昨日、ある「小さな学習会」に出かけました。
名前は「勇気づけCafe」。
参加者はスタッフを含めて7名。
私以外全員が主婦でした。
なぜ私がその学習会に出ようと思ったのか?
それは、「勇気づけ」という名前に秘密があります。
この「勇気づけ」というのは、あの有名な「アドラー心理学」から来ている名前なのです。
「アドラー?・・・誰、それ?」
と思った方もいるかも知れませんが、心理学に興味はなくても、最近のトレンドに敏感な人なら、聞いたことのある名前かも知れません。
アルフレッド=アドラー(1870―1937)・・・ジークムント=フロイト、カール=グスタフ=ユングとならぶ、心理学三大巨頭の1人です。
私は、心理学を独学で学習するにあたり、まずはフロイトの解説書を読み漁りました。
その時、フロイトに傾倒した後に彼と袂を分かったのがユングとアドラーだということを知り、まずユングの魅力にとりつかれました。
ユングの解説書を一通り読んだ後にアドラーを勉強してみようと思っていたのですが、なぜか、ずっと後代のロジャーズだとかその後の心理療法の学習を始めてしまい、アドラーはずっとほったらかしだったのです。
それが、数年前、コンビニの本コーナーにアドラーの解説本があったのを発見し、「え、なんでこんな所にアドラーが・・・?」と不思議に思い、調べてみると、近年、アドラーが人気になっているとか・・・。
その時は、それほど関心は持たなかったのですが、最近、「そろそろアドラーのことを学習してみようか」と思い立って手にした解説本に、「アドラーは現代心理学の源流」といった趣旨のことが書かれていたのに興味を持ちました。
その本によると、今も心理療法として有効だとされている、交流分析や認知行動療法、選択理論や現実療法といった諸説を初め、多くの現代心理学の考え方は、アドラーの考え方が基になっていると言うのです。
急いで解説書を数冊読んでみると、なるほどと思いました。
「他人と過去は変えられない」といった文言や、深層心理的な因果関係を用いない考え方は、現代のいろんな心理学で取り入れられているのですが、ほとんどがアドラーが発想しているものです。
そのように、現代にも多大な影響を与えているアドラーですが、彼の心理学を理解する場合、フロイト的な深層心理の考え方に慣れている私たちは、結構戸惑うと思います。
理解がしにくい部分もあるかも知れません。
私が冒頭に述べた「小さな学習会」に興味を持ったのは、そんな小難しそうなアドラー心理学を、若い女子が中心になってなぜ学んでいるのだろう?と素朴に疑問に思ったからです。
およその検討はついていました。
アドラーは、社会主義に傾倒していた時代があったのですが、第一次世界大戦を経て、「政治では世の中は変わらない」と考え、教育で世の中を変えることに力を注ぐようになりました。
そこで、子育て教育への支援などにも熱心に取り組んだのです。
ウィーンに、世界初の児童相談所を設けたのはアドラーでした。
ですから、アドラー心理学は育児や子育てにも応用しやすいものになっています。
のみならず、企業研修やコミュニケーションカウンセリングにも取り入れられています。
このようなことから、アドラー心理学は「実践の心理学」と言われています。
このことを知っていたので、小さな学習会である「勇気づけCafe」に主婦が集まることは予想していたのですが、私が関心を持ったのは、愛媛県松山市という小さな地方都市で、このようにアドラー心理学を広めようと頑張っている女子のグループがいるということでした。
このグループが「勇気づけCafe」を主催しているのですが、グループの名前は「エンカレッジサロン愛媛」と言います。
(こちら「エンカレッジサロン愛媛」)
ここを中心に、複数の若い女性たちがアドラー心理学普及のために活躍しているということがすごいと思いました。
講座の数もいつくかあって、その受講生も多いようです。
欧米ではフロイトやユングと同じくらい著名なアドラーですが、日本ではフロイトやユングほどには知名度がありません。
でも、最近首都圏などでは人気が出ていると言います。
しかし、地方での知名度はグッと下がるでしょう。
そんな中で普及を目指す「エンカレッジサロン愛媛」の活動は、これからも注目していきたいと思っています。
このブログでは、アドラー関連の記事を今後増やしていく予定です。
体型的な説明などはしませんが、エキスをかじるようなものにしようと思います。
今回は、アドラー心理学の考え方が、「うん?ちょっと普通と違うな!」と思える例を少しだけ紹介しておきましょう。
アドラーがフロイトと決別した理由は、やはり、リビドー(性的エネルギー)を主体とする深層心理を否定する学説をとったからです。
したがって、アドラー心理学では、トラウマの存在を認めません。
「子どもの頃に虐待を受けたから、社会でうまくやっていけない」と考えるのがフロイト的な考え方ですね。
こういうのを「原因論」と言います。
トラウマ的なものを原因とした因果関係で、心理現象を説明しようとする考え方です。
これに対し、アドラー的な考え方では、「社会に出て他者と関係を築きたくないから、子どものころに虐待を受けた記憶を持ち出す」とするのです。
「他者と関係を築きたくない」というのは、当人が意識している「意志」ではありません。
意識していないレベルのもので、「虐待を受けた記憶を持ち出す」というのも意識できていないレベルのことです。
アドラーのこのような考え方を「目的論」と言います。
目的論では、「不安なので外に出たくない」のではなく、「外に出ないという目的のために不安という感情をつくり出している」と考えるのです。
アドラーはこう言っています。
「人は過去の“原因”によって突き動かされるのではなく、今の“目的”に沿って生きている」。
どうでしょうか?
私たちは、「トラウマ、トラウマ、・・・」と言って大騒ぎしながら、心の違和感を、過去のどうしようもない原因で説明することに慣れていますね。
なので、アドラー的な考え方を簡単に受け入れることはできないかも知れませんが、原因論ではなくて目的論で考える方が、解決の意糸口は見つけやすいのだと思います。
全て、過去のトラウマ的なもので決定されているように考えてしまうと、解決の手段は狭まってしまうのです。
しかも、「過去のトラウマ的なもの」を処理する専門家の手に委ねないと解決できないということにもなるのです。
トラウマ的なものを否定するアドラーは、人生とはいつでも選択可能なもので、過去の経験をどう意味づけるかのよって、これからどう生きるかが選択されるのであって、過去の経験そのものが生き方を決定するのではないと考えました。
アドラーはこのようなことを言っています。
人は「変われない」のではなく、ただ「変わらない」という決心を下しているに過ぎない。
今幸せを実感できないのは、能力やお金や恵まれた環境が足りないからではない。
変わることに伴う「勇気」が足りないのだ。
これが、アドラー心理学が「勇気づけの心理学」とも呼ばれる所以(ゆえん)です。
そして、「小さな学習会」が「勇気づけCafe」と名づけられている理由もここにあります。
アドラー心理学は、ある意味、非常に厳しい心理学なのですが、子育てや自分の人生、人間関係を考えるには、とても有益な心理学と言えるでしょう。
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