2024年 夏・秋 の俳句集
Amebaブログ版です

口語体・現代仮名遣い・現代的切れ字を基本にして詠んだ作品を集めました

ふだんの話し言葉・記号・句読点・カタカナ・外国文字・アラビア数字・分かち書き

なども活かして必要最小限使用しています

お時間があるときによろしければご覧になってみてください


下記の文語体や歴史的仮名遣い・古典的切れ字を使っていないこともご確認ください

や・かな・けり・たる・たり・なる・なり・あり・をり・ぬ・べし・にて・らむ・けむ・とや・てふ・ゐて・ゐし・等々

また、口語体で俳句を詠むと俗・稚拙になるのかについても検証など行ってみてください

*作品はすべて既発表句です
*文語・口語の図を記事末に記しています



『月明かり』
〜口語体俳句〜

◇ 夏の部 ◇

文語派も口語派もきくふうりんよ

ひこうき雲夏の行方を見るような

ざわざわと日かげもうごく葉桜よ

ランニング朝焼けの街はずみだす

サーファーが乗った波こそ海走れ

ゆうばえよいまに真向かう海の家

広大よこころのなかもひまわり畑

かたつむり伸び行くさきが新世界

庭という庭かがやかす濡れ紫陽花

集中よパセリをちらすパスタの上

いち族が照らしあうのも手花火よ

コンビニのとなりコンビニ夏の月

伝統よいまの灯ともすなつまつり

舁ききそうおとこらのかず荒神輿

群衆のまつりうちわよひらひらと

紺ゆかたそばにすわって藍ゆかた

せとうちよまつりうちわの波模様

ひとすじよかぜ吹きぬけて風鈴祭

かきつばたかげも花咲く水のうえ

軒下よそらに見つけてつばめの子

いっぴきよときがとまった金魚鉢

じんせいのゆめのなかへと昼寝覚

騒ぐ葉よかつと掘りあて竹の子鍬

田一枚間をうつくしく植えてこそ

いちぼうよ裾をみどりに五月富士

タクシーを黒く拭きあげ梅雨間近

先頭を追う地ひびきのダービーよ

外灯もともにまたたくかみなりか

けさの空うたがいもせず五月晴れ

あじさいよ水たまりごと晴れて空

かたつむりうずまく殻の孤独さよ

山やまよ谷をただようなつがすみ

聞く人をこばむかに山ほととぎす

いまの夜におもいでの夜に蛍とぶ

一切れよ菓子の名まえも濃紫陽花

輪郭をうしなって都市梅雨入りか

さし活けるひとそのものよ花菖蒲

竹林よあしもとにまでみどりさす

背もたれていっぽんの木の大緑陰

この街よすこし見なれて土手の虹

つつまれていつともちがう大夕焼

きえるまで自分見つめて手花火よ

蛍の夜だれもさびしいひとでした

葉ざくらよかげとひざしの珈琲店

アイスティー机に琥珀いろさして

絵はがきの風車とともに夏が来る

揚羽蝶おもいたくされながらとぶ

スマートフォン社会が動く雲の峰

街が持つしずかな意志よソーダ水

革靴のつやあたらしく梅雨明けか

ビルよりもたかくあおいで噴水よ

ひとすじよながれたばねて夏の河

指の先飛べばわかれのてんとう虫

金剛峯寺そらを背後にせみしぐれ

仏塔よ透くまぶしさのせみのこえ

金魚すくい千々の赤また千々の黒

目つむってまたふるさとへ遠い夏

スケッチブック鉛筆木かげ青葉騒

海光よときにきえ入るヨットの帆

瀬戸うちの島、波、月日、大夕焼

ろうじんという少年のむぎぶえよ

こころにもかぜをとおすか衣更え

和歌集の恋にたか鳴るふうりんよ

手つければ小ながれうまれ川は夏

道のおく道あらわれてひまわり畑

ちょうじょうにきらと天守よ青嵐

野良猫のみるみる痩せて路地は夏

むこうにもせかいかがやく噴水よ

風鈴よすごみにまじるかるみの句

一閃よ句を書きとめるせみしぐれ

かき氷かきくずしてはほおばって

レモン水果粒しずかにただよわす

いっしんよこおりかち割る夏料理

黒ビール道後ゆっくり飲み干すか

市内電車まどをななめに西日さす

空高くたたずんでいるベランダよ

いちぞくよかたまって咲く鉄線花

踊子草いちにちかぜに揺れてこそ

ふるさとのあさいにおいよ夏布団

この谷もあおぐ自分もほたるの夜

すずしさよ川のながれをうけて鯉

九人よひとつすがたにボード漕ぐ

背およぎにプールの光さわぎだす

集中よそらにしずまる飛びこみ台

棒高跳びスローモーション夏の空

6階よほかにおとなくせみしぐれ

アイスティー昔話しをかきまわす

マーガレット全力で伸び晴れた空

オリンピック東京のあととおい夏

鎌倉よ鳴る踏みきりもなつのくれ

大夕焼け街とひとつにそめられて

