ご訪問ありがとうございます!今回は「響け!ユーフォニアム3」のTVアニメと原作小説のネタバレを含みますので、予めご了承の上ご覧下さいませ。
反響を巻き起こした「響け!ユーフォニアム3」TVアニメ12話の原作改変を観て原作小説を買いに行きました!そして漸く読み終えたので今回は原作小説とTVアニメとの違いを含め改めて北宇治高校吹奏楽部に異変を起こした「黒江真由」という存在を考察してみたいと思います。

黒江真由はTVアニメ版でオーディションについて何度も「『私は辞退しようか?』と黄前久美子に言ってきました。そういう割に引き下がらないのは
・久美子ちゃん自ら辞退して欲しいからだ!
・「転校生の自分が部長を差し置いている事で居心地の悪さを感じているからでは?でも音楽は好きだから自分からは本当は辞退したくないアンビバレントな気持ちの現れでは?」
などの説が我が家では飛び出しました。
実際に黄前久美子を慕う後輩の奏からも「黒江先輩は黄前先輩に辞退して欲しいと思ってるんですよ」的な事を言いました。この台詞は原作小説では記載がないTVアニメオリジナルのものです。部活内で黒江真由ちゃんに近い人は同じ感想を持ったのかは分かりませんが、その様な解釈もさせる意図が制作者側にあったかと思います。より黒江真由がミステリアスな存在になっていました。
↓12話鑑賞後に書いた記事です。宜しければご覧下さいませませ。
↓こちらも「響け!ユーフォニアム3」最終回後に書いた記事です。
この『黒江真由のオーディション辞退しようか発言』はTVアニメでも原作小説でも幾度となく出てきます。
原作小説後編ではこの台詞が105P、249P、273Pと頻繁に出てくる他にも、所々で『真由が遠慮している』らしきシーンは出てきます。しかも『辞退しようか発言』に至っては今言うか、みたいな絶妙にテンションを下げるタイミングで言ってきます。原作小説ではこれに対する黄前久美子の内心が表されています。『勘弁してくれ、と口から飛び出そうになった』『だがこれ以上は限界だった』等、相当ストレスになっている事が分かります。これをTVアニメでは台詞なしの表情等で表現しているので、そこまでの久美子の心境は読み取れませんでした。
しかし原作小説では久美子に問い詰められた黒江真由の言葉も明確に記されていました。真由曰く
・自分にとって部活は楽しい時間を過ごすためのもの
・コンクールはおまけみたいなもの
・自分が辞退する事で部の雰囲気が丸くなるならよい
・皆が一生懸命だから自分も一生に頑張ってる感じ
等、1年生の頃から「北宇治高校で金賞を獲る」事を目的として頑張り今は部長として皆を引っ張る存在になった久美子との温度差がありすぎます。真由と公平にオーディションで競い合いたい、ベストの北宇治高校で望みたい、という久美子の気持ちは真由には通じません。悩める久美子は先輩の家に行って話を聞いてもらったり等アレコレがあり久美子は部長として吹奏楽部の皆の前で演説を行い、その後のオーディションのソリストを獲得する、という流れですがTVアニメでは
最後まで真意が分からないミステリアスな真由が「さいごのソリスト」として選ばれる、というものでした。正直、私はTVアニメの方が断然好みです。台詞よりも表情や動きで内面を表現し視聴者に「ソリストに選ばれた時の真由は何を考えていたのか?」や「この時の久美子の気持ちは如何に」「高坂麗奈が選択した時の久美子に対する気持ちはエモさを感じさせる」等
色々ありますが、奏者としては負けてしまった久美子が、部長として北宇治高校吹奏楽部の皆を引っ張る役目を演じ北宇治高校が金賞を獲る、という流れに人生には挫折もあり、ままならない事もある、という青春を送った久美子が大人となり北宇治高校吹奏楽部の顧問として生徒たちの前に立つという最終回に不思議な感動を覚えました。原作小説でもTVアニメでも・北宇治高校が金賞を獲る
・最終回では久美子は北宇治高校吹奏楽部顧問となる
という結末は同じです。
TVアニメでは原作小説とは異なる流れとなりましたが
原作改変により久美子の挫折、久美子の演奏より真由を取った高坂麗奈の音楽に対する真摯さなどが描かれよりコクと深みを増したTVアニメの方が私は好みですが、原作小説と読み比べる事でより理解や共感などが
感じられました。12話を通し「響け!ユーフォニアム」にハマった皆さま(私もその一人です)是非原作小説
上下巻読まれてみるのも良いかと思います!