伏尾美紀『百年の時効(2025)幻冬社』は、昭和49年に起きた凄惨な「佃島一家四人殺傷事件」から、昭和25年「函館一家惨殺事件」へとさかのぼる。後に、犯人の一人は逮捕されるが共犯者は不明のまま。時効が迫るなか、起訴された犯人が公訴中に病で倒れたため(昭和49年当時、殺人事件の時効は15年ながら)裁判期間中(裁判が未決の間)の時効は停止される。
この事件を託された刑事が次々と定年を迎えるなかで、リレーするごとく次の刑事に託され、薄れゆく痕跡を辿りながら犯人を追い詰めていく。ついには、戦前の満州事変のころに事件の端緒があることを探りあてるのだが。といった、ずいぶん気息の長いお話の500ページを超える大作です。
伏尾美紀:百年の時効(2025)幻冬社
伏尾美紀さんは本作で、大藪春彦賞、吉川英治文学新人賞を受賞されました。出版当時話題になり図書館に予約を入れたのですが(順番待ちが200番代だったかで)一年後に順番がきて。
なんとなく、三代にわたる警察署長が事件を解決するスチュアート・ウッズの『警察署長』みたいだが、高村薫『照柿』『マークスの山』の主人公、警視庁捜査一課刑事・合田雄一郎シリーズを連想する。『百年の時効』が昭和の事件のせいもあるのかな、昭和的古典ミステリの匂いが濃厚ですね。
昭和な屋並み
刑事三代にわたる『百年の時効』ということで登場人物が多く、動機もひねってあり、かつ「三億円強奪事件(1968)」「三菱重工ビル爆破事件(1974)」「オウム地下鉄サリン事件(1995)」などの事件史を盛り込むなど重厚(すぎる)内容でもう少し整理されてもよかったかな。という印象ですかね。
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