エッセイふんわり (24) 03Apr:居酒屋/酒好のY君/篠山@1980 | 容子のふんわり行きましょ

容子のふんわり行きましょ

もとトークばらの山下容子です。2000年から2015年まで『ふんわり行きましょ』というホームページを持っていました。

ふんわり行きましょ第24回

(ひまわり62号@2003年4月)

 

*** 居酒屋 ***

 

私、猫みたいなところがあって、『居着いちゃう』んです(笑)。トークばらは開店の時から居着いて、もう23年になります。東京も1年に3回か4回行くけど、腰をと言えばいいのか、お尻をと言えばいいのか、びびあんにべったり下ろしちゃって ・・・ お尻が重いのかもしれないからダイエットしなくちゃ(^^)

週イチの容子晩ごはんは近頃たいてい酒好さん(さかづき)。トークのお店の前の通りを東に行って、天神橋筋商店街に入ったら左に折れて4軒目か5軒目の左側、居酒屋さんです。最初はこころのママ(ふんわり第20回)に勧められて行き始めて、やっぱり居着いてしまいました。でも、美味しいっていうのがホントは一番の理由かも。

 

 

シマアジとか、ヒラメとか、カンパチとか、マグロとか、お醤油なしでもホントにおいしい シマアジなんかはもちろんだけど、マグロだって冷凍ではありません。仕入れ先も長年同じところなのだそう。しめ鯖(きずし)もおススメ。うすじめで外側は白いけど、中のほうはまだ赤くておさしみみたい。カツオで言えば『たたき』のような感じです。

でも、今までで一番感激したのはハモ。大阪はハモ料理が有名で7月の天神祭の頃が一番の旬。ハモは骨切りが難しく、骨切りの下手なのを食べてハモ嫌いになっちゃうヒトもいるくらい。去年の夏に食べたハモなんて、食べた瞬間「えこれおさしみ」とマスターに聞いたのね。湯通ししてあるんだけど、信じられない

 

あ、私、別にグルメってわけではありません。ふだんそんなにいいもの食べてるわけでもないし、自分の舌に自信もありません。でも、自分がおいしいと思うものはおいしい(^o^)


酒好さんはカウンターと椅子席と、そして畳の間もあって、詰め込んだら50人くらい入れる、商店街ではちょっと大きめのお店です。私より10歳くらい年上のマスターとママと、息子さんと、あとアルバイトの女の子たちがいるけど、お客さんがたくさん入ってると目の回るような忙しさ。

時々は3時半とか4時とかそんな時間に行くこともあります。赤ちょうちんにまだ灯をつけていないけど、お昼頃から仕込みを始めてるので入ってくるお客さんは歓迎という大阪流の合理主義。これを知っててやって来るお客さんもけっこういます。

のれんがまだカウンターに置いてあって、そののれんを横によけてもらって、カウンターのすみっこに腰を下ろして、仕込んだばかりのおいしいものを食べる。ちょっとぜいたくと思いません それに、私、料理の仕込みを見てるのがすごく好きで、マスターがそれに気づいからは、早い時間だとあれこれあれこれ説明してくれるのよね。

息子さんも(*1)餃子を作ってたり、鳥とか玉ねぎとか『ねぎま』を串に刺してたりしてて、見ていてあきることがありません。ねぎまはネギとマグロのことだけど、ごはんにのせるようなミンチのじゃなくて、ネギとマグロを交互に串に刺して焼き鳥と同じように焼く、酒好さんのメニューのひとつです。マグロが新鮮だからすごくおいしい。

(*1)今の居酒屋さかづきのマスター。お客さんたちは酒好の時からの続きで『店長』と呼んでます。

 

 

ひとりで赤ちょうちんというのは初めの頃ためらいがあったんだけど、酒好はお店が明るくて今ふうの居酒屋に比べてもずっといい感じだし、女性のお客さんも多く、私がお店に入っていっても誰も物珍しそうに見ないのね。

時代が変わっちゃって(私、そんなに古い人間じゃないけど)女ひとりでこういうお店に入ることが珍しくもなんともなくなってるわけ。そういうことがわかってきて、もう安心して酒好さん通い。でも、飲み物はビール小瓶1本にしています。私、お酒は飲めないほうじゃないけど(まだ空が明るいうちに)赤い顔して商店街を歩くのはいやだもの(^^)。女は不自由です

近頃は黒ビールがお気に入り。前にアルバイトさんがまちがって持ってきて、その時からです。ママはけっこう注文を間違えたりするヒトで、私が小瓶と言ってるのに大瓶を持ってくることがあるのよね。でも、黒ビールだと小瓶しか置いてないから間違わないし、それに、ちょっとおしゃれに見えるでしょ

 

 

*** 酒好のY君 ***


ついつい調子に乗って酒好さんのことを書いてたら紙面がつきてきたみたい。「ウィグが型くずれしないように東急ハンズであるものを買ったこと、今度のふんわりに書きますね」とホームページで書いたけど、結局ここでは書ききれないみたいでごめんなさい。そのうち書くことにします。

でも、ジェーンさんに「書くわね」と約束した酒好のお話はここに書いてしまいます。去年秋にオモテのお仕事が大忙しで酒好に長い間ごぶさたしていた時、お仕事帰りの閉店近い10時頃に(いたずら心を起こして)Y君が酒好に行きました。ちゃんとネクタイ締めてるし、女性の声を使ってないからわからないと思ったのよオモテのお仕事の時に女っぽいと言われることはありません)

注文を取りに来た時には気づかなかったママ、ビールを持ってきた時にしげしげと顔をのぞきこんで、大声で「あっ、容子ちゃ~ん」。隣の人が目をむいてこっちを見るし、もう心臓が飛び出すかと思った。知り合いと一緒でなくてホントによかった(ホッと胸をなでおろす音が聞こえるかと思うくらい)

「ママ、それはないよ。勘弁してよ」。Y君の時は容ちゃんと呼んでもらうことにしたんだけど、時々注文を間違えるママのことだから信用できない でも、それからマスターは前にもまして仕込みのことをいろいろ教えてくれるようになったから、この事件は悪くなかったのかも(^o^)

 

*** 写真 ***


今回の写真は20年くらい前の3月に兵庫県の篠山に行った時のものです(*2)。気に入った服はそればっかり着るので変わりばえがしないけどお許しくださいね。今はトークのお店近くのJR東西線大阪天満宮駅から篠山まで電車で行けるようになったけど、その頃はまだ汽車だったので行く時も帰る時もすごく時間がかかりました。あの時ののんびりした汽車の旅は今でも鮮やかに心に残っています。

 

(2003年3月23日)

 

(*2)撮ってくださったのはいつものKさんです。彼は先日(100歳にあと3日の)99歳で亡くなりました。最後にお会いしたのは去年の9月で、11月からは電話に出なくなってたのね。トシに不足はない大往生だけど、やっぱり寂しい。

 

 Kさんとの最後のデート(@2022年9月) 

 小旅のスポット 

 

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