今回のLink MEは特別編として経済コラム「先週の円ドルレート」を掲載します。日末値変化で見た2024年3月第5週最終取引日3月29日(金)から4月第1週最終取引日4月5日(金)の円ドルレート変動の原因を、東京外国為替市場の日次データを用い、日経新聞電子版マーケット欄為替・金融記事に基づき解説します。
日次とは、1日ごとのデータであることをそれぞれ意味しています。東京外国為替市場の日次データは、午後5時の取引終了時点での円ドルレート終値となります。円ドルレート終値は、1ドル=123.35円~123.45円のように幅で表示されます。幅ではなく1つの数字で表示する場合は、1ドル= 123.35円と小さい数値、円高・ドル安の数値が使用されます。
グラフには2024年3月29日(金)~4月5日(金)までの日次データが青の折れ線で記載されています。縦軸の円ドルレートの数値が北(南)方向へ行くほど小さ(大き)くなるように、言い換えると円高・ドル安(円安・ドル高)になるように、描かれています。2024年3月29日(金)の円ドルレートは1ドル=151.39円、4月5日(金)151.33円なので、2024年3月29日(金)~4月5日(金)1週間の円ドルレートは横ばいで推移したことが、グラフから読み取れます。
2024年4月1日(月)・2日(火)・4日(木)が前週末比並びに前日比各0.01、0.33、0. 01円の円安・ドル高、3日(水)は前日比横ばいとなった一方で、5日(金)は前日比0.35円の円高・ドル安となったことが、グラフから読み取れます。その結果、2024年先月末3月29日(金)終値151.33円と比べると、2024年4月第1週最終取引日4月5日(金)は横ばいで推移しました。
途中の行き過ぎた円高・ドル安や円安・ドル高に戻った日を以下のように除外して、傾向線を求めます。2024年3月29日(金)151.33円と4月5日(金)151.33円は同一の円ドルレートのため変動はなく、途中の行き過ぎた円高・ドル安や円安・ドル高に戻った日を除外する必要はありません。したがって、2024年3月29日(金)153.33円と2024年4月第1週最終取引日である5日(金)151.33円を結ぶ薄茶色のグラフが傾向線となります。
2024年3月第週5最終取引日3月29日(金)151.33円から、4月第1週最終取引日である4月5日(金)に横ばいで推移と想定した、日付軸に平行なグラフが、傾向線です。
2024年4月第1週の円ドルレートは、週明け後2日間連続の円安・ドル高でスタート、その後横ばいで推移した翌日は再び微かな円安・ドル高へ、そして取引最終日にはスタート時点の円ドルレートと横ばいの円高・ドル安へ転換して終わる、米インフレ鈍化・日米株価乱高下・中東情勢・日銀利上げが絡み合った循環的変動となりました。このような横ばいに推移した傾向線の背後にある原因を、日経新聞電子版マーケット欄為替・金融記事に基づき検討すると、以下のようになります。
第1は、3月米サプライマネジメント協会(ISM)製造業景況感指数は50.3と、好不況の分かれ目50を1年半ぶりに上回った米景気の堅調さを背景に、米連邦準備理事会(FRB)の利下げ時期が市場の想定より遅れるとの見方が強まったのを受け、米長期金利が上昇し日本時間2日の取引でも4.3%を超える水準で取引されて、日米金利差を意識した円売り・ドル買いが優勢となったことです。
第2は、イスラエルがシリアのイラン大使館周辺を空爆し、イランが報復の構えをみせるなど中東情勢の緊迫化などを背景とした米株安に続き、日経平均株価が一時1000円近く下落し、リスク回避を目的とした円買いが入ったのに加え、植田和男日銀総裁が「夏から秋にかけて春闘の結果が物価にも反映されていく中期目標達成の可能性がどんどん高まっていく」と述べたほか、「為替の動向が賃金と物価の循環に無視できない影響を与えそうなら金融政策として対応する理由になる」と踏み 込んだ円安発言を受け、日銀の追加利上げ観測が意識されたのも円買いにつながったことです。
第3は、第1の円安・ドル高要因と第2の円高・ドル安要因が、両者相譲らず拮抗したことが、横ばいに推移した傾向線の背後にある原因です。