ウクライナ情勢は?(26)_F16 | 悠釣亭のつぶやき

ウクライナ情勢は?(26)_F16

欧米がウクライナ支援を行ってきた訳だが、はじめは弾薬、そして
ミサイル、戦車と攻撃的な兵器へとシフトしてきた。
そして、軍用機も、旧型のソ連製戦闘機から始まり、今や、F16
戦闘機の供与が決定されている。

当初の予定ではこの春には配備が始まるとされていたが、F16は
航空優勢を確保するという点で、ゲームチェンジャーになり得る
機体ではある。
昨今の第5世代戦闘機と言われる電子戦やデータリンクで互いに
連携できる戦闘機ではないが、空対地、空対空戦闘に長けており、
大きな戦力になる事は確かだ。

 

 



F16の配備遅れの原因は欧米へのF35配備が遅れている事。
最新ソフトにバグがあり、その改善に時間を要した結果である。
欧州各国はF35の配備によって余剰となるF16をウクライナに
供与しようとしていたが、結果的にそれが遅れているという事。

そして、既に、F35の欧州への配備も始まっており、逐次F16が
ウクライナに配備され始めている。
これまでの期間に、操縦士や整備関係者の教育も行われてきた。


F16が十分な能力を発揮するためには、いくつかの条件がある。
①維持整備が出来るか
②目標の補足管理が可能か
③迎撃回避は可能か など。
これらがシッカリと実施出来れば、本来の能力を十分に発揮できる。

①については整備関係者の教育は行われてきたが、ウクライナ
国内に整備拠点を整備する必要があるし、整備機材も併せて
配備が必要だ。
恐らくは欧州の整備関係者の派遣も必要になるんだろう。

故障した部品の修理や交換、時間交換が必要な部品の供給ルート
も確立せねばなるまい。
これが出来ないと稼働率が一気に下がる。

また、大修理が必要になれば、欧州の拠点に戻す必要も出て来る。
欧州はその準備があるんだろうか?
修理でなく廃棄の道もあろうけれど、非効率だからなぁ。


②については高性能レーダーによる目標探知と指揮命令が可能
でなければならないが、ウクライナの防空レーダーの多くがロシアの
攻撃で破壊されており、とても脆弱になっている上に、地上レーダー
だけでは目標捕捉は大変困難だ。

5月に、スウェーデン政府によるウクライナ軍事支援パッケージ
に含まれる、ASC890レーダーシステムを搭載した早期警戒機
2機の供与は強力な支援になるだろう。

この機体はウクライナ国内に居て、周辺地域の地上と陸上の
目標探知と戦闘指揮が可能であり、F16との連携がうまく行けば、
F16の攻撃能力が十分に発揮できる。


③が最大の問題だが、ウクライナは着々とその準備を行なっている。
大規模ではないが、ロシア国内の重要施設をピンポイント攻撃
している。
攻撃目標は、戦闘機基地、弾薬・武器・燃料保管施設、石油集積所、
早期監視レーダー、衛星管制施設など多岐にわたっている。

特に、ウクライナ周辺の他、遠く離れたレーダー施設も無人機により
多数攻撃し、破壊してきた。
これはロシアの戦闘機や爆撃機の活動を制限し、ウクライナの
戦闘機に対する迎撃を困難にするだろう。

また、ロシアの早期警戒機2機を1月と2月に撃墜した事(下記記事)
や、その機体製造修理工場への攻撃を行なった事で、ロシア軍の
指揮系統に少なからぬ被害を与えてきた。
少なくとも早期警戒機はウクライナ上空に近接は出来ない状況を
作り出してきた。

 

 


ウクライナへのF16配備は既に始まっているが、その行動はよく
秘匿されていて、恐らく西部地域に居るんだろうけど、どこに何機
居るのかはロシア軍も詳細には把握出来ていないんだろう。

ウクライナによる航空優勢の挽回は実に着々と進められてきた
ように思う。
敵の攻撃力を減じ、防衛力を脆弱にする、味方の攻撃を効果的に
行なえるようにすることは鉄則だが、これらを着実に進めてきたと
思える。

恐らく、最初のF16による攻撃は東北部ルハンシク州やドネツク州
の激戦地になるんだろうと思う。
ここを盛り返す事で、ロシアの補給は断たれるし、ウクライナ側の
優勢が確保されることになろうから。

下記に、F16が如何に敏捷な飛行機か、低空能力に優れているか
を示す動画があるので、ご参考に。
熟練操縦士によれば、低空での攻撃や回避の能力が十分に発揮
されると思われる。

F16機動性の映像

F-16 Viper Demo Wings Over Houston 2022 (youtube.com)