さわぐ葉よこころで見つめ花芭蕉

ふねのかげかもめのかげよ大夕焼

ふんすいもあかあかとして夕広場

みずからをともす空港なつのくれ

なつのほし灯りたくさん帰港して

釣りびとよすわったままで大朝焼

足もとに散る木もれ日よえごの花

アロハシャツ大きな海に大きな背

にぎわってそれとさだまる夏の海

行く雲よ風いっぱいにヨットの帆

灼熱のビーチパラソルたちならぶ

ヨットの帆行くいちめんの茜こそ

半ズボンこれが地球のあるきかた

さびしさはとおのいてゆく遠雷よ

音の中癒やされてゆくシャワー室

歩み出て浜はしずかよせみしぐれ

一灯として浜あるくキャンプの夜

登山隊いっ歩いっ歩のたしかさよ

踏んで行くじぶんのかげよ登山杖

駆け上がれそらひとつある蟻地獄

ふりかぶるひげやわらかよ天牛虫

木もれ日よ消えては見えて揚羽蝶

つつまれてだれも消えゆく大夕焼

風景をうごかしつつよボート漕ぐ

生き死にの蛾をきらめかす外灯よ

とぶいのちゆらめき上る火蛾の夜

星を今見つめなおしてテントの夜

満月を捕らえもせずに蜘蛛の巣よ

消灯よ大地とねむるキャンプの灯





◇ 秋の部 ◇

あさぞらよ季節がかわる赤とんぼ

あさごとにそらとおのいて八月か

うらがえりうらがえるそら桐一葉

コーヒー店外にまで灯よ秋のあめ

飛び立って鳩もどりくるあきの空

もくとうよとどけつづける原爆忌

もくとうのまた合掌のはちがつよ

のぼりざかうしろかぜ吹く立秋か

新幹線おもくはしるかぼんやすみ

われわれにこそある未練門火焚く

ばらばらにつらなる列よ墓まいり

この世によひとつあかるく盆の月

じぶんこそじぶんを知らず盆月夜

つづけざまななえにやえに大花火

いつか又出かけましょうか遠花火

まんてんよいくすじとなく流れ星

うちゅうの間感じながらよ流星群

あおぎ見た夜々がひとすじ天の川

伝統がすすみ行きます阿波おどり

もくとうよそのしずかさの終戦日

人心をしずめつづけてひぐらしよ

つえついてかぜよりしろく秋遍路

じんせいの歩み止めれば赤とんぼ

あきの島きらめく波のこまやかよ

巻貝よしろをひろえばあきのかぜ

すすきみなはるかをさして一本道

すずめきて深くしならす草の穂よ

天と地よまだまだわたるわたり鳥

草出ては大ゆうばえをばったとぶ

まいとしよちいさくあがる島花火

新聞をわかるまで読む夜ながさよ

いえごとの灯にものがたり天の川

わたりどりむかえる高層ビル群が

皿あらうひとすじの水さわやかよ

日の枝よすこししなって小鳥来る

神輿来る風のたかさをあきまつり

おみくじの結び目からよ秋のこえ

手をつけて川のながれのなかよ秋

あかとんぼしんと川瀬の石のうえ

日輪月輪すすきの穂絮映えてとぶ

草のわたひかりの玉となってとぶ

沿いあるくなみうちぎわも秋麗よ

うずもれてまっさおな壜あきの浜

風に乗る時それぞれよくさのわた

いっせいに時間飛ばすか草絮吹く

野良猫のふりむきがおよ露の路地

飛ぶからす羽を上下にあきのくれ

もみじ照る島からしまへ瀬戸大橋

じぶんいま秋ゆうやけか島かげか

まんげつよ大橋のかげうみのうえ

往来船──灯台──港──流れ星

駐車場夜のすみにきくこおろぎよ

ひとすじににごるれきしよ天の川

天の川こころそのものではないか

まいとしよ真あたらしくて望の月

名月よ野わけてはしるかぜのおと

寺のかげうつくしいのも十五夜か

ゆく犬の腹まで濡らす野のつゆが

舞う鳶よともに日あたるつゆの玉

いちまいに静まってより澄む水よ

曼珠沙華みずたまりにも曼珠沙華

そえる手よ田ごと田ごとの稲の花

ふるさとがふるくなるたび柿実れ

てっぺんの実ついに落ちず柿の秋

金閣よきんいくすじもあきのあめ

銀閣をうつすみなもよあきのあめ

剥き終えてすでにしたたる梨の玉

踏みあるくひとすじの間よ竹の春

鯊釣りのぴちぴちぴちと夕暮れか

船行くかあかい夕陽をあきのくれ

ちんもくよこどくかりりと落花生

じんるいとむきあう月の淋しさよ

あまのがわこころの奥で渦巻くか

流星ようちゅうの歴史またたく間

ともに寝る銀河あかりの山やまと

三千世界葉さきにひかるつゆの玉

にじいろよ爪はじくときつゆの玉

わきあがりながれおちては山霧よ

おくにこそ一糸けぶってあきの滝

いのししのあとうり坊も山ゆくか

木のしたよなんなくひろう鬼胡桃

はなすすきたびのゆくえは広大か

いちりんよちいさいながら菊日和

