菅原伝授手習鑑 八代目 市川中車(1896-1971)
年初に中村真一郎『古韻余響』を拾い読みをしたのを機に、にわかに菅原道真が気にかかって仕方がない。特に『菅家文草・菅家後集』が欲しくて、以来探していたのだが(私にしては)高額本で手をだしかねていた。ところ、ようやく予算内で入手することができ昨日到着した。
菅原道真は従二位・右大臣、贈正一位・太政大臣。忠臣の誉れ高く、宇多天皇に重用されて寛平の治を支え、醍醐朝では右大臣にまで上り詰めるが、左大臣・藤原時平の讒言により大宰府へ大宰員外帥として左遷される。
歌舞伎『菅原伝授手習鑑』のように、わたしたちは苦渋に満ちた道真のイメージしかないが、『菅家文草』の道真は、まるで「光る君へ」のごとく栄耀栄華を極めた華やかな漢詩が並んでいて、まるでグレート・ギャツビーな日々を彷彿させる。
季節も時雨れてきたので、若き道真の華やかなりし満腔の日々を反芻してみたい。陽と陰、光と翳。キアロスクーロな人生を訊ねて見たい。
川口久雄校注:菅家文草・菅家後集(1966)岩波書店
川口久雄・若林力:詩句総索引(1978) 明治書院
『菅家文草・菅家後集』は岩波書店『詩句総索引』は明治書院からの出版なので「利用できないのかな」と思ったが、きちんと対照できる『詩句総索引』は、うっかり間違って買ってしまったもので、これはうれしい。文庫版『菅原定家全歌集』の藤原定家は庶流ながら道真の五代後の系譜です。
保田淳 校訂・訳『菅原定家全歌集(2017)ちくま学芸文庫』上下巻は、自作カヴァ。イラストは八代目 市川中車を。



