俳句にご興味のあるアメブロのみなさまに、俳句の様々なことについてご紹介をしていく記事です



口語俳句の作り方

〜その基礎基本・解説〜


口語俳句の解説です。

できるだけ簡潔にわかりやすく記しました。


まずはじめに、口語俳句の「口語」とはなにかという疑問をもたれる方は多いと思います。


下記は俳句における

文語・口語の大まかな図です。


◇文語俳句ー文語体ー古典語ー古い時代の文体


◇口語俳句ー口語体ー現代語ー書き言葉

                                            ∟ーー話し言葉


◇仮名づかい    歴史的仮名遣い    現代仮名遣い



口語俳句の口語とは口語体、主に「現代の言葉遣いで書かれる文体」のことをさすそうです。


また現代語は、現代の「書き言葉」表現のほかに「話し言葉」表現もふくむようです。


仮名遣いは「現代仮名遣い」を使うのが一般的です。


より詳しく細かいことについては、書籍やネット等で調べてみてください。




次に、現代の言葉でどう俳句をつくるのかを見ていきます。


俳句をつくるためにはその基礎として、


「575の型」「季語」「切れ字」


の三つがそろうことが必要です。


575の型、季語はこれまで俳句で使われていたものをほぼそのまま引き継げます。


ただ切れ字については、「や、かな、けり」などあきらかに古典語の切れ字についてそのまま引き継ぐことはむずかしそうです。 


ですので現代的な切れ字の候補をあらたに探る必要があります。


下記は口語俳句で使う
現代的な切れ字の候補です。


「現代切れ字 十八字(推奨)」
よ・か・ぞ・と・に・へ・せ・で・まで
ず・れ・け・た・が・て・は・な・こそ




上記の切れ字の候補を使うことで口語俳句では、


現代語・現代仮名遣い・現代的切れ字


の言葉を基本にして俳句をつくることができるようになります。


ちなみに文語俳句の場合はどうかというと、


古典語・歴史的仮名遣い・古典的切れ字


の言葉を基本にして俳句をつくります。


それぞれ基本にする言葉が違うだけで、「575の型」「季語」「切れ字」の俳句の基礎はほぼ同じです。



また口語俳句ではもう一つのつくり方として、現代の「話し言葉」表現そのものを使う方法もあるようです。


「575の型」「季語」


さらに「切れ」までを活かして、ふだん話すような言葉でよりかろやかに作品をつくることができます。



文語・口語俳句の主な特徴と参考句です。


◯書き言葉系の俳句


◇文語俳句

(古典的な言葉が基本の俳句)


・古い時代の文体を基本にして詠む

・古典語を基本使用

・伝統的な切れ字    や・かな・けり 等

・575の定型・季語を活用

・歴史的仮名づかい


流星やひと夜ふた夜とうつくしき


秋の鷹かぜにのりてはやすみけり


葉がくれのはなでありけり鳳仙花


千々にとぶ一かたまりの帰燕かな


ふとそらにみちびかるるや望の月



◇口語俳句

(現代的な言葉が基本の俳句)


・現代語の文体を基本にして詠む

・現代語を基本使用

・現代的な切れ字    よ・か・ぞ 等(要検証)

・575の定型・季語を活用

・現代仮名づかい


白鳥よ日の揺れうつるみずのうえ


雪嶺がそらにうかんでいることよ


舞い舞ってときをこえるか里神楽


弾き初めようえへしたへと琴の爪


凍て鶴に星がまたたきはじめたか



◯話し言葉系の俳句


◇口語俳句

(現代の話し言葉そのものが基本の俳句)


・現代の話し言葉そのものを基本に詠む

・現代語を基本使用

・切れの語尾    ね・さ・です 等(要検証)