白菊よそばにすわればおおひなた

こぐ舟のなかにかつ散る紅葉こそ

雁の列かたちをもたずゆうぞらよ

啄木鳥のつつき尽くした日暮こそ

白菊よ葉にかげおとすゆうひなた

せいようにとうように鐘秋のくれ

混ざりだすそらよじかんよ秋夕焼

ゆうやみよ色濃くならぶ稲架の列

フライパンカンとたたいて豊の秋

ひとふさよまるいひかりの黒葡萄

馬鈴薯が丸ごといくつシチュー皿

はつこいよ咲きのぼるのは鳳仙花

ジャングルジムを縦横無尽秋の風

ちかく鳴くすがたは見えず鵙の贄

たっぷりと日ざしを含む蘆の穂よ

絮とんで蘆であることわすれるな

秋の蟻地をゆくちりと消えるまで

寺の木よときおり熟柿落ちるおと

せんねんをにせんねんをよ雁の旅

いちまいの秋ぞらとして鳶舞うか

すずめ跳ぶたがいちがいに大刈田

収穫よ葉かげ葉かげのあきなすび

せんそうよつぶらにみのる茨の実

いぬのかげ飼いぬしのかげ秋夕焼

望郷よまた見うしなうあかとんぼ

あかとんぼつんととまるか大夕日

引くたびに波打ちぎわの秋澄むか

鰡跳んで斑のゆらゆらと岸釣りよ

あきのあめついに港の灯をともす

さびしさようずを巻きこむ大台風

灯の列車だんだん霧にとけ入るか

灯のいえよ谷のそこにも虫しぐれ

じんせいの名残の月ということか

あかるさよついにひとりの十三夜

かお上げてのけぞるまでよ天の川

暮れるたび星ともるたび秋惜しむ

異国の灯霧のじだいのふかまるか

草さきよとうめいいろのつゆの玉

ばらばらのすすきの穂さき日の光

さいげつと遊んで風のコスモスよ

河としてまた雲として行くあきか

みずたまりひとりでに澄む秋日和

たいりんにたいりんならぶ菊手入

いちぞくのすえのこどくよ落花生

じぶんに目おもくつむって晩秋か

航跡よよこぎりあってあきのくれ

わくように都市の灯るか秋のくれ

せまりくる夜のしずけさよ残る虫

だまるほどおおきな月を旅に見た

秋惜しむ熱盛りそばをすすっては

まんなかに淵ひとすじよあまの河

くらやみよ少してらして夜学の灯

〜終〜






◇文語・口語の大まかな図

下記は、俳句における
文語・口語の大まかな図です

◇文語=文語体=古典語=古い時代の文体

◇口語=口語体=現代語=書き言葉
                                    ∟==話し言葉

◇仮名づかい    歴史的仮名遣い・現代仮名遣い


◇使用している切れ字について

この作品集では現代的な切れ字の候補を使用しています

「現代切れ字 十八字(推奨)」
よ・か・ぞ・と・に・へ・せ・で・まで
ず・れ・け・た・が・て・は・な・こそ



◇口語俳句のつくり方
〜その基礎基本・解説〜 改訂版

内容をよりあたらしく改訂しました



◇生成AIの活用について

生成AIの活用については、自作作品に対する鑑賞、比較、意見を参考にしています(2024.02〜)

俳句の向上や学習目的のため、また利用過多にならないことを心がけて行っています


いま心にとめているもの
取り組んでいるものを挙げておきます

「表現の新と万象の真」「驚きと感動の詩」

「一新一真」「都市詠の探求」「一句新世界」

「ものごとの花」「沈黙の美」「内的宇宙」

「三物一句」「風情の継承」「平明深遠の詩」



◇使った記号等の意味づけについて

、            文・語の間を一拍置きたい場合

──        文と文のつながりをのこしたまま、
                間(ま)を大きくとりたい場合

アラビア数字    数字をより強調したい場合
                            使用したほうが効果的な場合

カタカナ            外来語など使用したい場合
                            使用したほうが効果的な場合

*個人的に行った意味づけです
*この記事内の作品を楽しむためのものです



いつも
ご覧いただき
ありがとうございます


句集内作品
改訂日
2024年11月02日



*作品はnoteで発表したものです

*解説について、至らない点、充分に書き尽くせていない部分もあると思いますがご容赦ください

*俳句については個人・団体によって様々な考え方や見解があります



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