sketchbook.082 Les Misérables(2012)
トム・フーバー監督による人気ミュージカルの映画化で、珍しく映画館まででかけたのを覚えているが、もう5年も前のことなのか。マリユスを慕うエポニーヌを描きながら元画像を見てみると、彼女の爪の中にまで泥が詰まって黒くなっている。海外映画のリアリズムは徹底している。
マリユス・ポンメルシー (Marius Pontmercy)
ファンティーヌ (Fantine):右
この原作をわが国に紹介したのは明治時代の黒岩涙香で「噫無情」のタイトルは彼が名づけた。全訳版を読んだのは中学校のころ、坪井一・宮治弘之訳 の集英社版のお世話になった。ネットでは豊島与志雄訳のデジタル版がアップされているので先日ダウンロード。暇をみて読み返してみたい。
月刊 myskip(2013.02)掲載記事より
東京日日新聞社:大日本繁昌記(1928)春秋社
表紙・裏表紙 自装カバー
1923年(大正12年)関東大震災後の東京を有名作家&画家がペアでリポートした「下町編」で姉妹編に「山手編」も出版された。芥川龍之介(小穴隆一)、泉鏡花(鏑木清方)、北原白秋(山本鼎)、吉井勇(木村荘八)、久保田万太郎(小村雪岱)、田山花袋(堀進一)、岸田劉生(スケッチも自身)という超豪華メンバーで話題になった。もちろん現代でも再版され手に入る。
本も育つというか、100年ほども前の本というのは何ともいえないものがある。まぁここまでボロボロだと蒐集価値は無きに等しいが、こうした上手に古りた本はそれなりに珍重すべきものがある。私は嫌いではない。新装カバーはちょっとしゃらくさい気がするが、これ以上傷みが進まないように、日本橋の手彩色葉書の画像を使って作った。