楽しかった30年ぶりの田植え
2016・6・19~愛媛・松山市~
農業の楽しさを、あらためて感じた時間だった。愛の葉ガールズの田植えイベントに参加した。天気は予報通りに雨…。あ~あ、濡れちゃうな…。ヤダな…。朝から憂うつな気分だったが、午前8時半の集合時間になると、それまで降っていた雨がパタンとやんだ。おー、ラッキー!えのはうすから10分弱歩くと、広大な田園地帯が見えてきた。先にメンバーが待機していて、すでに足が汚れていた。もう、田んぼに入って遊んでいたのかな??
記憶が正しければ、初めて田植えをしたのは小学校5年の時。学校の体験実習でやって以来だから、実に30年ぶり2回目となる。田んぼと海に囲まれた田舎育ちの自分。夏には青々と成長して、秋には黄金色に実る稲穂を当たり前のように見てきた。休耕時期には、田んぼでサッカーやかけっこもしたなあ。大学進学で実家を出て、その後はずっと都会で暮らしてきた。だから、愛の葉のファンにならなければ、こうやって田植えをすることなんてなかったと思う。
最初に農園長の実演説明があった。苗から3、4本ずつ採って、やさしく植えていた。なんとなく、昔にやったことを思い出してきたぞ~。メンバーとファンが2班に分かれてすることに。前半はきよら、美紀ちゃん、萌景、後半は理梨花、未唯、莉緒が担当となった。自分は前半だったが、最初は写真を撮ってから入ることにした。何の抵抗もなく、田んぼの中に入っていく萌景。さすが、自然が大好きな元気娘だなって思った。
横一列に15人前後が並んだ。田んぼの両端から目印のついたひもが引っ張られていて、赤い印のところに植えていくという。ひもを少しずつ動かして、等間隔に植えていくというわけだ。しばらく眺めていたが、みんなうまく植えているなあ。経験者が多いのだろうか。美紀ちゃんや萌景も慣れた手つき。さすが農業アイドルだ。普段は畑仕事が多いのだろうけど、場所が田んぼに変わっても、すぐに対応できるんだろうね。
5分ほど経ったところで、自分も入ることに。苗を持って入った。うわ~、泥が気持ちいい~。そんな気分に浸っていると、美紀ちゃんが「横チン、間に入れてあげるよ」と萌景の隣を指差した。いいよ、いいよ。そう遠慮したが「いいから、早く!」。途中から入る形だったし、端っこでするつもりだったが、萌景と美紀ちゃんの間でできることになった。Leafの新リーダーはとてもやさしい子。自分が大の萌景ファンであることを十分知っているから、気遣ってくれたのだ。普段から、いろいろと相談にも乗ってもらっている。本当にありがとね。
苗を植えながら、隣で萌景の作業を見ていた。やっぱり、手慣れた手つきで植えている。経験があるのか聞いてみると「初めてだよ」って言う。そうなん?若いのにうまいなあ。そんなことを思っていると、左隣の美紀ちゃんから「横チン、早く植えて!」の声。あっ、はいはい。「それ、数が多いよ。3、4本でいいの」。そうだった。でもなあ。せかされると焦ってしまう。実際に田んぼに手を突っ込んでみて分かることだが、泥がある部分とないところがあって、ない部分だと、苗がうまく植えられないんだよね。
美紀ちゃんや萌景、ファンといろいろと雑談したり、苗を分け合いながらやっていたものだから、ついつい作業が遅れてしまう。すると、美紀ちゃんが「横チンがサボってる~!」と、みんなに聞こえるように叫んだ。それに追随するように、萌景も「サボっちゃダメだよ~!」。えー、サボっていないよ…。苗がなかなか刺さらないんだよ。「こうやって泥を寄せて植えるの」。あ~ね。アイドル2人に怒られながら田植えするオッサンっていったい…wwでも、楽しかった~。
ちょうど半分に達したところで、第2班と交替。しばらく休憩していると、萌景の顔がいつの間にか泥だらけになっていた。きよらといっしょに泥遊びしていたのだ。最初は未唯の足に泥をつけたり、いたずらしていたが、いつの間にか、きよらと泥のつけ合いに。萌景の顔には、ネコのひげのようなものが描かれていた。
田んぼに来て「野性児」の血が騒いできたのか??萌景はきよらの顔に泥を塗り始めた。「わ~っ」。抵抗する先輩の顔に、後輩が遠慮なく、まるで泥パックのように塗りまくっている。新レギュラーの新統括リーダーへの下克上か???
