 

 2024415()16()17()19()前週末比並びに前日比各0.660.510. 220.20円安・ドル高となった一方で、18()前日比0.34円高・ドル安となったことが、グラフから読み取れます。その結果、2024年先月末329()終値151.33と比べると20244月第3週最終取引日419()3.14円安・ドル高となりました。

 

 途中の行き過ぎた円高・ドル安や円安・ドル高に戻った日を以下のように除外して、傾向線を求めます。2024412()153.24から419()154.47までの変動範囲の中で、2024412()153.24より円安・ドル高となる最初の取引日次にその日より円安・ドル高となる日419()154.47までそのような手順を繰り返すと、415()153.9016()154.39が該当することを、グラフより読み取れます。したがって、2024412()153.2415()153.9016() 154.3920244月第3週最終取引日である19() 154.47円を結ぶ薄茶色のグラフ傾向線となります。

 

 202442週最終取引日412()153.24から、いわば一直線4月第3週最終取引日である419()1.23円安・ドル高となったと想定したのが、傾向線です。

 

 20244月第3週の円ドルレートは、週明け後3日間連続の円安・ドル高でスタート、その後取引4日目に円高・ドル安へ転換、取引最終日にも再び円安・ドル高へ回帰し、中東情勢の高まる緊張と米インフレ圧力の長期化が円売りドル買いの主動因となって、最終的にはスタート時点の円ドルレートを1.23円下回る円安・ドル高で終わる、循環的変動となりました。このような傾向線の背後にある1.23円安・ドル高原因を、日経新聞電子版マーケット欄為替・金融記事に基づき検討すると、以下のようになります。

 

 第1は、イラン革命防衛隊がイスラエルに向けドローンやミサイルを発射したとの発表を受け、米国の制止にかかわらずイスラエルがさらなる報復に動く懸念がくすぶる中東情勢の緊張の高まりで原油高進行に対する警戒感が市場では強く、原油相場上昇は根強い米インフレ圧力の持続を意識させ、米連邦準備理事会(FRB)利下げがさらに遅れるとの見方が円相場押し下げたのに続き、日本時間15日午後取引で米長期金利が4.5%台半ばと前週末の取引終了時点より水準を切り上げるなど米金利先高観は強く、日米金利差の大きく開いた状態が続くとの見方が円売り・ドル買いを促したことです。

 

 第2は、3月米小売売上高が前月比0.7%増と市場予想(0.3%増)を大幅に上回り、堅調な米個人消費によるインフレ圧力の長期化が意識され、FRB利下げ観測が後退したのを受け米長期金利が2023年11月中旬以来約5カ月ぶりの高水準4.66%まで上昇し、さらに日本時間16日の取引でも4.6%を超える水準で高止まりしたので、日米金利差拡大観測を背景に円売り・ドル買いが優勢となったことです。

 

 第3は、国内輸入企業による円売り・ドル買い観測も円相場下押ししたことです。