クラス内で仲間割れが始まると、僕は密かに「やったぁ!」と思う。
先月のブログで、若手教師からのメールに「良いケンカ」ってのがあったので、僕もその話題に触れます。
今回は、音楽の先生向けの話ではなく、新任研修の時によく話してきた、担任の先生向けの学級経営の視点からの合唱コンについてです。
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合唱コンの練習が佳境に入ってきた段階で起こる仲間割れは、よりいいいものをつくろうとするために、それぞれの思いがぶつかるから起こる。
クラスの中には、音楽の得意な者・苦手な者が混在する。
リーダーの高い要求が様々な不満のもとになったり、男女の意識の違いが不協和音を生むことも珍しくない。
そんなとき、担任ならどうする?
ところで、練習の時、先生方はどんな動きをする?
中1は、初めてだから、先生が半分練習に出張(でば)るのもしかたない。
しかし、2年生や3年生では、真にこの合唱コンで子どもを育てたいなら、教師は“引っ張る”のでなく“支える”つもりで「出(で)」をよく考えるべきだ。
一番まずい出は、担任が練習を仕切ること。そうすりゃ簡単だし、もしかしたら歌は早くうまくなるかもしれないけど、クラスづくりとしてはいい手だてとは言えない。
僕は音楽教師として、自分のクラスを、担任としておおっぴらに後押しできない立場にあった。音楽においては、全クラスの“担任”だからだ。
だから授業以外の時間には、自分のクラスだけには助言を絶対しなかった。それはイコール「音楽の授業」になってしまい不公平感が生じるからだ。
だからこそ、クラス練習を活発にするためには、早くからリーダーを動かす必要があった。
まずその子たちに自信をもたせ、リーダーとしての意識を育て、リーダー内の団結力を生むために、定期的にクラス実行委員会を行う。
その中では最初に担任として思いを語り、彼らにいろいろな責任を負わせ託す(これにより、僕が授業以外で直接応援できない理由も知り、その分活発に生徒が動く効果も生むのだ)。
そして、とにかくリーダーに語らせる。
練習がうまくいかない不満。その日がんばった子の様子。自分自身の足りなさ。横を向いてる子への自分なりの声かけ等々。
そうして同じ思いや悩みを共有した子たちは、自ずと気持ちを一つにしていく。そして自ら進むべき方向と対策を見いだすのだ。
こちらは、音楽的な助言は授業へもっていき、実行委員会では練習の方法への助言をするにとどめる。
リーダーの努力を感じ始めた生徒たちは、練習の際の言葉の指示を心で受け止め始める。引っ張る者・引っ張られる者が互いの立場を理解し歩み寄るのだ。
こんな奴らは、仲間割れを必ず自分たちで収束させていく。
むしろ、そういうハードルを乗り越えたクラスこそ、真の団結力を生むのだ。
今年も、いろいろなクラスで“仲間割れ”が起こるのを期待しています。
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