庶民の悲哀をコミカルに ポン・ジュノ監督デビュー作 | あなたの知らない韓国 ー歴史、文化、旅ー

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 皆さんこんにちは。

 

 

 いかがお過ごしでしょうか。

 

 

 ポン・ジュノ監督が「パラサイトー半地下の家族」でアカデミー賞四冠に輝いてから、さらに韓国映画に対する関心が高まっているような思えます。

 

 

 それで今回は監督のデビュー作である「ほえる犬は噛まない」をご紹介します。

 
 
 
 
 
 

 舞台はソウル市内にある中産層向けの集合住宅。その住宅はペットの飼育が禁止されていますが、ひそかに飼育している住人が多い。そこで飼い犬の連続失踪事件が発生。その事件をめぐる関係者のドタバタをコメディー風に描いた傑作です。

 

 

 「パラサイト」「スノーピアザー」とは趣が違います。しかし共通する視点があると思います。登場人物、特に社会的に見えない、恵まれない存在への共感です。

 

 

 映画の主人公で、マンションの管理組合の事務員の女ヒョンナム(ぺ・ドゥナ)は、商業高校卒。お前の代わりはいくらでもいる、しっかり働けと上司から嫌味を言われる日々。

 

 

 もう一方の主人公、文系オーバードクターの男性ユンジュ(イ・ソンジェ)などは、会社に勤める2歳年上の妻のひも状態で、なかなか正規教員になれず、悩みの多い日々。

 

 

 ペットの犬が失踪した独居老女は、身寄りもなく、犬だけが身内みたいな精神的にも孤独な状態。

 

 

 それにマンションの地下室に住み着き犬を捕らえて食べるホームレス男性など、全然華やかではない存在にも焦点を当て、きっちり描いており、何か暖かく見守るような視線を感じます。

 

 

 コメディー映画の体裁を取りながら、社会の檜舞台から離れた存在を丁寧に描く。「パラサイト」につながる伏線がひそんでいるように思いました。

 

 

 ところでこの映画の原題は何かご存知でしょうか。플란다스의 ”(フランダースの犬)という題名です。犬の失踪に事件が主要事件で、かわいそうな存在という意味で、映画の登場人物も含めた比喩として使われている気がします。

 

 

 しかし日本ではフランダースの犬という題名が想起させるものがあまりに悲惨なので「ほえる犬は噛まない」という題名にされたような気がします。

 

 

 でも非常にコミカルな映画で、笑いながら見られるオススメ映画です。皆さんも機会があればご覧ください。

 

 

 

以下、映画関係ブログのリンクです。

 

ご覧いただければうれしいです、

 

 

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