梅雨の空の夕焼け
 2010・7・4~大阪・豊中市~
スカッと晴れた日の夕方、しだいに空が燃えていた。陽が落ちるのが遅くなり、涼しくなった時間帯を見計らって、近所の公園をブラブラ歩いてみた。見上げると、太くて長~い黒い雲が青空を支配していた。陽が落ちた後、徐々に空が赤く染まってくる。そして、黒く長い雲の下方部分も赤くなった。まるで、火山から吹き上がる黒煙のようだ。残念ながら、空全体が真っ赤になることはなかったが、自然の偉大さを感じることはできた。梅雨の季節、空を見上げることは少ない。だからこそ、晴れた日には空を見てほしい。不思議な形をした雲が広がり、時間によって、空は青くなったり、赤くなったりする。人間の手では決してつくることができない芸術が、大きな、大きなキャンバスに描かれている。
まさか、まさかの…
 2010・7・1~和歌山・串本町~
 まさか、串本で見ることができるとは思ってもいなかった!!外洋でのダイブ。安全停止に入った時だった。下を見ると、別グループのガイドが手招きしている。スレートをよく見ると「ボロカサゴ」の文字。えっ、ボロカサゴ???初めてマンタを見て以来の興奮状態になった。実は、水中写真をやり始めてから、ずっと追い求めてきた生きものだったのだ。地元ガイドいわく「紫色のボロカサゴを見たのは数年ぶり」。脱皮前の状態だったため、きれいな紫色の体ではなかったが、正真正銘のボロカサゴだった!!!マクロの宝庫であるインドネシア・レンベや高知・柏島でもリクエストしたが、ガイドの答えは「いまはいない。いなくなった…」。だから、こういう形で初対面できるなんて、想像もしていなかった。今回はサンゴの産卵を目的で串本を訪れたのだが、空振りに終わっていた。だが、その無念さを十分に埋めてくれるサプライズ。久々にうれしいダイブとなった。
青抜きのウミウシ
 2010・6・30~和歌山・串本町~
 ウミウシを撮影するのって、簡単なようで意外と難しい。ここで言う難しさというのは「絵になる写真にすること」だ。ダイビングをしたことのある人ならご存知だろうが、ウミウシは砂地の上や岩の上や壁に張り付いていることが多い。簡単に言えば、砂地であれば目線の低い位置にいるため、腹ばいの状態になる。壁沿いに張り付いている場合なら、どうしても平面的な絵になるため、角度をつけて撮影することが多い。だが、写真のヒプセロドーリス・クラカトアは岩礁の上にいた。そして、バックは海の青。「海の中にいる生きもの」ということを一枚で表現するうえでは、最高の状況だった。目線をウミウシよりも低くするため、中性浮力を保ち、見上げる体勢でパシャリ。まるで、海藻の中を突破する牛のようになった。僕の経験上、青抜きで撮れる状態で歩いているウミウシは、めったにいない。ラッキーだった。