「ほのか、やったな~」。そんな声が聞こえてきそうな、21歳の反撃開始。こうなれば、14歳は受け入れるしかない…wwほとんど無抵抗で、ほっぺに泥を塗られていた。でも、笑いながら塗られていたし、楽しそうだった。
アニメやゲームなど、趣味が共通していることもあるし、2人は姉妹のように仲がいい。田んぼをバックに笑顔のアイドル2人。でも、その顔は泥だらけ…wwこれも農業アイドルならでは。普通のアイドルなら考えられない。ホント、ほほえましい光景だね。
そうこうしているうちに、後半組は順調に苗を植えていた。こうやって、きれいに植えられているのを見ると、うれしくなるよね。そんなに大きな田んぼじゃなかったので、すぐに終わるだろうと思っていたけど、意外に時間がかかるんだよね。ゴールはもうすぐ。みんな、頑張れ~。美紀ちゃんたちといっしょに声援を送った。「オッサンのは要らない」って言われたけどww
松山も中心街を抜ければ、田んぼや畑が広がる風景をたくさん見られる。海と山しかない田舎に育ったから、こういう景色を見ると、郷愁にかられるんだよね…。ちょっぴりぼんやりしていたら、遠くで美紀ちゃんと萌景が用水路のところに並んで座っていた。汚れた足を洗いながら語らっているのだろうか。
絵になるなあ。そんなことを思いながら眺めていると、萌景が振り向いた。レンズ越しに目が合った。「美紀さんとデートしているんだから、邪魔しないで~」。そんなことを言いたげな顔をしていた。はいはい、邪魔なんてしませんよ~ww
後半組が半分を植え終え、苗が一面きれいに植えられた。そのあとは、お待ちかねの食事タイム。愛の葉米「にこまる」でつくられたおにぎりだ。なんと、莉緒と萌景が朝6時から2人でせっせと握ってくれたというではないか。うれしいねえ。美紀ちゃんの掛け声で「いただきま~す!」。めっちゃ、おなかが空いていたので、平らげたあとに写真を撮っていないことに気づいた…。う~…。でも、めっちゃうまかった!
実に30年ぶりの田植え。とても久しぶりに泥のなかに入った。ヒルがいるかもっていう話を聞いていたので、裸足で入るのはちょっぴり抵抗があったんだけど、入ってみれば、めっちゃ気持ちよくて、やみつきになりそうな感触だった。なによりも、雨がやんでくれて、本当によかった。いっしょに田植えをしてくれた美紀ちゃんと萌景。雨だったら、こんな最高の笑顔は見られなかっただろうなあ。めっちゃ楽しかった時間。収穫イベントもあるのかな?いずれにしても、またこんな楽しいイベントがあったら、絶対に参加したい!
11カ月でやってきたハッピー・ハッピー・サプライズ!!!!!(下)
2016・6・12~愛媛・松山市~
実はなんとなく、萌景の昇格発表があるんじゃないか?という予感はあった。うれしい、うれしい発表の後、ライブ再開。「アグリズム」だ。ほかのメンバーがそれぞれの立ち位置に散らばるなか、新リーダーの美紀ちゃんと萌景はセンターの位置に立ったままだった。認定証と花束を持ったまま、いっしょに歌った。ホントに楽しそうに歌う2人のほほえましい光景を見ながら、3日前に美紀ちゃんから聞いた言葉を思い出していた。
平日の9日の夕方、時間があったので、イベントを訪れた。愛ちゃんといっしょに物販応援や司会をしている美紀ちゃんと話している時「日曜のライブは来るやろ?」と聞いてきた。どうやろ。なんで?「横チン得のライブだから!」。そうなん?もちろん、日曜日のイベントには来るつもりだったけど、詳細はあえて聞かなかった。帰宅後、ずっと考えていた。パッと思いつくのは萌景の昇格話。だけど、これまでの通例では、愛の葉主催のイベント以外、つまり「よその庭」での発表はほぼない。
だとすれば、新衣装か??いろいろと考えたけど、結局は分からずじまい。実際、1部のライブでは2部と同じ黒Tシャツとパニエだった。違うんか…。やっぱり、昇格発表やろか…。ライブ終了後、美紀ちゃんに聞いてみた。木曜にオレ得のライブだって言うたやん。あれ、何やったん?「そんなこと言ったっけ?」。言った、言った。「覚えてな~い」。うまくはぐらかされたが、中身はもちろん、萌景の昇格発表だったというわけだ。2部のライブ後、美紀ちゃんに「ウソ、うまいね♪」と声をかけると、いつもの得意顔。そして「おめでとう」と言われた。分かっていたら、こんなにうれしいサプライズにはならなかった。美紀ちゃん、ありがとね。
