フーテンの横チン -246ページ目

野原の綿菓子


2014・4・22~愛媛・松山市~
 保育園児のころ、先生に聞いたことがある。「先生、これはなんで、お空に飛ぶの?」。先生は教えてくれた。「ヒロ君、それはね、風に乗って、次のお家に行くためなんだよ」。お引っ越しするの?「そうよ、でもね、行き先は分からないのよ。風の吹くまま、お空に飛んで、風に連れていってもらうのよ」。ふ~ん、そうなんだ。庭に咲いていたタンポポの種に口で吹いて、よく飛ばした。気持ちよさそうに飛んでいく白い種を見て、子ども心にうらやましく思った。そして、綿菓子のようだな、おいしそうだな、なんて思ったりもした。
 春になれば、どうしても桜とかに目移りして、タンポポが咲いているのを見ても、スルーすることが少なくなかった。でも、通勤途中に見つけると、自転車を止めて見入り、昔のことを思い出してなつかしくなった。最近の子どもは種を飛ばしたりして遊んだりするのかな?子どものいないオッサンはペダルをこぎながら、そんなことを考えていた。

チンチン電車のラッピングメッセージ~その2~


2014・4・21~愛媛・松山市~
 その光景が目に浮かぶようで、自然と笑顔になる。そう言えば、大阪に住んでいたころ、そんな場面を見た。地下鉄だったかな。まだ乳母車に乗っている妹といっしょにいた幼稚園児ぐらいのお姉さん。駅で何人か降りて、ひとつ席が空いた。お母さんが「座らしてもらい」と促したが、お姉さんは座ろうとしない。なんでだろう?と見ていたら「だって、あの人がしんどそうやから、座ってもらお?」と言う。その指先には、杖をついた年配のおじいちゃん。その人のもとに近寄って「おじいちゃん、あそこ空いてるから、座ってください」と声をかけた。
 そのおじいちゃんはうれしそうに「お嬢ちゃん、ありがとね」と頭をなでて席に座った。そのお姉さんはとてもうれしそうに、お母さんのもとへ。お母さんにも「えらかったねえ」って頭なでなでされて、また満面の笑みになった。隣に足の不自由な人がいるのに寝たふりをするサラリーマン。大きく足を広げて、2人分のスペースを取る高校生。ひと目も気にせず、メイクのビフォー・アフターを披露する女子大生…。不愉快になる光景を何度も見ていただけに、小さな女の子の行動が頼もしく映ったのを、いまでも鮮明に覚えている。最近は自転車通勤だから、めったに電車に乗らなくなったが、こんなお姉さんのような行動をする子はいるのだろうかと想像した。

日曜日はカレー曜日~その18・クジラカレー~


2014・4・20~愛媛・松山市~
 みなさん、カレーの中の肉は何だと思うだろうか?これ、牛肉ではない。実はクジラの肉だ。以前から、試してみたいと思っていた具在だった。小学校のころ、給食のメニューで竜田揚げが出ていたけど、給食以外では食べたことないなあ。どんな味だったかなあ。なつかしさもともなって、久しぶりに食べたくなった。スーパーマーケットに行ったが、クジラは哺乳類。さて精肉売り場か、それとも鮮魚売り場か?まあ、海の生きものだから鮮魚のほうかな。行ってみたら、あった。ふだん、使っている肉の2倍の値段。高っ!でも、食べたい気持ちが上回っていたので、迷わず買った。
 タマネギ、ジャガイモを炒めた後、クジラを投入。水を入れた後、ホウレンソウとルーも入れて、しばらく煮込んでできあがりだ。見た目は牛肉と同じだが、けっこうな弾力。しばらく噛んでいると、まるでレバーのような食感になる。そうそう、煮込みとは違うが、竜田揚げもこんな食感だったような気がする。最初はカレーには合わないかなあって思っていたけど、想像以上にうまかった。
 先月、日本の南極海での調査捕鯨に関し、国際司法裁判所が日本敗訴を言い渡したことで、日本のクジラの食文化が危機に立たされているという。最近では、めったに食べたくなったが、カレーに入れてみて、なつかしさも感じられた。まあ、深くは分からないけど、クジラの肉を食べられなくなったら、ちょっぴりさみしいな、とは思う。