悠釣亭のつぶやき -282ページ目

ウクライナ情勢は?(27)_逆侵攻

東部ドンバス地方での戦闘はロシア軍が物量作戦と繰り返しの
攻撃で、じりじりと支配地域を拡大している状況。
ウクライナ軍も精鋭を投じて防戦と反撃を行なっているがジリ貧状態
の様相。


そんな中、8月6日、ウクライナ軍が突然、ロシア・クルスク州の町
スジャを制圧したと発表した。
総兵力15,000人、6個旅団という大部隊で奇襲進軍を続けたという。
また、作戦を指揮するシルスキー総司令官は、同軍はロシア軍の
防衛網を破って35km前進し、82集落を制圧。
面積にして、東京都の面積の半分以上に相当する12
50平方kmの
地域を支配下に置き、スジャにはウクライナ軍の司令部を設置した
と明らかにした。

一説には、ここを押さえる事で、停戦交渉を有利に図ろうという意図が
あるようだが、この逆侵攻が果たして吉と出るか凶と出るかは微妙な
所である。
戦闘人員において少数のウクライナが戦線を拡大することは兵員密度
を薄めることになるし、ここを維持するために割く兵員の数もバカに
ならないから。

第2次大戦以来初めて自国の領土が侵されたロシアとしては、
メンツ丸つぶれであるが、ほれ見ろ、ウクライナはテロリストだとの
宣伝を盛んにして、国内からの反発を抑え込んでいる。

ロシア軍はその地域を積極的に奪還しようとはせず、東部ドンバスの
戦況を有利にし、支配地域を拡大することに注力している模様。
ここを確保することで、南部への補給を容易にする狙いもあるようだ。


一方、8月11日には、ロシアが占拠しているウクライナ南部の
ザポリージャ原発で火災が発生した。
これは、「場合によっては同原発を破壊することも辞さない」ことを暗示
したロシアによる示威行動と思われ、ある意味での「核の脅し」とも
いえよう。
これに対して、ウクライナ軍もクルスク州の原発を押さえて対抗している。 

逆侵攻というロシアに衝撃を与える行動に出たウクライナだが、欧米
各国としては戦闘の拡大を懸念しているが、これは自衛の範囲であり、
容認せざるを得ないとしている。

東部戦線ではウクライナに供与されたF16が稼働し始めたので、
東部戦線でウクライナ軍の反攻が始まる可能性も高くなってきている。
ロシア側に大きな損失が出る様な状況になれば、ロシアが戦術核を
使う恐れが強くなろう。

ウクライナは大きな賭けに出たわけだが、これはNATOを巻き込む
戦略と見られる。
NATO側は戦闘の拡大に積極的ではなくても、引きずり込まれた格好
になっている。


ロシア軍は今のところ劣勢とは言えないが、ロシアは本年5月に
ウクライナに隣接する南部軍管区においてベラルーシも交えて
戦術核兵器の使用を想定した演習を実施している。

その際、ロシア国防省は、「非戦略的核兵器の戦闘に向けて、
関係する部隊と装備の即応態勢を整える目的で実施した」と発表し、
今後の戦況次第では、戦術核の使用も辞さない姿勢を露わにしている。
これは単にNATOに対する脅しなのかどうかは、プ-公以外には
分からない。


何とも物騒な状況になっているが、和平のための交渉も水面下で
進行中という。
これ以上の拡大は大きな紛争に繋がる恐れが高くなっていると
思われるが、双方ともに停戦を有利に進めるための活動に終始して
いるとしか思えず、まだ暫くは混とん状態が続きそうだ。