萌景のレギュラー昇格。そんな思いが頭の片隅にあった。だから、発表された時は不思議と冷静で、涙が出なかった…。一方、左隣でいっしょに写真を撮っていた同じ萌景推しの女性ファンが号泣していた。なんだろうな…。新聞記者1年目の時、高校野球の取材で、あるチームがサヨナラ暴投で敗戦。ベンチ裏でむせび泣く球児を見て、もらい泣きしてしまった。それを見ていた先輩に「感情移入したらアカン!」と怒られた。以来、うれしい現場でも泣いたことがない。いや、泣けなくなった…。もちろん、この日もめっちゃうれしかったんだよ。「アグリズム」を泣きながら歌った後、レンズ越しに目が合った萌景を見ながら、胸はグングン熱くなっていたんだから…。
アンコール。きよらと未唯の間で「えやろの歌」を歌う萌景を見ながら思った。ホントに成長したなってね。萌景に初めて会ったのは昨年8月6日の「夕涼み会」。この日と同じフジグラン松山だった。愛の葉の物販ブースに、見たことのない女の子が浴衣姿で立っていた。近づいてみると「こんばんは!」と満面の笑み。名前、何て言うの?「ほのかって言います」。どんな字を書くの?「萌え~の萌に景色の景で萌景と書きます」。へえ、珍しい名前だね。
強烈なインパクトがあった。あとでほかのファンに、中学2年の13歳と聞いて、さらにぶったまげた。どう見ても、そんな年には見えなかったから。もちろん、いい意味で。しっかりと目を見て話すし、どんなファンに対しても物怖じせずに受け答えするのを目の当たりにしていたからだ。それに7月に入ったばかりという。普通の13歳なら、こんな応対は絶対にできない。
それまでも愛の葉のイベントには時々来ていたが、推しはいなかった。「推しはつくらない」という個人的理由があったからだけど、以降は萌景のことが頭から離れなくなった。同月9日の松山まつりで、愛の葉eggすの新衣装を着て初ステージに立つ萌景を見て、年甲斐もなく「ホレてしまった」。正直に言うと、萌景は好みのタイプではない。でも、13歳とは思えない大人っぽさと度胸の良さ、そしてかわいらしさの両面を持ち合わせ、そして何よりも、どんなに小さなことでも「ありがとうございます」と言ってくるところに好感を持った。10月10日、フジグラン今治で本人に「萌景推し」を宣言。以降、ずっと萌景だけを見てきた。
自分でも、ほかにはいない「異質なファン」だと自覚している。ダメな部分や悪い面を見ると、年上だろうが年下だろうが、我慢できず、どうしても指摘をしてしまう性格。要は「世渡りがヘタ」なのだ。ああだこうだと、萌景にもいろいろと口うるさく言ってきた。普通なら、自分の好きなメンバーに気に入られようと、ホメたりするものだけど、自分はめったにそんなことを言わない。時には度が過ぎて、何度か萌景を傷つけてしまった。そのたびに反省する日々…。でも、誰よりも萌景のことが大好きだし、誰よりも萌景のことを応援してきたつもりだ。
推しだから、というえこひいきなしに見ても、萌景は誰よりも頑張っている。ダンスしかり、ゆるキャラショーしかり、MCしかり。日を追うごとに上達してきた。でも、一番目を引くのは販売応援。誰よりも大きな声を出しているし、その場で考えたとは思えない商品説明で、たくさんのお客さんに応対している。それに、誰にもマネのできない笑顔は最大の武器だ。
地産地消でブースを出している、ある店の人が言っていた。「萌景ちゃんは本当によくやってくれている。上の子たち(レギュラーメンバー)は安定しているけど、萌景ちゃんたち研修生にはがむしゃらさがある。そこがいいんだよね。彼女がいるだけで、その場が明るくなるし、笑顔を見るだけで元気になれる」。その言葉にまったく異論はなかった。だって、自分も萌景の笑顔がエネルギー源だから。自分のことのようにうれしかったのを覚えている。