・575の定型・季語を活用

・現代仮名づかい


来る傘はあなたでしたか春しぐれ


五重の塔鳩もすずめものどかです


また来いよそらいちめんを帰る雁


売れのこる新聞クリスマスですね


はつゆきに手とどきますか車椅子



例外もあると思いますが主にこうした特徴が挙げられそうです。



次に、口語俳句では、


記号、句読点、カタカナ

外国文字、アラビア数字、分ち書き


なども活かして作品をつくることができるようです。


それらを使うことによって口語俳句の作品の表現の幅はひろがりそうです。


必要な場合にのみ使うことでその威力はさらに増すと思います。


下記は参考句です。


▽記号

旗たててニ文字はためく〖 椿餅 〗


▽句読点
スキーヤー銀嶺の風、風、風、風


▽カタカナ
ジャムナイフパンに撫でつけ春暁


▽外国文字
BARという文字灯りによ春の雪


▽アラビア数字
はば跳びよ8メートルのさきに春


▽分ち書き
初しののめ  初明り  いま初日の出




次に、俳句は「俳句理念」という基本方針に基づいてつくられることが多いです。


どのような「考え方、美意識、心の境地」を基本にするのかということです。


はじめはむずかしく感じられるため、歴史上有名な「写生」「花鳥諷詠」などをご活用されると、


しだいに俳句理念や、それに基づいた作品のつくり方が掴めるのではないかと思います。





次に、口語俳句は現代の言葉を基本にしているため文語俳句にくらべて言葉の問題でつまづくことは少ないのではないかと思います。


ふだん書いたり話したりする言葉で、内容や表現の工夫に集中して作品をつくることができます。


大まかな部分はすでに記しましたので、細かい部分についてはご自身で実際に作品をつくりながらご体験してみてください。


それがより楽しい口語俳句のつくり方、取り組み方の一つではないかと思います。



下記は、

口語俳句の参考作品集です。









下記は、

一般公開されているネット歳時記です。


◯きごさい歳時記(季語と歳時記の会)




次に、作品をつくったらそれを読者の方々に読んでもらえます。


口語俳句は一般読者の方々にも作品の内容が伝わりやすく、より楽しんでもらえます。


ブログやSNS、俳句投稿サイトなどに投稿して社会にむけた外向きの活動を行うこともできます。



ただ口語俳句の作品を、各俳句大会、各俳句賞、各俳句投稿欄などにご投句される場合は大きなチャレンジになることが多そうです。


現状では、


・文語俳句が圧倒的に支持されていること


・口語俳句を主としてつくっている俳句選者、俳句指導者の方はまだ少数なこと


などもご考慮の上、行ってみてください。



ここまで口語俳句の基礎基本、つくり方について簡単に見てきました。


口語俳句でも俳句の基礎である「575の型」「季語」「切れ字」をはじめ、


格調、切れ、間、機知、余情、深み、重厚さなどを大きく失うことなく詠んでいくことは可能です。


またつくり方の「基本」が定まることで、はじめて「応用」がきくようになるのではないかとも思います。



俳句においても伝統を守り受けついでいくことは重要なことの一つだと思います。


俳句の口語化(現代語化)とは、俳句の基礎・基本など「大事な部分」はしっかりと守り受けつぎながら、今の時代に即さなくなった特に古典語などの「古い部分」だけを「新しいもの」へと動かしていく試みだと個人的には受けとめています。


一部の方々が危惧されているような、むやみに「俳句を破壊する活動」とは本来まったく違うことをご理解いただけるのではないかと思います。



最後に、いま現在口語俳句をつくっている俳人の方は増加傾向にあるようですが大変少ないようです。(2024年10月現在)


人数が少ないということは俳句活動をしていくうえで不利な場面、状況にでくわすことも多いです。


ただ反面、競争相手が少なく、新鮮な作品の数々やその先駆者としての立場に恵まれる可能性があることもまた事実だと思います。


口語俳句にご興味のある方、ご興味をもたれた方がおられましたら、楽しむことからぜひ進めてみてください。




記事

最終の改訂日

2025.11.28




いつも

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ありがとうございます




*個人的な考えや見解をまとめた記事です


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