mizusumashi-tei みずすまし亭通信

秋の木の実:ノイバラ・ムベ・ノブドウ

 

事務所近くの古書店で、木下杢太郎『新編百花譜百選(2007)岩波文庫』をみつけた。カラー印刷された100枚の植物画が掲載されている。以前、同社から出版された大型本の『百花譜百選』を持っていたが、大判すぎ気軽に書見できないことから知人に譲ってしまった。杉浦非水の『非水百花譜』と並び称されている。

 

木下杢太郎:新編 百花譜百選(2007)岩波文庫

 

戦時中の1943年ころから終戦まで、約2年間に描かれた千枚ほどもの植物画から100枚を選んでいる。一枚ものの罫線の入った用紙に描かれ、日付、植物名とともに、時に日常のつれづれなども書き込まれている。

 

 

食糧難から野草などを食べた記録なども書き込まれていて「夜ぎぼし、つぼすみれ、雪の下、牛蒡の天ぷら、女菀じょおんの煮付けを食ふ(4.19 S20)」など、食草にたる野草の選別をしていた風がある。終戦近くになると胃の痛みを訴えるようになり、終戦を迎えた昭和20年の秋に亡くなった。

 

新村出:ちぎれ雲(1942)甲鳥書林

 

杢太郞は装釘家としても知られていて、植物を意匠した美しい造本を幾冊も残している。新村出『ちぎれ雲』は木版装によるもので、あまりの見事さに、書店で見かけるたびに幾冊も買い込んでしまった。後に、欲しいという人にあげたりしていたが、今でも2冊手元に残っている。