ホントに、ホントに頑張り屋さんだ。あるテレビ収録の時のこと。萌景は数日前から体調不良で苦しんでいたという。でも「みなさんに迷惑をかけたくない」という強い思いから、自分の体調不良のことを隠して出演していたという。後日、あるスタッフは「萌景は根性がある」とホメていた。誰よりもハングリー精神が旺盛。一日も早く、レギュラーに昇格したい―。そんな思いは直接聞かなくとも、萌景を見ていればひしひしと伝わってきた。
でも、その気持ちとは裏腹に、思いはなかなか実現しない。2月27日の定期公演ではレギュラー昇格試験の発表があったが、結果は残念ながら不合格…。ずっと悩める日々が続いたんだろうなあ。研修生グループのAngeのお披露目発表などでは、いつものイベントのような笑顔の萌景はいなかった。とても正直な子。気持ちがすぐに顔に出る。自分が、この場にいることが悔しくてたまらないんだろうなって思った。
5月のある日のイベントの時、萌景は佐々木社長に「6月中にレギュラーに上がります!」と宣言したという。自分自身でプレッシャーをかけ、自らを追い込んだ形だ。自分はある諸事情で何度か行けなかったんだけど、追い込んでからの萌景の頑張りは目を見張るものがあったと、いろんな人から聞いた。悩んでいる場合じゃない。現場で結果を出すしかない。そんな必死の思いで取り組んでいたんだろうね。そして、本当に実現させた。すごい!の言葉しかない。
終わってみれば、約1時間の長丁場のライブとなった。でも、本当にうれしい時間だったから、長いなんて思わなかった。ライブ終了後、萌景がステージから降りて、ファンの前に出てきた。たくさんのファンから「おめでとう」と祝福を受けていた。もちろん、自分も声をかけた。萌景、本当におめでとう!「ありがとう!」。これからも変わりなく、ずっと萌景推しだからね。頑張れ!そう言うと、萌景は笑顔でうなずいていた。長い言葉は要らない。うれしそうな表情を見ただけで十分だった。
ライブ後、販売応援に戻った美紀ちゃんやきよら、理梨花たちレギュラーメンバーをはじめ、佳歩や未侑らAngeのメンバーにも「おめでとう!」と祝福された。周りのファンにも同じように「おめでとう」「よかったね」と言われ、ハイタッチもたくさんした。もちろん、自分が萌景推しだと認識してくれているからこその言葉。オレじゃないのに…と思いつつ、とてもうれしかった。「これからも萌景をよろしくね」。家族やメンバーでもないのに、みんなにお願いして回った。
同じ萌景推しのファンといっしょに花をプレゼントした。萌景の好きなピンク色の花を基調としたアレンジメント。うれしそうな表情で受け取ってくれた。ジャスト11カ月でつかんだレギュラーの座。悩んで、悩んで、苦労をしたから、いまは解放感でいっぱいだろうね。でも、ゴールじゃない。ここからが本当のスタート。正規メンバーに上がれば、いままで以上の責任が出てくる。もちろん、そんなことは萌景が一番分かっているかな。
撮った写真を見ながら、発表の時間を思い返していたら、ようやく涙が出てきた…。ボロボロに泣く萌景、うれしそうに笑う萌景、楽しそうに踊る萌景…。たくさんの萌景を見ていたら、自然と涙腺が緩んでくる…。初めて萌景を見たフジグラン松山で、プレゼントした髪飾りをつけてくれていた舞台という最高のめぐりあわせ。一途に萌景を応援してきてよかった。そう、素直に思える時間だった。これまでも、そして、これからもずっと、ずっと萌景推し。彼女がカベにぶつかった時、そっと支えてあげられるようなファンになりたいという思いは変わらない。
萌景、本当に、本当におめでとう!!!!!!!!!!
11カ月でやってきたハッピー・ハッピー・サプライズ!!!!!(上)
2016・6・12~愛媛・松山市~
吹き抜けの館内に、自分の名前が大きく響き渡った。待ちに待った瞬間。感極まり、その場に座り込んでしまった。両の手のひらで顔を覆い、おえつを漏らす。涙が止まらない…。フジグラン松山であった地産地消フェアのライブ2部。萌景の7月1日からの正規メンバー昇格が発表された。昨年7月12日に愛の葉ガールズに加入してから、ちょうど丸11カ月。予期せぬ、うれしい、うれしいサプライズだ!!!!
