今回のLink MEは特別編として経済コラム「先週の円ドルレート」を掲載します。日末値変化で見た20244月第1週最終取引日45()から4月第2週最終取引日412()の円ドルレート変動の原因を、東京外国為替市場の日次データを用い、日経新聞電子版マーケット欄為替・金融記事に基づき解説します。

 

 日次とは、1ごとのデータであることをそれぞれ意味しています。東京外国為替市場日次データは、午後5時の取引終了時点での円ドルレート終値となります。円ドルレート終値は、1ドル=123.35円~123.45のようにで表示されます。幅ではなく1つの数字で表示する場合は、1ドル= 123.35円と小さい数値円高・ドル安の数値が使用されます。

 

 グラフには202445()412()までの日次データ青の折れ線で記載されています。縦軸の円ドルレートの数値()方向へ行くほど小さ(大き)くなるように、言い換えると円高・ドル安(円安・ドル高)になるように、描かれています。202445()の円ドルレートは1ドル=151.33412()153.24なので、202445()412()1週間の円ドルレートの変動1. 91円安・ドルであったことが、グラフから読み取れます。

 

 

 202448()9()11()12()前週末比並びに前日比各0.540.031. 280.12円安・ドル高となった一方で、10()前日比0.03円高・ドル安となったことが、グラフから読み取れます。その結果、2024年先月末329()終値151.33と比べると20244月第2週最終取引日412()1.91円安・ドル高となりました。

 

 途中の行き過ぎた円高・ドル安や円安・ドル高に戻った日を以下のように除外して、傾向線を求めます。202445()151.33から412()153.10までの変動範囲の中で、202445()151.33より円安・ドル高となる最初の取引日次にその日より円安・ドル高となる日412()153.10までそのような手順を繰り返すと、48()151.879() 151.9011() 153.12が該当することを、グラフより読み取れます。したがって、202445()151.338()151.879() 151.9011() 153.1220244月第2週最終取引日である12()153.24円を結ぶ薄茶色のグラフ傾向線となります。

 

 202441週最終取引日45()151.33から、いわば一直線4月第2週最終取引日である412()1.91円安・ドル高となったと想定したのが、傾向線で す。

 

 20244月第2週の円ドルレートは、週明け後2日間連続の円安・ドル高でスタート、その後軽微な円高・ドル安へ転換、そして取引4日目に大幅な円安・ドル高に引き戻され、取引最終日にも小幅な円安・ドル高が持続し、米労働市場の底堅さと米インフレ圧力の根強さが円売りドル買いの主動因となって、最終的にはスタート時点の円ドルレートを1.91円と大幅に下回る円安・ドル高で終わる、循環的変動となりました。このような傾向線の背後にある1.91円安・ドル高原因を、日経新聞電子版マーケット欄為替・金融記事に基づき検討すると、以下のようになります。

 

 第1は、3月米雇用統計では非農業部門雇用者数が前月比30万3000人増と、ダウ・ジョーンズ通信の市場予想(20万人増)を大きく上回り、米連邦準備理事会(FRB)利下げ時期が市場の想定より遅れるとの見方が広がったのを受け、米長期金利上昇し日本時間8日の取引でも一段と水準を切り上げる場面があり、日米金利差を意識した円売り・ドル買いが優勢だったことです。

 

 第2は、3月米消費者物価指数(CPI)の上昇率が市場予想を上回り、米インフレ圧力の根強さが意識されたのを受け、FRB利下げ開始が9月にずれ込み年内の利下げ回数が少なくなるとして、米長期金利は4.5%台と5カ月ぶりの水準に上昇し、米金利先高観による日米金利差拡大を意識した円売り・ドル買いが優勢となったことです。

 

 第3は、米インフレ圧力の根強さや、週間新規失業保険申請件数が市場予想を下回った労働市場の底堅さを通じて、FRBによる利下げ観測が後退し、米長期金利は2023年11月以来の水準に上昇し、日米金利差拡大を意識した円売り・ドル買いが出たことです。

 

 第4は、欧州中央銀行(ECB)利下げ観測が強まったのを受け、ユーロが対ドルで下落すると、対ドル円相場への下落圧力が高まった面もあったことです。