文語俳句集「屏風」

文語体・歴史的仮名遣い・古典的切れ字を基本にして詠んだ俳句作品集です

冬の作品をあつめました

や、かな、けりの切れ字を活かしきることを重視して詠んでいます

伝統的な詠み方として、文語体・歴史的仮名遣いを使用しているため一定の古さ、読みづらさがあります

読者のみなさまにはご負担をおかけしますが、ご興味がありましたらご覧になってみてください

*作品はすべて既発表句です
*文語・口語の図を記事末に記しています



「屏風」
文語体俳句

松ばやし立ちあらはるる屏風かな

鬼がはらせり出す屋根や今朝の霜

のぞく池鶴をうつしてしづかなり

撫でつけてありし辛子やおでん皿

掃くおとやけむるばかりの落葉焚

浮寝鳥かるくしづんでゐたりけり

こころにもおもたき雪や松のえだ

池の面をゆらさず鶴のあゆみけり

丹頂鶴舞ひあがるかに立ちにけり

ゆたかとはたとへば小春日和かな

結ぶほど見えてうれしやふゆの星 

あかつきの大仏凍ててゐたりけり

玉子焼きくるりと巻くや今朝の冬

初雪やこころひらけばこころへと

かげのまづうごくやまどの枯蟷螂

まぼろしのちちはは達と小春かな

たひ焼きの手に熱々と跳ねにけり

くだら野や日差に光るにはたづみ

そのしたのつちをにぎりぬ枯芭蕉

夜神楽の火にかぶさるやほしの空

里神楽すずのおとのみあたらしき

たふとくも万両は実を垂れにけり

どぢやう鍋葱もて地獄かくしけり

こんこんとみづわきやまず枯木山

凍蝶になはばりもなくやすみけり

着膨れてうごきなき河みてゐたり

雪催ひまづひとひらを待ちにけり

綿虫や伸べてさびしきたなごころ

白鳥やねむるすがたもうつくしき

落葉松に幾千代もゆきふりにけり

火のなかに火のくづるるや落葉焚

玉子雑炊幸のいろしてをりにけり

舞ふはなのごとくにゆきや弥勒仏

手のじゆうじさいなる藁仕事かな

ことごとくそよがぬ草や大地凍つ

ひとすくひするたび湯気や葱雑炊

寒ゆふやけまづ交番をそめにけり

しめなはのたき神聖に凍ててあり

のぞくたびのぞきかへしぬ冬の池

狐火のうはさのこしてきえにけり

冬雲雀野のそらひくくなりしかな

じんせいにさめてをりけり玉子酒

浮かぶ顔あかるくもなし聖樹の灯

年すでに痩せてをりけり古ごよみ

まうまうとほこりし寺や煤はらひ

注連飾る紙垂の吹れてをりにけり

立つほとけ坐すほとけあり冬灯し

いち族のむかし火鉢のむかしかな

神棚のかがよふすすをはらひけり

破魔矢づくり一万本やとしのくれ


以上
作品発表順



▽俳句の読みくらべ▽
文語体・口語体・しゃべり言葉



◇文語・口語の大まかな図

下記は、俳句に
おける文語・口語の大まかな図です

◇文語=文語体=古典語=古い時代の文体

◇口語=口語体=現代語=書き言葉
                                    ∟==話し言葉

◇仮名づかい    歴史的仮名遣い    現代仮名遣い




いつも
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ありがとうございます



*作品は主にXに投稿したものです

*解説について至らない点、充分に書き尽くせていない部分もあると思いますがご容赦ください

*俳句については個人、団体によって様々な考え方や見解があります



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