中学受験で一番苦手な子が多い単元は、天体ではないでしょうか?
電流や化学計算も苦手、という子が多いですが、圧倒的に多いのが、この「天体」です。
他の分野は保護者の方が教えられるから何とかなるけれど、天体は…というご家庭も多いようです。
天体の何が難しいのか、考えてみました。
いろいろ動いているから
ではないでしょうか?
動きを考えるのは以下の3つです。
①地球の自転(1日で一回転、1時間で15度)
②地球の公転(1年で一回転、1ヵ月で30度)
③月の公転(27.3日で一回転)
この中でいちばん基本になるのは地球の自転です。
なぜなら周期がいちばん短いからです。
つまり、動きが速いのです。速いので、私たちがいちばん感じることになります。
基本的に天体は地球の自転によって東→西に動いて見えます。
コアプラスの154~155を考えてみます。
155 太陽、月、星が天球上を360度回転するのにかかる時間を短い順に並べる
…まず何を考えればいいのやら??ではないでしょうか?
今回は苦手~普通の受験生向けの簡単な説明をします。なので、ちょっと省略している部分があります。
後日、上級者向けの正確な説明を載せます。いずれ上級者にならなくてはいけない受験生も、まずは簡単編でイメージをつかんでおきましょう!
~簡単編~
太陽も星も、それ自体は動いていません!地球が動くので動いて見えるだけです。
(本当は動いていても、地球からは分かりません)
月は地球の周りを公転しているので、この動きは考えなくてはいけません。
考えるポイントをまとめると
太陽は地球の自転
星は地球の公転と自転
月は月の公転と地球の自転
では155を考えてみましょう。
まず太陽を考えます。
太陽は地球の自転によって、1日に360度動いて見えます。
明石市なら毎日正午に南中します。
向きは東→南→西
これだけ!
つまり、太陽の南中~南中は24時間です。
次に星です。ここは154の内容になります。
星の動きは地球の自転に加え、地球の公転も考えなくてはいけません。
地球の公転により、星は同じ時刻に見ると、1度西に進みます。
地球の自転と公転は同じ向きなので、星の動きの向きも同じ→公転によっても東→南→西です。
実際に一日星の動きを観察すると、下の図のようになります。東から西に動き続け、一日後には前日より1度西に進んでいる、という感じですね。
1日後には1度西に進むので、24時間で361度進んだことになります。
ここで南中~南中の時間を考えると、次の日の同じ時刻では1度通り過ぎていますから、
南中した時刻を出すには1度戻さなくてはいけません。
1度戻すには…地球の自転により
1時間 15度
60分 15度
4分 1度
1度動くのに4分かかりますから、
4分前に南中ということになります。
よって、星の南中は前の日より4分早くなり、南中~南中は23時間56分となります。
最後に月!月は月の動きも考えなくていけません。
月は同じ時刻に見ると、1日に12東にずれていきます。
これは月が地球の周りを公転しているからです。
見かけ上30日(29.5日、満ち欠けの周期)で同じところに戻ってくるので
30日 360度
1日 12度
です。なぜ「東」にずれるのかは下の図を見てください。
次の日の同じ時刻には12度東にずれます。
実際に観察するとどんな動きかを考えてみます。
月を眺めていたとすると、東から西に動いていきます。
やがて沈み、次の日また東から出てきます。
そして、南中からちょうど24時間経ったときには12度東にずれています。
地球の自転により、基本的に月は東から西に動いて見えるのですが、1日経ったらいつのまにか同じところではなく12度東にある、という感じです。
月の南中~南中を考えます。
24時間後には真南より12度東にありますから、あと12度動いてもらいます。
ここでまた地球の自転の登場です。
1時間 15度
60分 15度
□分 12度
□=48分
あと48分で南中、ということになります。
よって、月の南中~南中は24時間48分となります。
以上から155は
星23時間54分→太陽24時間→月24時間48分
となります。
冒頭で地球の自転が基本、と書いた意味が分かったでしょうか?
星も月も、地球の公転や月の公転でずれた位置を自転で補正する、という考え方をしています。