11カ月でやってきたハッピー・ハッピー・サプライズ!!!!!(下) | フーテンの横チン

11カ月でやってきたハッピー・ハッピー・サプライズ!!!!!(下)


2016・6・12~愛媛・松山市~
 実はなんとなく、萌景の昇格発表があるんじゃないか?という予感はあった。うれしい、うれしい発表の後、ライブ再開。「アグリズム」だ。ほかのメンバーがそれぞれの立ち位置に散らばるなか、新リーダーの美紀ちゃんと萌景はセンターの位置に立ったままだった。認定証と花束を持ったまま、いっしょに歌った。ホントに楽しそうに歌う2人のほほえましい光景を見ながら、3日前に美紀ちゃんから聞いた言葉を思い出していた。

 平日の9日の夕方、時間があったので、イベントを訪れた。愛ちゃんといっしょに物販応援や司会をしている美紀ちゃんと話している時「日曜のライブは来るやろ?」と聞いてきた。どうやろ。なんで?「横チン得のライブだから!」。そうなん?もちろん、日曜日のイベントには来るつもりだったけど、詳細はあえて聞かなかった。帰宅後、ずっと考えていた。パッと思いつくのは萌景の昇格話。だけど、これまでの通例では、愛の葉主催のイベント以外、つまり「よその庭」での発表はほぼない。

 だとすれば、新衣装か??いろいろと考えたけど、結局は分からずじまい。実際、1部のライブでは2部と同じ黒Tシャツとパニエだった。違うんか…。やっぱり、昇格発表やろか…。ライブ終了後、美紀ちゃんに聞いてみた。木曜にオレ得のライブだって言うたやん。あれ、何やったん?「そんなこと言ったっけ?」。言った、言った。「覚えてな~い」。うまくはぐらかされたが、中身はもちろん、萌景の昇格発表だったというわけだ。2部のライブ後、美紀ちゃんに「ウソ、うまいね♪」と声をかけると、いつもの得意顔。そして「おめでとう」と言われた。分かっていたら、こんなにうれしいサプライズにはならなかった。美紀ちゃん、ありがとね。

 萌景のレギュラー昇格。そんな思いが頭の片隅にあった。だから、発表された時は不思議と冷静で、涙が出なかった…。一方、左隣でいっしょに写真を撮っていた同じ萌景推しの女性ファンが号泣していた。なんだろうな…。新聞記者1年目の時、高校野球の取材で、あるチームがサヨナラ暴投で敗戦。ベンチ裏でむせび泣く球児を見て、もらい泣きしてしまった。それを見ていた先輩に「感情移入したらアカン!」と怒られた。以来、うれしい現場でも泣いたことがない。いや、泣けなくなった…。もちろん、この日もめっちゃうれしかったんだよ。「アグリズム」を泣きながら歌った後、レンズ越しに目が合った萌景を見ながら、胸はグングン熱くなっていたんだから…。

 アンコール。きよらと未唯の間で「えやろの歌」を歌う萌景を見ながら思った。ホントに成長したなってね。萌景に初めて会ったのは昨年8月6日の「夕涼み会」。この日と同じフジグラン松山だった。愛の葉の物販ブースに、見たことのない女の子が浴衣姿で立っていた。近づいてみると「こんばんは!」と満面の笑み。名前、何て言うの?「ほのかって言います」。どんな字を書くの?「萌え~の萌に景色の景で萌景と書きます」。へえ、珍しい名前だね。
 強烈なインパクトがあった。あとでほかのファンに、中学2年の13歳と聞いて、さらにぶったまげた。どう見ても、そんな年には見えなかったから。もちろん、いい意味で。しっかりと目を見て話すし、どんなファンに対しても物怖じせずに受け答えするのを目の当たりにしていたからだ。それに7月に入ったばかりという。普通の13歳なら、こんな応対は絶対にできない。

 それまでも愛の葉のイベントには時々来ていたが、推しはいなかった。「推しはつくらない」という個人的理由があったからだけど、以降は萌景のことが頭から離れなくなった。同月9日の松山まつりで、愛の葉eggすの新衣装を着て初ステージに立つ萌景を見て、年甲斐もなく「ホレてしまった」。正直に言うと、萌景は好みのタイプではない。でも、13歳とは思えない大人っぽさと度胸の良さ、そしてかわいらしさの両面を持ち合わせ、そして何よりも、どんなに小さなことでも「ありがとうございます」と言ってくるところに好感を持った。10月10日、フジグラン今治で本人に「萌景推し」を宣言。以降、ずっと萌景だけを見てきた。

 自分でも、ほかにはいない「異質なファン」だと自覚している。ダメな部分や悪い面を見ると、年上だろうが年下だろうが、我慢できず、どうしても指摘をしてしまう性格。要は「世渡りがヘタ」なのだ。ああだこうだと、萌景にもいろいろと口うるさく言ってきた。普通なら、自分の好きなメンバーに気に入られようと、ホメたりするものだけど、自分はめったにそんなことを言わない。時には度が過ぎて、何度か萌景を傷つけてしまった。そのたびに反省する日々…。でも、誰よりも萌景のことが大好きだし、誰よりも萌景のことを応援してきたつもりだ。

