太田三郎:草花絵物語。伊豆志袁登売 | mizusumashi-tei みずすまし亭通信

 

古書整理をしていたら太田三郎の『草花絵物語(明治44年)精美堂』がみつかって。東西の花にまつわる古いお話を集めたもので「だからどーした」みたいな一冊なのだが、太田三郎は自著を自分の絵画で飾りたいという思いが強いようで、同様本がいく冊もあって微笑ましい。

 

金井典美:古典の中の植物(1983)北隆館 自装本

太田三郎の『草花絵物語(明治44年)精美堂

 

太田三郎の挿画から「なにごとか」とふりむく万葉時代の絶世の美女・伊豆志袁登売(いずしおとめ)を描いた美しい石版印刷で『草花絵物語』屈指の作品。テーマが同じ金井典美『古典の中の植物』の装釘がいまいちだったので、太田の挿絵を借りて以前自製したカバーでこちらも気にいっています。

 

枯枝に枯葉、木の実を盛って

 

さまざまな枯れた草、小枝、木の実などを盛っていくうちに大きな鉢がいっぱいになる。底にはローリエの葉を敷き詰め、時おり引きだしては手のひらで揉んで心気を新たにしたり、なにかと暇つぶしの役にたってくれる。なかにはワインのコルクや麻ひもを丸けたものやら、なんでもありの盛り合わせ。

 

 

おおき鉢枯れ枝枯れ葉に木の実を盛って奉る 春芽吹くころ