3曲を歌い終わった後、山下マネジャーがステージへ。SACKYの「しょこら」としてのソロ活動や、愛ちゃんの研修生グループ・Angeのリーダー就任があらためて報告された。そして、美紀ちゃんのレギュラーグループ・Leafの新リーダー、未唯の副リーダーへの抜てき、そして、きよらの統括リーダー就任が発表された。先輩たちの話を、萌景は静かに聞いていた。
もちろん、発表がそれだけで終わるはずがない。山下マネジャーの話は研修生からレギュラーへの昇格の話題に移った。「このたび、1年間の研修活動を頑張って、晴れてレギュラーメンバーに昇格するメンバーがいます!」。集まったファンの間から「誰だ、誰だ?」の声が漏れる。もちろん、対象者は愛美ちゃんと萌景の2人しかいない。
まったく頭になかったんだろうな。ほんの少し、笑顔になった萌景は両の手のひらを胸にあてる。「ここフジグラン松山さんで発表します。そのメンバーは!」。山下マネジャーの声を聞き、隣にいた新リーダー・美紀ちゃんが萌景のほうを向いて、手を合わせた。同じように、萌景も目をつむって、祈りのポーズになった。
「誰、誰?」。ほかのメンバーもそわそわしながら、うれしそうに待ち構えている。じらす山下マネジャーに、SACKYたちが「そんなの要らん。早く、早く!」とツッコミを入れる。待ちきれない萌景は手を合わせつつ、同マネジャーを見ながら、その瞬間を待った。
「愛の葉ガールズ、大本萌景さんです!」。やった!!その瞬間、神妙のおもむきだった表情が一転、笑顔になった。
その場に座り込んで、喜びをかみしめる。未唯や美紀ちゃんたちが笑いながら「おめでと~う!」と祝福の言葉をかける。きよらが近づいて、そっと抱きしめる。ステージ下から、佳歩や未侑ら同じAngeのメンバーも駆けつけた。
「萌景、おめでとう!」「やったね!」。たくさんの祝福の言葉が飛び交うなか、萌景がそっと手のひらを顔からはずした。その表情は涙、涙でボロボロだった。
横にいたきよらを見つめ、泣きながら笑った。Angeたちの笑顔の輪に囲まれ、さらに笑顔になる。「泣いてる~」。指を差しながら笑うきよらの声が聞こえそうだった。
とめどなく、涙があふれ出る。立ち上がった萌景の右目から、大粒のしずくが流れた。もう、顔はグシャグシャになっちゃったけど、そんなの関係ないよね。うれしくて、うれしくて、たまらないんだから…。
ひたすらに泣き続ける後輩を、きよらがやさしい表情で見つめていた。「おそ松さん」などのアニメ好きで、ゲーム好き。趣味が共通していることもあり、よくいっしょに行動している。妹のような、かわいい14歳に、お姉さんはそっと寄り添っていた。
きよらにマイクを渡されて中央へ促されると、待っていた未唯に「おめでとう!」と頭をポンポンされた。萌景にとって、未唯は加入当時からの指導役。礼儀やルールなど、農業アイドルとしてのさまざまなことを教わってきた。
時に厳しく、時にやさしく。そんな先輩と抱き合うと、止まっていたはずの涙がまた、あふれ出した。満面の笑みの未唯、そして涙顔の萌景。とてもほほえましい光景だった。
莉緒がちょっぴりいたずらっぽい表情で泣き続ける萌景を見つめている。同じ中学3年生だが、莉緒は先輩として、未唯と同じように指導してきた。同時に、よきライバル。2人にしか分からない空間があるんだろうなあ。
そして、ファンへのあいさつ。「私がレギュラーに上がれたのも、すべてはみなさまのおかげです。みなさまが応援してくれたり、悲しい時には励ましてくれたりしたので、いまの自分があると思います。これからもよろしくお願いします。ありがとうございました!」。泣きはらした顔で、思いを言葉にのせると、万雷の拍手を受けた。
レギュラー昇格の認定証はSACKYから手渡された。おそらく、萌景にとっては厳しい先輩。Angeの監督として指導も受けてきた。代読する先輩の言葉をしっかりと聞き、笑顔で認定証を受け取った。めっちゃうれしそうだ。
そして、フジグラン松山の下石課長から、花束が贈呈された。これまでの通例だと、こういった昇格発表などは愛の葉主催のイベントでのみされてきた。だから、まさかこの日に発表されるとは予想もしなかった。粋な計らいで、うれしいサプライズ劇が演出されたんだね。
たくさんの涙を流した後は笑うだけだ。みんなから、たくさんの祝福を受けた萌景は認定証をファンに見せながら、最高のスマイルを浮かべた。歯をむき出しにした、クシャクシャの笑顔。喜びで胸いっぱいって感じだね。やっぱり、萌景はこうでなくっちゃ。
突然、訪れた大好きな萌景の大事な記念日。1部のライブでは髪を下ろしていたが、2部では以前、プレゼントしたアイスクリームの髪飾りをつけてくれていた。何度か着けてくれていたけど、ライブで着けてくれたのは初めてだ。それも昇格発表の日なんだから、これ以上ない最高のめぐりあわせ。一番の萌景推しとして、めっちゃ、めっちゃ、うれしい時間になった。
(続く)











