 推しだから、というえこひいきなしに見ても、萌景は誰よりも頑張っている。ダンスしかり、ゆるキャラショーしかり、MCしかり。日を追うごとに上達してきた。でも、一番目を引くのは販売応援。誰よりも大きな声を出しているし、その場で考えたとは思えない商品説明で、たくさんのお客さんに応対している。それに、誰にもマネのできない笑顔は最大の武器だ。
 地産地消でブースを出している、ある店の人が言っていた。「萌景ちゃんは本当によくやってくれている。上の子たち(レギュラーメンバー)は安定しているけど、萌景ちゃんたち研修生にはがむしゃらさがある。そこがいいんだよね。彼女がいるだけで、その場が明るくなるし、笑顔を見るだけで元気になれる」。その言葉にまったく異論はなかった。だって、自分も萌景の笑顔がエネルギー源だから。自分のことのようにうれしかったのを覚えている。

 ホントに、ホントに頑張り屋さんだ。あるテレビ収録の時のこと。萌景は数日前から体調不良で苦しんでいたという。でも「みなさんに迷惑をかけたくない」という強い思いから、自分の体調不良のことを隠して出演していたという。後日、あるスタッフは「萌景は根性がある」とホメていた。誰よりもハングリー精神が旺盛。一日も早く、レギュラーに昇格したい―。そんな思いは直接聞かなくとも、萌景を見ていればひしひしと伝わってきた。
 でも、その気持ちとは裏腹に、思いはなかなか実現しない。2月27日の定期公演ではレギュラー昇格試験の発表があったが、結果は残念ながら不合格…。ずっと悩める日々が続いたんだろうなあ。研修生グループのAngeのお披露目発表などでは、いつものイベントのような笑顔の萌景はいなかった。とても正直な子。気持ちがすぐに顔に出る。自分が、この場にいることが悔しくてたまらないんだろうなって思った。

 5月のある日のイベントの時、萌景は佐々木社長に「6月中にレギュラーに上がります!」と宣言したという。自分自身でプレッシャーをかけ、自らを追い込んだ形だ。自分はある諸事情で何度か行けなかったんだけど、追い込んでからの萌景の頑張りは目を見張るものがあったと、いろんな人から聞いた。悩んでいる場合じゃない。現場で結果を出すしかない。そんな必死の思いで取り組んでいたんだろうね。そして、本当に実現させた。すごい!の言葉しかない。
 終わってみれば、約1時間の長丁場のライブとなった。でも、本当にうれしい時間だったから、長いなんて思わなかった。ライブ終了後、萌景がステージから降りて、ファンの前に出てきた。たくさんのファンから「おめでとう」と祝福を受けていた。もちろん、自分も声をかけた。萌景、本当におめでとう!「ありがとう!」。これからも変わりなく、ずっと萌景推しだからね。頑張れ!そう言うと、萌景は笑顔でうなずいていた。長い言葉は要らない。うれしそうな表情を見ただけで十分だった。

 ライブ後、販売応援に戻った美紀ちゃんやきよら、理梨花たちレギュラーメンバーをはじめ、佳歩や未侑らAngeのメンバーにも「おめでとう!」と祝福された。周りのファンにも同じように「おめでとう」「よかったね」と言われ、ハイタッチもたくさんした。もちろん、自分が萌景推しだと認識してくれているからこその言葉。オレじゃないのに…と思いつつ、とてもうれしかった。「これからも萌景をよろしくね」。家族やメンバーでもないのに、みんなにお願いして回った。
 同じ萌景推しのファンといっしょに花をプレゼントした。萌景の好きなピンク色の花を基調としたアレンジメント。うれしそうな表情で受け取ってくれた。ジャスト11カ月でつかんだレギュラーの座。悩んで、悩んで、苦労をしたから、いまは解放感でいっぱいだろうね。でも、ゴールじゃない。ここからが本当のスタート。正規メンバーに上がれば、いままで以上の責任が出てくる。もちろん、そんなことは萌景が一番分かっているかな。

 撮った写真を見ながら、発表の時間を思い返していたら、ようやく涙が出てきた…。ボロボロに泣く萌景、うれしそうに笑う萌景、楽しそうに踊る萌景…。たくさんの萌景を見ていたら、自然と涙腺が緩んでくる…。初めて萌景を見たフジグラン松山で、プレゼントした髪飾りをつけてくれていた舞台という最高のめぐりあわせ。一途に萌景を応援してきてよかった。そう、素直に思える時間だった。これまでも、そして、これからもずっと、ずっと萌景推し。彼女がカベにぶつかった時、そっと支えてあげられるようなファンになりたいという思いは変わらない。

萌景、本当に、本当におめでとう!!!!!!!!!!