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家在水草豊茂的地方 RIVER ROAD
 
2014年 中国映画
 
【監督・脚本・編集】リー・ルイジン
 
【出演】タン・ロン
     グオ・ソンタオ
 
 
【ストーリー】
 両親が草原で放牧をしているため、兄のバルテルは祖父母のもとで暮らし、弟のアディケルは学校の寮に住
 
んでいる。兄は弟がひいきされていると嫉妬している。夏休みが来るが父が迎えに来ない。親のもとに帰ること
 
を決めた弟は、すねる兄を説得して、ラクダにまたがる…。(東京国際映画祭HP作品解説より)
 
 
【コメント】
 中国の広大な草原地帯とそこに住む遊牧民の暮らしが分かって面白かったんですが、最終的に現在の発展
 
する中国だったり資源が枯渇していく様が衝撃的に描かれてものすごくショッキングでした。
 
 物語自体は弟アディケルと兄パルテルが祖父が亡くなってしまったため、放牧している父を探して何もない、砂
 
漠のような地をひたすら旅していくロードムービーなんですよね。それも乗り物はラクダですよ。
 
 ふたりともちゃんと自分のラクダを持ってて、そこに長期間分の水と食べ物などぶら下げて行くんです。
 
何も周りに指標がないのにちゃんと道を分かってるし、外で寝泊まりしながら、食べれるものがあれば見つけて
 
食しと、とにかくたくましい。遊牧民の子はこれぐらい普通の事なんだなと。
 
 そもそもそのおじいちゃんの家の周りに近所らしき家がないし、どこに人が住んでるんだろうって感じ。ユグル
 
族の人たちは少数民族なので普通はそこの言葉ですが、学校では漢語を習ってて、子供たちは普通に一般的
 
中国語を話してました。
 
 
 で、ラクダってすごく大人しくってお利口ですね~。あんなに大きいけど、それを乗りこなす子供たちもすごい
 
なーって思いました。ラクダは水を求める天才だとか。それに自分の死を悟ったラクダがあんな広大な地で自分
 
の昔の居場所を覚えていて子供たちが昔住んでいた場所に戻っていたり、ラクダと少年の繋がりにも泣けまし
 
た。
 
 
 以前はあった川も干上がり、水を求めて飢え寸前の子供たちが運よくたどり着いたラマ教のお寺でも。もうこの
 
地には水がないから明日移動するという僧侶。「父なる川と母なる大地が干上がってしまった。子供よ、命を与え
 
てくれた両親に感謝するように」と、お兄ちゃんの想いを見抜いた僧侶はさすがです。
 
 仲良くなかった兄弟がこれを機に一気にお互いに歩み寄り、仲良くなるんですよね。この後やっと見つけた川
 
でふたりして水浴びするシーンはほんと微笑ましかったです。
 
 それだけにその後すぐ見る現実に途方に暮れる兄弟の姿は観てる私ももう胸が痛くなる思いでした。
 
人間が生きていくために自然を破壊していき、そこで生きてきた人たちも放牧とかでは生活していけなくなる。悲
 
しい現実です。アディケルは「自分はお父さんと一緒に放牧するのが夢だ」と活き活きと語っていたのに、あの現
 
実の中でどうやって生きていくんだろう。悲しいです。
 
 ところであの風船は遊牧民のためにおもちゃを届けてるのでしょうか。素敵だなと思いました。
 
 
 合間で子供たちが出くわす廃墟もシルクロードの遺跡でしょうか。あんな何もない所でも以前は栄えていたん
 
ですね。というか、放置状態?誰もあんな砂漠のようなところに行かないからでしょうかね。
 
 
 多分現地の子供たちが演じていたんだと思いますがすごく上手くって現実かと思ってしまうほどでした。少数民
 
族の子供たちの未来はどうなるのでしょう。
 
 など色々と考えさせられてしまったけど、とっても心に残る映画でした。