青抜きのウミウシ
2010・6・30~和歌山・串本町~
ウミウシを撮影するのって、簡単なようで意外と難しい。ここで言う難しさというのは「絵になる写真にすること」だ。ダイビングをしたことのある人ならご存知だろうが、ウミウシは砂地の上や岩の上や壁に張り付いていることが多い。簡単に言えば、砂地であれば目線の低い位置にいるため、腹ばいの状態になる。壁沿いに張り付いている場合なら、どうしても平面的な絵になるため、角度をつけて撮影することが多い。だが、写真のヒプセロドーリス・クラカトアは岩礁の上にいた。そして、バックは海の青。「海の中にいる生きもの」ということを一枚で表現するうえでは、最高の状況だった。目線をウミウシよりも低くするため、中性浮力を保ち、見上げる体勢でパシャリ。まるで、海藻の中を突破する牛のようになった。僕の経験上、青抜きで撮れる状態で歩いているウミウシは、めったにいない。ラッキーだった。