栗原小巻。前田愛:文学の街 名作の舞台を歩く | mizusumashi-tei みずすまし亭通信

映画 忍ぶ川(1972)栗原小巻

 

知人から前田愛『文学の街—名作の舞台を歩く(1991)小学館ライブラリー』をいただき、これは『幻景の街—文学の都市を歩く(1986)小学館』の続編だろうと、さっそく読んでみたところ「なんとなく既読感があるなぁ」ということで、二つの本を比べたところ同じ内容で、文庫化の折に書名を変更したのだ。

 

本作品は都市空間から文学を読み解くもので、名作の舞台となった都市を実際に歩きながら、当時の都市を復元していくという画期的なエッセーである。この本が書かれた1980〜84年ころといえば、赤瀬川原平らが路上観察学を始めたころで、そこには微妙な呼応関係があるのかもしれない。

 

前田愛:文学の街(1991)小学館ライブラリー

    幻景の街(1986)小学館      

 

本作には大佛次郎『幻燈』国木田独歩『武蔵野』夏目漱石『三四郎』など16編を収めいずれも興味深い内容なのだが、三浦哲郎『忍ぶ川』では、深川・駒込を歩きながら、文字通り歩くリズムで主人公の哲郎と志乃の(宿命ともいうべき)恋のゆくえが、当時の街を再構築しながら語られる。

 

情報誌 myskip(2015.02)コラム

 

熊井啓監督による映画『忍ぶ川(1972)』については以前にも書いた。当時映画界の二大アイドルで人気は絶大で、栗原小巻と吉永小百合のそれぞれのファンはコマキスト&サユリストと呼ばれ、私めのコマキスト愛は現在も減じることはありませぬ。詳しくは、以前掲載したコラムを再掲載します。画像が小さく読めるといいのですがね。

 

哲郎との最初のデートのシーンから