フーテンの横チン -334ページ目

ダイバーにとっては危険でも…。


フーテンの横チン

 2010・6・17~高知・柏島~

 ダイビングをしていると、いつも不思議に思うことがある。「どうして、幼魚や小さな魚はガンガゼのトゲに刺さらないんだろう?」。ガンガゼとは、いわゆるウニのことで、長~いトゲには毒がある。ダイバーにとっては危険生物なのだが、トップ写真のマジマクロイシモチはガンガゼと共生していることで知られる小さな魚。目玉みたいなガンガゼの生殖口の上で生活している。もちろん、大きな魚に襲われないようにするため、同じ黒色の肌を持つガンガゼの中に身を隠しているのだ。

フーテンの横チン

 柏島の海にも、ガンガゼがウヨウヨ生息している。だから、写真を撮る時には、足場にいないことを確認しながら着底しなければならない。だが、この世に生を受けたばかりの幼魚にとっては大事な大事なおウチ。黄色い肌のコガネスズメダイの幼魚も、トゲの間をスルスルと通り抜けていく。余計な心配なのかもしれないが、刺されて死んじゃうんじゃないかと思ってしまうほどだ。

フーテンの横チン

カメラ派ダイバーにとって、このガンガゼは目障りな障害物でもある。この日もミナミハコフグの幼魚を発見したが、もののみごとにガンガゼの中に身を隠している。このハコフグちゃんは特に臆病だったため、ガンガゼの中から一度も出てこない。トゲの間から、ジッとこちらをにらんでいた。何本ものトゲが重なるガンガゼの前でピントを合わせるのに苦労した自分がいた。



ギザかわゆい!!


フーテンの横チン

 2010・6・16~高知・柏島~

 マクロ生物を見るうえで欠かせないことは、岩の間をのぞくことだ。自分より大きな生きものから身を守るため、小さな生きものは岩の下や奥に身を隠す。あまり明かりが届かない場所のため、ライトを照らしながら探す。ハゼやエビ、魚の幼魚などが多い。これが楽しいんだな。下にあるガンガゼに刺されないように気をつけながら奥を見ると、ミナミハコフグの幼魚が泳いでいた。その大きさ、わずか2センチ弱。おちょこ口がとってもかわいい。近くを泳ぐキンセンイシモチをよけながら時折、こちらを警戒していた。黄色地に黒い点々。海のアイドル級のかわゆさなのだ。

フーテンの横チン

 違う穴に移動すると、フトスジイレズミハゼもいた。最初はペアでいたんだけど、オスが奥に隠れてしまった。しばらく待ったが、警戒心が強くて出てこない…。一方、メスはオスよりも肝が据わっており、ジッとこちらを見ている。近くにはきれいなピンク色のケヤリがあって、とてもきれいだった。しっかし、いつも思うんだけど、逆さまに身を置いていて、頭に血が上らないんだろうか??まっ、余計な心配かな。


妖艶


フーテンの横チン

 2010・6・15~高知・柏島~

 海に入れば、色を探す。最近、マクロで攻める時、そんなクセがついた。ダイビングをすれば、海の中にはさまざまな色があることが分かる。紫、黄、緑…。魚もカラフルだし、サンゴもカラフル。だから、写真を撮るうえでは不可欠な要素になっている。2日目のダイブで目に付いたのはピンク。水深30メートルオーバーにあるピンク色のウミウチワには、ピグミーシーホースが棲んでいる。体長1センチ前後の超マクロで、見事に擬態化しているのだ。このウミウチワがけっこう大きかったので、探すのにひと苦労したが、4分後に発見。レンズを向けると、口をとんがらせて「ふん!せっかく隠れてたのに…」と、ふてくされたような目つきでにらまれてしまった。
フーテンの横チン

 ソフトコーラルの中には、セボシウミタケハゼの姿。クリクリお目々がとてもキュートだ。ポリプも開いていて、とてもきれいだった。ピンク色を見ると、なぜか興奮してしまう拙者…。海の中にも、妖艶な世界が広がっているんだな…。泡を吐きながら、そんなことを考えていた。