今回のLink MEは特別編として経済コラム「先週の円ドルレート」を掲載します。日末値変化で見た2024年4月第3週最終取引日4月19日(金)から4月第4週最終取引日4月26日(金)の円ドルレート変動の原因を、東京外国為替市場の日次データを用い、日経新聞電子版マーケット欄為替・金融記事に基づき解説します。
日次とは、1日ごとのデータであることをそれぞれ意味しています。東京外国為替市場の日次データは、午後5時の取引終了時点での円ドルレート終値となります。円ドルレート終値は、1ドル=123.35円~123.45円のように幅で表示されます。幅ではなく1つの数字で表示する場合は、1ドル= 123.35円と小さい数値、円高・ドル安の数値が使用されます。
グラフには2024年4月19日(金)~4月26日(金)までの日次データが青の折れ線で記載されています。縦軸の円ドルレートの数値が北(南)方向へ行くほど小さ(大き)くなるように、言い換えると円高・ドル安(円安・ドル高)になるように、描かれています。2024年4月19日(金)の円ドルレートは1ドル=154.47円、4月26日(金)156.70円なので、2024年4月19日(金)~4月26日(金)1週間の円ドルレートの変動は2. 23円の円安・ドル高であったことが、グラフから読み取れます。
2024年4月22日(月)・23日(火)・24日(水)・25日(木) ・26日(金)が5日間連続で前週末比並びに前日比各0.18、0.16、0.08、0. 73、1.08円の円安・ドル高となったたことが、グラフから読み取れます。その結果、2024年先月末3月29日(金)終値151.33円と比べると、2024年4月第4週最終取引日4月26日(金)は5.37円の円安・ドル高となりました。
途中の行き過ぎた円高・ドル安や円安・ドル高に戻った日を以下のように除外して、傾向線を求めます。2024年4月19日(金)154.47円から4月26日(金)156.11円までの変動範囲の中で、2024年4月19日(金)154.47円より円安・ドル高となる最初の取引日、次にその日より円安・ドル高となる日、4月26日(金)156.11円までそのような手順を繰り返すと、一貫して円安・ドル高が進行したので全ての取引日が該当することを、グラフより読み取れます。したがって、2024年4月19日(金)154.47円、22日(月)154.65円、23日(火) 154.81円、24日(水) 154.89円、25日(木) 155.62円と2024年4月第4週最終取引日である26日(金) 156.70円を結ぶグラフが傾向線となります。現実の円ドルレートのグラフと傾向線のグラフは一致します。
2024年4月第3週最終取引日4月19日(金)154.47円から、いわば一直線で4月第4週最終取引日である4月26日(金) 2.23円の円安・ドル高となったと想定したのが、傾向線です。2024年4月第3週最終取引日4月19日(金)から4月第4週最終取引日4月26日(金)の円ドルレートは一貫して円安・ドル高が持続したので、現実の円ドルレートのグラフと傾向線のグラフは一致します。
2024年4月第4週の円ドルレートは、週明け後円安・ドル高でスタート、その後も円安・ドル高が持続し、取引最終日も含めて5日間連続で円安・ドル高となり、FRBによる利下げ時期の遅れ・中東情勢の緊張緩和・現行金融政策の維持を通じて円安・ドル高が支配した、最終的にはスタート時点の円ドルレートを2.23円下回る大幅な円安・ドル高で終わる、単調的変動となりました。このような傾向線の背後にある2.23円の円安・ドル高の原因を、日経新聞電子版マーケット欄為替・金融記事に基づき検討すると、以下のようになります。
第1は、米インフレ圧力の根強さにより米連邦準備理事会(FRB)の利下げ観測が後退するなか、前週末のイスラエルによるイランへの攻撃についてイラン最高指導者のハメネイ師が報復などに言及しなかったと伝わり、中東情勢緊張の高まりへの警戒感が和らぎ米国債相場は上げ幅を縮小し、日本時間22日も米長期金利が高水準で推移し日米金利差拡大を意識した円売り・ドル買いが出たのに加え、週末に急落した日本株が反発し投資家のリスク回避姿勢がいったん後退したとして「低リスク通貨」円売りが出たことです。
第2は、米実質国内総生産(GDP)や米個人消費支出(PCE)物価指数次第で、FRBの利下げ開始時期への不透明感が一段と強まる可能性があり、米国債持ち高調整の売りが出たのを受け米長期金利は前日比0.04%高い4.64%で終え、日米金利差拡大を見込む円売り・ドル買いが優勢だった流れを引き継いだことです。
第3は、日本の通貨当局者は円安けん制の姿勢を特段強めず、円売りの勢いが増したことです。
第4は、日銀金融政策決定会合で政策金利の維持を決めるともに国債買い入れも現行の方針を続けるとし、さらに「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」で「緩和的な金融環境が当面は継続する」と説明し、植田和男日銀総裁も会合後の記者会見で円安について「基調的な物価上昇率への大きな影響はない」と発言したので、日銀が緩和姿勢を続けるとの見方に基づき円売り・ドル買いが優勢だったことです。