法隆寺物語(2)~玉虫厨子の話 | よしやんのブログ

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 今日は、国宝の玉虫厨子(たまむしのずし)のお話です。これは、法隆寺の宝物館である大宝蔵院に陳列してあります。ほとんどの人が小・中学校の教科書で習ってあるので、実物の前で、「これが有名な玉虫厨子ですか」と感慨深そうにながめておられます。そして予想していたより大きいと言われます。(高さ2・3m,幅1・36m,奥行き1・19m)。


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 この厨子は、日本史上最古の工芸品といわれ、飛鳥時代の傑作です。

推古天皇がつかっていたと伝えられ、名前の由来となっているタマムシの羽が透かし彫りの金具の下に敷き詰められていました。

 玉虫はいつまでも緑色の金属光沢があって、死んでも色があせないので、 つくられた当時は非常に美しかったと思われます。

 実は私は、10年ほど前に法隆寺の裏山で玉虫を捕まえて、容器に入れて保存しており、お客さんに見せながら説明していますが、いまは殆どいなくなった虫を見せるとお客さんは喜んでくれます。


こんな虫です。


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 この虫は吉丁虫ともいわれ、女性が持っていると恋がかない、タンスに入れておくと着物が増えると言われています。また「虫がつかないで幸せになる」ともいわれます。

 静岡県藤枝市に芦沢七郎氏が主宰する玉虫研究所があり、私達のガイド仲間が、訪問していろいろ玉虫についておしえてもらいました。このように美しい姿をしているのは、天敵である鳥の目を、日光の反射をつかってごまかすためだと考えられています。



5年前現在版「玉虫厨子」(復刻版)ができました。飛騨高山の人が制作して法隆寺に寄付されたのです。玉虫の羽6000匹を使って、数年がかりでつくったといいわれ、それは見事なものです。次の画像です。


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実物と同じヒノキでつくられ、大きさも全く同じです.。


捨身飼虎図

 玉虫厨子には、捨身飼虎図(しゃしんしこづ)という絵(仏絵)が描かれています。

 お釈迦さまが、前世時代に、崖下にいる飢えた親虎と虎の子七頭に、崖上から身投げして、自らの身を与え食べさせたと云う絵です。仏教の教えにある慈悲の愛の究極の姿を表しています。

 作家で尼さんでもある瀬戸内寂聴さんは、これこそ「お布施」の精神で、仏教でなければ考えられない精神だといいます。


(画像出典) タマムシの画像は玉虫研究所から、他の画像はwikipediaから。